宇宙の騎士テッカマン

登録日:2012/09/23(日) 02:52:44
更新日:2023/11/06 Mon 23:30:13
所要時間:約 5 分で読めます







「ペガス!テックセッター!」

「ラーサー」


『宇宙の騎士 テッカマン』とは1975年に放映されたタツノコプロ製作のSFヒーローアニメである。


当時社会問題だった公害や、『日本沈没』や『ノストラダムスの大予言』などから始まったの終末ブームを絡めたシリアスな作品である。また、SF考察も丹念に行われ、宇宙空間の無重力の表現など当時としては画期的描写も多い。
しかし、放送当時は前年のオフィス・アカデミーが制作したSFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』と同様、宇宙物のアニメの人気を得ることができず、一年の放送を予定していたが半年で打ち切られてしまう。このためラストはランボスの宇宙船に雄叫びをあげながら突っ込むテッカマンで締め括られ、打ち切り作品のテンプレ的な終わり方になっている。

1992年には本作を換骨奪胎した『宇宙の騎士 テッカマンブレード』が製作されたが未だに本作の正当な続編は作られていない。


【あらすじ】
21世紀。人類は科学の発達により宇宙に進出していた。だが地球は度重なる環境破壊によって3年もすれば死の星になる運命だった。
汚染を取り除くクリーン・アース計画も失敗し、パニックを防ぐためにこの事実は隠され、一刻も早く全人類を他の天体へ移住させなければならなかった。

だが、時を同じくして宇宙征服を企む悪党星団ワルダスターが襲来。南城二は宇宙開発用に作られたテックセットシステムを使いテッカマンに変身。これを迎え撃つ。果たして人類の運命は!?

行け、テッカマン…戦え、テッカマン…宇宙の騎士!

【登場人物】
○スペースナイツ

  • 南城二
(声:森功至)
両側に跳ねた髪型が特徴の主人公。事あるごとにひろみから「単細胞!」と罵られるほどの直情的な熱血漢
ワルダスターに父親を殺され、全ての異星人を憎む様になってしまう。
これが災いして、とある回ではワルダスターとは無関係の異星人が乗った宇宙船を破壊し、その生き残りの女性であるカレンから恨みを買うこともあった。*1
しかし、戦いの中でアンドローとぶつかり合ったり、地球人と敵対してない異星人と接触するうちに全ての異星人を憎む事はなくなった。

  • 天地ひろみ
(声:上田みゆき)
ヒロインにして、スペースナイツの紅一点。
天地局長の娘で城二の恋人……のはずだが、あまり恋人らしいシーンはない。
タツノコヒロインらしく化粧は濃い。

  • アンドロー梅田
(声:山田康雄/PSゲーム「タツノコファイト」では野沢那智)
金髪アフロが特徴のサンノー星人。
変身能力で地球人の姿をとっている。ワルダスターに移民船団を襲われ地球に逃れてきた。
右腕を蛇の様に構える事で体が発光し、高速移動(ブレードのクラッシュ・イントルードの元ネタ)をするなど超能力でスペースナイツの危機を幾度となく救った。
ニヒルな性格で地球人に批判的であるために城二とは衝突が絶えなかったが次第に友情を結んでいった。

  • ムータン
(声:小宮和枝)
サンノー星のミュータントでアンドローやひろみによく懐く。
可愛らしい見た目だが、アンドロー同様超能力でスペースナイツの危機を救った。

  • 天地局長
(声:内海賢二)
宇宙開発センターの局長でスペースナイツの司令官でもある。
優秀な科学者でペガスやテッカマンは彼が作った。
第二の地球を見つけ出し生き残った地球人を移住させるスペースフロンティア計画の立案者でもある。


○ワルダスター

  • ランボス
(声:滝口順平)
悪党星団ワルダスターの団長。
黄色い体色と短気な性格で、部下に八つ当たりしたりお世辞にもいい上官とは言えない。
毎回作戦に失敗しては卑屈に土下座、そしてドブライからお仕置きを受けるのがお約束になっている。
どこぞのドロンボーみたいだが中の人的には指令を送るドクロベエの方である

  • ドブライ
(声:桑原たけし)
ワルダスターの頂点に立つ帝王。
打ち切りのためその正体は謎のままに終わったが幻の第三クール以降の展開で「全宇宙の意思に近い不滅の超生命体」という正体が明らかになる予定だった。
PS用対戦格闘ゲーム『タツノコファイト』では自らテックセットし出陣、白銀の装甲を纏いテッカマンに戦いを挑むというオリジナルの展開となる。


【登場メカ】
  • テッカマン
南城二がテックセットシステムを使い変身した姿。
元々は宇宙作業用に開発された物だが、未完成ゆえに特別な波長が合う人間しか変身できず、37分33秒しか活動できない。
これを破ると死んでしまううえに実はテックセットの回数自体は一生の中で決まった回数しか出来ず回数オーバーすると同じく死亡という危険な代物である。
さらに変身プロセスが「パワーラップ」と叫んだ後セッタールーム内でグリップを握る事で棘の付いた鎖帷子に全身を巻かれ、プロテクター装着後特殊な電磁波が流れるという苦痛に満ちた物になっている(実際に城二は呻き声をあげていた)ために当時の子供達のトラウマになった。
得物は分離可能な諸刃・テックランサーと伸縮自在の革紐一条鞭タイプの・テックウィン。この二つは非使用時は腰のホルスターにグリップのみの状態にして収納している。
足の踵部分にテックスパーという拍車状パーツが有り見た目が円形回転鋸の歯なので見た目通りの不意打ちカッター兵器として使える。
後に必殺技として額から放たれる「ボルテッカ」が加わった。これは額のパーツから稼働の為のエネルギーを放出する物(初期では額のパーツそのものが射出される描写だったりする)で
消耗が激しく、後に披露した三連射式の「ボルテッカ・三段返し」では敵の攻撃を喰らった際にテックセット自体が解けて外装が崩壊する事態になっている。
また設定画稿には没になった攻撃方法として「肩アーマー自体を射出し敵に当てる」というものが有ったようだ。

  • ペガス
(声:徳丸完)
天地局長が作ったロボットで人工知能を持ち言葉を話す。
脚部にセッタールームを備えており、城二の「ペガス・テックセッター!」の音声と共にハッチが展開。
ルームに城二が入り「パワーラップ!」と叫ぶことでハッチは閉まりテックセットが開始される。
逆の変身解除時の掛け声は「セットリターン」。
テッカマンを乗せ空を飛び、ペガス自身もその怪力による格闘戦で戦う。
ちなみに足がセッタールームになる為一般的なこの手のロボットの様に足にスラスターを装備出来ず指がメインスラスターなので飛行中に手を使う事は出来ない。
健気な性格でどんな傷を負っても城二を守ろうとする相棒思いの素晴らしいロボット。ぶっちゃけひろみよりもヒロインらしい。

  • ブルーアース号
スペースナイツの宇宙船。
名前こそブルーアースだが本体の色は赤と白のツートンカラー。

  • ガニラ
ペガス撃破のためにランボスが生み出した戦闘ロボット。かに星雲で作られたためにこの名がついた。
当時としては珍しく敵メカながら玩具が発売されたが、打ち切りの影響で最初の一回しかテッカマンと戦えず、以降は移動用としての登場しかなく挙げ句の果てに乗り捨てられた不遇のロボである。


【余談】
  • 幻となった第三クール以降の展開では第1話で死んだと思われた城二の父がワルダスター側のテッカマンとして登場したり(この構想は後の『ブレード』の原案になった)、ドブライの正体が明らかになり、「自らの母星を滅ぼした地球人の宇宙進出は許されない」という終盤の展開も練られていた。
    様々な困難を乗り越えスペースナイツは遂に人類が移住可能な惑星を発見するがそこは先住民が核戦争で死に絶え大地も荒廃して久しかったが、クリーン・アース計画を使えば復興可能であるという意外な結末も脚本の陶山智らによって構想されていた。

  • 実はスペースナイツの3人がブレードにカメオ出演している(声優は違うが)。
    44話にアンドローが、48話に城二とひろみがそれぞれ登場している。

  • 主題歌は草創期のMADテープの定番ネタとしてもよく知られている。デッデッで一呼吸してから「テッカマーン」のシャウトが入るため、直前のリズムや音程をある程度無視して強引に「テッカマーン」につなぐことができた。
    ありとあらゆる曲の最後に「テッカマーン」を付け足すのを繰り返した後に、フェイントで「ギャーバーン」を入れるのもまたお約束。

追記・修正は第二の地球を見つけてからお願いします。

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最終更新:2023年11月06日 23:30

*1 城二を演じた中の人は彼の行為を「甘え」だと断言していた。