ガンダム・センチネル

登録日:2011/11/10(木) 22:30:24
更新日:2024/02/21 Wed 04:36:41
所要時間:約 5 分で読めます





GUNDAM
SENTINEL



大日本絵画社発行の月刊模型雑誌『モデルグラフィックス』の連載企画、小説、フォトストーリー。
同誌において1987年9月号から1990年7月号まで連載(小説パートは元ストリームベースの高橋昌也)され、1989年に総集編+新作模型作例掲載の別冊ムックが発売、1990年には完全版の小説『GUNDAM SENTINEL ALICEの懺悔』が発売された。
元々は『機動戦士ガンダムΖΖ』終了から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』公開までの間新商品の供給が途絶えてしまうガンプラのラインナップ増強のためにバンダイ主導で立ち上げられたガンプラ販売企画(そのためサンライズは許可を出しただけで製作には全く関与していない)。
色々あってバンダイ側は企画を凍結する事にしたがモデグラ側が勝手に企画を再始動し、オリジナルストーリーとして再構成されたのが本作となる。

そんな経緯を辿った企画な上モデグラ側が勝手にガレージキットを販売する等したもんだからバンダイと非常に揉めていた時期があり、アニメ化の企画もあったようだが(所謂店頭用のPV)この対立が原因なのかは不明だが残念ながら実現しなかった。これの名残がガンダム0083になったとも言われている。

作品の世界観や設定は『機動戦士ガンダムΖΖ』を非常に意識している事が良く指摘され、
実際に
  • 民間人上がりの少年少女主体のガンダムチーム←→正規軍人の成人男性主体のα任務部隊
  • ラスボスが女性←→ラスボスが男性
  • ジオンとの戦い←→連邦の内紛
と、正反対とも言える設定になっており、これが男らしいストイックな世界観形成に役立ち、好評を得ている。
……これだけなら良かったのだろうが、
  • ΖΖガンダムより高性能かつΖガンダムの正統後継機という設定を与えられたSガンダム
  • ガンダムΖΖに出てくるジムIIIより性能が上という設定のヌーベルジムIII
  • ΖΖガンダムに匹敵する性能を持ちながら量産され、作中でボコボコにされるΖΖガンダムのそっくりさん
等、妙にガンダムΖΖを下げるような設定や描写がされており、当然の事ながら当時のサンライズからは快く思われていなかったらしく*1、それが現在の微妙な扱いに繋がっているのでは?とする説も。



[ストーリー]

グリプス戦役末期、小惑星ペズンに駐留する連邦軍教導団のうち、ティターンズに賛同する一部青年将校たちが、エゥーゴが主導権を掌握した連邦政府に反発。
彼らは地球至上主義を唱える「ニューディサイズ」を名乗って武装蜂起し、ぺズンを制圧する。いわゆるぺズンの反乱の始まりであった。
これに対し、ネオ・ジオンとの対決を控えた連邦政府は、早期の反乱鎮圧のため討伐隊の編成を決定。
手始めに少数精鋭の「α任務部隊」を編成し、討伐隊の先遣として派遣する。しかしその実体は最新鋭の兵器に未熟なパイロットという「張子の虎」であった・・・。



[主要登場人物]

※CVはGジェネより

[α任務部隊]


リョウ・ルーツ
CV:藤原啓治
本作の主人公(一応)。母親がALICEの開発者であり、家庭を顧みなかったことからDQNな性格になった。しかし実戦を経験して成長していく。
名前の元ネタは坂本龍馬

シン・クリプト
CV:塩屋翼
リョウの悪友。FAZZ隊隊長に任命される。彼も当初はDQNだったが、隊を全滅させられた後は成長した。別作品の主人公とは関係ない。
名前の元ネタは高杉晋作。

テックス・ウェスト
CV:川津泰彦
元カラバ出身。温厚な性格だが、怒る時は怒る。終盤で発した台詞は本作屈指の名言。
名前の元ネタは西郷隆盛。

シグマン・シェイド
Ζプラスに乗る。台詞は少ないが、比較的出番は多い。真面目で努力家。
名前の元ネタは大隈重信。

ジョン・グリソム
ロバート・オルドリン
FAZZ隊に配属。ガンダムMk-Ⅴにやられて戦死。
元ネタは実在の宇宙飛行士。

チュン・ユン
ネロ隊隊長。終盤ではZプラスに乗る。最初リョウ達とは対立していたが、和解した。終盤の姿はまさに

ストール・マニングス
CV:大塚明夫
リョウ達の上官。一年戦争からのベテランであり、親友のトッシュを庇い右足を失くす(今は義足)。未熟なリョウを厳しく育てた。終盤で隊を救うため出撃し、そして…。
元ネタは岩倉具視。

イートン・ヒースロウ
CV:戸谷公次
ペガサスⅢ艦長。士官学校を優等生で卒業したが、それ故失態が続く。しかし終盤では「本物の艦長」に成長した。
元ネタは伊藤博文。

ALICE
CV:朴ロ美
Sガンダムに搭載されているAI。本作の鍵を握る。


[ニューディサイズ]


ブレイブ・コッド
CV:玄田哲章
ND首領(局長)。「戦は技量で決まる」が自論であり、ガンダムMk-Ⅴ搭乗時はその言葉を存分に証明した。その実力でEx-Sガンダムを撃破寸前まで追い詰めるが…。
元ネタは近藤勇。

トッシュ・クレイ
CV:堀内賢雄
ND参謀(副長)。マニングスとは戦友。NDの作戦の殆どを立案した。終盤ではブレイブに代わりリーダーとして戦い抜こうとするが…。
元ネタは土方歳三。

ジョッシュ・オフショー
CV:山寺宏一
もう一人の主人公。第一突撃隊隊長を務める。理想と現実の差に苦しみ、やがて悲劇的な道を歩んでしまう。
元ネタは沖田総司。

ファスト・サイド
CV:関智一
第四突撃隊隊長。顔出ししたのは後半。終盤ではゾディ・アックに乗るが、とんでもない悲劇が…。
元ネタは斎藤一。

ブライアン・エイノー
CV:大林隆介
連邦軍X分遣艦隊提督。NDを説得しようとするが、サオトメの口車に乗せられ寝返る。終盤では無責任な発言をしてテックスにぶん殴られる。
元ネタは榎本武揚。

マイク・サオトメ
NDの情報士官。本編の様々な局面を動かしたといっても過言ではない。実はネオ・ジオンスパイ

ドレイク・パーシュレイ
反乱をおこした不安に耐え切れなくなり、投降しようとするが粛清された。
元ネタは芹沢鴨だが、末路は武田歓柳斎を思わせる。

カイザー・パインフィールド
エアーズ市市長。コロニーレーザー戦に参加しようとしたが部下に止められた。その鬱憤を晴らすためNDに協力する。
元ネタは松平容保。

ホワイト・フォース
エアーズ市の少年兵。だがα部隊に射的のように落とされていった…。
元ネタは白虎隊。



[他作品出演]


雰囲気やメカデザインから人気の高い作品ではあるが、版権問題のため露出には恵まれない。

そのため、動くセンチネル系の機体を見れるのはGジェネかガンダムバトルシリーズくらいしかない。
だが、Ex-Sは最強と言っていいほどの性能を与えられ易く、リョウはGジェネではZEROで初登場してから現段階では皆勤を果たしている(3Dなどではハブられたが)。
ガンダムMk-Ⅴとブレイブ・コッドもGジェネにはよく登場しており、Ex-S+リョウ共々『ジェネシス』でも新モデリングが与えられた。
ただしストーリーが取り上げられたのは初期作品の『ZERO』と『F』だけとなっていて、その後は機体とキャラクターのみの参戦が続いている。

ギレンの野望 アクシズの脅威V』でも機体のみ多数参戦。殆どの機体が一線級のスペックを与えられている。
さらに、同じくフォトストーリー作品である『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗の下に』との共演も遂に果たした。ヘイズル VS Ex-Sといったドリームマッチも可能。

「ガンダムVSシリーズ」では、EXVSフルブーストの家庭版でEx-Sガンダムの参戦が決定した。ファンは感無量だろう。
しかし、こちらはEXVSシリーズでは異例となる「パイロット無し(UNKNOWN)」という状態での参戦となった。
やはり版権問題が原因と噂されており、EXVSシリーズがタイトル変更していく中でも未だにパイロット追加はされていない。
ゲームスタッフによると、パイロットを扱えない機体を参戦させるという実験的な意味合いもあっての参戦だった模様*2
一方で中国市場向けのスマートフォンアプリ「ガンダム争鋒対決」ではリョウ・ルーツが声付きで参戦している。

ガンダムトライエイジ』では、Ex-Sガンダムとリョウ・ルーツが参戦している。
EXVSシリーズなどとは違って、何故かこちらではSDではないEx-Sガンダムに乗るリョウ・ルーツが見られる。

ガンダムビルドファイターズ』では「ガンプラである」ことを利用してか、出番は短いながらもまさかの映像化が実現。
しかも一定以上の作画を維持しながらバトルで動かすというトンデモなことをやってのけた。BFスタッフは狂ってる(褒め言葉)としか言いようがない。

スーパーロボット大戦シリーズ」では『第4次スーパーロボット大戦』にSガンダム・Ex-Sガンダムが登場するに留まっている。
また『第2次スーパーロボット大戦α』に参戦する予定があったようで、バーザムのデザインがセンチネル版になっている他、没データにSガンダムやΖプラスをはじめとする本作の機体が存在している。
現在は『第4次』のPS移植版である『第4次S』がPSアーカイブスで配信されている。

機体は各種作品に登場しており、キャラもリョウのみならずブレイブ・コッドが出ているため権利が散逸しているとは考えにくい。「版権料や各種の調整などの手間がかかるが少数なら何とか出せないことはない」のではないかという見方もある。
というよりもモデグラ誌側の態度や発言、ストーリーの内容からサンライズとバンダイからものすごーく不興を買った作品なので「人気があるから一部の機体とキャラは出すけどストーリーに関しては極力触れたくはない」思われてるのが真相では?と考えられている。
近年は一時期よりも外部出演が増えていた事からある程度権利関係が整理されたとも噂されていたが、『機動戦士ガンダム新訳MS大全集 U.C.0081-0090編』では権利者の希望としてセンチネルのMSの掲載が拒否されたことが明言されるなど、複雑な状況が続いていることが示唆されている。
誰が言ったか、版権の無間地獄

[プラモ展開]


ガンプラは主にMGで展開されているが…。
作中のMSがΖプラスを始めとした可変機が殆どな上に、MGパーツ最多のFAZZや、細身で複雑なSガンダムに、オプションパーツを追加した普通のMGの三倍はデカい箱にぎっしりパーツが詰め込まれたMG最高難度のEx-Sガンダムがある等、非常に難易度が高い。
素組でこうなのだから、さらに完全に塗装して組み立てるなんて…。

一応、SとEx-SはHGUCでも発売されている為、お手軽に組みたい人はそっちを選ぼう。
旧キットも初めて差し替え無しで変形するZプラスやいろプラを初めて採用したSガンダム等、名作が多い。




追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • ガンダム・センチネル
  • カトキハジメ
  • 豪華声優陣
  • Gジェネ
  • 新撰組
  • 幕末
  • 映像化は絶望的
  • オーパーツ
  • オーバーテクノロジー
  • 高難易度すぎるガンプラ
  • 宇宙世紀
  • スパロボ
  • ガンダム小説リンク
  • モデルグラフィックス
  • 高橋昌也
  • 大日本絵画
  • 小説
  • スパロボ参戦作
  • ZZアンチ
  • 1987年

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月21日 04:36

*1 ジ・O等のデザイナーとして知られる小林誠氏は当時連載していたガンダムの外伝漫画にEx-Sガンダムを描いた所編集者から「Sガンダムは描くな」と言われた事を語っている。

*2 ただしその後パイロット不在の参戦機体は、EXVS2でSDガンダムの岸騎士ガンダムが、EXVS2XBでガンダムNTのフェネクスが参戦のみと極小に限られているので、方便ではないかと噂もされている