ゾイド(金属生命体)

登録日:2012/04/23 Mon 18:58:55
更新日:2023/06/27 Tue 00:38:46
所要時間:約 7 分で読めます







銀河の彼方にある『惑星Zi』


そこには、優れた戦闘能力を持った金属生命体『ゾイド』が存在した


ゾイドは自ら戦う意思をもち、惑星Ziにおける帝国と共和国の戦争のなか、最強兵器として君臨していた――



『ゾイド(ZOIDS)』はトミー(現:タカラトミー)の展開していた模型シリーズ『ゾイド』に登場する架空の金属生命体の総称である。
作品によってやや設定が異なるため、下記の内容が全てのゾイド作品に当てはまる訳ではない。本項目の内容はゾイドの本筋とも言える『バトルストーリー』に準ずる。




【ゾイド/ZOIDS】

一般に“ゾイド”と呼ばれるのは、惑星Zi(初期では『ゾイド星』)に生息する金属生命体の中でも、〈ゾイドコア〉を持つ生物を指す。
一口に「ゾイド」といっても恐竜や獣、昆虫型など様々な種類が生息している。地球の生物と似た姿なのは環境が似ているためである。
惑星Ziの人々は昔からゾイドと共生していたが、現在はゾイドを改造し戦闘兵器として運用している。

外見はロボットであっても、実際は生き物であり、動物である。
普段はほぼ完全に人間の一方的な支配下に置かれているが、本質は独立した意思を持つ生物で、時には人間と心から繋がるときもある。
以下に、アニメ無印15話「ZG発動!」におけるクルーガー大佐のセリフを引用する。


「ゾイドは人間を感じる。ゾイド乗りの気持ちを素直にその能力へと反映させ、そこに無限の可能性が生まれる」

「それが楽しい」

「若造、これだけはよく覚えておけ。ゾイドはただの戦いの道具ではない(●●●●●●●●●●●●●●●●)



【ゾイドコア】

ゾイドの核。シリーズ初期では「ゾイド生命体」と呼ばれていた。
内部に生命活動に必要な臓器等を全て内包した超高温高圧の真球体で、中は原始の海水に近い状態になっている。見た目は地球の核分裂チェンバーに酷似しているが、地球の機械では不可能なほどの莫大な電力を生み出す。
これを持つ金属生命体が〈ゾイド〉である。

野生ゾイドは成長すると自分のコアの周りに小さなコアを複数作り、母体が死んだあと小さなコアが個々で活動を始め(重心を傾けて移動する)、水中で金属原子を接収して身体を作る。陸棲ゾイドは身体ができた時点で陸上へ上がり、そこから成長する。
要は無性生殖だが、漫画では「全てのゾイドは子を残せるので、しいていえば全員女性格」としている。なんというハーレム。男いないけど。

人間によって戦闘用に改造されたゾイドはこの生殖能力を失ってしまうため、増殖させるには〈オーガノイドシステム(OS)〉を使わなければならない。


【ゾイドの種類】

《野生ゾイド》

自然に暮らしている本来の姿のゾイド。改造された戦闘用ゾイドの元になる野生ゾイドは「(ゾイド名)野生体」等と呼ばれる。
野生体の姿はたまにゲームやイラストに描かれる程度で、立体化に至っては『ゾイドアートスタチュー』(トレーディングフィギュア)のシークレット品として僅かに存在するだけである。
エネルギーの摂取法は種類にもよるが、肉食系なら他のゾイドのゾイドコアを捕食する。ゾイドコアはゾイドに必要なもの全てが詰まっているため、これを摂取すれば全て賄えるのである。
この時点では人間に近いサイズのゾイドも多いが、大型の野生ゾイドは成体に育つまで50年かかるとか……。

アニメに登場した「オーガノイド」たちは、ある意味でこの野生ゾイドに近い。


《戦闘用ゾイド》

野生ゾイドを捕獲して改造したもの。野生体の姿を模した戦闘用ボディを作り、コアを移植する事で完成する。要するにサイボーグ化
模型として販売されているゾイドがこれである。

戦闘用ボディは野生体と同じ金属細胞を用いているため、ある程度の自己修復が可能になっているが、
捕食できないのでゾイドコアに高温高圧の原始海水と同じ成分を補充したり、各機能のためにバッテリーやオイル等のエネルギー補給も必要である。

ちなみに、ある程度融通は利くものの戦闘用ボディは元になる野生体に近い形でなければならず、例えば四足歩行ゾイドの野生体から鳥型ゾイドを作るというのは不可能である。
パラレル設定では地球に持ち込まれたゾイドコア*1を使った人型ロボットシリーズ『装甲巨神Zナイト』もあるが、
やはりかなりの無理があったらしく、Zi人及びその血を引く者以外の操縦を受け付けないという欠点があった。

典型的なのはサソリ型ゾイド「ガイサック」だろう。
その戦闘用ボディはクモ型ゾイド「グランチュラ」用ボディに腕や尾のパーツを搭載したもので、
そこにバイオテクノロジーで巨大化させたガイサック種のゾイドコアを移して製造する(本来のガイサックの大きさは80cmぐらいらしい)。
しかし、それでもガイサック野生体の「八足歩行、両腕、尻尾の稼働」を再現できるため、問題なく活動できる。

これに対して、同じフレームを使ってもゾイドの生態によって動きが異なる事例も存在する。

例えば、デスザウラー用のボディにジェノザウラーのゾイドコアを填め込んだ「ブラッディーデーモン」がある。
デスザウラーもジェノザウラーも元の野生体は近縁種ではあるが、野生体の体勢が大きく異なるため、ブラッディーデーモンの姿勢はジェノザウラーと同じ前傾姿勢となった。

共和国のゴジュラスも、四足歩行のゴルドスと同じフレームであるが、コアの特性を優先して直立二足歩行をしている(もっとも、ゴジュラスは胴体フレームだけが共通で、手足や尾などほぼすべてのパーツがゴジュラスの生態を再現するようにできているが)。


戦闘兵器になってもゾイドコアがある以上生き物なので、凶暴なゾイドは強いが扱い難いなど性格等の問題があり、乗り手との相性も重要になってくる。
また、強いゾイドは生息数が少ないものも多く、生息数によっては配備できる数も限られる。


ゾイドは大きさもかなりの幅がある。
おおむね知られているのは、10mぐらいの大きさに重量20tぐらいの「小型ゾイド」から、50mぐらいの大きさに重量500tを超えるような「巨大ゾイド」まで多岐にわたる。
しかしこのほかにも、自動車やバイクぐらいのより小さなゾイド*2や、掌に乗るような小さなものまでいる。

逆に、他のゾイドを体内に収容できるようなすさまじい巨体のゾイドも存在する。
亀型ゾイド「ネオ・タートルシップ」に至っては、前後の幅377m、上下の高さ199m、しかも箱型というすさまじいサイズ。これが時速980km/hで空を飛ぶのである。

さらには、そんなネオ・タートルシップが頭上を飛んでいても豆粒のように小さく見える推定直径5000~6000m*3というシャコガイ型ゾイドまで存在する。
この大きさともなるとさすがに動けないようで、人類はこれを海上基地として運用しているようだ。


《野良ゾイド》

戦闘用ゾイドがパイロットの死亡や逃亡(放棄)等、何らかの理由で人の手を離れた事で、野生に戻ったもの。
たまに野生ゾイドと間違われるが(実際『フューザーズ』でもそう呼ばれていた)、別物である。
上記の通り戦闘用ボディは人間の手による整備が必要なため、基本的に整備不良状態である(歩く分には自己修復によりほぼ支障はない)。
戦闘ゾイドは捕食できないはずだが、野良ゾイドは他のゾイドを捕食するという話もある。


【ゾイドの歴史】

◆初期

惑星Ziの人々は昔からゾイドと共生していた。
古来は人間が鎧や槍を持ってゾイドに跨がるという使い方だったが、技術の進歩によりゾイドを直接コントロールすることが可能になっていく。
その後、運動性を上げるために身体の一部を人工のパーツに置き換え始め、やがて身体のほとんどは人工パーツになり、ゾイドそのものに武装を装備、動力の追加と身体の大型化、バイオテクノロジーによるゾイドコアの巨大化……等々を経て、現在の戦闘機獣の姿となった。
みんな大好き(?)骨ゾイドもこのへん。


◆地球人来訪

地球からきた移民船『グローバリーⅢ世号』が漂着。この時にもたらされた地球の技術はゾイドの強化に使用された。
惑星Ziでは遅れていた科学技術が地球のテクノロジーで補完され、ゾイドの武装はそれまでの原始的な武器からレーザーやミサイルといった最新火器に一気に進歩、戦闘は急速に激化していった。
なお、地球人来訪以前のゾイドにもレーザー等がついている事に関しては、我々の知る機体地球人来訪直後の改造機だからと言う説が存在する(非公式)。実際「ヘリック王宮」の絵では火器を装備せずに手に槍を持った骨ゾイド「ガリウス」の姿が描かれている。

また惑星Ziの実態が我々に知られるようになったのは、惑星Zi人である戦史家が宇宙言語学者から多言語での出版を勧められた事により地球語版が出版されたからである(戦史家の設定*4を考えると戦中でも地球との通信は可能だったのだろうか?)。


◆中期

ゾイドの開発は進み、多数の戦闘ゾイドが登場した。さらに、戦争が進むにつれギル・ベイダーキングゴジュラスといった常軌を逸した化物クラスのゾイドまでが誕生する。
しかし、惑星Ziの衛星である三つの月の一つが隕石の衝突によって砕かれ、その破片が地表に降り注いだ未曾有の大災害『惑星Zi大異変/グランドカタストロフ』によってゾイドの数は激減。多くが絶滅し、残った種も弱体化した。
しかし、野生ゾイドにはそれを乗り越えより強靭な生命力を得た種も存在した。


◆後期

残った種を保護することにより数を増やし、使い物になるレベルに回復させると、戦いは再び始まった(平成でゾイドシリーズが復活したのがこの辺り)。
『オーガノイドシステム』『野生体ベースゾイド』『ブロックス』『バイオゾイド』など、ゾイドの新たな形が登場し、新世代のゾイドが続々誕生した。
現在、シリーズはここで終了している。



【ゾイド関連用語】

◆マグネッサーシステム

飛行ゾイドが持つ飛行装置の名前。惑星Zi特有の強力な磁場との反発力で浮力を得るシステムである。この技術は武器等にも応用されている。
大異変以降、しばらくは地磁気の乱れによって飛行できなかった(そのためリバースセンチュリーでは地球のホバーとほぼ同じ方法で飛んでいたガルタイガーの有用性が上がった)。
実は多くの地上ゾイドにも搭載されており、ゾイドの異様な走行速度や、大型ゾイドが自重で自壊しないのは、この恩恵によるもの。


オーガノイドシステム(OS)

ゾイドの強化システムだが、性格を凶暴にしてしまう。戦闘ゾイドが失った生殖能力を復活させる力もある。
狂暴化による操縦性の大幅な低下が起きる(パイロットの言う事を聞かなくなる。パイロットに毒電波が飛ぶ)代わりに戦闘力の上昇率が爆発的に高く、特にゴジュラス・ジ・オーガはただでさえ強い原型機の10倍近い凄まじい戦闘力を有している。
実は強化の副作用で狂暴化するのではなく、狂暴化させることで強化する(いわゆる火事場の馬鹿力を引き出す)システムなので、狂暴化を解消する事は不可能。ただし通称インターフェースに毒電波を肩代わり(吸収)させる事は可能らしい。


◆コアノイド

ゾイドコアをパイロットの心臓に移植する事で機体とのシンクロ率を大幅にあげる。


◆ベッセルズ

ゾイドの自我を完全に消滅させる兵器
操作が全てパイロットに委ねられるため、操縦性が格段に上昇する
コアノイドとセットで脅威の戦闘力を得られる。


◆完全野生体ベースゾイド

人工培養したゾイドコアではなく、厳しい環境で生き抜いた野生体のコアをそのまま使ったゾイド。
OS搭載機に匹敵する戦闘力を誇りOSが抱えていた様々な問題点も解消されたが、個体数の少なさや捕獲の困難さや故の製造コストの高さ、パイロットとの相性問題(ゾイド側がパイロットを選り好みする)、等がネック。


ゾイドブロックス

惑星Zi大異変により野生ゾイドがほぼ絶滅した東方大陸で作られた人造ゾイド。
『コアブロック』というゾイドコアの代替品を連結して作られ、パズルのように様々な形態に組み換えられる。
ゾイドの武器になったり、合体して性能をあげるなど汎用性が高い。
しかし完全野生体と対極の位置に存在するのでゾイドコアとしては出力の低いものが多い。

実はこの発想そのものは旧大戦末期の「トランスファイターゾイド(通称TFゾイド)」から存在している。


◆荷電粒子砲

ゾイドシリーズでは代表的な兵器。その凄まじい破壊力はまさに“必殺”!!
平成シリーズでは小型化され様々なゾイドに安売りされたが、大型以上のゾイドの荷電粒子砲はやはり脅威である。


◆ZOITEC

平成シリーズ後半で出てきた、東方大陸に存在する大企業。読みは『ゾイテック』。
上記のように東方大陸には野生体がほとんどいないため、完全人工ゾイドであるブロックスを開発した。
第二次中央大陸戦争で全面協力した縁からか、ヘリック共和国からも大型ゾイド開発・製造のノウハウや出所不明のトラ型ゾイドのゾイドコアを譲渡してもらったことがある。




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最終更新:2023年06月27日 00:38

*1 しかも主役機は蟹型ゾイドのコア。恐らく史上最強の蟹であろう

*2 呼び方は一定せず、アタックゾイド、コマンドゾイド、24ゾイド、などなど。民間ではむしろこっちがよく使われる。

*3 イラストの横に、海上に浮かぶネオ・タートルシップが2mmぐらいの大きさで描かれている。貝型ゾイドの本体直径がざっと3cmなので、ネオ・タートルシップを377mとして計算すると5655mになる。

*4 「後の時代の人物」ではなく「戦中の人物」