ガメラシリーズ

登録日:2012/07/17 Tue 09:13:04
更新日:2023/12/25 Mon 21:09:12
所要時間:約 5 分で読めます




ガメラシリーズとは大映(現:角川映画)が製作していた怪獣映画シリーズである。
東宝のゴジラシリーズ以外で唯一長期シリーズ化に成功した怪獣映画であり、現在でもゴジラに次ぐ知名度の作品群である。



【シリーズの流れ】

怪獣ブームの到来を予期した大映の永田社長が自社製作の怪獣映画を求めたのが始まりとされ、何故亀の怪獣になったのかは諸説ある。気になった方は検索して頂きたい。
なお、ガメラシリーズの製作サイドではゴジラシリーズへの対抗意識が強かったが、ゴジラシリーズの側ではあんまり意識しなかったらしい。

第一作の「大怪獣ガメラ」は予算も控えめでモノクロだったが、なかなかのヒットとなる。
以降怪獣ブームに合わせて「対バルゴン」「対ギャオス」を製作、この2作は予算も大作用となり、作品としても充実、ガメラ人気はますます高まった。

しかし、大映自体が既に倒産寸前であり予算に対する収入が悪かったため予算を削られ、以降予算と戦いながら製作が続けられた。
また海外輸出が前提でもあり、海外バイヤーの要望で外国人の子供が必ず主演に入っている。

そうして、子供相手に安定した成績を稼いだこともあり1971年の「ガメラ対ジグラ」まで製作が続けられたが、
製作会社の大映そのものが倒産第二次怪獣ブームを目前にしてシリーズは終了する。
以降徳間書店の子会社として大映が復活した後、1980年には再編集映画として「宇宙怪獣ガメラ」が公開されている。



平成の世に入り、平成ゴジラシリーズが毎年大ヒットを飛ばす中、大映もガメラ復活を企画した。
金子修介氏を始めとした新しいスタッフによる新しいガメラは興行成績は並であったものの、数々の賞を受賞し高い評価を得た。

続いて新怪獣を登場した「ガメラ2」を製作、こちらも高い評価を得たが興行成績は伸びきらず、
続く「ガメラ3」の製作まで若干の期間が空いた。

そして製作されたガメラ3だが、スタッフ間の不和が報じられたりオカルト路線に方針転換したことから賛否両論となり、「俺達の戦いはこれからだエンド」のままシリーズは一旦終了となった。

その後、角川書店が大映の権利を引き継ぎ角川映画となり、大映時代のシリーズ復活としてガメラもまた製作されることとなった。
こうして新たに作られた「小さき勇者たち~ガメラ~」はスタッフも一新され、昭和時代に回帰したようなジュブナイル路線のファミリー映画となったが、
やはり興行成績は奮わず、映画としてのシリーズはここで中断したままである。

それからシリーズ50周年となる2015年に“NewYork COMICON”にて石井克人監督による新作ショートムービーが公開された。
奇しくも約12年ぶりの国産ゴジラである「シン・ゴジラ」の発表や「マッドマックス」「スター・ウォーズ」「ジュラシック・パーク」など往年の人気映画の新作公開に呼応するような形であり、当初はこれが新作ガメラ映画の特報としてその完成版の公開が期待されたのだが、これも結局は映画としての制作および公開に至ることはなかった。

以降、さらに7年近くシリーズには全く動きが見られなかったが、2022年末に事実上のシリーズ最新作となる『GAMERA -Rebirth-』がNetflixにて配信予定と発表された。
本作はゴジラシリーズにおける『アニゴジ部作』やウルトラシリーズの『ULTRAMAN』と同じく完全な3Dアニメーションによる製作となっており、全6話の短期展開作品として2023年に配信された。

また、製作体制の違いにより三期に分けられ*1、大映時代は昭和シリーズ、徳間時代は平成三部作と呼ばれる。角川時代はまだ一作しかないためあまり固定されてないようだ。

ゴジラシリーズに比べると「一般人が怪獣に捕食される」「光線を浴びて即死する」など怪獣による直接的な殺戮描写が多く、また血が噴き出す・身体がバラバラになるなどスプラッター的描写も多い。これは出血シーンを極力避けていたゴジラシリーズとの差別化を図ったものである


【シリーズの特徴】

三期ごとに特徴があるが、角川時代はまだ一作なのでここでは大まかに昭和と平成に分ける。

◆昭和シリーズ

「対バルゴン」以外は徹底的に子供のために作品が作られているのが最大の特徴である。
ガメラは子供の味方であり、子供もガメラと共に冒険をする。

そして大人はガメラを警戒しつつも子供を信じて結果的にガメラを信じるという構図が多く、作品そのものが子供を中心に成り立っている。
また、敵怪獣もインパクトが強く覚えやすい。また荒唐無稽ではあるが習慣や食性なども設定され、それが物語に関わるのも特徴的である。

またガメラの闘いがハードなのも特徴で、流血は当たり前、腕が切られそうになる、腹に大穴が空く、甲羅ごと切られそうになる、血を吸われて半透明になる等過激な描写が目立つ。


◆平成シリーズ

平成三部作は昭和シリーズとは打って変わり、リアリティや設定を重視した高年齢層向けの作風に仕上がっている。
リアリティ追求の例として怪獣の生態の描き方や、自衛隊の描写がよく例に挙げられる。

また、SFやオカルトを基盤とした設定も深く、オタクやマニア層を中心にファンが多いのも平成三部作の特徴である。
しかし一般受けはしなかったようで、同時期のゴジラVSシリーズに比べると観客動員数・興行収入では数倍もの格差ができていた。
(平成三部作の観客動員数は100~120万、ゴジラvsシリーズは200~420万。「この成績ではシリーズ化も危うい」と危惧された「ゴジラVSビオランテ」の半分程度である)

昭和ガメラが亀の怪獣であることを強調しているのに対して、
こちらは亀という動物はすでに絶滅しているため、登場人物が誰も亀の話題を出さないようにしている。

2003年には落語家の林家しん平氏が自主制作作品として平成三部作の続編「ガメラ4 真実」を製作している。
料金授受を行わない(要は公開する時は無料上映)ことを条件に大映からも許諾を得て製作されている、いわば公式同人である。

また、「2」と「3」の間を描くコミック「大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION」も存在。こちらは正規の流通作品である。
制作者は「機動戦士ガンダム0079」シリーズで知られる近藤和久。
敵怪獣はタイトル通りあのバルゴンで、ギャオスと同じく超古代文明が作り上げた人造生命体である。
さらに、ギャオス、バルゴンらとともに作られた人造生命としてジャイガー、ジグラ、そしてイリスの姿もある。

また、「2」と同時期にはゲーム「ガメラ2000」も発売。開発はレイストームで有名なタイトーで、同じ3Dシューティング。
その名の通り舞台は「3」より後の西暦2000年だが、「3」以前に作られた作品のためか出るシリーズを間違えたレベルで未来的なメカが登場する。
そのメカ類を以て厳重に管理されていたギャオスDNAを奪ったのは嘗てギャオスを作り、異次元に封印された旧支配者。
序盤はバイオメカ、途中からは様々なギャオスバリエーションを駆使して立ちはだかる。
プレイヤーは随伴するガメラの援護(ゲーム上はロックオン弾と溜め撃ち)を受けながらハリアー(一部ステージではフローティングバイク)で追跡する。

角川時代のガメラは、昭和シリーズを意識したのか少年を主役としたジュブナイル作品だが、ガメラもまた子供から始まるのが特徴で、デザイン等に表れている。
そして再び、ガメラと亀を結びつかせようとする路線となった。また回転ジェットが必殺技扱いになっている。
しかし15億もの製作費(前三部作は一本5億だった)を投じながら、結果は観客動員数30万・興行収入4億と振るわない結果に。一作のみに終わった。


令和シリーズ

長らく途絶えていたシリーズだが、2023年にアニメとして復活。
昭和の怪獣達もリメイクされて登場している。


【シリーズ一覧】

◇昭和シリーズ


◇平成シリーズ



◇令和シリーズ

◆GAMERA -Rebirth-(2023)※Netflix配信のアニメ作品


【余談】

昭和シリーズは大映が倒産しなかった場合は新作を作ることが決定していたらしく、敵怪獣として大邪獣ガラシャープとマルコブカラッパという怪獣が企画されていたらしい。
デザインも始まっていたらしく、それを基にフィギュアも製作されているほか、「大怪獣空中決戦」のコミカライズ(と言っても相当違う内容なのだが)に出演し、悪役らしくガメラに集団で襲い掛かっている。結果?お察しください

平成三部作は評価は高かったものの興行成績はイマイチで、100万人前後と同時期のゴジラの3割程度であった。
ただし、その作風も相俟ってオタクやマニア層にはかなりの人気を誇る。
この「熱狂的なオタク人気と映画評論家からの絶賛を獲るが(日本では)それほどヒットしなかった」という点は、今でいう「ダークナイト」「パシフィック・リム」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」に近い。

前述の通り昭和に大映は一旦倒産している。その後徳間書店が大映を作り直し権利も引き継ぎ、
現在は角川映画が継承しているが、アメリカでは継承が承認されていない。そのため旧大映作品は全て著作権切れの扱いになっており、昭和ガメラのDVDも格安で買えるとか。

昭和ガメラで有名なガメラの歌を歌った大映児童合唱団というのは本来は存在せず、近所の子供を適当に集めて歌わせたらしい。

『コスプレ戦士キューティナイト』ではカプセル怪獣・ガメラとして登場する他、『セーラーファイト』の特典映像でも主人公・セーラーファイターと戦っている。



ガメラと交流したい方は追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガメラ
  • 映画
  • 特撮
  • 大映
  • 徳間
  • 角川
  • 怪獣
  • シリーズ項目
  • パチンコ化
  • ガメラシリーズ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月25日 21:09

*1 『GAMERA -Rebirth-』を含めるのであれば四期。