機動戦士ガンダム サンダーボルト

登録日:2012/10/30 Tue 23:47:06
更新日:2024/04/08 Mon 12:49:05
所要時間:約 14 分で読めます






ふたりは、殺しあう宿命…

 機動戦士ガンダム サンダーボルト 




「機動戦士ガンダム サンダーボルト」とは、ガンダムの漫画作品のひとつ。作者は太田垣康男。
現在、ビッグコミックスペリオールにて短期集中連載中。


[概要]

アニメ『機動戦士ガンダム』と同様、宇宙世紀0079を舞台としたSF漫画作品。
宇宙世紀を舞台にはしているが、本作独自の設定解釈が多数あり、アニメ化の際にも宇宙世紀の本伝ではなく、パラレルという扱いになっている
まあゲームで参戦した時はたいてい無視されるけど。

作者の太田垣康男は漫画版「フロントミッション」の原作や、
リアル指向の宇宙開発SF漫画「MOONLIGHT MILE」など、泥臭い世界観を描いてきた人である。
それ故に、本作ではフロントミッションのようなリアル志向が随所に取り入れられており、
搭乗メカニックは防塵カバーで覆われたパイプやサブアームなど、全体的に頑強なイメージへ脚色されている。
宇宙世紀シリーズでは「MS IGLOO」に近いイメージかもしれない。
これらのデザインはガンプラでも再現されているが、パーツの角張り方が非常に鋭利であるためか対象年齢も「15歳以上向け」となっている。

太田垣のインタビュー等を要約すると
「嫌いなのではなく、あまりに影響力のあるSFものなので、関わってしまうと自分の作風などにも影響が出てしまうのではないかという懸念があった」
とのことらしい。

2015年10月28日にはアニメ化が発表された。
第一話が2015年12月25日から有料配信され、スマートフォンアプリ「ガンダムファンクラブ」では、2015年12月11日から会員向けに先行配信。
有料配信では従来のレンタル型だけではなく、ガンダムシリーズ初となる視聴期限のないセル型配信サービスを実施。
配信後は、ディレクターズカット版『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』が松竹を配給として劇場公開された。
2023年2月12日から2月26日まで「TVエディション」版が全3話でMBS系列で放送された。
ちなみに前番組は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』、次番組は『機動戦士ガンダムNT』。
この3連戦を見続けた視聴者は、続く『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期でイヤというほどこの3作が選ばれた理由を痛感する*1こととなる。
なお『水星の魔女』1期終了後、太田垣氏によって「泣いているグエルをイオとダリルが励ます」イラストが描かれている。


当初アニメ化されたのは一年戦争編のみであり、南洋同盟編のアニメ化は売上次第と公言していた。
後に第二期として南洋同盟編のアニメ化が決定し、このことから商業的には想定の基準を満たした様子。
ちなみにスタッフよると本来ならもっとストックを稼いでからのアニメ化予定だったのか二期決定は本来より急だったらしく驚いたらしい。


[あらすじ]

宇宙世紀0079年12月、地球連邦軍ムーア同胞団は、
ジオンア・バオア・クーへの補給路である「サンダーボルト宙域」を制圧するため大部隊を送り込んだ。
そして、戦場で邂逅した同胞団のイオ・フレミング少尉とジオンのリビング・デッド師団に所属するダリル・ローレンツ曹長。
この戦いの行方は……


[主要登場人物]

連邦サイド

CV:中村悠一
連邦側の主人公。鼻炎持ち。
ムーアの前首長の息子だが、家や故郷に縛られる事を嫌う。
最初の戦闘で彼より階級が上のパイロットが戦死したため、
フルアーマーガンダムが与えられるが同時に「英雄」を押し付けられることになる。
長年の戦いからか自他共に認める「戦争中毒」とでもいうべき状態になっているらしく、
サンダーボルト宙域の戦いで出会った好敵手ダリルに固執し、彼との戦いを渇望するようになっていく。
優しさは残しており少年兵達に「生き残ったら乾杯だ」と彼らを同胞と認め、励ましの言葉を送ったり、
「俺の弟妹たちを哀れむ奴は半殺しだ」と、彼らのをバカにされた際は表情は笑っていたが怒りを滲ませていた。
戦争に身を置く傍ら、クローディアには戦争から離れて欲しいとも思っている。
ジャズが好きで自分もドラムを叩く。コクピットにラジオやドラムスティックを持ち込んでリズムに乗っていることが多い。

一年戦争後期にフルアーマーガンダムとサイコ・ザクでの一騎打ちの末敗北*2
捕虜としてジオンに囚われ、「自身らの仲間を虐殺したガンダムのパイロット」としてリビングデッド師団の生き残りからフル●ンにされ暴行を受ける。
(南極条約違反だが、ある程度のところまで殴らせたところで艦のジオン兵が師団兵を止めた)。
その後初めて直接ダリルと対面し、彼に自分らは殺し合う宿命であると告げた。

戦争末期、連邦によるジオン艦隊への攻撃の隙をついて拳銃を奪って見張りを皆殺しにし、独房から脱出。
コーネリアら他の捕虜と共に連邦に救出されるも、
戦後は「ガンダムを鹵獲されたパイロット」「少年兵らを盾にした隊長」など、一部の人間から不当な評価を受けている。

家族やクローディアの親族との確執などを経て、連邦の戦艦スパルタンへと配属。
サイコ・ザクとの戦闘経験を買われてアトラスガンダムのパイロットとなり、リユース・P・デバイス回収作戦「サンダーボルト作戦」の任についた。
サンダーボルト中域での経験や太平洋における戦いやスパルタンの戦友たちの交流を経て人間的に成長していく事になる。

ちなみに最初の戦闘ではジムを破壊されるも脱出し、リック・ドムを奪って帰還するという荒業をやってのけた。
昔レースクイーンと付き合っていたが病気をうつされたらしい。


  • クローディア・ペール
CV:行成とあ
同胞団の空母ビーハイヴの艦長代理。リーゼント頭。イオとは深いが複雑な仲の模様。
上官が戦死したため実質的に指揮をとるが、死ぬかもしれない戦地に部下を幾度も送る、
少年兵らまでも戦力として使うことになるといった重圧に押し潰されそうになっており、ドラッグにも手を出している。
ビーハイブが攻撃された際にはグラハムと共に脱出しようとするが、彼に言いがかりを付けられた挙句銃で撃たれ、宇宙に放り出される。
死亡したかと思われていたが……(後述)


  • コーネリアス・カカ
CV:平川大輔
同胞団のメカニック。眼鏡で中性的な容姿であり、協調性が高い。
イオとクローディアとは親友であり、同じ上流階級だった。
クローディアのことを「クロちゃん」と呼ぶ。
第2部ではスパルタンに転属されている。イオがビアンカと仲良くしていると不機嫌になるところが可愛い。
実は嫉妬している描写自体が伏線でありミスリードであった

ジオンサイド

  • ダリル・ローレンツ
CV:木村良平
ジオン側の主人公。狙撃の腕は凄まじく多くの連邦機を葬っている。
コロニー出身の裕福な商人の家に生まれたが、ジオン公国の誕生によりコロニー出身者として迫害を受けてしまう。
ジオン本国の居住権を得るため軍に志願したが両脚を失い、この師団に配属された。
父に買ってもらったラジオが宝物であり、イオと同じくラジオ放送を聴きながら戦っている。好きなジャンルはラブソング系のポップス。

連邦の攻撃で左腕も失くしてしまい、更に「リユース・サイコ・デバイス」を完全に起動させるため無傷で残った右腕も手術で切断した
その代償としてムーア同胞団艦隊を単独で壊滅させる鬼神振りを発揮。
さらに因縁のイオの駆るガンダムとも互角の勝負を繰り広げた末、ほぼ相討ちながらもガンダムを撃破、ジオンで鹵獲することに成功する。

一年戦争後は地球に降下し、アッガイの部隊を率いてリユース・P・デバイス回収作戦に参加する。
作戦進行中、南洋同盟との接触により次第に暗い影に身を落とし始めていく…。

なお、扉絵の写真から分かるが隊の鼓舞に現れたギレン・ザビと面識がある模様。

  • フィッシャー・ネス
CV:森田了介/小山剛志(第2部)
師団の一員。両脚の腿から先を欠損している。リック・ドムに乗る。
ガンダムの攻撃時には相手の囮作戦に嵌められ、危うく撃墜されかけたがダリルの攻撃によって命拾いした。
同胞団の再攻撃の際には数少ない戦力の一人として出撃。数で勝る同胞団の新人パイロット相手に地の利や技量を活かした無双を披露した。
その後も戦い続け、援軍に来た艦隊に救助される。なおこの時の武器はヒートホーク一振りのみだった。
一年戦争後、彼もまたリユース・P・デバイス回収作戦に参加している。

  • カーラ・ミッチャム
CV:大原さやか
師団の研究部門の教授でRPDの開発者。フーバーと付き合っていたが彼が戦死したため復讐をダリルに託す。
戦争を嫌悪しているが、父が反逆罪で投獄されたためやむなく研究部門で働いている。
戦いが続く中、やがてダリルに惹かれていき、サイコ・ザク出撃直前には恋仲となっていた。
だが物語が進むにつれて開発したRPDの非人道的な恐ろしさや自身の愚かさを認識し始め、物語終盤では責任者である自身を葬るために空母を自爆させ運命を共にしようとするが同胞団の作戦により失敗。
この時目の前で仲間がビームサーベルで焼かれた上そのジム・キャノンに捕まり発狂、精神的ショックから幼児レベルへの精神退行を起こす。
一年戦争後は治療を兼ねた軟禁状態にあり、退行の状況に幾分の改善がみられ、小学生レベルまで回復している旨の所見が医務官より述べられているがこれはダリルを父親と思い込むことで得られる精神的安定により、もたらされたもので皮肉にも今の彼女の生命を繋いでいる結果となっている。
ダリルにとっては何よりも大切な守るべきものであり、サイコ・ザクという『手足』を得るための鍵であり、自分を軍に縛り付ける枷でもある。


[一年戦争編での登場人物]

ムーア同胞団

一年戦争編の連邦軍サイド。
ジオンにより壊滅させられたサイド4コロニー「ムーア」の生き残り。
この宙域が現在「サンダーボルト宙域」となっているため故郷再建を悲願に宙域奪還を目指す。
難民は多く、苦から逃れようと軍に志願する若者が後を絶たない。
旗艦は空母ビーハイヴ。

  • グラハム
CV:咲野俊介
ビーハイヴの副長。ムーア崩壊の原因が当時の政権にあるとして、
その首長の息子であるイオが「英雄として死ぬ」ことを望み、彼にガンダムを宛がう。
クローディアが限界を迎えた時には我が物顔で艦長席に居座ったが、即刻降ろされた。
艦がサイコ・ザクに攻撃された時に重傷を負い、クローディアに脱出を促されるが彼女を八つ当たり同然に銃で撃ち、艦と共に死亡。
艦が沈んだのを「貴様ら無能なエリートのせい」と文句を付けたが、彼が艦長でも結果は同じだっただろう。
フラッグファイターではない。

  • ランディ・ペール
クローディアの兄だが、最前線で戦った妹と違い仮病で兵役を逃れたヘタレ。
クローディアの墓参りに訪れたイオに嫌味を言うも、半ば脅迫に近い形で交渉を持ち掛けられ、イオの持つフレミング社の株を買い取ることになる(本人には渡りに船だったのだが)。

  • キャシー・フレミング
イオの姉であり、新生ムーア4を牽引する大企業フレミングインダストリーの代表取締役。しかし、兵役を続けたいイオが会社の株をランディに売ってしまい、これ以上の株の流出を避けるためにイオの兵役続行を認めざるを得なくなる。

リビング・デッド師団

一年戦争編でのジオン軍サイド。
宙域を防衛しているジオンの部隊。隊員はほぼ全員が戦傷により義肢等を装着している。
またその義手と義足を応用した新システムの実験も行うため半ばモルモットのような扱いで戦場に送られている。
旗艦は空母「ドライドフィッシュ」。

  • フーバー・アイスラ
CV:伊東健人
師団の一員。イオに脳天を撃ち抜かれて戦死。
婚約者が国にいたが、それにもかかわらずカーラと付き合っていたのである意味天罰が下ったのかもしれない。

  • ショーン・ミタデラ
CV:浜添伸也
師団の一員。両腕が義手。ザクⅡに乗る。目が隠れるほど前髪が長い。
ガンダムの攻撃時には自分も狙撃するが、ビッグガンを破壊されてしまう。
それでもガンダムに立ち向かうが敵わず戦死……したと思われたが……

  • J・J・セクストン
CV:土田大
研究員のひとり。カーラより研究者肌な気質がある。というかぶっちゃけ外道
連邦の再攻撃に対抗するにはシステムを積んだ高機動型ザクしかないと判断し、完全に起動するためカーラにダリルの右腕の切断を促す。
空母が攻撃された際には保身を優先する本性を見せるようになり、カーラにもそれを見透かされた。
最終的に他の人員を蹴り飛ばしながら脱出。原作ではギャグっぽく描かれていたが、アニメだと負傷者の救護を引き受けたふりをして代わりに自分が負傷者用ポッドで逃げると畜生度が増している。
撃破されたMSを大量に回収し、搭乗者の死体を弔う謎の宇宙船に回収され……(後述)

[南洋同盟編での登場人物]

強襲揚陸艦スパルタン

南洋同盟編での連邦サイド。
連邦からの離反を目論み裏でリユース・P・デバイス搭載MSの開発に着手した南洋同盟制圧作戦「サンダーボルト作戦」を遂行する。

  • ビンセント・パイク
CV:杉田智和
スパルタンの艦長であり、いかつい顔とポンパドールヘッドが特徴。
指揮官としては少々口調が乱暴だったり、相手の挑発に青筋を立てて威嚇するなど短気な面がある一方、艦内の戦死者の家族に自筆で弔事の手紙を書く、艦内に戦死覚悟で乗り込んできた南洋同盟僧兵を介したレヴァン・フウの意志を見抜く等、繊細な面も持っている。
コメよりもパン、野菜よりも肉派。

  • モニカ・ハンフリー
CV:定岡小百合
スパルタンに「サンダーボルト作戦」参謀として乗艦している壮年の女性。
記録に残らない作戦の戦死者のために鎮魂の香を焚く、自身の所属していた施設の入所者の退所時にお守りとして香を入れた飾りを渡す等の慈悲深い面を持つ一方、敵に回ったクローディアの戦意を削ぐという目的も含めてイオを招集するといった非情な面も持ち合わせる。
一年戦争以前、とある施設に従事しており、そこではかつてのレヴァン・フウと親交があった。

  • ビアンカ・カーライル
CV:古川由利奈
第2部以降のヒロイン。入隊前はプロミュージシャンという経歴を持ち、一年戦争では数々の部隊を渡り歩いた歴戦の兵士。
全身にこれまで所属した部隊の部隊章をタトゥーとして刻んでいる。銭湯には入れなさそう
明るい性格で社交性・協調性が高く、スパルタンのMS部隊ではリーダー格を務める。
上記の経緯もあって大の音楽好きだったため早々にイオと意気投合し、互いの窮地を救い合い信頼を築き上げる。
愛機はガンキャノン・アクア。

ダリル・ローレンツ小隊

南洋同盟編でのジオンサイド。
南洋同盟に渡ったリユース・P・デバイスと南洋同盟に与したJ・J・セクストンの回収を目的とした部隊。
南洋同盟の強固な結束に加え、私利私欲に走り美術品接収を目論んだ上層部に誤情報を送られるなど、苦しい状況での作戦を強いられる。

  • ペトロ・ガルシア
CV:青山穣
ジオン軍諜報部に所属しており、南洋同盟に潜入しての情報収集を担当していた。
ダリル小隊に回収されて以降は行動を共にしており、上層部の情報が信用できなくなってからは独自に情報収集を始める。

  • ビリー・ヒッカム
CV:逢坂良太
ダリル小隊の一員であり、ダリルに対し一種の憧憬を持つ隊員。
一年戦争の折にニュータイプの可能性有りと判断されサイコミュ試験型ザクに搭乗したことがあるものの、結局ニュータイプではないと判断された。
この経験から本物のニュータイプを見てみたいという願いを持つようになり、両手足全てが義肢であるにもかかわらず高い戦果を挙げたダリルこそがニュータイプではないかと考え、彼を全力でサポートする。
なお、サイコミュ実験部隊にいたためか感覚が鋭く、視界外からの攻撃などにも鋭敏に反応出来る。

  • セバスチャン・モース
CV:上田耀司
ダリル小隊の一員。ヒッカムの部下であるが、彼のお目付け役とも保護者ともいうような立ち位置。
サイコミュ試験型ザクを駆るビリーの戦いを見たことで、素質無しと判断された後も彼をニュータイプと信じて従う。
その反面、ダリルに対し良い印象を持っておらず、「サイコ・ザクに乗れるならジオンも裏切るんじゃないか」など割とシャレにならない質問をしたりしているも、ビリーの指示に従い補佐する。
なお、好物はミルワームを揚げた物だが、これで興味を持って検索なんかするとグロ画像を見る可能性があるので注意。

  • ジャニス・ハラウェイ
CV:Lynn
南洋同盟の水上都市リグへの潜入作戦時に加わったジオン兵。階級は曹長。
最初は全肢が義肢な上に南洋同盟の前で目立つなどヘマをしたダリルに呆れていたものの、彼の来歴を知った際には驚いた表情を浮かべていた。
ビリーにラッキースケベされてしまい、彼(と読者)にヌードを見せる羽目に(原因はフィッシャーだが)。

南洋同盟

一年戦争終結後、戦争での連邦の疲弊に乗じて連邦からの独立を図る宗教団体
仏教の一派「南洋宗」を国教に掲げて極東・中東・インド洋に至るアジア圏の広い地域を支配下に収めている。
仏教系の宗教国家の模様だが、脱出したセクストンを回収したことでリユース・P・デバイスの技術を偶然にも獲得し、その技術を危険視する連邦、デバイスの回収を狙うジオンの双方と敵対。
リユース・P・デバイス獲得後急速に戦力を増強しており、ダリル・ローレンツの参加や32機も量産されたサイコ・ザクを利用して連邦・ジオンをも脅かす一大組織へと変貌。
巨大企業「アナハイム・エレクトロニクス社」を人類の敵と見做して同社の壊滅を目論見、遂に大規模な武装蜂起を果たした。

戦力は南洋同盟を信仰する信者で構成されるが、「宗教」という性質から一年戦争で心身の疲弊した軍人が取り込まれたケースが多い。
そして
  • コクピットからレヴァンが唱える念仏が常に流れる
  • レヴァンのためならただの宣戦布告のために多数の死者を出すことが前提の作戦も笑顔で実行する
  • 健常な四肢を嬉々として切断してサイコ・ザクに乗り出す
など、これまでのガンダムシリーズの敵では見られなかったような異様な光景が散見される。
そして連邦・ジオンの双方の内部に信者が潜り込んでおり、片方の陣営にもう片方の陣営の動向をリークしたり、自軍の資金や兵器を同盟側に横流しするなどして自身らの有利になるように状況を操作している。
一年戦争で損傷・廃棄されたMSも積極的にリサイクルして取り込んでいるので、結果として保有兵器はジオンと連邦のごった煮とかなりカオス。
サンダーボルト宙域に廃棄されたスペースコロニーを秘密裏に軍事拠点とするなど、影響力は宇宙にも轟く。

立ち位置的にはイオを織田信長とすると、南洋同盟は一向宗、レヴァン・フゥは本願寺顕如、みたいな感じである。
ちなみに明智光秀に当たるキャラもちゃんといる。

  • レヴァン・フウ
CV:井坂瞳(幼少期)
南洋同盟の指導者。
元は連邦軍の依頼でMSの残骸の回収及び死者の供養を行っていたが、
リユース・P・デバイスの技術を手に入れたことにより同盟の決起を行う。
兵士達からは「僧正」と呼ばれ、絶大なカリスマで同盟を掌握している。

その正体は一年戦争でジオン・ズム・ダイクンが提唱する以前より密かに連邦が研究していた「宇宙に進出したことで変革した人類」、すなわちニュータイプである。
施設にいた頃はモニカと親交があり、彼女の研究に協力していたものの、度重なる実験が原因で脳に致命的なダメージを負ってしまう。
その頃から宗教に走りはじめ、余命一年を宣告されたところで終末医療を拒否し施設を退去。
南洋同盟の一員として掃海任務に従事していたところでセクストンを回収し、今回の独立蜂起を決行した。

度重なる実験によりダメージと引き換えに能力が強化されており、感応能力を応用して集まった信者らにテレパシーで心に声を聴かせる、複数の相手の動きを金縛りにして止めてしまうなどの奇蹟を演出することで同盟を掌握している。
人心掌握のためにニュータイプの感応能力をフル活用している珍しい人物。
なお、脳へのダメージにもかかわらず存命している理由は不明で、その生存にリユース・P・デバイスが関与している可能性も指摘されている。

ララァ・スンと同様に「刻」を見たらしいが、彼がそこに見出したのはララァのような「人類の革新」ではなく、
「人類の限界」だったらしく、連邦に任せたままでは破滅するだけの人類を導き救おうと南洋同盟による決起を起こしたと語っている。
誰が言ったか一部ファンからの愛称は「サイコブッダ」

  • クローディア・ペール
連邦に戦死者扱いされていたが、南洋同盟のコロニーに救助されて生存していた。
詳しい経緯は不明なものの、命を救われたことや連邦士官時の重圧・罪悪感などから宗教に走ってしまった模様。
経歴や信心深さから南洋同盟軍の司令官に取り立てられており、部下達からは「比丘尼様」と呼ばれるほど敬意を集めている。
彼女自身もレヴァンを「運命の人」と呼んで心酔しており、彼女の参入により脆弱だった同盟の軍事力は一気に強化されることとなった。
「憑代」と呼ばれるレヴァンの「受信機」の一人であり、彼女を介してレヴァンは遠く離れた相手にもニュータイプの力を行使出来る。

  • チャウ・ミン
CV:高橋李依
南洋同盟兵士の一人であり、レヴァンやクローディアに対し人一倍尊敬の念を持って付き従う。
グフ・フロートタイプを自在に操り、高速で移動している状態の相手に海ヘビを絡みつかせる等、高い操縦技術を持つ。

  • フィリップ・カウフマン
CV:黒田崇矢
ジオン軍K631潜水艦に搭乗し、ゴッグを駆るパイロット。
しかし、実は南洋同盟の信者であり腕には南洋同盟のマークの入れ墨をし、数珠を持ち歩いている。
子供に恵まれなかったらしく、ようやく出来た子供(発言からするに妻と共に救助した赤ん坊を養子にした模様)が
一年戦争で死去。連邦を深く憎んでいる。

  • ブル
CV:松田健一郎
カウフマンと同じくK631潜水艦に搭乗しており、彼の窮地にグラブロで出撃したものの、イオの操縦するアトラスガンダムに撃破される。
南洋同盟の信者であり、私室内に同盟の仏壇を設置していた。


[主要登場機体]

機動戦士ガンダム サンダーボルトに登場する機体を参照。
基本的には『機動戦士ガンダム』『MSV』『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』『機動戦士ガンダム0083『機動戦士Zガンダム』等から登場する。
作者の知識により、大なり小なりリデザインされているものや、本家とは異なる武装を装備したものが多い。


[その他]

  • サンダーボルト宙域
本作の舞台。
ジオンによって壊滅したサイド4宙域であり、デブリが帯電していて常に雷が鳴っているためこう呼ばれている。
ここにはコロニー「ムーア」が存在していたため、同胞団が最も拘る要因になっている。

  • リユース・サイコ・デバイス
カーラ達が研究している新システム。
パイロットの操縦イメージを義足や義手を通じて機体に反映させるシステム。
後の「インテンション・オートマチック・システム」や「ネオ・サイコミュシステム」に通じるものがある。

  • 水上都市リグ
南洋同盟編で登場した水上都市。
南洋同盟の傘下にあり、「傷痍軍人が消える街」という噂が立っていたため義肢装着者をリユース・P・デバイスの実験対象として勧誘していると考えたダリル小隊が潜入。
その後にスパルタンによる強襲を受ける。


[余談]

ガンダムビルドファイターズトライ」にサンダーボルト版ジムが移っていたり、
外伝「A」のイメージの中でサイコ・ザクが描かれているので、他映像作品への出演に版権的な問題はないようである。

映像化に伴って、出版社が異なる角川書店のガンダム専門誌である「ガンダムエース」といった雑誌での扱いがどうなるかも注目されていた。
現状としては存在に関しては普通に触れられており、ゲーム作品への本作品機体の参戦情報も取り扱われている。
一方で、映像作品としては扱いはかなり小さく、やはり出版社の違いによる壁は存在する模様。

同時にガンダムエースで連載されていたガンダムVSのオールスター漫画である『ガンダムEXA』及びEXA VSへの登場があるのかも注目されていた。
この漫画ではG-UNITやSDガンダム英雄伝といった講談社系作品も出演している。
サンダーボルトも映像化に加えてガンダムVSシリーズへも本格的に登場することになり、サンダーボルトのみならず黒衣の狩人やトレジャースター、アグレッサーといった小学館系作品の動向が見守られた。

しかし、VSシリーズには2016年の『エクストリームバーサス マキシブースト ON』で初参戦したものの、
連載終了までサンダーボルトに対してガンダムEXAが触れることは殆どなかった。
流石に他出版社で同業の人物が今なお連載している作品に触れることは出来なかった様子である。
また、宇宙世紀作品ながら1st以外の宇宙世紀シリーズとの関係性が限りなく曖昧にされている世界観設定も原因だったのではとも推測されている。

その他『SDガンダム バトルアライアンス』では本家宇宙世紀に転送されてくる形でイオとダリルが登場。
「子供を見殺しにした」という負い目もあってか、イオと鉄華団の絡みはなかなか辛い所がある。
ただ、イオク様を嬉々としてぶちのめそうとするイオに対しては「国際問題になる!」とオルガが必死で止めるというギャグがあったが
あと、案の定イオと声が同じ人との掛け合いがある。イオは「名前は気に入らないがいい声している」と意気投合するのに対し、ダリルは「その声に因縁を感じる」と言ってしまったら「それはつまり愛か!」と勘違いされて「この声が聞こえたら私が来た合図と知るがいい!」と新手のストーカー宣言されてしまう


追記・修正はリユース・P・デバイスに対応した方がお願いします。

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最終更新:2024年04月08日 12:49

*1 ハサウェイ⇒貧困によるテロ、凄惨な市外戦/サンダーボルト⇒義肢技術の応用による人間をMSと直結させる非人道的運用/NT⇒そこから更に踏み込んでMSそのものと化す魂

*2 単に戦果だけ見れば双方大破だが、勝てるはずの戦力差での戦闘で自軍艦隊を撃破された上、自身を含む連邦兵の生き残りはジオンの捕虜になり、更にダリルが両手足を義肢化していたことで『そんな体の相手に負けた』という敗北感をイオは覚えた