ルパン三世 燃えよ斬鉄剣

登録日:2010/02/12(金) 23:40:15
更新日:2024/02/26 Mon 11:33:21
所要時間:約 5 分で読めます




1994年7月29日に金曜ロードショーで放映されたルパン三世TVスペシャル第6弾。

【概要】

脚本はこれまでのTVスペシャルを手掛けてきた柏原寛司氏に代わって、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や『SLAM DUNK』でおなじみの岸間信明氏が、監督は前作『ルパン暗殺指令』で演出を担当した奥脇雅晴氏が担当。

かつてルパン三世の祖父であるアルセーヌ・ルパンが唯一窃盗に失敗した「竜の置物」を巡る物語で、
TVスペシャル作品では視聴率24.9%と最高視聴率を記録しており未だに破られていない。
作画は数多くあるTVスペシャルの中でも珍しいTV第1シリーズ(通称旧ルパン)をベースにしているため、異彩を放っている。本作でキャラクターデザインを務めた須藤昌朋氏はこの2年後から、アニメ名探偵コナンのキャラデザを務める。

【あらすじ】

その日ルパンと次元は銀座のゲームセンターにいた。
五ェ門が歌舞伎座で『初代・石川五右衛門』の歌舞伎の観賞に行っている間暇をつぶしていたのだ。

一方、五ェ門は歌舞伎のクライマックス、先祖の最期に号泣していた。
すると、突如歌舞伎座に謎の忍者集団が現れ五ェ門に襲いかかった。
外へ逃れた五ェ門。そこへルパン、次元、さらにルパンを追ってきた銭形も加わり、銀座の街は非常にカオスな事態に。
なんとかルパンたちはそれを切り抜けるが、走り去るの中の人物が自分たちの様子をうかがっていたことにルパンは気づく。

パリのアジトへ戻ったルパンと次元は、車の中の影の正体が香港マフィアのボス“陳珍忠”であると突き止める。
一路、陳の思惑を探るべく陳の主催する香港のパーティーへと潜入した一行は、そこで斬鉄剣と沈没船・タイタニック号との意外な関係を知ることになる。

【登場人物】

■レギュラーキャラクター

ルパン三世
CV:山田康雄

「な〜んか面白ぇコトが始まりそうだぜ」

ご存知我らが大泥棒。顔立ちがノーブル。
狙った獲物は必ず盗む、のポリシーのもと、タイタニック号に隠されたお宝『竜の置物』の探索に向かう。
UFOキャッチャーは苦手らしい*1

作中ではかなりの離れ業を何度も披露しており、
  • 五ェ門を襲おうとした占い師の眉間を遠距離から撃ち抜く
  • 深海4000メートルでの水圧を生身で体感しながらも「痩せこける」程度で生還
  • 催眠ガスを「息を吸わない」という脳筋な方法で突破
といったものがある。さすがはルパン。

本作の愛車はこれまたクラシックなジャガーEタイプのロードスター。当たり前のようにシートがせり上がるギミックや建物の壁を平気でブチ破る威力のミサイルなど、ルパンお手製のハイテク機構を装備している。
加えて黄色の複葉機も所有しているが、こちらはルパンらしからぬかなりのオンボロ具合。しかし明らかに不調なエンジンとは裏腹に、結構デカめのミサイルを少なくとも2発(発射の場面をスローで再生すると3発は装填しているのが見える)と、遠隔でのエンジンスターター&ミサイル発射機能を装備(操作はルパンの革靴で行う)。

次元大介
CV:小林清志

「ケッ、いけすかねぇ…」

ご存知義理堅い頼りになる男。
クロスワードパズルにハマっているそうで、ゲームセンターでも深海でも興じている。
本作では基本的にルパンのバックアップに回っていることが多く、目立った見せ場がない。前作『ルパン暗殺指令』で活躍したツケか?*2それでも人質に取られた不二子を一瞬の抜き撃ちで救出するシーンは次元ならでは。

仕事中にイチャつくルパンと不二子に呆れて通信のヘッドホンを放り出しながらも、銃声を聞きつけた瞬間彼らの救出に動くあたりは伊達にルパンの相棒をやっていない。

石川五ェ門
CV:井上真樹夫

「勝負!!」

ご先祖様の歌舞伎見て涙ウルウルな、本作の実質的な主役。仲間には「愛想のねぇ」野郎。
陳を追っている最中、同門で昔共に修行をしたくノ一“桔梗”と再会する。
タイトルで分かるように、本作で最もフォーカスを当てられている人物。
本作ではTVSPにありがちなギャグ担当ではなく、ひたすら「剣に生きる男」といった感じ。せいぜい桔梗に胸を押し当てられて頬を赤くする場面くらいが笑いどころ。色キ◯ガイなのアイツ…。

剣の腕前は常人離れしているものの、不意討ちにあって死にかけたり人を凶暴化させる催眠ガスがあっさり効いてしまうなど、人間らしい弱さが随所に見られる。本作は五ェ門の強さと弱さの両方を存分に見ることが可能。

峰不二子
CV:増山江威子

「死ぬ時はきちんとベッドの上で死にたいわ」

ご存知謎のオンナ。
どこで聞きつけたのか「タイタニックのお宝」を狙う陳珍忠に取り入ろうとパーティーに参加したところ、ルパンたちと合流する。
中盤でシャワーシーンを披露してくれる。囚われた時には自慢の美脚剥き出しの超ミニスカの服を着せられる。至極どうでもいい情報だが、ラストで複葉機の床が抜ける時に一瞬「見える」。

拳銃の腕前はルパンに負けず劣らずの凄腕であり、飛びかかってくる敵の眉間をルパンのワルサーで撃ち抜いた。

1stルパン初期のキャラクターデザインそっくりだが、まぶたが二重(1stは実は一重まぶた)。

銭形警部
CV:納谷悟朗

「うるさいっ!逮捕だぁ!!」

相も変わらずな、愛すべき我らがとっつぁん。
冒頭で「ルパンキャッチャー」という変態兵器を用いてルパンを捕まえるがあっさり逃げられる。
海上警察を率いて再び現れるが、接着剤入りのバズーカでひとまとめにされてしまった。
狙いがあくまでルパンなためか、話の本筋にイマイチ入れず普段以上に空回りとなってしまったが、ラストではしっかりいつものメンツのチェイスとなっている。

■ゲストキャラクター

○陳珍忠(ちん・ちんちゅう*3
CV:滝口順平

「スリルも食べすぎると体によくありませんよ」

通称「チンチンちゃん」。本作の悪玉。
ゴムボールをつぶしたみたいな顔をしているスケベオヤジ。
香港マフィアのボスで、タイタニック号に隠された『龍の置物』の秘密を知っており、これを手に入れようと画策している。普段は丁寧な物腰である一方でルパンに出し抜かれて滑稽な姿を晒したりもするのだが、マフィアのボスだけあって冷酷かつ狡猾な面も見せている。

TVシリーズに登場する悪役、スコーピオンのミスターXにそっくりのすけべっツラなほか、声優も同じく滝口順平氏。ただし、意味不明な機械で不二子をくすぐり拷問にかけたりはしない。

○柘植の幻斎(つげのげんさい)
CV:銀河万丈*4

「フフフ…柘植の幻斎は一人ではない!」

チンチンちゃんの部下の隻眼の男忍者
ザ・不死身。
百地党の流れを汲んでおり、忍びの流派としては五ェ門とは兄弟流派とのこと。
多数の影武者を使い、何度もルパンたちに襲いかかる。
ちなみに影たちはいずれも、銃殺・斬鉄剣で斬られる・銃殺の上にワニの餌などロクな死に方をしていない。影武者カワイソス 

桔梗 (ききょう)
CV:松井菜桜子

「あたしはもう、大人だよ」

幼少の頃、五ェ門と共に修行したくノ一。
けしからんぼでーをしているが残念ながらお色気担当は不二子ちゃんです。
なんてこった。
五ェ門と再会した際彼と共に幻斎たちの襲撃を受けるが協力してこれを退けるなど確かな腕の持ち主。
五ェ門を助けるべく彼と行動を共にするも物語中盤である出来事に巻き込まれ、生死不明になるが…

■ターゲット

龍の置物

文字通り龍を象った黄金色の置物であり、斬鉄剣を鍛えた刀鍛冶が制作したもの。
斬鉄剣よりも軽く頑丈な特殊斬鉄合金でできている。
ルパンが五ェ門に刃を向けられ咄嗟に受けた際には共鳴するかのように激しく発光し、斬鉄剣との繋がりが示唆されていた。
置物としての形は偽装でありその正体は特殊斬鉄合金の製法を記したプレートである。
特殊な液体に漬けなければその偽装は解けず、その液体の製造法は伊賀山中に隠された巻物に記されており、
この2つが揃って初めて製造方法が分かる仕組みになっている。

元は甲賀忍者のもとで保管されていたが、ある人物が盗み出し海外に売り飛ばそうとするも
よりにもよってタイタニック号に乗船してしまい、船と共に海に沈んだ。
最終的には再びタイタニック号が眠る海に沈み龍の置物へと戻っている。(巻物の所在は不明)

■兵器

特殊斬鉄合金製ステルス戦闘機

龍の置物から得られた製法をもとに制作された大型のステルス戦闘機。
現行のステルスの真っ黒なイメージからは正反対の、周囲の背景が映り込むほど美しい白銀のボディを持つ。
現実のアメリカのB-2爆撃機のような、いわゆる全翼機と呼ばれる形状をしている。
斬鉄剣をも超える金属で作られたため、アメリカ軍の戦闘機のミサイルの一斉射撃も戦闘機の衝突にも傷一つつかない圧倒的防御力を誇る。
また、そのボディそのものが巨大な刃のように鋭いため、突撃するだけで戦闘機を真っ二つに切り裂いてしまう事ができる。
ホーミングミサイルと対空機銃を備え、単機でアメリカ軍の艦隊を壊滅させる戦闘力を持つ。

【余談】

本作品はこれまでルパン三世の声を演じ、シリーズを支えてきた山田康雄の遺作となっている。
この作品の収録の際、病に犯されていた山田は、もはや立って演技するのもままならないほど体調が悪化していたという。
声にもいつもの生彩を欠く状態だったらしく、ルパンの演技もかなり無理をしていたことが窺える。
それでも山田は本作の最後の最後までルパンを演じ切った。この事に敬服せずにはおれない。
本作における最後の台詞は次元に答える「あいよー」だったという
まさに『永遠のルパン三世』である。

……と書いたが、実は細かく言うとその後も遺作として「くたばれ!ノストラダムス」やエッソ石油のCMにも出演している。
(エッソのCM収録の時は、本作における疲弊っぷりが嘘のように口も回って元気だったとか…)


五ェ門「相手が誰であろうと、追記・修正しなければ…斬る!」

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最終更新:2024年02月26日 11:33

*1 目当ての1個を取るのに3000円以上使っていた。あと一歩のところで失敗したときは筐体を揺らしまくって悔しがっていた。真似しないように

*2 ちなみに前作では次元が主役で五ェ門の出番が僅かという、本作とは真逆の展開だった

*3 海外版ではチン・チンチョウという読み方になっている

*4 『ルパン三世 風魔一族の陰謀』で次元大介の声を担当していた。

*5 この経緯を説明するシーンでは、共に行動していた柘植の幻斎は何故か五ェ門のような怪訝な反応を見せているが理由は不明。

*6 くの一としての修行を積んでいただけあり、相当な身のこなしを持っていた。それなのにワニの巣窟にあまりにも呆気なく落ちていたため、いくらアジトの罠とはいえ、ルパンは「おかしい」と感じていたようだ。