フロスト兄弟

登録日:2010/02/24 Wed 00:24:50
更新日:2024/03/07 Thu 20:54:31
所要時間:約 4 分で読めます





未来を作るのはニュータイプではない……


カテゴリーFと呼ばれた我々だ。


機動新世紀ガンダムX』に登場するキャラクター。
主人公であるガロード・ランを始めとしたフリーデンのメンバーと行く先々で対立する、ライバルのような存在である。

見た目全く似てないどころか、かなり年齢に差があるように見えるが二卵性の双子である。兄に至ってはとある少女におじさん呼ばわりされている。

見た目は似てないが兄弟ゆえか雰囲気は似ており、常に気取ったような空気を纏っている。

二人とも基本的に冷酷人間であるが、兄弟の絆は非常に強固。

登場当初はフリーのモビルスーツ乗りを自称していたが、様々な組織に関係しているばかりか実は新地球連邦軍に所属していた。



◆シャギア・フロスト



私の愛馬は凶暴です。



〈搭乗機〉

フロスト兄弟の兄。一人称は「私」。
年齢は19歳だが20代にしか見えない。どっかの木馬の艦長も初登場時点では19歳だったけど……。

物腰は柔らかく、常に冷静沈着。
ガンダムXディバイダーの攻撃から身を呈してオルバを庇い重傷を負い、療養中の身でもオルバをたしなめるなど、たびたび弟思いな一面を発揮する。
そんな彼だが、上司のアイムザットから禁句を言われた際には、一瞬だけ、ポーカーフェイスを崩すという人間臭さも見せている。
表向きはフリーのMS乗りとして活動しているだけあり、パイロットとしての腕も一流で、初登場時はアルタネイティブ社のMS隊をヴァサーゴ1機でパイロットを殺す事なく制圧した。
また、強力なビーム兵器を持つ宇宙革命軍のMSとの戦いでは「当たらなければどうということはない」という某赤い彗星のような台詞を吐き、その言葉通りに当たる事無く全機撃墜している。
「私の愛馬は凶暴です」は、彼の初登場回のサブタイトルであり、彼の台詞で最も有名。は基本的に大人しい動物なのだが、サラブレッドことかな
双子の弟よりも身長が高く見えるが、実はシークレットブーツを着用している。



◆オルバ・フロスト



愛しています…殺したいほど。



〈搭乗機〉

フロスト兄弟の弟。一人称は「僕」。19歳。見た目は年齢通り。

兄に比べて子供っぽいところがあり、感情的になりやすかったり、先走りしやすい。そのため、度々兄にたしなめられるが、非常に兄思い。
担当声優の佐々木が放送終了後に声変わりしてしまったため、ゲーム等ではやや違和感がある…が、最近は割と戻ってきている。
あとチェスが趣味で兄より強い。

(シャギアもだが)茶目っ気も少しあり、
ガロードへのライバル発言も当初は大体ジョークみたいなものだったが最終的には嘘から出た真みたいになっている。

輸送機でMS部隊を撃破したり、的確に敵MSの背後を取り捕縛する等、操縦技術の高さには定評がある。


◆活躍

二人とも「ツインズシンクロニシティ」という兄弟間でのテレパシー及び感覚共有(遠く離れていてもお互いの見た物を共有できるなど)の特殊能力を持つが、
新連邦のニュータイプか否かの判断材料であるフラッシュシステムに対応できなかったせいで「カテゴリーF(フェイク)」に分類され「落ちこぼれ」「紛い物」扱いされる。

NT研究所かそれに近い場所で、最初は認められるように真っ当に頑張っていたのではないかと思われるが、どんなことをしてもカテゴリーFの扱いは変わらない。
それは作中においてもずっと続いていた。

力があるのに認められないという扱いを受け続けたため、いつしか「世界が自分達を認めないのなら、自分達で世界を変えてやる」と考えるようになり、
その歪んだ憎悪は徐々に破滅願望へと変わっており、「世界が我等を黙殺するから、我等は世界を滅ぼすのだ!」と豪語しているように、
実際は前大戦に匹敵する、あるいはそれ以上の大規模な戦争の発生を望み様々な機関や組織を渡り歩いて暗躍していた。

そのため計画遂行のために普段は隠しているものの、自分達を認めなかった世界以外に、本物のニュータイプ(力のある者)も異常と言えるほどに憎んでいる。
その憎しみを感じたティファは「世界を滅ぼしても有り余るほど」と語った。

+ 最終回では
D.O.M.E.によってニュータイプの真実が語られ、彼らはニュータイプの紛い物ではなく、ただ単にティファ達とは元々違った種類の能力者だった事が判明する。
だが、彼ら自身は直接D.O.M.E.に触れていない(そればかりか、D.O.M.E.ビットを破壊し真実を知る事を拒絶している)ので、結局真実を知らないままガロードに討たれてしまった。
真実を知れば彼らの心も救われたかもしれないと思うと不憫な兄弟であるが、シャギア自身が「そんな必要はない!」と突っぱねているので最初から脈はなかったのだろう。


ちなみにこの「ツインズシンクロニシティ」であるが、中々凄い能力である。
どんなに離れていようとリアルタイムで会話(発声不要だが発声する時も)できる上、片方が見ている物をもう片方が見る事も可能と便利この上ない。
どの程度遅延が発生しているかは不明だが、恐らくほぼ伝達遅延はなく、はっきり言ってそこだけ見ればニュータイプよりも凄まじい力である。
特に二人揃ってのコンビネーション戦闘では強力なアドバンテージとなった。

人としての能力を中心に考えれば、環境に左右されずダイレクトに意思の疎通や情報交換が可能な時点で恐ろしいまでに重宝する能力なのだが、
連邦やらNT研などにおける評価基準は「フラッシュシステムを起動・運用できるか」の一点だけだったことがお互いにとって悲劇を生んだと言えるだろう。
加害者であることは間違いないのだが、彼らもまた『ニュータイプ』という言葉の犠牲者である。
しかも仮にフラッシュシステムに対応出来ていたら、それはそれで部品として犠牲になっていた可能性があるあたり業が深い。
一方で、一般的なニュータイプと同じような力は持っていない(未来予知などの超感覚)。

ちなみに宇宙世紀にも似たような能力を持っている双子がいたりする。

カテゴリーFの烙印を押されながらも、努力の結果か、超が付くほど貴重なガンダムタイプMSをそれぞれ受領しており、パイロットとしての力は認められていた。
独自の判断で行動する権限も与えられ、最終的には19歳で新連邦の少将まで登りつめる等、
フラッシュシステムに対応しなかった以外においてはむしろ滅茶苦茶評価されており、そこら辺も視聴者があまり彼らに同情できない理由の一つでもある。
彼らをカテゴリーF認定したニュータイプ研究所の所長も彼らに対してカテゴリーFの言葉を能力名のように気軽に使っており、あくまでニュータイプとは別の能力者として扱っていた事が窺える。
尤もフラッシュシステムに対応せず蔑まされたという一点が払拭されない限り、彼らにとってはそれ以外でいくら評価されても意味の無い事ではあるのだろう。
実際、アイムザットは殺される直前、明確に侮蔑を込めて「カテゴリーF」と罵っている。実際先の通りFとはフェイクを意味するものであり、
所謂人種差別問題の根底にある「能力は認められてもその奥底では格下に見られている」というところが憤りの根っこと考えると
彼らが世界を憎み続けた理由としては十分であると言えるだろう。

全ての組織で裏切る前提ではあったが、たった二人でしかも特に戦いにおいてはイレギュラーな事態が多くあったものの
最終決戦以外の大筋は計画通りに進んでいる以上、兵士や策謀家として見た場合は間違いなく超一流である。
ただ、アイムザットが口を滑らせたようにあくまでもカテゴリーFとして軽視されていたのは紛れもない事実であり*1
こういった背景から作中でも彼らの承認欲求が満たされる事は無く、ガロードからは完全にその理屈を全面否定されている。


+ 彼らの最期
最期はガロード操るガンダムDXのツインサテライトキャノンとサテライトランチャーで正面から撃ち合い、その光に飲まれて消えていった。

作中様々な組織に協力する素振りを見せてはどさくさ紛れの暗殺や見殺しを繰り返し、
最終局面ではサテライトランチャーで敵である宇宙革命軍のトップはおろか自分達が所属する新地球連邦軍のトップまでも抹殺している。
この要所要所での彼らの復讐や暗殺劇が繰り返された結果、ED後のジャミル達新政権によるX世界の再興を妨げそうな連中も一掃されたので、
図らずも別方向からファインプレーをしたと評される事もある。流石だな我ら。




















……で死んだかと思ったらちゃっかり生き延びており(シャギアは車椅子生活を送ることになったが)、最後のシーンでガロードとティファを遠くから眺めていた。

ちなみに、漫画版ではシャギアは無傷である。


「さて、どうしたものか。――宿命のライバルだからな」

「宿命のライバルだからね」


漫画版4コマだと、この後二人の恋路を邪魔しにバナナの皮とバケツ水装備で先回りしてたりする。



毎回裏で手を引き、ガロード達と積極的に戦い、最後もしっかり生き残る後味の良さ。
この兄弟もまた、ガンダムXには不可欠な存在である。
尤もブルーレイ特典漫画では平和な世界に馴染めないバルチャー達を更生という名目で自軍に抱え込み、新たな戦争の火種を起こそうと暗躍。
その一環でガロードに新しいガンダムを与え、彼との決着をつけようと相変わらず大暴れしているが…。考えようによっては問題のあるならず者をまとめてガロードに倒させようとしてるように見えなくもないとかなんとか。


◆ゲーム作品への出演


『ガンダムX』が出演するゲーム作品では(一部除き)当然彼らも登場しており、原作におけるフットワークの軽さから物語の裏で暗躍する事が多い。

自分を認めない世界への復讐という壮大な目的を持っているためか、大体の作品では多くの組織や人物を出し抜き、終盤のボスを務める事も多々ある。
特にギャザービート系列のGジェネレーションでは、主役であるはずのガロードを差し置いて、これでもかと言うぐらい凄まじく目立ちまくった
また、戦場に出てくる宇宙世紀仕様のNTに強烈な敵対心を抱いて襲い掛かるのもデフォである。

GジェネNEOではフォンセ・カガチの下で働くエージェントとしてザンスカールルートで暗躍。原作の上司とは違い人類滅ぼす気満々のカガチとは相性が良かったのか最後まで裏切らずにプレイヤーたちと数度にわたって戦う。そして最終ステージでは原作で敵対したガロードはそっちのけでシャクティを助け出すために出撃したウッソと死闘を繰り広げるムービーが挿入する。
しかも序盤から登場する上にこちらが0083~グリプス戦役初期の機体ばかりな為苦戦する。更に2人とも行動力が高く、行動が回ってくるのが早い上に覚醒値持ちな為、NTパイロットはプレッシャーで行動不能にされ一方的に嬲り殺される可能性がある*2。搭乗機もどちらも強力なMAP兵器持ち&武装バランスも良い強敵となる。*3こちらの戦力が整ってくる終盤になると序盤ほどの脅威さは薄れてくるが、終盤ステージでは後方にサザビーを駆るハマーンやHP3万越えのアルパ・アジールに乗るファンネル使いのクェスも控えている。この為、慣れない一周目では難易度の高いVルートは避けたい所。

GジェネWARSではwarsブレイクで色々な所に現れては戦闘に介入してきたりと相変わらずのフットワークの軽さを見せる。

最新作のクロスレイズでは搭乗機共々DLCで登場。2人ともエース級の高い能力に加えて固有アビリティが火力上昇系で非常に強力なキャラクターとなっている。特にシャギアは格闘と射撃がカンスト近くまで上がる為、最強クラスのアタッカーとなる。
また、同じくDLCで仲間にできるガロードの援護をした場合、妙に嬉しそうに援護してくれる。
向こうからの反応としては「悔しいが腕は本物だからな…」というもの。仲いいなお前ら。
ちなみに彼らの代名詞である「カテゴリーF」は「同じカテゴリーF持ちにバフを与える」というなかなか強力なスキルとして実装されているのだが、なんとこのスキル誰にでもつけられる
つまり、ガロードティファを初め、ブシドーオルガ、果てはリリーナや暗黒の破壊将軍まで皆仲良くカテゴリーFになることができたりする。

なお台詞も新録されており、トランザムも言ってくれる。
オルバは誰にでも敵意を向けるが、シャギアはたまに物騒なことを言うものの社交性は高く、結構あわせてくれたりする。


スーパーロボット大戦シリーズにも勿論登場。
兄弟共に能力値が高く、更にカテゴリーFの効果が強力&兄弟間での援護や強力な合体攻撃等を持つ強敵。
作品によっては地球を滅ぼすために、侵略宇宙人とすら結託するフットワークの軽さを見せる。そんなことしたらお前らも死ぬぞ…。
終盤まで残ってはプレイヤー部隊と対峙するのだが、何分悲惨な過去やトラウマを抱えつつも前向きに生きてるフレッシュな奴らが多いので、
「自分で生き方を狭めてる」などと、同じく世界に復讐したい系のドゥガチクルーゼと同レベルの扱いでこき下ろされる事が多い。
一応、Rでは認められない悲しさを理解してくれるオリジナルのロリっ娘が居たりしたが。

あとGジェネも含むが、原作で死亡していないのに、エンディングに顔を出さず、片方を撃墜すると「兄(弟)を感じられない」などと言い出し、
死亡してるような演出が入ったりとアレンビー(新・64Aで説得しないと)、カテジナ(α外伝など)などと並んで
原作で死んでないのに死んじゃうガンダム勢にカウントされる事が多かった。
長年こういう扱いをされ続けたため、彼らにも救済を……というファンの声も……


と思ったら、近年スパロボZシリーズで無事生還したままエンディングを終えられた。よかった(´;ω;`)
近年のスパロボ作品ではジェリドヤザン、果てはフロンタルまで仲間になる事があるので、彼らも仲間にならないかと密かに期待するファンも多い。

◆余談

味方であるはずの新連邦では出世を重ねながらも結局は「カテゴリーF」として軽んじられてきた2人。
敵であるバルチャー側でもティファには「邪悪な心を持つもの」とされ、ジャミル一派からは乗機のガンダムごとゲテモノ扱い。
だがガロードはティファを守るために邪魔をする2人と対峙はしたものの、カテゴリーFという失敗作ではなく「強敵」として見ていた。
それは言い換えれば、彼らを「強い」「優秀」を認めている証拠であり、兄弟が最も求めた称賛なのである
大事なものであるティファに憎悪をむき出しにした為互いに敵対することにはなったが、もしかしたらガロードは兄弟の最大の理解者だったのかもしれない…
そのせいでガロードに無理矢理ガンダム送り付ける厄介勢になった説もある。






追記者はWiki篭りでも冥殿でもない

我々兄弟だ

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最終更新:2024年03月07日 20:54

*1 しかも口振りから言って恩着せがましかったこともあって、軍も廃品利用感覚でしか見ていなかったのは明白である。

*2 尤も、それはこちらのNTパイロットが先に攻撃出来れば逆パターンも可能と言う事でもあるが

*3 特にアシュタロンHCはこのゲーム最強自軍ユニットの一機