登録日:2011/03/06(日) 03:54:10
更新日:2023/07/20 Thu 18:57:31
所要時間:約 4 分で読めます
邪戒思念の源を断つべく、チャクラの導きにより我推参せり……
概要
蒼斧蛍汰や彩火乃紀の前に度々姿を表す謎の老人。
その正体は、密教の秘術である法力を究めた「尊者」と呼ばれる法術師。
初めてアカマツ工業や蛍汰達の前に現れた時は、不思議な鈴を持ったみすぼらしい老人の姿であったが、その身体は驚異的な肉体強度と運動能力を備え、超自然的な力を奮うことができる。
まさに超人と呼ぶに相応しい存在であり、ある意味
ベターマンと言える存在。
因みに推定120歳前後。
「チャクラの導き」によって世界各地を旅し、「邪壊思念」と呼ぶマイナスエネルギーの排除を世界中で行っている。蛍汰達を救ったのもこのチャクラの導きに従ったため。
【チャクラ】
ヤクスギの奮う超常的な能力。全身5ヶ所にあるチャクラを使い分ける。
ヤクスギの額に位置する「空」の属性を持つチャクラ。
そこから放たれる『ヴァイローチャナ』は特定の空間に生じている事象を感知、把握することができる。
喉元に位置する「火」の属性を持つチャクラ。
炎を自在に操る『アミターバ』によって攻撃的な力を発することができる。
胸部に位置する「水」の属性を持つチャクラ。
冷気を操る『アクショービヤ』によって敵対者を撃退する。
腹部に位置する「地」の属性を持つチャクラ。
大地を操る『ラトナサンバヴァ』は超局地的な地殻変動を引き起こす。
足の付け根に位置する「風」の属性を持つチャクラ。
ここから放たれる『アモーガッシディ』は暴風と真空波によって敵対者を排除する。
これら超自然的なエネルギーを使い、度々、陰ながら蛍汰達を救っているヤクスギであるが、彼は蛍汰達の前に姿を表すまでは行方不明となっていた。
しかも物語に登場した時点では彼は記憶喪失であり、蛍汰達の前に現れたのも、チャクラの導きにただ従っていただけであった。
なぜ彼が行方をくらまし、記憶喪失となっていたのか。
それは、
【ダイブインスペクション】
南米・ペルーのアンデス山脈の中腹の大洞穴で、次世代環境研究機関NEOの主導の下行われた実験。
この実験には各分野の第一人者が招かれており、その中には
- 総責任者にして、後のモーディワープ代表のオフィサー
- 生体医工学者でオフィサーの部下となる都古麻御
- 後のB.P.Lの所長である世界十大頭脳の1人梅崎博士
- 超人同盟を設立する前の魔門麦人
- 後に火乃紀と共にニューロノイドに乗るデュアルカインドのカクタス・プリックル
- 火乃紀の父親の彩博士
そして被験者のヤクスギがいた。
この実験の目的は、人類のさらなる進化した存在『完全なる人間』を創造することにあった。
ダイブインスペクションとはリンカージェルの強大なエネルギーにより遺伝子レベルの突然変異を引き起こし、生体設計図であるホメオボックス遺伝子を改竄。
各細胞の機能分化遺伝子から永久に分裂を繰り返す生殖細胞の情報を取り出してその機能を付加させるだけでなく、耐性病原菌や癌すらも克服した、人類の祈願である不老不死の細胞を持つ不死身の生物を生み出す人体実験。
すなわちベストマンとは、人類が夢見た完全な不老不死を達成した存在に他ならない。
この前人未踏の実験を成功させるには、強い精神力や体力を持つヤクスギはまさにうってつけの被験者であった。
しかし、なぜヤクスギがこのような実験に被験者として参加したのか。
それは極限までに鍛えられた肉体を持ち、尊者とさえ言われたヤクスギでさえ押し寄せる『老い』に勝つことができず、その老いへの恐怖と本人の「より高次な存在を目指す」という求道的な動機からであった。
しかし実験は失敗。ヤクスギは記憶を失い、行方不明となってしまう。
若き…命達よ……
元凶の源を…止めるのだ……
我を…止めるのだぁぁぁぁぁぁッ!!
尊者ヤクスギ/カンケル
登録日:2011/03/06(日) 03:54:10
更新日:2023/07/20 Thu 18:57:31
所要時間:約 4 分で読めます
我、ヒトの細胞を奪う者!
我、ヒトの命を超える者!
我、ヒトの進化の到達点…カンケルなりし者!!
カンケルとはベターマンの前に度々姿を現し、そして滅ぼしていった通り魔のような謎の存在。
そして『ベターマン』本編におけるラスボスである。
外見は黒と白の混じる灰色のような、顔のない抽象的な人形のシルエットとしか形容できない無機質かつ不気味極まりない姿でありその体は不定形。
一応どことなくフォルムは女性的にも見えるが、当然のことながら性別は無い。
その正体は、『ダイブインスペクション』の実験によって誕生した『ベストマン』。つまり尊者ヤクスギ本人であった。
『ダイブインスペクション』は人体の細胞全ての機能分化遺伝子から永久に分裂を繰り返す生殖細胞の能力を呼び出し不老不死を実現させるものであった。
だがこのベストマンは生殖細胞の遺伝情報ではなく、永久に細胞分裂を繰り返すもうひとつの体細胞
『癌細胞』の遺伝情報を呼び起こしてしまった。
結果ヤクスギは
全身の細胞が癌細胞で構成された奇怪極まりない異常な生命体と化してしまったのである。
ダイブインスペクションは失敗であったが、不老不死の超人を作るという意味では成功だったのかもしれない。
カンケル(ベストマン)は1個体で完結する完全な存在であるため、何者とも共生・共存することはない。
そのため、「自分以外の全ての生命を滅ぼす」という本能に従い他の生命の全てを否定し、全生命体を滅ぼそうと行動を起こす。
「滅びは新たな命への進化」とは劇中でのラミアの談。
だがその自然の循環を拒んで「滅びることのない不死」を求めた結果、人類は地球の全生命を滅亡に追いやる最悪の悪魔を自ら生んでしまった。
一応フォローするとカンケルとヤクスギの意識は全くの別個であり、劇中ではカンケルの全生命死滅をもくろむ意識と、ヤクスギのカンケルを抑止し食い止めんとする意識の2つが混在して発露している。
しかし最早存在や行動の方向性はカンケルに寄っており、劇中記憶喪失のヤクスギが指針としていたチャクラの導きもカンケルの生命抹殺の意思に誘導されたもの。
ヤクスギは無自覚なままカンケルの隠れ蓑となって動いていたのだった。
能力
無限に増殖する不死身の癌細胞からなる不定形の体は四肢が自在に屈曲・伸縮することもあれば、体を巨大な球体に膨れ上がらせ周囲を薙ぎ払ったり、蛇のように絡みついたり、ゴムのように弾性を得て攻撃を弾いたり、胴体から無数の触腕のような突起が伸びたりと変幻自在にして多彩な格闘攻撃を行う。
時には虫のように四つ這いでのたうち這い回るなど挙動すらも既存の地球生物とは似ても似つかず、最早軟体生物の域。
ラスボスに相応しく癌細胞の特性を反映したことで能力も豊富で、
- いかなる攻撃を受けて粉微塵になっても、どんな環境に置かれても必ず再生・適応する不老不死の生命力。
- 触れた他の生命体の染色体を瞬時に改造し、自身の中に融合させ吸収する能力「ハイブリダイゼーション」
を備えている。
要は「生命体」である限りカンケルに触れられただけで即死した挙句喰われて完全に消滅し、いかなる手段を以ってしても通常の手段ではカンケルは殺せないことを意味する。
正しく究極生物にして生きとし生ける地球生物全ての敵である。
ただし無敵のハイブリダイゼーションも生物の源であるリンカージェルには通じない。
明確なカンケルにとっての大きな弱点…とはいえ、リンカージェルはただハイブリダイゼーションを封じることができるだけなので、リンカージェルに触れさせるだけではカンケルを滅ぼすには至らない。
そもそも特殊能力に頼らない純粋な肉弾戦だけでもベターマン・ラミアを窮地に追いやるだけの戦闘力がある。
真に対抗できるのは、自身と同じ無限の細胞分裂を可能とする生殖細胞の力を全身に持つ生物のみ。
この特性を持つ生物でなければカンケルの即死攻撃を防ぐことはできず、ここまでしてようやくカンケルとの勝負の土俵に上がることができる。
末路
老いていくことの恐怖に…耐えられぬのだ!!
尊は!寿命なるものを超越した不老不死への進化を望んだ!!
だが…その結果がこれだ!!
うわあああああああああッ!!
カンケルがベターマン(ソムニウム)を付け狙うのは、ソムニウムが人類と共生・共存する存在であり、ソムニウムが滅びれば、人類も滅びてしまうからである。
この全人類を滅ぼしかねない脅威の出現に呼応して発生したのが、ベターマンを呼び寄せるために作中世界で猛威を振るう謎の奇病アルジャーノン。
加えてヤクスギ以外のダイブインスペクション参加者達も無事とは言い切れず、ダイブインスペクションによって脳内に生体死滅インパルス・プリオン蛋白を焼き付けられた状態で生存。
接触した人間に無自覚に生体死滅インパルスを植え付けてアルジャーノンを発症させる、世界中にアルジャーノンをばらまく感染源と化してしまった。
そしてカンケルとなった当初のヤクスギは、カンケルの解毒剤となる南米ペルーのポーポ湖の水によってカンケルの力を抑制していたが、環境破壊により湖の純度が保てなくなってしまったため力が解放されてしまい、2006年にはチャクラの導きによって日本へ到着。
やがてモーディワープの地下実験場にて全ての記憶を蘇らせ、カンケルとしてついに覚醒を果たす。
最後は3つのフォルテの実をひとつにした『オルトスの実』によってベターマン究極の形態『オルトス』となった
ラミアと対峙。
オルトスとの激闘の果てに、サイコバースによって体内に眠る全ての遺伝情報を目覚めさせられた形で生体プログラムが無に戻し、消滅した。
我の能力を解放に導くのかぁあああああ!?
全ての遺伝情報が目覚めた時!プログラムは…無に戻る!!
ダイブインスペクションで生み出された究極の生物が同じダイブインスペクションによって滅ぼされるという皮肉とも言える結末を辿ったヤクスギとカンケル。
しかし消滅によりヤクスギ自身もカンケルの呪縛から解き放たれ、安らかな笑顔のまま無言でヤクスギは逝った。
【余談】
同じ設定と世界観で繋がる『
勇者王ガオガイガー』であるが、ガオガイガーのラスボスが
「物質文明を否定し滅ぼす存在」である
ゾヌーダという点を踏まえると、ゾヌーダの対存在とも言えるラスボスであった。
因みに、米たに監督のなりたい理想のおじいさん像なんだとか。
追記・修正お願いします。
- 本当にダイブインスペクションは危険なんだな・・・・・。 -- 名無しさん (2013-12-01 21:30:14)
- カンケルは生命を、ゾヌーダは文明を否定してるのね -- 名無しさん (2013-12-04 02:40:28)
- 最初はケイタ達を助けてくれたのに・・・コンパクト3でも彼へのスパロボ補正は存在しなかった。 -- 名無しさん (2013-12-04 10:33:00)
- 頼れる良い人からの本人の意思ではないラスボス化は怖かった -- 名無しさん (2017-09-05 15:07:52)
- EDと本編16話の疾走シーンはカッコいい -- 名無しさん (2018-03-06 20:59:27)
- ↑3 まぁ…ラスボスやし今ほどクロスオーバー救済なかったしなぁ…ガオガイガーと競演したら浄解・ダンバインのシーラ王女が浄化できるかもしれんが -- 名無しさん (2018-06-25 15:01:44)
- ↑4ま、不可能ではないかも。描写的には(少なくともカンケル側は)ヤクスギと分裂できて一度戦ってるし、邪念を追っていたっていうけど実際人はアルジャーノン発症者を感知してたみたいだし、記憶取り戻すまではもしかしたら完全に分化できてたのかもしれない。 -- 名無しさん (2021-10-20 09:29:34)
- 120歳って細胞分裂の限界だそうだしどうあがいても死ぬしかなく、話として無限の細胞分裂は人として進化でない以上あの救済しかないってのはあるし -- 名無しさん (2022-02-17 18:04:10)
- 有機生命体に対するゾンダーみたいな能力だからな…… -- 名無しさん (2022-10-23 21:56:05)
- 本編最終回前ラストでカンケルを止めてほしいと叫んだ辺り、カンケルはゾヌーダみたくほとんど暴走状態に近いもんだったんだろうな -- 名無しさん (2022-11-04 01:32:02)
最終更新:2023年07月20日 18:57