ドムトルーパー

登録日:2010/02/14(日) 21:32:56
更新日:2024/02/11 Sun 00:50:24
所要時間:約 9 分で読めます





ジェットストリームアタック!!!


ドムトルーパーとは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するモビルスーツ(MS)。


Dauntless
Obliterator
Magnificent

壮大なる不屈の抹殺者


目次




基礎データ


型式番号:ZGMF-XX09T
全高:17.48m
重量:79.44t

武装:
MMI-GAU25A 20mmCIWS
MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
G14X31Z スクリーミングニンバス
JP536X ギガランチャーDR1マルチプレックス
EX-EZ1200 イージーウィザード
MA-X848HD 強化型ビームサーベル

MA-SX628 フォーディオ(オリジナル)
対ビームシールド(オリジナル)
EX-G1 ナイトウィザード(オリジナル)

パイロット:
ヒルダ・ハーケン
マーズ・シメオン
ヘルベルト・フォン・ラインハルト


機体解説


C.E.73年時、ザフトから独立した急進勢力(通称「クライン派」)が小惑星宙域に設けた秘密工廠「ファクトリー」で建造したMS。
頭部正面にある十字型のモノアイレーンと黒と紫に塗装されたごついボディが特徴。


ザフトでは前大戦終結後も次世代用MSの開発が行われ、数度のコンペティションが実施された。
この「ドムトルーパー」そういった次世代機候補として提示された機体の一つである。
ザクの先行試作型となった「ZGMF-X999」の設計思想から派生しており、ザクと同じ「ウィザード」と呼ばれるバックパックの換装システムの実装によって様々な戦局に対応できるよう想定された機体であった。

当初はミラージュコロイドの使用も想定さていたが、ユニウス条約締結でその使用が制限されるとそのコンセプトは宙に浮いてしまった。

汎用機としてバランス重視だったザクに対し、このドムは本体の機動力などを重視した設計となっている。
主に重力下での運用を想定しスカート部や脹脛部分に大型のスラスターを内蔵し、重力下でのホバリング移動が可能となっており、
その鈍重なシルエットとは裏腹に地形によってはバクゥなどとはまた一味違う高速戦闘が可能とされた。
更にスラスター類の多さから調整さえすれば宇宙空間でも高い機動力を発揮できた。

反面、高出力化され下半身に集中したスラスター類の操作性や特殊な技量を要するホバリング駆動は、前大戦でジンシグーゲイツでの戦闘を経験したパイロットが多数を占めるザフトでは不評だった。

そのため、数機が試作された段階でコンペティションからは外され、乗り継ぎが容易なMSの開発が継続。
最終的に「ニューミレニアムシリーズ」として「ZGMF-1000 ザクウォーリア」が採用される事となる。


その後、ザフト内のクライン派工作員がデータを奪取・元データを破棄し、諸々の改設計を行ったうで上で少数量産され*1オーブ防衛戦へ参加。
結果、ザフトの次世代主力機になるはずだった機体がそのザフト正規軍と戦うこととなったのだった。


正式名称はラクスが嫌がりそうな物騒なものだが、これは設計者の命名によるもの。
クライン派の手に渡った後も名前はそのままだったため、クライン派側に正式名称を知っている者がいなかった、
あるいは設計者への敬意かせめてもの詫びでそのままにした可能性は十分にある。
コンペに負けて尚、紆余曲折を経て戦場に降り立った本機の名が「不屈の抹殺者」だったというのはなんとも…



武装


  • MMI-GAU25A 20ミリCIWS
肩に装備されているバルカン。
インパルスセイバーと同型。

  • MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
両前腕部にマウントされているビームシールド。
当初の設計段階では想定されていなかった装備で、同時期に製造されたストライクフリーダムの技術を流用したものだが、型式上はデスティニーレジェンドに装備されたビームシールドと同型となっている。
上部が平坦なヒーターシールド型とシリーズでも珍しい形状に展開する。

  • G14X31Z スクリーミングニンバス
ドムにのみ装備されている機構。
左胸に内蔵された発生器から高エネルギー粒子を放散し、周囲に攻性の防御フィールドを展開する。
この粒子はビームライフルなどのビームと同じ性質を持ち、触れる物質を破壊する。
ミラージュコロイドを応用した装備であり、ユニウス条約に抵触する可能性が出たのはこいつが原因。
名前が長いのでスク水と略されることも。
複数機集まって使うと効果が増幅されるのか、作中ではジェットストリームアタック時に展開していた。

  • JP536XギガランチャーDR1 マルチプレックス
肩掛け式の大型バズーカ砲。本機の主武装。
砲身上部が実体弾、下部がビームを発射するという連装式構造を持つ。
実体弾用の弾倉は後部上方に装着される。
砲門付近にはフォアグリップも付いているが片手でもホバー走行しながら連射可能。
非使用時にはリアスカートにマウントする。

  • EX-EZ1200 イージーウィザード
バックパック自体は脱着式になっており、接続基部はザクシリーズと共通になっている。
クライン派の生産段階ではザクのウィザードを入手する事が難しく、
3基の小型スラスターとビームサーベルが装備された簡易的な構造の本装備が採用されている。

  • MA-X848HD 強化型ビームサーベル
イージーウィザードの右側に搭載されたビームサーベル
インパルス他のガンダム系に採用されたものをベースにしつつ改修されややグリップが大型化。
出力が強化されているため、同等以上の威力を持つ。



劇中での活躍


C.E.73(『SEED DESTINY』)

初御披露目となったのはザフト軍のオーブ侵攻作戦においてだが、
OPやEDムービーに一瞬だけ映ったりエターナル内での整備の様子が映し出されたりと前々から伏線が張られていた。

パイロットはガイア、マッシュ、オルテガ
…ではない。
どちらかというとドロンジョ三人衆に見えなくもない。

劇中パイロット

  • ヒルダ・ハーケン
オレンジがかったバックヘアと眼帯が特徴の女性パイロットでチームのリーダー格。
二人を『野郎共』と呼ぶなど荒っぽいが気の良い姉御気質。
ちなみに眼帯は失明したとかでなく只のファッション。
眼帯を取るとオマージュ元のマチルダとそっくりらしい。
劇場版ではステラの二の舞になった(SKB的な意味で)
  • ヘルベルト・フォン・ラインハルト
青髪にメガネを掛けて釘を咥えた御方。
この釘はファッションとか本業が大工とかではない。

SEED時代の第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に参加中の怪我が原因の後遺症により慢性的な鉄分不足になった為、釘を咥えて鉄分を補給している。
  • マーズ・シメオン
茶髪のリーゼント風ヘアと顎ヒゲを蓄えたナイスガイ。
中の人はスティングと同じ人。

降下カプセルから登場して早々にジェットストリームアタックを披露しザフト軍MSを蹴散らした。

戦場が宇宙に変わってもその高機動力とチームワークを活かし、ルナマリアのインパルスをも退けた。
だが後半は最新ガンダム4機+金ピカの独壇場となってしまったせいで空気化。
損傷すらしていない。

特別編ではヒルダ機がディアッカのザクファントムと一緒に被弾したが、普通に生き延びている。

終戦後はターミナルによってどこかに保管されていると思われるが、決戦以降は全く音沙汰無し。
TV版の唐突なねじ込み感と登場回数の少なさから、ドムをパロる為だけに出したとか言われている

余談だが、ヒルダはレズビアンであり、ラクスに忠誠以上の恋愛感情を寄せていると言う裏設定がある*2
ただしそれ以上の設定が無い半ばモブのような扱いであり、ゲーム作品などでは基本的にハブられがちである。

この3名は『劇場版』で再登場するようで、公式が同じ声優でキャスト発表を行ったが、 「新キャラ!?」と思ったファンが多かったようで
マーズ・シメオン役の諏訪部氏(スティングと兼役)が「新キャラじゃないです、生き延びてます」という旨の発表を行った。
ちなみに搭乗機はゲルググ。ドムェ…

ガンダムビルドファイターズ

世界大会の予選でモブキャラが3機使用。
市街地でメイジンカワグチケンプファーアメイジングを包囲するが、一機はメインカメラにナイフを、続けざまに他2機がビームマシンガンを受け、最初の一機も次いで弾幕を浴び撃破された。


関連機体


ドムトルーパー(オリジナル仕様)


『SEED DESTINY MSV』にて設定されたコンペに出されたオリジナル版のドムトルーパー。
型番は上記のクライン派製と同じ「ZGMF-XX09T」。
ボディデザインもクライン派とほぼ同じだが、装甲は濃淡二色のグレー。

ウィザードシステムも完備しているが、代用ではない専用のタイプが用意されており、クライン派製とはかなり毛色の異なる仕様になっている。

確定ではなくあくまで噂レベルという設定だが、
そもそもコンペに落ちたのもザクやグフよりも高性能な本機をザフトに渡さず自分達で運用しようとするクライン派の裏工作によるものだったらしい。
ただ、後述する白兵戦用武装のトンデモ兵器っぽさや専用ウィザードの使い勝手の悪さからして、裏工作抜きでもどの道コンペを勝ち抜くのは難しかったであろう。

コンペ落ちしたため本格生産は見送られ設計データも丸ごと持ち出されたため、ザフトでの生産は難しい。
ただし専用ウィザードと共にコンペ用に試作された2機が現存しており、これを元に再生産する案も出ている。


武装

  • JP536XギガランチャーDR1 マルチプレックス
一応クライン派製と同じ物だが、設計段階では専用のウィザードとの組み合わせを前提としたベルト給弾式バズーカというとんでもない代物だったとか。
肝心の専用ウィザードが抱える問題もあってかクライン派での生産段階で小型化され、実弾部分が箱形弾倉式に設計変更されている。

  • G14X31Z スクリーミングニンバス
こちらもクライン派製と同じ。

  • MA-SX628 フォーディオ
穂先がドリル状になっているドリルランス。
目標に突き立てると同時に穂先が柄から切り離され、高速回転して潜り込み爆発することで内部から破壊する。
接近戦専用なのがショットランサーとは違うところ。
使用後はナイトウィザードに搭載されている予備の穂先を再装着する。

  • 対ビームシールド
オリジナル機に搭載されていた大型の実体シールド。
中央に穴が空いており、フォーディオを通してシールドを構えたまま突撃できるようになっている。

  • EX-G1 ナイトウィザード
オリジナル機専用に開発されたウィザード。世界の危機が日常茶飯事で魔王はみんな美少女な現代ファンタジーTRPGではない。
左右にある箱型パーツにギガランチャーの弾丸とフォーディオの予備穂先を収納する弾薬コンテナの役割を持つ。

以上の装備により本機は、バズーカを連射しながらドリル槍を片手にスク水のビーム膜を纏ってホバーで敵に突っ込んで行く、という他に類を見ない戦闘スタイルを実現していた。

ただし、ウィザード自体が弾薬コンテナ化したせいでこれ単体では碌に機能せず、更に他のウィザードより大型で重い、といった割とシャレになってないデメリットも抱えている。
実際のところウィザードとフォーディオまたはギガランチャー一式合わせた初めて真価を発揮出来る武装パッケージと呼ぶべき代物で、運用上の制約が多い。
クライン派がこのウィザードを採用しなかったのも、資材不足に加えてこれらのデメリットを問題視したからであろう。



デザイン


名称やデザインモチーフはザクウォーリア/ファントムやグフイグナイテッド同様、初代に登場したジオン軍の名機「ドム」。
しかし各部のアレンジが強く、ザクやグフと同じく元ネタとの外観上の違いが結構多い。
が、その一方で全体的なシルエット自体は、意外にも元ネタに良く似ているという絶妙で不思議なプロポーションをしている。



ガンプラ


HG GUNDAM SEEDで発売。
ザク等の各種ウィザードを装備可能。
可動範囲は上半身が優れているが下半身はやや難を抱えている。
ただ当時のキットとしてはプロポーションが良く、色分けや合わせ目もかなり頑張っている部類ではある。足裏も肉抜きが無い。
ギガランチャーは設定再現しているせいか、かなり小さく纏まってしまっている。ただ腰部にマウントするとちょうどいいサイズになるので、砲身に伸縮機能をつければよかったのではないかと思わされる。
ビームサーベルとビームシールドの色はクリアブルー。劇中のものと色は異なるが、ガンダムマーカー等で塗れば簡単に再現できるのでチャレンジしてみよう。

パッケージ裏の宣伝スペースにはいきなり「三体そろえてジェットストリームアタックを再現しよう!」と書かれており、説明書にも丁寧に並べ方の解説が書かれている。再現用のためか手首パーツも充実とゴリ押しがすごい。三体買えってか。

原典となるドムと比べると、小さくてスリムだが角ばっているので意外と差別化はできている。

ゲームでの活躍


  • 連合vsザフトII
連ザ系では異例の地走式ブーストダッシュを持つ。
よくアーケード終盤に敵機として現れ、ビームマシンガンによる地味な削り&バズーカや辻斬りで一発ダウンなどかなりいやらしい。

スク水で正面からのビーム攻撃は効かなくなるので本当に厄介。
特に後半にはストフリやアカツキなどの高性能機と立て続けに相手をするので、正直構っていられない。
CPUの地雷担当である。

余談だが、家庭用の初期PVでは3機同時操作できるユニットも用意されていた。結局発売すると存在は消えていたが。


  • Gジェネシリーズ
WARS~OVERWORLDではスク水が特格、ギガランチャーが特射属性の武装を持ち、地形適性や性能もなかなかと「ドム」と名の付く機体の中では強い部類に入る。
……が、本機以上に強力な機体がゴロゴロいること、並びにヒルダ達原作パイロットが登場していない都合で使われる機会はほとんどない。
ちなみに、武装の演出でわざわざ2機が現れて一緒に攻撃してくれる。一体誰が乗っているのだろうか?

CROSSRAYSではスク水なし、ギガランチャーが特射ではなく通常の実弾・ビーム射撃にそれぞれ分けられ、戦闘演出も普通になってしまいいいとこなしに。やっぱりヒルダ達もいないし…。
初期配置のフェニックスガンダムからも開発可能であるが、開発ルートでも袋小路であるため開発する意味も薄い……。
オリジナル仕様も登場していない。もし出ていたらナノラミネート殺しになっていたかもしれない。


現時点で唯一のスパロボ出演作。
攻撃力はジェットストリームアタック以外少々難があるものの、ジェットストリームアタックの威力と演出は見事。
なお、ジェットストリームアタックで敵ユニットを撃破するとヒルダ以外の二人が「踏み台にはされねえぜ!」「輸送機もいないしな!」と、
ド直球で元ネタの顛末を皮肉るようなメタ台詞を炸裂させる。
…スパロボKの世界には「機動戦士ガンダム」というアニメが存在するという裏設定でもあるのだろうか?

大体Kと同じだが、参戦が遅すぎてこいつを使う枠があるかどうかは正直微妙なところである。
ちなみに上述の通り携帯機シリーズにしか参戦していない為声付では未だ参戦していない。

  • GUNDAM EVOLUTION
2022年稼働のFPSチーム対戦アクション型ゲーム。
ガンダムサザビーなど順当なメイン機体が揃う中で、さらに並み居るドム系統の機体を抜いて本機が参戦。なんならSEED系機体はこいつしかいない*3・・・のだが、Season3の追加ユニットとしてSEED系作品からハイペリオンガンダムが追加されたため、少しは寂しくなくなったのかも。
武装はギガランチャーによるバズーカ砲撃と、下部に装備されたビームの照射。バズーカは僅かだが爆風判定もあり被弾率がやや高く、ビームの照射も溜めこそあるがブレが無く安定したダメージを取れやすい。
それと謎の地雷を3つまで埋設できる。地雷はデストラクションの防衛側では真価を発揮しやすく、進路や敵の勝利条件となる位置に置いておくと良い。
補助的な役割を持てるアーマーガンは、自機前方にいる味方機の耐久値を300上昇させる効果を持つ。
G_Manewverはスクリーミングニンバスを発動させて突撃するもの。発動中は一切の攻撃を無効化かつ体当たりによる物理ダメージを与え、自身と範囲内にいる味方は高速移動でステージ中を駆け回る。
移動がホバー移動でブーストゲージも1つしか無いが、他機体と比べて癖が案外少なく初心者向けの性能に落ち着いている。
余談だが、プレイヤーアイコンに使えるドムトルーパーのドットイラストはDESTINY劇中初登場のモノアイの動きを再現し、勝利エモートのポーズにはOPの立ち絵やHGのパッケージイラストが採用されている。


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最終更新:2024年02月11日 00:50

*1 ガンプラの取説によれば、流出したデータには本機の設計だけでなく実際の生産ライン構築まで想定した資料が含まれていた可能性があるとのこと。

*2 特別編含むEDでラクスとキラが人目を憚らず抱擁しあうシーンで、全員が微笑ましいやら苦笑する中、唯一眉を顰めている姿を疑問視され、それを言及された監督がSNS上で解説した

*3 00からはエクシア、鉄血からはバルバトスと他参戦機体がメイン機体なのが余計に異彩を放つ原因となっている