バナージ・リンクス

登録日:2011/06/30 Thu 12:57:26
更新日:2024/03/12 Tue 14:59:59
所要時間:約 7 分で読めます




正しさが人を救うとは限らない……

"それでも"!!


バナージ・リンクスは、小説及びOVA作品『機動戦士ガンダムUC』の主人公。
CV:内山昂輝
搭乗機:ユニコーンガンダム
プチ・モビルスーツ
シルヴァ・バレト・サプレッサー
ガンダムMk-Ⅱ


●生い立ち

幼少期は母子家庭で育つ。母が亡くなった後は顔も知らぬ父の奨めで、アナハイム・エレクトロニクス保有コロニーであるインダストリアル7に移住。
工業専門学校に通い、平和で平凡な学生生活を送っていたが、自分と環境の間に奇妙な『ずれ』を感じていた。
そんなある日、一本角が特徴的な純白のMSを目撃。そのMSを見たバナージは、自身の『ずれ』が少し和らいだような感覚を覚える。

そして、運命の日。
空から落ちてくる少女を見つけたバナージは、衝動的にプチ・モビルスーツで救出に向かった。
それが自分の運命を変えるとは知らずに……



●性格

一途で真っ直ぐな性格をしており、自分の感情や直感のままに行動する傾向がある。
あくまでも傾向であり、単純な直情型とは違って、冷静に理屈や環境を理解することは出来ている(前述の『ずれ』を思春期特有の感情と自己分析するなど)。
しかし最終的には自分の判断で行動することが多いため、周囲からは感情や直感を重視する人間に見えるようだ。

また、所属や偏見に囚われることなく、信じられると思った人は信じる潔さも持ち、その性格は様々な登場人物に影響を与えている。

恋愛に関しては鈍感で、ミコット・バーチが自分に向ける好意には気付いていなかった。
更に、オードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)と出会ってからは彼女を一途に想っているため、他の女性から向けられる好意にはさらに鈍感。
ただし程度の差こそあるがオードリー以外の女性(ロニ・ガーベイなど)にも好意や信頼を寄せることはあり、特に自身の考えを肯定してくれ、初めて共鳴したマリーダ・クルスには強い信頼を寄せている。

戦争と関係ない世代、立場であることからか理想論や綺麗ごととも取れる発言も多いが、
一方で偏見のない彼やオードリーの必死な言葉によってその言葉を否定していたおっさんたちが協力していくのもUCの醍醐味である。
また、戦争のつらさや、その記憶をもって現実と戦う人々と触れ合うことで、バナージ自身も成長していった。



ニュータイプとして

話が進むにつれ、『敵の悪意を感知する』、『精神感応を起こす』などの不可思議な現象を感じるようになる。
当初、初めて精神感応を起こしたマリーダからの「おまえも私と同じかもしれない」という言葉を受け、過去の断片的な記憶とともに『自分は強化人間ではないか』という疑念を抱いていたが、
様々な人々との出会いや別れ、戦いを経て、ニュータイプとして覚醒していった。
同時に精神的にも成長し、当初翻弄されていたユニコーンガンダムの『NT-D』システムを自らの意思で制御できるまでになる。
自分の意思で動かすことはもちろん、力技な面もあるがデストロイモードへの自動変身も抑えていた。また、NT-Dの発動時間を調節することもできるようになった。
更にユニコーンがフル・サイコフレームということもあり、自身の呼び掛けで起動したり、推進力のないシールドを飛ばす、
サイコフレームが赤からアクシズ・ショックと同じ緑色に変わるといった歴代のTVガンダム同様の不思議現象をもたらしていく。
かつてのカミーユのように『死念に身体を貸す』こともできる様子。ただ、これはロニの死念に『自分を消すようなことはしてはならない』と諫められた。

真っ直ぐに人の本質を見つめ、解り合おうとする姿勢は『誤解無く解り合える』というニュータイプの定義そのものとして、徐々に周囲からも認められていった。
一方で、見られたくない過去を持つアンジェロは強制的に過去を覗き見られた事を『強姦のようだ』と嫌悪し、
ニュータイプを憎むリディはニュータイプそのもののバナージの姿勢を忌み嫌っていた。


●パイロットとして

当初はあくまでも一般人程度の技能しか持たず、挙げた戦果もユニコーンガンダムの驚異的な性能ありきのものであった(特にNT-D発動中は意思で動くため余計に)。
しかしNTとしての覚醒が進むにつれその性能を引き出せるようになり、NT-Dも逆に支配下に置き肉体の負担を考慮しながら活用する他、
突貫工事でユニコーンがフルアーマーユニコーンとなった際には、それまで使わなかった武装も(システムの補助もあるが)使いこなすなど著しく成長し、
赤い彗星の再来』たるフル・フロンタルと渡り合えるまでになる。



ちなみにブライトと面識のある5人目のガンダム主人公。
ドズルの義理の息子になる可能性が非常に高い。

以下、ネタバレ







当初は巻き込まれた一般人のような立場だったが、カーディアス・ビストから託されたユニコーンが『ラプラスの箱』の鍵と見なされていたこと、
彼が幼い頃に生き別れになったきりの父親であり、自分もビスト家に連なる者だと知ったことで、連邦とネオ・ジオン残党の闘争、そしてビスト財団の覇権争いに巻き込まれてしまう。
さらには、戦争を止めるためにリディ・マーセナスと共に地球に降りたオードリーの消息も分からなくなってしまい、意気消沈。
見知った人を殺してしまったことで塞ぎ込んでしまったり、自分の考えが子供である事を痛感し、無力感に苛まれたりもした。

しかし、オードリーへの想いや、カーディアスの『自分の為すべきと思ったことを為せ』という言葉、そして戦いの中で出会った様々な人達との経験を胸に、自分の想いを曲げずに戦い続ける。
やがて、ビスト財団に軟禁されていたオードリーを取り戻し、互いに想いを伝え合った事で、相思相愛の関係に発展する。
そしてミネバの意志に応え、『ラプラスの箱』を開けることを決意したバナージは、彼女と共に遂に『ラプラスの箱』の中身に辿り着くも、
その開放を望まないフロンタルや、ビスト財団を牛耳ろうと企む叔母、マーサ・ビスト・カーバインの魔の手から『ラプラスの箱』を、そしてオードリーを護るため、ユニコーンで出撃する。





以下超ネタバレ










『ラプラスの箱』の存在する場所に向かうバナージだったが、その前にアンジェロ・ザウパーの乗るローゼン・ズール、リディの乗るユニコーンガンダム2号機"バンシィ"という強敵が立ちはだかる。
アンジェロはなんとか退けたバナージだったが、ほとんど性能差がないバンシィとの戦いには苦戦を強いられ、
自身の言葉が原因で錯乱したリディの凶弾からネェル・アーガマを庇ってマリーダが戦死してしまう。
その死に激怒し、リディを本気で殺そうとするバナージだったが、マリーダの死念との対話で落ち着きを取り戻し、同時にマリーダとの対話で正気を取り戻したリディと和解。
そして、なんとかミネバと共に『ラプラスの箱』のもとにたどり着く。

オードリーと共に箱の中身を知り、開放するという彼女の意志に賛同するバナージだったが、
開放を妨害しようとするフル・フロンタルに攻撃され、生身での戦闘を経た後、ユニコーンに搭乗してシナンジュと対峙する。
シナンジュ、そしてフロンタルの技量と言葉に圧倒されるも、共闘を決意したリディの乗るバンシィの加勢で状況は一転。
かつてカミーユ・ビダンΖガンダムで行ったように、NT能力でシナンジュを貫いたビームトンファーの出力を向上させてハイパービームトンファーとし、シナンジュを大破させる。

その後、マーサの差金で地球連邦軍が『箱』が存在する宙域をコロニーレーザーで焼き払おうとしているのを知り、
予備のサイコフレームを近くの宙域にばら撒いた上で、自身とユニコーンを核としてサイコフィールドを作り出し、それを防ごうとする。
バンシィの協力もあってか、サイコフィールドによってコロニーレーザーを防ぎきり、『ラプラスの箱』とオードリーを守ることに成功する。

しかし、NT能力を酷使した代償か、バナージはこの奇跡と引き換えにサイコフレームに魂を吸われてユニコーンと一体化し、
「バナージ・リンクス」という人間でも「ユニコーンガンダム」という機械でもない、『未知の生命体』へと進化してしまう。
このときのユニコーンはバンシィの変身は解けているにもかかわらずデストロイモードのまま(変身可能限界時間は過ぎていた)で、推進剤を使わずに動くなど超常的な現象を起こしている。

まさに万能の力を持つ、人間が規定する所の『神』と呼ぶべき存在になってしまうも、愛するオードリーや信頼するリディの呼びかけに応え、再びバナージという『人間』となり、その下に帰っていった。



●その後
ラプラス宣言後、オードリーらと共にメガラニカでジオン共和国に逃れる。
しかし、『人間』に戻ったものの一時的とはいえ人智を超えた存在となり力を振ったことから、
『シンギュラリティ・ワン』と呼称されることとなったユニコーン共々、その存在を危険視されてしまう。
そのため自身の生存を公にすることは出来なくなってしまったが、『ラプラスの箱』とオードリーを守るために彼女の側に居続ける道を選ぶ。
また、自身の生存を確かめに来たリディと対面し、互いに出来る努力を続けることを約束した。

ユニコーンを封印せざるを得ないこともあってどこからか調達したガンダムMk-Ⅱやシルヴァ・バレト・サプレッサーなどに搭乗。
当然性能はユニコーンに劣るものの、死線を潜り抜けたこともあって高い操縦技術を垣間見せる。



●『ガンダムNT』では

オードリーの頼みでガランシェールJr.に乗り、フェネクスに纏わる陰謀を阻止すべく行動する。
物語終盤にはヘリウム3備蓄基地の戦闘を察知し、援護射撃でヨナの窮地を救う。
そしてフェネクスと別れたヨナをサプレッサーで保護し、彼と共に去りゆくフェネクスを見送った。

なお、ヨナを保護する際にはユニコーンの幻影が現れるなど、未だユニコーンと繋がって得た力は完全に失われてはいないことが示唆されている。



●主な発言


「君が誰だって構わない、必要だって言ってくれ!」

「みんな、明日の予定だって、来週の予定だってあったんだ!」
「あんなの……人の死に方じゃありませんよ!」

「人には人らしい生き死にがあるんだ。こんなわけのわからない戦争で殺されて、生焼けで血を流して……」
「人類の半分が死ぬような戦争をやっておいて、あんたたち大人はこれ以上なにをやろうっていうんです!」

「自信とか覚悟なんて、ない。俺は彼女に必要とされたいだけなんです」

「父さんって、俺、今……。俺の……?」

「『私のたった一つの望み』…『可能性の獣』…『希望の象徴』……。父さん……」
「母さん、ごめん……。俺は、行くよ!

「ここから…!ここから……出て行けぇぇぇぇぇっ!!」

「男と見込んだ。オードリーを頼みます」

「違う、違うよ、マリーダさん!貴女たちは直線的過ぎるんだ!
 だから、オードリーは箱を渡せないって……」
敵の理屈だと言っている!
「この……分からず屋ぁっ!」

遊んでいるつもりか貴様!さっきの男のセリフじゃないが、敵は墜とせる時に墜とせ。おまえが見逃した敵が味方を、おまえ自身を殺すかもしれんのだぞ
「遊びなもんか!自分が死ぬのも、人が死ぬのも冗談じゃないって思うから、やれることをやってるんでしょう!?」

都市を制圧するというのはこういうものだ
「関係ない場所を撃って、逃げる人を踏み潰すことがですか!?こんなの戦争ですらない、ただの怨念返しですよ!

「哀しいから……哀しくなくするために、人間は生きているんだって……本気でそう言える人にだったら、人を殴る資格はあるよ。殴られてやるさ」

「自分が地獄を見たからって、他人にそれを押しつけていいってことはないんだ!」

「俺は『箱の鍵』じゃない、人間だ。そしておまえは、人の力を増幅するマシーンなんだ」
「おまえはそのために造られた。人の心を、哀しさを感じる心を知る人間のために…」

「俺は彼女を止めたい…止めなきゃならないんだ!ガンダム!俺に力を貸せ!

「この澱んだ黒い感覚…こんなものに染まっていくことに、意味なんてないよ!」

「そんな犠牲の上に成り立った平和が、本当の平和ですか!?
 譲りあって、わかりあう道だってあるはずだ!」

「現実を現実と認めるだけの存在なら、人間はとっくの昔に滅びてた。
 理不尽と戦って、少しでも前に進んできたのが人間でしょう!?
 あなたは自分の絶望を押しつけてるだけだ!」

「嬉しかった。自分がなんでここにいるのか、わかった気がした。君が呼んでくれたから」

人の心を、哀しみを感じる心を知るものなら……ガンダム!俺に力を貸せ!

「ユニコーンガンダムは、伊達じゃない……!」

あなたは!なにも見えていないんだ……!」
「自分が見たいものだけを見て、すべてを否定して……!」

「現実を見ろ、アンジェロ・ザウパー!」

「よそ見はさせない、フル・フロンタル!」

「中年の絶望を押しつけてもらっては、困る!」

あんたはニュータイプなんかじゃない。
 自分はなにもしない、できないくせに、人を見下して嗤うことしかしない。ただの下衆だ」


亡霊は、暗黒に帰れぇっ!!


※NTでの台詞

「じっとしていた方がいい。Gで体がやられてる」

遠いな……光の速さでも追いつけそうにない
 それでも、それでもいつかは……」



●ゲームでの活躍

  • Gジェネ
覚醒が伸びる一般的なニュータイプ伸び。しかしテンションが上がりにくく、テンション上昇でデストロイ化するユニコーンとの相性は非常に悪い。
アビリティも『共振』『精神感応』などユニコーンとはかみ合わない。素直にνガンダムΞガンダムに乗せよう。

しかし続編であるオーバーワールドは全キャラのMPが統一されてユニコーンにもデストロイモードで特殊覚醒武器が追加、バナージ自身もマスタースキルでテンションUPで超強気になるため相性が良くなった。
強気以下でビームサーベルで攻撃するときにはよく喋る。


  • VSシリーズ
『機動戦士ガンダム ガンダムvsガンダムNEXT PLUS』からユニコーンガンダムのパイロットとして参戦。
クロスオーバーセリフは多い方で、宇宙世紀作品の主人公の力を感じ取ったり、シャアに対し『本物の赤い彗星』と言ったりする。
『ExtremeVS』では、中の人達が交流を持っており、キャラクターとしても相性の良さそうな刹那とのクロスオーバーセリフがある。
「バナージ・リンクス、未来を斬り拓く!……どうです?似てましたか?」



第3次スーパーロボット大戦Z
初参戦作品。原作では実現しなかったアムロやカミーユとのクロスが多く、二人からは『可能性を感じる』と期待されている。
宇宙世紀ではないがシンともよく絡んでおり、序盤は特にカミーユ、シンに見守られる弟ポジションでいることが多かった。
陣代高校のボランティア部にも積極的に参加し、活動を通じてアマタとも親しくなる。
また、物語開始以前は年上のクラスメイトである沙慈から大分気に掛けられていた。
シャアとフロンタル両方と絡むこともあり、ストーリーでは割と存在感がある方。
乗機のユニコーンは『時獄篇』ではいまいちだが、『天獄篇』では育て方にもよるが最強ユニットに化けることがあるので、
積極的に改造するのもいいだろう。

スーパーロボット大戦BX
序盤から数回は顔出しするが、本格的な参戦は中盤から。
乗機であるユニコーンの性能が非常に高いが、初期ステータスに底力がないため底上げが必要。
先輩格である刹那に(感応的な意味で)導いてもらったり、キオ君騎士ガンダムとの絡みもバッチリおさえられている。
ちなみに本作では玄関子ことアーミアちゃんがバナージの同級生である。ずるい。

スーパーロボット大戦V
これまた物語の舞台が大きく動いた後の、中盤からの参戦。
先を見失いつつある戦乱の中で、ジュドーやハサウェイといった若さという力を体現する一員と共に困難に立ち向かう勇姿をみせる。
本作では初となるフロンタルとの和解が描かれた。


スーパーロボット大戦30
『NT』設定で参戦。
原作でもヘルメットで顔が見えづらい状態での出演のためか、少し顔が隠れている。
サプレッサーで参戦するが、如何せん合流する頃にはやや火力不足。
フェネクスに乗り込んでしまうヨナに変わって、ナラティブガンダムに乗せるのがいいだろう。

地味に今までユニコーン固定だったところ、今回は遂に乗換が可能となった。
というわけでファンネルで叫んだり、シュラク隊を指揮するバナージというスパロボでは珍しいものが見れる。


●余談

原作小説版を手掛けた福井晴敏氏曰く、バナージの名前の由来は(『逆襲のシャア』以降のガンダム作品の)「話を繋げる」から。
「バナージ」は「話(バナージ)」、「リンクス」は「繋げる→link(リンク)する」とやや捻ったとのこと。
奇しくも本作のTV再編集版『RE:0096』が放送された時間帯は、「繋がり」を題材とした番組が放送されていた。


追記・修正しますよ!
この項目を、良項目にしてみせればいいんでしょう!

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最終更新:2024年03月12日 14:59