高齢者所在不明問題

登録日:2010/08/06(金) 02:33:30
更新日:2023/11/12 Sun 21:12:26
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2010年7月29日、東京都足立区の住宅で高齢者のミイラ化した遺体が発見された。
約30年間部屋に閉じこもったままで、室内には1978年11月に発行された新聞が置かれていることから、その頃に死亡したとされている。
しかし死亡届は出されておらず、戸籍上は都内男性最高齢の111歳とされていた。
年金や役所からの祝い金は支払われていたが、家族によって引き出されていた。

8月2日、足立区で遺体が発見されたことを受け、杉並区が113歳の都内最高齢の高齢者の所在を確認したが、住民登録地にはこの高齢者の娘だけが住んでいた。
この娘によると「最後にあったのは1986年か1987年頃で、(この娘の)弟と一緒に千葉県内に住んでいると思う」と話していた。
しかしその住所は既に更地となっていた。
また過去5年間に医療保険や介護保険が利用された形跡はなかった。
以後、芋づるのように高齢者の所在不明が明らかになっていく。


これには幾らかの原因があり、ひとつは足立区のケースのように故意に死亡を伏せていると言うもの。
収入を年金や祝い金などに依存しており、年金が無くなると生活が困難になるため受給者が死んでも届出を出さない。
書類上は受給者が生存し、家族が年金を詐取することになるため、このような行為は詐欺罪に問われる。

一方、杉並区のケースは故意でないため罪には問われない。
これは家族関係が希薄になって家族が近況を把握出来ないため所在届を出せず、届出なしで引っ越したため引っ越し先の人間も家族に連絡できないためである。
独居老人として死亡することにまつわる問題と言える。


8月5日時点で、100歳以上の高齢者で所在が分からなくなっているのは71人(時事通信社調べ)。
中には外国籍の高齢者もいる。
調査対象は100歳以上の高齢者だが、これを90歳とか80歳に広げたらもっと多くなるかもしれない。

この問題は外国でも報道されるほどであり、日本の長寿について疑問視するものが多い。

韓国では、「長寿大国日本は幻である。」と報じた。
現にあるコメンテーターは「そのうち、(書類上)150歳の老人が次々と出てくる」とあるテレビ番組でコメントをしていた。
それは現実となり、とうとう、書類上200歳(2010年8月27日現在)の生存者が確認された。
彼が本当に生存していたら、泉 重千代翁が生まれた時すでに56歳である。

ただし、これは大袈裟に騒いでいると言う部分も否めない。
昭和期には第二次大戦があり、一家一族全員が死亡しているケースも存在する。
死亡した人も死亡届を出すべき人も死亡した場合、当然ながら届出上は生存扱いになる。
また、家族揃って移民したケースでも役所はその後の動向を把握できない。
生きているかどうか分からない場合、役所は確実に死んでいる者しか死亡として処理できない。
このため宙ぶらりんの状態となり、結果的に死んでも延々と生存扱いになってしまうのである。

止むを得ざる理由で生存扱いになったものと、故意に死亡を伏せたものを十把一からげにし、記録の上でしか生存していない高齢者が多いと問題にするのは如何なものだろうか?


■余談

  • 風刺コント
コント番組の『笑う犬2010 ~新たなる旅~』にて、この問題を風刺したコント「消えたお年寄り問題 生きていれば180歳!?」が披露されている。
そのあらすじは「戸籍上では180歳で生きていることになっている男性の住所にリポーターが突撃してみた」という、当センシティブな問題を面白おかしく風刺したもの。


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最終更新:2023年11月12日 21:12