ヴァンプ

登録日:2011/07/02(土) 16:12:30
更新日:2023/04/28 Fri 01:23:35
所要時間:約 6 分で読めます






「俺は一度死んだ男…死にはしない」





かつてのアメリカ合衆国大統領・ジョージ・シアーズが対テロ訓練用の仮想敵部隊として設立した「デッドセル」のメンバーの一人で、ルーマニア生まれのナイフ使い。


コードネームであるヴァンプは、後述する彼の特徴を「Vampire」(吸血鬼)に準えた事*1と、娼婦を現す「Vamp」から。これは自身がバイセクシャルである事に由来する。*2何気にヴォルギンの系譜に当たるお方。

その名が指す通り、殺した相手の血をすする癖を持つ。
これは、幼少時に教会で爆弾テロに遭遇し、救出されるまでの間に、家族と自分の胸から流れ出た血を舐めて生きながらえた際に出来た癖である。
また、この際に家族を全て失い、自身も教会の十字架が胸に突き刺さったまま丸二日間を過ごしたという。*3

経緯は不明ながら、その後前述のデッドセルに参加。
卓越したナイフ捌きは勿論のこと、銃弾を華麗な動きでかわすなんてのは序の口。水上を疾走し、更には垂直に佇立するビッグ・シェルの支柱を生身で駆け上がるなど、吸血鬼さながらの超常的な身体能力を発揮している。だが彼は本物の吸血鬼のように、流れる水を渡れなかったりはしない。

しかし彼には、そのコードネームを表すもう一つの人間離れした特徴があり…。




  • MGS2でのヴァンプ




「今日は5人…いや、6人?」



海上除染施設「ビッグ・シェル」を占拠したソリダス・スネーク率いる「サンズ・オブ・リバティ」の一員として登場。
雷電の潜入と同時に突入したSEAL10のαチームを瞬時に壊滅させた直後に雷電と遭遇するが、ここではイロコィ・プリスキン中尉の介入もあり撤退する。
その後、大統領とブラックケースを奪取している。

A脚底部にてファットマンが仕掛けた爆弾を凍結処理した雷電がフォーチュンと交戦。その戦闘中に姿を現し、「ファットマンが指揮系統を離れ暴走している」と告げ、フォーチュンから雷電の始末を任される。
が、フォーチュンがその場を去ろうとしたその瞬間、彼女を狙った雷電の銃撃が彼女の持つ"幸運"により逸れ、ヴァンプの眉間に直撃してしまう。
自らの"幸運"により他者が犠牲となり、「いつまで生きればいい」と嘆き悲しむフォーチュン。


が、雷電が去った後、本項目冒頭の台詞を呟きつつ蘇生。この人間離れした治癒力と不死性こそが、ヴァンプのコードネーム最大の由来である。*4
その後もプリスキン…もといソリッド・スネークと雷電の前にハリアーで現れたり、終盤に差し掛かる頃、オタコンの妹であるEEことエマ・エメリッヒを探す雷電の前に現れるなど、度々雷電の前に立ちはだかり、作中での登場回数はデッドセルのメンバーの中で最も多い。


やはり生きていた…?
あいにく地獄が満員でな…


デッドセルの初代リーダーであるジャクソン大佐と、その妻であり二代目リーダーとなったフォーチュンに対する忠誠心は強く、ビッグシェル占拠に賛同したのも彼らへの忠義と、そんな自分達を見限った母国への復讐心から。
「俺達を見捨てたクズ共など皆死ねばいい。そしてそんな連中に踊らされる一般大衆もだ」と、その憎悪は並々ならぬものがある。

雷電には「狂っている」と評されるが「俺達だけがまともなのかも知れんぞ?」と、至って涼しい顔で言い放った。


そして戦闘へ。


部屋の底を「生物反応槽」で囲い(延々と酸素が吹き込まれているためバクテリアの活動が非常に活発になった水槽。水の比重が非常に軽くなっているために浮力が発生せず、普通の人間なら落ちたら二度とはい上がる事は出来ない)
その中を持ち前の強靱な肉体で自在に泳ぎ回り、不意に飛び出してきたかと思えばナイフの投擲を放ち、果てはまるで忍者のような「影縫いの術*5」を使い、雷電を翻弄。


…なのだがこのヴァンプ、ムービー等で見せた強さとは裏腹に、いざ実際に戦うとボスとしての弱さが目立つ
勿論初見時、まともに戦おうとすればこちらの攻撃は簡単に当たらないわ影縫いで動きを止められるわで、少なくとも苦戦することは間違いない。
が、ある武器を使えばあっという間に戦闘が終わってしまうのである。
それは、「スティンガーミサイル」である。

以下、スティンガーミサイルを用いたヴァンプ瞬殺法の流れ。




ボス戦開始と同時にスティンガーミサイルを装備。3発のミサイルをヴァンプに向かって撃つ。

ヴァンプの体力ゲージが減りはじめたのを確認し、リズムよくミサイルを撃ちこむ。

瞬☆殺


この間、僅か数秒の出来事である。


この攻略法が開発されてから、ボスサバイバルでタイム短縮のために何人ものヴァンプが無慈悲にも消し炭にされた…。
とはいえ、こうして文章に書き起こしたり動画で一見すると簡単そうに見えるが、タイミングが非常にシビアなテクであり、完全に殺しきるには慣れが必要。それでも体力7〜8割は平気で持っていくが。

なお、ノーキルを目指す際はこのテクは使えない……と思われたが、実は生物反応槽を潜っている時にスティンガーを撃つと、何故か体力ゲージの代わりにスタミナゲージが大幅に減る
トドメはコツを掴まないと時間がかかるが、スタミナキルでも瞬殺は可能である。腕に覚えのある方は、ノーキルクリアを目指す際に試してみよう。



雷電との戦いの末に敗れ去り、生物反応槽の底へと沈んでいったヴァンプ。
が、ソーコムで眉間を撃ち抜かれても死なない彼がこの程度で死ぬ筈もなく、今度はオイルフェンスを渡ろうとするエマを襲撃。更にこの時受けた傷が致命傷となり、エマは帰らぬ人となってしまう。
彼女を盾に取るが、ここでも雷電のスナイパーライフルの狙撃によって眉間を撃ち抜かれ、海中に沈んだ。

雷電とスネークがアーセナルギアに突入した後は本編中での出番はなくなったが、エンディングでマンハッタン市街を歩く民衆の中に紛れてヴァンプの姿が…。*6





  • MGS4でのヴァンプ

CV:塚本晋也



「お前、俺を殺してくれるかもな」



経緯は不明だが、リキッド・オセロット率いるPMC「アウター・ヘブン」に所属しており、兵士達やBB部隊の一人であるラフィング・オクトパスに指示を出しているところから、そこそこ高い地位にいることがわかる。
また、今回はヘイブン・トルーパーのスーツの下半身を装着しており、身体能力が更に上がっている。
ACT2の南米にて初登場。妹の仇ということもあり、オタコンからは非常に大きな憎悪を向けられている。
ステージ終盤の市街地にて雷電と再会。月光に拘束されてる雷電に対しナイフを突き立てるが、サイボーグ化した雷電はビクともしない。そんな雷電を見たヴァンプは彼に対しシンパシーを覚える。

「お前も死ねない体に…?」
「違う、死を畏れていないだけだ。」

直後、スネークの狙撃により拘束が解けた雷電と激闘を繰り広げる。
互いが己の肉体を極限まで酷使する凄惨な戦いの末*7相打ちとなり、自らを殺してくれるかもしれない存在が現れたことに上記の台詞で喜びを感じながらその場に倒れる。
だが、雷電が去った後、やはり起き上がりケロッとした様子でリキッドに事の顛末を伝えた。


以下ネタバレ



















ヴァンプの常軌を逸した肉体修復力とそこから来る不死性は、ナノマシンによるものだった。
このナノマシンの技術は元々ナオミ・ハンターが研究していたものだが、その研究を基礎に何者かが引き継ぎ完成させた。(誰がナオミの研究を引き継いだのかは不明)
結果、ヴァンプは不死となり、ナオミは「ヴァンプを怪物にしてしまったのは私」と強い自責の念を感じている。

しかし、この不死性も当然ナノマシンが無ければ機能しないため、何らかの手段でナノマシンが停止させられれば能力も機能しなくなる。
そのため、ナオミがスネークの為に託したナノマシン抑制剤入りの注射器が、ヴァンプとの戦いで大きな意味を持つことになる。


ACT3ではこれといった活躍は無かったが、ACT4終盤のシャドーモセス島においてメタルギアREXが9年前に躙座したまま眠る地下格納庫にて再びスネークたちの前に現れる。
更に、自爆型月光の群れが近付いてることを告げ、戦闘を開始する。

スネークとの戦闘の際は、通常の攻撃ではスタミナやライフを0にしてもすぐに全回復してしまう。
そのため、ライフかスタミナを0にした後にCQCを掛け、注射を打つ必要がある。もし対処法がわからなくても、何度か無線をすればオタコンが対処法を提示してくれる。
この時太陽銃を使うと大幅にスタミナを削ることが出来るのは吸血鬼である由縁か。


体内のナノマシンの動きを止められ、苦しむヴァンプ。ついに、己の不死性が揺らいだ瞬間だった。

「これでお前もただの死者(デッド)だ」
「面白い…ただの死者を殺せるか?」

しかし、ついに自爆型月光部隊が来襲。直後に救援に現れた雷電と、かつてスネークとリキッドがそうしたように、REXの上で最後の決闘を挑む。
この時スネークは雪原でクライング・ウルフを倒した際に入手したレールガンを用いて月光の群れを迎撃するわけだが、なんと画面が縦二分割になり、プレイヤーが画面左側でスネークを操作するなか、右側で雷電vsヴァンプのムービーが流れる。
更に発売当時、「普通のプレイ動画までならOKだがストーリーの根幹に関わる動画の投稿は禁止」という公式からのお達しがあったため、動画サイトのコメントで、雷電共々「右の人」と呼ばれるハメに。

最終的に雷電に切り伏せられ、REXから落下。しかしそれでもヴァンプは死なない。
そこにナオミが現れ、「ヴァンプのナノマシンによる治癒力は度重なる戦いで限界が来ている」と告げる。
ヴァンプは「楽にしてくれ」と、救いを求めるようにナオミに懇願するが、人として普遍に訪れる死を奪い、ヴァンプを怪物たらしめた事に罪悪感を抱くナオミは、「自分にヴァンプを救うことは出来ない」とこれを拒否。
代わりに注射器をメタルギアMK.Ⅲ───オタコンに託す。「仇を討つのではなく、終わらせて」と。

だが、仇敵を前にオタコンは躊躇した。今目の前にいるのは自分からエマを奪い"怪物"として憎んできた男ではなく、これから訪れる死を前に苦しむ残酷なまでに"ごく普通の人間"だと。
その姿にオタコンは呆然とし、どうすることも出来なかった。ヴァンプへの怒りも憎しみも、既にオタコンの中から消え去ってしまっていたのだ。

しかし、見かねたヴァンプがMk.Ⅲから注射器を強奪し、抑制剤を自ら投与する
彼の中で止まっていた時間が動き出す。治癒能力が完全に失われ、ナノマシンにより「無かったこと」にされていた傷が現れ始める。
もうこれ以上生と死の狭間で苦しまなくていい。ヴァンプは、ようやく求め続けた安らぎを手に入れたのだった。




「俺は───死ねるのか」






「俺は一度追記された男…そう簡単に修正されない……」

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最終更新:2023年04月28日 01:23

*1 吸血鬼伝説はヨーロッパ各地で古来より伝わっているが、特に古代ルーマニアからの伝承が有名である

*2 海兵隊司令官のスコット・ドルフの愛人という噂もある。

*3 本件をスティルマンの引退の原因となった教会爆破事件と混同する者がちらほら居るが、スティルマンのそれはMGS2の5年前にあたるため、時期的に全くの無関係である

*4 ただし、頭を撃ち抜かれた際に意識を失っていることからわかる通り、急所が損傷を受けたりするなどの常人ならば即死するレベルのダメージを受けた際は、肉体を再生する為に一時的に昏睡状態になる。

*5 スネークやオタコン曰く、一種の催眠状態のようなもの

*6 ムービー中に右スティックで視点を動かすと発見できる。また、PS3&PS vitaのHDエディションでは、彼を発見することでトロフィーを獲得できる。

*7 小説版でオタコンはこの戦いを「潰し合いとでも形容するべきかもしれない」と評した。