機動戦士ガンダムF90

登録日:2011/11/14(月) 17:21:13
更新日:2024/03/13 Wed 11:19:37
所要時間:約 4 分で読めます






これがガンダム! 悪魔の力よ!!




「機動戦士ガンダムF90」は、ガンダムシリーズの一つで、1990年にバンダイから発売された一連のプラモデルによる企画、及びそれを元にして発表された漫画等の作品群の総称。


【企画内容】


機動戦士ガンダムF91」の外伝企画及びMSV展開として本企画は始動し、広がりを見せていった。

基本的に『F90』は漫画版を指す事が多いが、それだけではなくプラモデル展開・当時のF91MSVの記載がある雑誌設定などをまとめている。
F91は前作に相当する「逆襲のシャア(以下CCA)」から時系列的に大きく間を開けた作品だったので、その辺の補完的な役割としても大きかった。
そのため、F91本編ではCCA以前の宇宙世紀の雰囲気が従来作より薄いのに対して、こちらはジオン残党など従来のガンダムらしい要素が濃い。
言わば、F90はF91とCCAの橋渡し的存在ともいえる。

スーパーファミコン用ゲームソフト「機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122」は、本企画における物語の後日談ともなっている。
そのため、本企画の一つとしてフォーミュラー戦記が扱われることも多い。
また、後述するが「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」にも本企画との繋がりが示されている。

後にCCAの後日談として製作された「機動戦士ガンダムUC」を匂わせる要素は一切ない。
UCはそもそも後出し作品なのでそれはそのはずなんだが(逆に矛盾する要素もない)。
ただし、皮肉にもF90における騒動の原因はUCのラスボスになるフル・フロンタルのある発言の正当性を強めてしまっている。

Zの外伝かつAOZシリーズである「A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-」では、本企画の物語との関連性が示唆されている。
AOZRe-Bootの舞台が火星という事もあって、本作と関連性を持つことは必然と言える。
また、前作『刻に抗いし者』のエピローグも火星が舞台となっており、火星行きのシャトルにかつては一年戦争に参加したというサイド4の会社*1に勤務する「J・J」なる人物がいたり、ジオン共和国の資金が入ったオリンポス山を利用したマスドライバーといった本作を意識した要素が描かれている。

F91の新たなMSVや外伝展開が広まらなかったこともあって、本企画の宇宙世紀の歴史の考察資料としての存在価値は非常に大きくなっている。
ただし最初期はガンダムF90はUC120年ロールアウトという設定*2であり漫画版はそちらの設定に準拠して創作・掲載されていた。
連載の途中でF90はUC111年ロールアウト設定に改変され周辺時系列設定もそれに合わせた変更が為され、漫画版は文章部分の差し替えのみで対処した為
現行の設定と作中の描写に齟齬が幾つか見られる様になっている(F90本体がロールアウトから10年近く経過しているにもかかわらずまだ運用初期の段階の様に扱われている事や改変設定では0120年にはP、Vタイプまで開発されていた事になっているミッションパックの内A、D、Sの3つしか開発されてない様な描写など)。

【ストーリー】


宇宙世紀0120年、過去の動乱が過ぎ去り平穏な日々が続いていたこの時期に、地球連邦軍第13実験戦団は次期主力MSとして開発されたサナリィ製MS「F90」2機のテストを行っていた。

そのテストの最中に旧ジオン軍のMSそのままの形をした謎のMS集団が現れ、F90二号機が強奪されてしまう。
第13実験戦団は、本来の第13独立機動艦隊として、F90を強奪した組織の本拠とされる火星へ赴く。


【主要登場人物】


(声は主にGジェネでのものなお主人公3人は「赤い光弾ジリオン」の主人公たちと同じキャストである

デフ・スタリオン
CV:関俊彦
本作の主人公。サナリィからの出向者。軍人嫌いであり、そのためテストパイロットになったが、F90奪還のため実戦に参加させられるハメに。途中で発したある台詞は時代の流れを感じさせられる。

シド・アンバー
CV:井上和彦
デフの相棒。同じくサナリィ出向者。F90二号機に乗っていたが、機体を盗まれてしまった。しかしそのことをあまり気にしない楽天家。その後は連邦仕様のギラ・ドーガに乗る。ジオン系のMSが好み。
決戦で機体を破壊されるも無傷で脱出した。

ナヴィ
CV:水谷優子
連邦軍人で、デフとシドのストッパー。出世の事を気にするなどある意味人間臭い。火星でジオン軍に人質にされてしまう。なにげに巨乳
人質にされて縛られている姿はとても色っぽい。

ジョブ・ジョン
CV:龍田直樹
四十年前伝説的な活躍を残したホワイトベース隊の一員。老人となって登場した彼に驚愕した人は多い。F90の開発責任者であり、また常に冷静。
F90がガンダム顔だったり疑似人格プログラムがとある二人組だったりするのは彼の仕業。
実は出番は序盤のみ。インパクトは残しつつも本編にでしゃばるほどでもない、ファンサービスとして良い按配と言える。
またGジェネで声をアテている龍田氏は若い頃のジョブも1話だけ演じている。
アムロに対するクソ重感情を持ちつつもこの頃はまだ出していない。

ノヴォトニー
CV:菅原淳一
カイラム級戦艦アドミラル・ティアンムの艦長で、第13独立艦隊の司令官も兼任。黒人系で階級は中佐。しかし実戦経験の無さ故に焦って敵の策略に嵌る。終盤では敵味方まとめての核攻撃という暴挙に出るも、寸前で戦死した。
なお乗艦の名前はFGにおける連邦の名将ティアンム提督に由来する。ここもファンサービスの一つと言える。

ジェガン隊(エリク、マーク)
いつものようにヤラレ役・・・と思いきや意外と活躍しており、艦隊を見舞ったトラブルにも屈せず、正々堂々の正面決戦でオールズモビルを壊滅に追い込んでいる。
ただ流石にボッシュには敵わず撃破されてしまったが…。

ボッシュ
CV:中田譲治
連邦軍大尉でデフやシドの上司。
本作の黒幕。かつてシャアの反乱でアクシズショックの「光」を見たが、それを「ガンダムの力」と誤解し「ガンダム」に執着するようになった。
そのため、火星独立ジオン軍と内通してガンダムを強奪し、艦隊にも罠を仕掛けた。
決戦では魔改造したF90に乗り、デフと死闘を繰り広げる。
よくよく考えると、後の刹那とガンダムに執着する経緯が似ているのが笑えないところである。おまけにきっかけとなったガンダムのパイロットの声同じだし
ちなみにアクシズショックの時はジェガンに乗っていたが、その前はジムⅢに乗ってギラ・ドーガと交戦したらしい。負けたのだろうかと思われていたが…
なおこの際にアムロの事を「アムロさん」と呼んでいるが、作中ではどこまでの仲だったかは不明。
ちなみに意外にも連邦での生活にも愛着があったらしく、一時でも直属の部下だった人間には慈悲を見せている。
捕えたナヴィを必要もなく生かしたり、デフに対しても(ガンダムを渡すのならという条件付きだが)「命だけは助けてやろう」というテンプレな台詞ではなく「身の安全を保証しよう」とまで言い放っている。

なお当時はボッシュというファーストネームのみが設定されていて、SDクラブ版ではウェラー大佐という名であった。
だが、30年後にフルネーム「ボッシュ・ウェラー」としてアムロさんに脳を焼かれたエピソードと共に設定された。


火星独立ジオン軍(オールズモビル)


本作の敵勢力。組織構造の詳細や運用するMSに関してはリンク先参照。

一年戦争から40年以上経っているせいか、メンバーの殆どは老人である。
ザクグフなど一年戦争期のジオン系MSを現在の技術でリファインしたMSを使っている。
また、彼らはその息子や孫達も自軍の一員としていた。

本作以外の登場機会はないと思われたが、後に『A.O.Z.Re-Boot』でこの組織のルーツやU.C.0090年代における活動の一部が描かれる。


【主役MS】


ガンダムF90
サナリィがフォーミュラ計画の一端で開発した小型MS。
前述の通り、元ホワイトベース乗組員のジョブ・ジョンが開発に携わっているためRX-78-2ガンダムに似た部分も多く、ガンダムと呼ばれるが、正式名称は「F90」である*3
全身に様々なハードポイントが搭載されており、作戦に合わせた装備を換装することができるが、第一次オールズモビル紛争においてはほとんど素のF90のみで戦い抜いた。
また1号機には「Type-A.R」、2号機には「Type-C.A」の疑似人格プログラム(コンピューターのハード自体は「8000系ニューロコンピュータ」)が搭載されているのも大きな特徴。
1号機は青と白基調のカラーリングだが、2号機は濃紺色といわゆるティターンズカラーとなっている(『FastestFormula』時点では白基調のカラー)。

実は戦いの後2号機は回収されており、修復と大幅な改修を加えられF90Ⅱとなっている。
この機体はUC116年のガンダムF91の建造時に得られた技術による改修でF90の「二号機にして第二仕様」として生まれ変わった。

機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統』ではナナ・タチバナが一号機(Vタイプ)とF90Ⅱ(Lタイプ)に搭乗している。

また1号機は本作の16年後「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」にてIタイプ(迎撃仕様)装備で戦火に投入されている。
このIタイプは通常と違い、肩をF90Ⅱ仕様に変更したり小型核弾頭ミサイルを搭載したショットランサー兼ビームライフルを装備し、旧式機のため出来る限りの内装のチューンが施されている。
搭乗者はミノル・スズキ。


SFCのゲーム版である『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』にも前半の主人公機として登場。デフが登場した1号機と同一。
ただ、「A.R」がちゃんと稼動してる描写はない。
最初はA(強襲仕様)・D(接近戦仕様)タイプのみしか使えないが、途中からVタイプ(ヴェスバー試験仕様)も使用可能。
イベントでPタイプ(大気圏突入仕様)も登場する。本当はHタイプやMタイプも出る予定だったが容量不足等の理由で断念。
F90の育成状態からF91の能力も変化する。なお、F91はシーブックが乗った物と同一の機体。
調整が施されておらず、更にバイオコンピューターは未搭載の為、F91本編よりは弱い状態。
スーパーロボット大戦αには機体(Vタイプ)のみ隠し要素で参戦。DC版ではF91との合体攻撃もある。
というと、MS主体なら入手すべきと言いたくなるが、この時こいつが手に入らないルートで隠し扱いのサザビーが確定入手できる上に、条件を満たせばΖⅡシャア専用ザクも手に入り、νガンダムHWS入手のフラグも立つ
…いくらなんでも対抗馬の入手MSが豪華すぎて選ばれにくい。そんな悲しい立ち位置である。合体攻撃もサザビーがνガンダムと使えるし

3号機もあると言われているが、詳細は不明。

【余談】


本作の最終決戦は00ケルディムアルケー戦と重なる要素が多い。

  • 要塞内部での戦闘。
  • 主人公の機体がフル装備*4であり、消耗している。
  • 敵が熟練パイロットな上にコンピュータ補正もある。
  • 敵の乗機が盗まれたガンダム2号機の改修機。色が赤い。



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最終更新:2024年03月13日 11:19

*1 サナリィはサイド4に本社を構えている。

*2 AE側の競合MSが「MSA-120」という型番なのはその名残である

*3 これはサナリィ上層部がガンダム式のデザイン意匠やコードネームを嫌っていた為

*4 厳密にはF90側は野戦換装の非正規混載パターンフォーマット、00側は正規の換装フォーマットに則った物だが