GODZILLA(映画)

登録日:2011/07/08 Fri 15:51:00
更新日:2023/10/14 Sat 11:51:08
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『GODZILLA』は1998年に公開されたアメリカの怪獣映画である。
当時、アメリカ版ゴジラとして注目を集めた。

ちなみに制作費は日本円換算で約190億円。平成VSシリーズなら15作作ってもお釣りが来るほどの金額である。
国内の観客動員数は360万人と、シリーズでも上位*1
インフレーションを勘定するとエメリッヒ版の世界興収だけでファイナルウォーズまでの東宝のゴジラ作品の全部の日本での売り上げよりも稼いでおり、純粋な興行収入だけで見るなら単体で見てもレジェンダリー版よりも成功しているといえるレベルだったりする。

そう、稼げてはいたのだが……

2014年に公開された、レジェンダリー・ピクチャーズ製作のギャレス・エドワーズ監督作品の方はこちらを参照。

●目次

【あらすじ】

南太平洋で日本の漁船が襲われた。
調査した生物学者のタトプロスはタヒチで謎の足跡を発見、その後座礁したタンカーの穴や残された肉片から、タトプロスはフランスの核実験によって新種の生物が誕生したと考える。

そして、ニューヨークにその謎の生物が上陸。人類との戦いが始まる……。


【概要】

アメリカの映画会社トライスター社は、看板となるシリーズを求めてゴジラに注目していた。東宝との交渉の末に1990年代前半に権利を獲得、94年の公開を目指して企画が進められた。

監督はティム・バートン等が候補に上がり、後に『スピード』の監督となるゴジラ好きのヤン・デ・ボンに決定した。
ヤン・デ・ボンの案ではゴジラは日本のデザインをベースに、宇宙から来た怪獣グリフィンと戦うものだった。
北極で起きた原子炉の事故でゴジラが蘇ったり古代文明の作った対グリフィン兵器だったりちょっとガメラっぽい。
しかし、予算がかかり過ぎるため没となりヤン・デ・ボンも降板、その後『インデペンデンス・デイ』の監督であるローランド・エメリッヒが選ばれた。しかし、そのゴタゴタのため製作は延期された。*2

そのため、日本でも『ゴジラVSメカゴジラ』で一旦終了させる予定だったのを変更し、『ゴジラVSスペースゴジラ』が製作されている。

エメリッヒ監督は当初は断ったが、デザインを見て依頼を受けることにしたという。
監督は思い切って変えた方が本家に失礼に当たらないと考え、その大胆なデザインでそのまま製作したという。

また、本作ではCGを主体にスーツをサブに使用して撮影されている。監督としてはスーツは時代遅れとして使用したくなかったらしい。

結果完成、公開された作品は制作費を回収でき、興行はある程度成功したが、世界中のファンからの反応は芳しくなかった。
主にゴジラのキャラクター面での批判が多く、ゴールデンラズベリー賞(クソ映画に贈られる権威ある賞)の最低リメイク部門1位に輝いたくらいである。
というかぶっちゃけ今作を不評たらしめている要因の9割は本家からかけ離れた(下記参照)ゴジラ像である。
ただし、ぶっちゃけラジー賞というのは選ばれたからといってどうということでもない(この映画を批判したスティーブン・スピルバーグの『ロスト・ワールド』や『ジュラシック・パークⅢ』だってノミネートされてる)。*3

実を言うと本来は続編の企画が存在し、意味深なラストもそれを狙っての物だったのだが、余りの不評の多さにお蔵入り。
興行収入的には成功した本作だったが「続編で客を呼べるような人気は得ていない」と判断されたようだ。
当時のプロットは当時の関係者によって公開されており、1作目とは打って変わって強大になり、熱戦を吐けるようになったゴジラが再登場。
そしてゴジラと同じく核実験の影響で誕生した怪獣たちがいくつも出現したことで人類の環境破壊に対する警鐘を鳴らしながらも、ゴジラと怪獣たちの壮絶なバトルを繰り広げる……という「最初からこれを出しておけばゴジラファンも納得できたのでは?」というようなものだったらしいのだが……
ただし企画そのものが完全にお蔵入りになったわけではなく、後述する「ゴジラ・ザ・シリーズ」はこの設定を活用している。

一応「巨大モンスターパニック映画として見ればそれほど悪くもない」という感想も多い。
また、平成ゴジラのアンチからは、平成作品を貶すために持ち上げられる場合もあった。
不幸にしてそれがまた多くのゴジラファンからの評価を受けにくくしてしまった面もあるわけだが……

作品としてはアメリカではなくフランスの核実験で誕生した点や、登場する人物の多くがステレオタイプ、妙におかしい日本の漁船等の描写が評価を下げやすい要素にはなっている。*4


2014年、日本の初代ゴジラをハリウッドリメイクした新しい『GODZILLA ゴジラ』が公開され、こちらはある程度好意的に受け止められている。
なお、制作するにあたってこっちのスタッフは「今度は変な物作んなよ」と言われていたらしい。

が、2014年版が「普通のゴジラのバリエーションの一つ」であるのに対して、本作のゴジラは度々普通のゴジラとの共演を果たすという独特のポジションを築きつつある。(後述)

【登場人物】

『ゴジラ・ザ・シリーズ』だと見た目がけっこう変化しているメンバーもぼちぼちおり、初期デザインと完成版もけっこう異なる。

◆ニック・タトプロス
 演:マシュー・ブロデリック(吹替:森川智之〈劇場版・ソフト版〉、高木渉〈テレビ版〉)
放射能が生物に与える影響を研究している科学者。主な研究対象は放射能汚染地域のミミズ。
その研究内容から軍に謎の生物の調査を依頼される。
いかにもなメガネ研究者。発音しづらい苗字らしく、よく呼び間違えられる。
後述の『ゴジラ・ザ・シリーズ』にも登場している。初期デザインは眼鏡を掛けていたが、完成版にて見た目・能力・性格がいきなり超人化した


◆オードリー・ティモンズ
 演:マリア・ピティロ(吹替:勝生真沙子〈劇場版・ソフト版〉、深見梨加〈テレビ版〉)
ニックの元恋人のジャーナリスト(の卵)。ゴジラ取材の過程でニックと再会する。
いかにもなオバカブロンドだが、やるときはやる。
続編の構想では結婚式当日にニックがフィリップに拉致されてゴジラを探しに行ってしまったため破局する展開だったが、
『シリーズ』ではニックの私生活の描写が少ないため空気だが交際を続けている。ただし、「お互いの結婚相手は仕事」と述べ、ドラグマに地球が支配されてしまった仮定未来では、メンデル以外のHEATが行方不明だったこともあり、別の男性と結婚してオーストラリアに移住していた。


◆フィリップ・ローシェ
 演:ジャン・レノ(吹替:菅生隆之〈劇場版・ソフト版〉、銀河万丈〈テレビ版〉)
保険会社の社員を装ったフランス体外治安総局の諜報員。ニックに協力してゴジラ対策に乗り出す。
レオンではない。間違ってバックした。アメリカの食べ物が悉く口に合わない、ステレオタイプなフランス人。
『シリーズ』にてモニクの上司と判明。ゴジラとカメレオンのどちらを排除するか迷ったが、最終的にゴジラを信じる。


◆アレキサンダー・ヒックス
 演:ケヴィン・ダン(吹替:小山武宏〈劇場版・ソフト版〉、谷口節〈テレビ版〉)
アメリカ軍のゴジラ対策の指揮を執る大佐。自身の保身を考える市長とは度々意見が衝突する。

ドラグマが繁殖してしまった仮定未来だとサイボーグになっている。


◆エバート市長
 演:マイケル・ラーナー(吹替:青野武〈劇場版・ソフト版〉、石田太郎〈テレビ版〉)
自らの保身と次の選挙しか頭にない、小者なニューヨーク市長。
モデルはエメリッヒ監督作品に批判的な評論家のロジャー・エバート氏。
『シリーズ』だと出演も少ないが癖も少ない。続投している。


◆エルシー・チャップマン博士
ゴジラ調査の責任者の女性博士。

『シリーズ』ではメインキャラの一人。やはり別人化。特にニックへの好意は見せないが、オードリーいわく「あのお邪魔虫」。

メンデルとの恋愛については、メンデルの空回りが目立つがエルシーも別に嫌っているわけではないと思われる。


◆メンデル・クレイブン博士
エルシーに好意を持つ科学者。アレルギー持ち。

『シリーズ』ではマイルドな見た目と性格になっている。バイク型ロボット・ナイジェルやゴジラを呼び出すための通信機などメカの作成で活躍する。
ドラグマが跋扈した仮定未来では将軍化。というか、メンデル達がHEATに託したエネルギー銃が地球を救うのに一役買う。



【ゴジラ】

「アメゴジ」や「トラゴジ(「トラ」イスター版「ゴジ」ラ)」「ジラ(後述)」とも呼ばれる。
海外でも、「ジーノ(GINO、ゴジラなのは名前だけの奴(Godzilla Is Name Only.)の意味)」と、ゴジラとは区別されているらしい。
英語版wikipediaでは後述の個体とまとめて「Zilla (TriStar Godzilla)」の名で単独項目が立っている。
せめて二代目だけでいいからGODを返してあげてください。

ポリネシア近海で行われたフランスの核実験により誕生した怪獣。
ノベライズ版では、イグアナと思われる爬虫類を中心に様々な生物の遺伝子が混ざっているという設定がある。

姿形は日本のゴジラよりは当時のティラノサウルスの予想図に近く、尻尾を地面に着けない前傾姿勢で肌も爬虫類に近い。小説版では、ジャンプの際に背びれを「羽ばたかせて」いる。
また主食はマグロ等の海産物である。

熱線は吐かないが、強力な心肺機能による暴風か衝撃波かと見まがう“息”(ノベライズでは「パワー・ブレス」と呼ばれた)を吐き(これは、初代ゴジラの白熱光の原案に非常に近い原理である)、時速480kmの俊足が最大の武器。
変温動物なので体温が低く、市街地では赤外線誘導ミサイルに感知されない。
ヘリコプターの追撃に待ち伏せや先回りで対抗したり、軍が仕掛けた罠に勘付く、潜水艦の魚雷攻撃を器用にかわす等、外見に似合わず高い知性を持つ。

また、日本のゴジラと違い機関銃で出血し、ミサイルで絶命する、単性生殖で卵を大量に生む、 師団に砲撃されて逃走する という特徴もあるが、一方で、あの細い腕と手の形状で地中移動を可能としたり、原潜の魚雷の直撃から回復したり、軍用ヘリを噛み砕いて口の中で爆発させても平気である。そもそも、ゴジラに使われたミサイル自体が相当の代物*5だし、それらを12発食らっても肉体そのものが貫通されたわけではない。

フィギュアなどの彩色とビルを背景に腰を落とした有名な写真の色がかなり違うが、
これはカメレオンのような体色変化の設定があるためらしい。

全体的に「一個の生物」としての側面が強調されており、食事や営巣、繁殖などの要素がはっきり描写されている。
打たれ弱く見えるが、前述するように生物として進化の途上にある。生き延びた子供が、熱線を会得するなどパワーアップして逆襲する続編が予定されていた(ちなみに、2作目でのメインの敵怪獣の名前は「クイーン・ビッチ」という、まるで後年のスラターンを思わせるようなパンチの利いたものであった)。
実写のシリーズ化は本作の不評により計画倒れに終わったが、この設定からアニメ『ゴジラ・ザ・シリーズ』が制作された。

劇中でも市長がぶっちゃけているが、ゴジラ自身より米軍のほうが多くの建物を壊していたりする。

以上の特徴から本家とは大幅に違い、はっきり言ってゴジラと言われなければ気付く人はいないだろう。鳴き声はどうなんだって?聞くな…。

『シリーズ』では上記の企画同様に熱線を吐く。熱線が揺れ動いたり、背鰭が順番に発光する描写は『GODZILLA ゴジラ』との繋がりも感じさせる。



【日本の作品での扱い】

ゴジラ2000 ミレニアム』の敵怪獣であるオルガのモチーフとなっている。

ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』ではアメリカに現れた怪獣をアメリカの学者はゴジラと名付けたが日本の学者は否定しているというメタネタがある。

ゴジラ FINAL WARS』には本作のゴジラに似た「ジラ」という怪獣が登場した(各種資料でもあくまでそっくりさん扱いで、同種とは明言していない)。

名前は「GODZILLA」から「GOD」を抜いて「ZILLA」。
作中ではオーストラリアにてゴジラに立ち向かうもあっさり瞬殺された。
「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな……。次!」というX星人統制官(北村一輝)の声に劇場では爆笑と喝采が巻き起こったとか。因みに我らが初代ゴジラは小説版ではマグロを食っていたそうな。
海外のゴジラファンからもこのシーンは概ね肯定的に受け入れられており、とある映画トレイラーチャンネルでも「本物が偽物を退治した」と大いにネタにしていた。
同作のオーディオコメンタリーによると北村龍平監督曰く「エメちゃん(エメリッヒ監督)へのメッセージ」らしい。
玩具も他の怪獣と違い、一年後に食玩が出ただけとかなり冷遇されていた。

一方で元ネタのエメリッヒ版を愛好するファンの中には不快感を表明する人も少なくなく、「海外ファンからは賞賛され、当の日本のファンからは否定的な声が上がる」という皮肉な逆転現象も起こっている。
特に『FINAL WARS』の出来栄えに不満を抱いているファンからは「一種のヘイト創作であり、本家がやることじゃない」「他所様の映画を腐してる場合か」と手厳しい声が相次いだ。
また、「マグロ食ってる」と揶揄されたシーンに関しても、ネタバレになるので詳細は伏せるがゴジラはある目的で魚を咥えて運んでいただけであり、元の作品の内容を正しく理解していない点も批判の対象となった。
いずれにせよこの「マグロ発言」を不快に思うファンも少なくないので、ネタにする際は十分配慮した方が賢明だろう。

まあ今回はミサイルではなくほとんどの怪獣を一撃のもとに倒しているゴジラに倒されただけなので別に格が下がったわけではないだろう。
むしろ大都市シドニーで暴れまわり人々を恐怖させ*6、唯一作中で直接人間を捕食したと思われるシーンがある。このあたりはパニック映画としては本家(?)の面目躍如。
ゴジラと対決時は、ロックバンドSUM41の「We're All To Blame」が挿入歌として流れる。
極め付けには人里離れた大自然での戦いが多い本作では珍しく、シドニーの象徴オペラハウスに叩きつけられて諸共に熱戦で粉砕という、怪獣映画のお約束であるランドマーク破壊役までも担っており、こうして熱線を食らって派手に爆死した分、ポイ捨てされたクモンガや無視されたカマキラスよりはマシともいえる。
※実は昭和ゴジラもマグロ喰い第五福竜丸もマグロ漁船ではあることは別のお話*7*8
※ミトコンドリアばっかり食べててもいけません。

『GODZILLA 怪獣黙示録』でも、ジラが登場。
ルーアン近郊に現れゴジラと誤認されメーサー砲とレールガンの一斉掃射で討伐され世界中をぬか喜びさせた。
この様に耐久面ではあっさりしているものの、単為生殖による繁殖力と知能の高さを活かし、フランスでゴジラの被害を免れたはずの都市複数を占拠していた。
幼体を囮にした集団戦術を駆使する、卵一つでも残ればすぐに増殖するなどの特性から、完全な駆除はどの怪獣よりも困難だったとされている(ついに討伐できなかったゴジラを除けば、だが)。
ゴジラとの関係は近似種や無関係など諸説入り乱れているが、結論は出ていないらしい。


【ゴジラ・ザ・シリーズ】

アメリカではその後続編であるアニメ作品『ゴジラ・ザ・シリーズ』が製作された。
主役は引き続きニックで、本作の最後から直接繋がっている。というか、予定されていた実写の続編の設定を活かされたのだ。
アニメ『ガーゴイルズ』のスタッフも集まっており、その影響も見られる。また、ハンナ・バーベラ版へのリスペクトとも取れるような部分も目立つ。

本作のゴジラは一体目のゴジラの末裔であり、生まれた直後に見たニックを刷り込みで親と思い、彼になついている。

また、突然変異で生殖能力はなく、皮膚は強靭で火炎を吐けると能力は日本のゴジラに近くなった。

作中ではニックが組んだ超常現象調査チームの危機に現れ数多の怪獣と戦った。
こちらでは「怪事件発生→超常現象調査チームが出動→事件原因の怪獣に対して調査・対策を練る→怪獣が暴れだし、ゴジラ登場→チームとの共闘で怪獣撃破」と、ウルトラマン他の特撮ヒーローと同じ扱いになっている。

対戦相手も宇宙人や既存の生物の巨大化、さらには前作で死んだ親ゴジラをサイボーク化したアメリカ版機龍ことサイバーゴジラ、リドサウルスへのオマージュであるゴジラの嫁コモディスラックス、キングコングとメカニコングへのオマージュであるロボイェティ、様々な日本の怪獣へのオマージュなどバラエティに富んでいる。
結果的には没になったが、ガイガンバラゴン等の登場も検討されていた(後述)。

スタッフにヲタがいるとしか思えないほどやたらと日本特撮へのリスペクトやオマージュが多く、設定も細かくなっている。ゴジラファンからもかなり好意的な評価を受けており、こちらのゴジラに対してはその奮闘っぷりと合わせ決して「マグロ食ってるようなダメな奴」とは呼べない立派な正義の大怪獣である。


……が、日本ではCS放送がされたぐらいで非常にマイナーな存在。

ちなみに、日本に上陸するエピソードもあるのだが、こちらのゴジラに対してもゴジラと呼ぶことを否定する日本人が描かれている・・・。*9


【アメコミ】

アメコミでは、『ルーラーズ・オブ・アース』シリーズや『オブリビオン』にも登場。東宝怪獣の一員として扱われており、怪獣軍団にも無事に迎え入れられた。

『ルーラーズ・オブ・アース』ではオーストラリアミズトカゲの怪獣であり、体色等も異なる。パワーブレスや火炎の類は吐かないが、日本発のゴジラの皮膚を貫通する爪や強靭な皮膚など、身体能力が上昇している。日本発のゴジラには劣勢だったが、決着はつかなかった。その後、怪獣島になかなか上陸しなかったが、ジェットジャガーを助けたり、日本発のゴジラ達へ飛び入りで助太刀に来たりた。その際も、敵の怪獣軍団に対して一騎当千のごとき戦果を挙げているバランと協力してラスボスに挑んだが敗退した。その後、無事に仲間入りした。

『オブリビオン』では、他の東宝怪獣達と共に異次元のポータルから出現した。


【その他】

  • 本作の影響で、『キングコング』(2005年)や『クローバーフィールド』が先送りになったという噂はデマである
    前者の企画が一度は躓いたのは本作公開前の1997年のことであり、ピーター・ジャクソンは一度『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの制作のために企画を一度離れていた。
    後者に関しては、そもそもJ・J・エイブラムスが2006年に『ミッション・インポッシブルIII』のプレミアのための来日中にゴジラのフィギュアを目にしたのが企画の発端である。

  • ディーン・デヴリンの「本当はリドサウルスのリメイクを作りたかったけど、ゴジラのネームバリューを利用した」という発言についても、この発言自体を海外の熱心なエメゴジファンですら殆ど知らず(この発言の存在を裏付ける海外のソースも発見されていない)(←もしソースをお持ちならご紹介願います)*10
    そもそもヤン・デ・ボン版は1994年の公開を目指していたこと、エメリッヒやデヴリンはヤン・デ・ボンたちが降板してから起用されたこと、ヤン・デ・ボン時代にデザインされていたゴジラ(通称デルガドザウルス)はより東宝版に近い見た目であったことから、デヴリンの発言の内容の前提条件が成立しない。
    これらのことから、仮にこの発言が実在していたとしても、炎上の責任を一手に負わされたことに関して、東宝に対する皮肉なのではないか?という説も出ている。*11
    • この発言の唯一に近い日本語のソースは映画雑誌の記事であるが、この記事はインタビューではなく過去の発言の要約といったものであり、
      では英語にソースがあるかといえばThe Angry Video Game Nerdのレビューをはじめとしてこの映画への皮肉の定番となってはいるが、「デヴリンの発言」としているものはない*12
      そのため 日本の映画雑誌の誤訳 の恐れがかなり高い。当件に限らず、日本の映画のパンフレットや雑誌などには当てにならないような情報が掲載されていることがあり、誤解を生むこともある。*13*14
    • そもそも、ディーン自身はゴジラの大ファンであり、2018年に反省文を公開、要約すると「ゴジラのファンである自分とそうでないエメリッヒの情熱のズレが一番の問題であった」としている。

  • ハリーハウゼンはインタビューで日本のゴジラを嫌っていて「パクリ」だと公言しているが、東宝は初代ゴジラに携わったスタッフが作った怪獣アゴンをゴジラのパクリだと訴えようとした経歴もあるので、もはや何が何だか・・・。*15

  • ハリーハウゼンは生前非常にゴジラを嫌っていたエピソードが残っており、類似性だけでなく、愛するキングコング*16の生みの親であり敬愛するウィリス・オブライエンがキングコング対ゴジラの件で東宝を訴えようとしていたが資金不足で諦め、失意のまま亡くなってしまった(オブライエン夫人は、夫の寿命が縮んだのは恨みのため、と述べている)こと、東宝がキングコングの使用権の残りで作ったキングコングの逆襲は、ゴロザウルスや他の怪獣が、ハリーハウゼンの作品「恐竜100万年」の登場生物と類似性が見られ(「恐竜100万年」のアロサウルスもゴロザウルスも「アロサウルスの子孫」という設定であり、類人猿/猿人や大蛇も両方に登場する)、そもそも「恐竜100万年」はキングコングの逆襲の前年の作品であり、キングコングに関連するからハリーハウゼンをかなり刺激した可能性もある。

  • 本作品にもアニメシリーズにも、東宝怪獣は一切出演できなかったが、これはヤン・デ・ボン時代に東宝側とトラブルがあったためらしく、*17エメリッヒチームはその煽りを喰らってしまったことになる。
    ちなみに、当時東宝からの貸し出しの予定があったのは、後年の「モンスターバース」シリーズで登場したモスララドンキングギドラだったとか。
    • アニメにも例えばアンギラス・ラドン・バラゴン・マンダ・モゲラ・ガバラ・ガイガン・メガロの登場が予定されていたが、全てダメになった(OPには一部登場している)。

  • ヤン・デ・ボン版の設定はエメリッヒ版にもギャレス版にも受け継がれていると思わしき部分がある。皮肉なことに、後者の方の「アルファ・プレデター」という設定は、実は前者の予定されていた続編の設定の方にむしろ当てはまる。また、クイーン・ビッチの生態とプロットがギャレス版のMUTOとプロットに影響を与えた可能性も指摘されている。

  • ヤン・デ・ボン版の設定では古代人の遺した生物兵器であるという設定があり、これは後の平成ガメラにも通じるものがある(国内外のオリジナルゴジラを参照)。皮肉なことに、2014年および2019年のレジェンダリー版ゴジラは平成ガメラとの類似点が指摘されている。……無限ループ

  • 2019年の「キング・オブ・モンスターズ」の監督であるマイケル・ドハティ氏「偽物であるジラをぶっ飛ばしてくれるからファイナルウォーズが好き」と某雑誌のインタビューにて答えた。また、2021年の「ゴジラvsコング」の監督であるアダム・ウィンガード氏もエメリッヒ版を嫌いだと発言している。





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最終更新:2023年10月14日 11:51

*1 時期の近いvsシリーズで比較すると、「vsモスラ(420万)」「vsデストロイア(400万)」「vsメカゴジラ(380万)」に続く中堅となる

*2 なお、エメリッヒ監督はこの映画の監督中に、『アルマゲドン』と『ディープインパクト』に先を越されて以前から作りたかった隕石パニック映画を断念し、ヤン・デ・ボン監督は邦題『たたり』のリメイク『ホーンティング』にグリフィンを出してホラーとしてはぶっちゃけ失敗作にしてしまったりとこのゴタゴタはこの映画の外にも爪痕を残している。

*3 この映画を見て「あんなのはゴジラじゃない」と苦言を残したが、これはゴジラファンとしての発言なのか、予告編でT-Rexの骨格標本を踏み潰したことに対する返答なのかは判断しにくい。だが、スピルバーグ自身は本作の監督としてオファーが来た際に「ゴジラへの愛が強すぎる」という理由で辞退しており、嫌々やらされてしまったエメリッヒを批判する権利はないのでは?という意見もある。それに、スピルバーグは自身の作品でも他への当てつけのような表現(しかも似たような描写)も行っている。

*4 ハリウッド映画において「変じゃない日本」を映し出している作品の方が珍しいのだが。

*5 2発でマジソンスクエアガーデンを木端微塵にしている。

*6 後述のカマキラスやクモンガよりも人類蹂躙シーンでの出番は多い。

*7 実際、第五福竜丸事件と初代ゴジラへの侮辱とも取れるという批判も存在する。実は、似たような批判は2014年版にも言われていることである(こちらでは3.11、第五福竜丸、核の肯定)

*8 エメリッヒ版にては一度もゴジラに対して核兵器の使用を検討しないという点があり、これを評価する声がある。ただし「核攻撃を検討するまでもなく通常兵器で倒されただけ」でもあるが。他のゴジラのように「ミサイルが利かない」となればおそらく展開も変わっただろう。

*9 この世界ではゴジラとは「伝説の海の龍」なので仕方がないが・・・。

*10 日本語版Wikipediaを引き合いに英語で「この映画は実際には『原子怪獣現わる』のリメイクですか?」と聞いたところ、個人の感想扱いされた。

*11 正直なところ、東宝は認めていないが、ゴジラはリドサウルスの模倣だと言われても否定できない部分がある。『ゴジラ』は企画段階では「核実験で目覚めたビキニ環礁の「恐竜」が暴れる」というストーリー&タイトルが『海底2万マイルから来た大怪獣』であるなど、法整備がなされていなかった時代故に許されたと言っていいほど影響を受けている(『原子怪獣現わる』の原題は『The Beast from 20,000 Fathoms』)。また、リドサウルスが予算の都合さえなければ「放射能性の火炎」を吐く予定だったことも、ゴジラの放射火炎に影響を与えたのではないかという海外の研究者もいる。

*12 AVGNは最初に「蜘蛛に噛まれて蜘蛛の能力を持つのが変だからって蜘蛛の能力の無いスパイダーマンを作る奴があるか!?」と言う程この映画に批判的であり「規模がニューヨーク一都市レベルにとどまっている」「街を行くシーンに酷似したアングルが出てくる」など類似点を挙げて「これはゴジラではなく『原子怪獣現わる』のリメイクだ」と言ってはいるが、日本で言う箇条書きマジックのようなものでありデヴリンの発言とはしていない。ただ2005年に刊行されたカンザス大学の教授ウィリアム・M・ツツイ(1963~)氏著の『ゴジラとアメリカの半世紀(中公叢書)』にも同様の記述があるため、米国のファンには同様の感想を抱いていた人間は一定数居た模様。ちなみにツツイ氏もエメゴジについては同著でボロクソに貶しており、「不満を並べ立てたら、一冊の本ができてしまう」とまで述べているほど。

*13 怪獣映画繋がりだと、例えば『パシフィック・リム』シリーズの怪獣の「Height」が「全長」と訳されていたり、『パシフィック・リム:アップライジング』の怪獣の顔と名前が一致せず、イェーガーの武装が混同されていたり、メガ・カイジュウの体重やカテゴリーなどは完全にオリジナルの設定だったりする。

*14 東映版スパイダーマンのポーズが本家に逆輸入されたという話も、その後に東映版以前の原作にて同様のポーズが発見されている。

*15 ただし、ハリーハウゼンも初代ゴジラの内容自体は評価していたらしく、「面白かったが、着ぐるみ特撮はあまり好きな撮影方法ではない」との発言も残している。

*16 ハリーハウゼンはピーター・ジャクソンと同じくキングコングを見て映画製作を目指した。

*17 東宝怪獣の使用料の金額でもめたらしい。