魔法省

登録日:2013/10/29 Tue 23:08:21
更新日:2024/04/22 Mon 16:21:30
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魔法省(Ministry of Magic)とは、小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場する架空の機関。
司法や外交といったマグル社会の政府と同様の任務の他に、魔法の存在をマグルから守ることを目的とする。
尚作中では英国の他、トランシルバニアなどの魔法省が確認されているが、本項目では英国魔法省について説明する。
ちなみに「ポッターモア」で明かされたが、我らが日本国にもちゃんと魔法省は存在するとのこと。

庁舎はロンドンの地下に設置されており、職員は煙突飛行ネットワークで、外来はロンドンに設置されている電話ボックスに偽装されたエレベーターを用いる*1
最終巻のヴォルデモート卿による支配下では、煙突飛行ネットワークが高官のみに制限されたため、公衆便所が一般職員の入口となった。

魔法『省』とされているが英国内閣に属しているわけではなく、基本的に英国首相と魔法大臣も互いが交代した際に挨拶をする程度。だが三巻のようにシリウス・ブラックがアズカバンを脱獄し逃走中であるなど、魔法界の出来事がマグル界にも影響を及ぼしうると考えられる場合は情報提供をするときもある。
議会などの存在は確認されておらず、どう見ても三権分立がなされていないといった問題が見られる上、
本編中では恣意的な法の運用、事なかれ主義・官僚主義の横行、死喰い人(デス・イーター)であったと目されるルシウス・マルフォイが大きな影響力を持っているなど、
アーサー・ウィーズリーアラスター・ムーディキングズリー・シャックルボルト、アメリア・ボーンズのような極々一部の人間を除けば清廉とはとても言えない組織となっている。

ぶっちゃけ上から下まで腐敗の塊

三巻まではあまり登場せず、ハリーのホグワーツ外での魔法使用に際してやウィーズリー家などの話題に登場した程度。
ただし一巻序盤からハグリッドが新聞を読んで「魔法省がまた問題を起こした」と言っている。

四巻ではクィディッチワールドカップ、三校対抗試合で初めて直接関係者が登場。回想ではヴォルデモート失墜後の死喰い人の裁判のシーンも見られた。

五巻ではファッジとダンブルドアの決別の結果、ハリーの魔法使用の尋問のために最高裁を召集、アンブリッジを通じてホグワーツに介入するなど殆ど敵組織。
一方でハリーが初めて訪れたことで、庁舎について描写された。
終盤での不死鳥の騎士団と死喰い人の戦闘で結構な損害を受ける。


公式にヴォルデモート卿復活が認められた六巻では、復活の事実を隠蔽していた事でイギリス魔法界の世論から散々叩かれた結果、ファッジは魔法大臣を辞任する羽目になる。
新大臣スクリムジョール主導の下、これまでの事なかれ主義な政策に対する批判の目を必死に逸らそうと白々しいまでに死喰い人やヴォルデモートへの対抗策を打ち出すアピールを敢行。
前体制下では半ば狂人扱いして、散々貶めていたハリーにも掌を返し、宣伝塔的存在になってもらおうと歩み寄ろうとする。
が、一方でダンブルドアへの不信感は拭えず、ハリーの方も前年度にファッジやアンブリッジから受けた仕打ちから魔法省に対する信頼はゼロに近く、今更協力する気なども毛頭なく、結局は距離を置かれる事に。

最終巻に至ってはスクリムジョール大臣が殺害され、後任のシックネスは服従の呪文をかけられヴォルデモートに掌握されてしまい、ハリーは『問題分子ナンバーワン』*2としてとうとう指名手配犯扱いされてしまうばかりか、ハリーに協力しようとする魔法使いへの取締りや、ヴォルデモートの嫌うマグル出身の一般の魔法使いに対してもその力を向けるようになる。

ヴォルデモートが打倒された後、アンブリッジをはじめとする腐敗役人や、死喰い人に与していた魔法使いの多くが失脚しアズカバン送りになるなどした。
同時に魔法大臣となった良識派の魔法使いの第一人者であるシャックルボルトが組織全体に大きな改革を施し、後年にはシャックルボルトの後任としてハーマイオニー・グレンジャーが大臣に就いた他、闇祓い局の局長(更に後には魔法法執行部部長)となったハリーをはじめ、ダンブルドア軍団関係者が複数所属するなどした事から、少なくともヴォルデモートの生前よりは内部の腐敗は改善されたものと思われる。

ちなみに作者がTwitterに投稿したところによれば、ホグワーツ魔法魔術学校の学費は魔法省が全額負担しているそうだ。

【機構】
魔法省の各部署について記す。また職員も作中に登場した一部を併記。
《魔法大臣室》地下一階
○魔法大臣
最高権力者。英国魔法世界全体の指導者と言える役職。
コーネリウス・ファッジ(一巻~五巻)、ルーファス・スクリムジョール(六巻~七巻)、パイアス・シックネス(七巻)、キングズリー・シャックルボルト(七巻~八巻)、ハーマイオニー・グレンジャー(八巻~)


○大臣顧問
コーネリウス・ファッジ(六巻~)


《魔法法執行部》地下二階
警察・司法などを担当。省最大の部で、神秘部以外の全ての部は魔法法執行部に対して責任を負うという。
○部長
バーテミウス・クラウチ(原作以前)、アメリア・ボーンズ(~五巻)、パイアス・シックネス(六巻~七巻)、コーバン・ヤックスリー(七巻、死喰い人)、ハリー・ポッター(原作後)

○魔法警察部隊
警察にあたる。因みに作中の魔法世界では『警察』という語彙はなく(マグルの警察を『慶察』(プリーズマン)と呼んでいる)、この名称は日本語版における誤訳。
直訳するならば「魔法法執行部隊」の方が適切。

○闇祓い局
対テロ部隊。闇の魔法使いの捜査、逮捕などを任務とする。優れた魔法使いしか採用されず、採用数0の年もある。
なお、採用にあたっては闇の魔術に対する防衛術、変身術、呪文学、(ハリーにとっては頭の痛い話だったが)魔法薬学、薬草学の成績が特に重要とされる。
任務の内容から殉職や重症を負うものも少なくない。
局長:ルーファス・スクリムジョール(~五巻)、ハリー・ポッター(八巻~)
キングズリー・シャックルボルト、ニンファドーラ・トンクス、ドーリッシュ
アラスター・ムーディ(元)、フランク&アリス・ロングボトム夫妻(元)

○魔法不適正使用取締局
未成年の魔法使用の監視も行う。二巻ではドビーの使った魔法をハリーのものとして警告を送る辺り、監視体制にはやや疑問も。
…というのも、未成年の魔法使いがいる場所で魔法が使用された事は分かるが、使用者までは分からないという欠点があるためである。
成人の魔法使い(主に保護者)と同居している未成年なら、この不適正使用を掻い潜れる事になってしまう*3

○マグル製品不正使用取締局
魔法のかけられたマグル製品を取り締まる。局員が二人な上、その扱いを見るに窓際部署と思われる。
六巻で局長だったアーサーが異動してからの動向は不明。
局長:アーサー・ウィーズリー(~六巻)
パーキンス

○偽の防衛呪文ならびに保護器具の発見ならびに没収局
六巻で新設。ヴォルデモート一派に対する恐怖につけこんだいかがわしい商品の取り締まり、売人の摘発などを行う。
局員が11人ほどいるらしい。
局長:アーサー・ウィーズリー(六巻~)

○ウィゼンガモット法廷 地下十階
裁判所。一審制。
四巻の回想では死喰い人への審問も行われた。五巻では未成年の魔法使用容疑で大法廷が召集された。司法の場であるにもかかわらず、魔法界の行政の長たる魔法大臣が審理に参加できてしまうなど、マグル目線だとその公正さは結構怪しく見える。
開廷ギリギリの時間に、突然裁判の時間と場所を変更するなどの不公平性もみられる。
最高裁主席魔法戦士:アルバス・ダンブルドア(五巻で一時剥奪)


《魔法事故惨事部》地下三階
魔法界・マグル界での魔法事故に対応する
次官:コーネリウス・ファッジ(元)

○忘却術師本部
マグルの記憶を消去する忘却術師が所属。

○誤報局
魔法界の事故が隠蔽できないほど大きくなった際、マグル政府と協力してマグルが納得する事実をでっち上げる。
ネス湖のケルピー(ネッシー)を捏造だとマグルに信じさせた。

《魔法生物規制管理部》地下四階
魔法生物の管理・保護を行う。人間に近い生物を所管する存在課、様々な動物を対象とする動物課、ゴーストを対象にする霊魂課*4に分かれる。
人狼関係の部署が存在課と動物課に分割されているなど、分類には適当な面もある。

○存在課
日本語だと分かり辛いが原語はBeing Division。Human BeingのBeingである。
一言で言うと法治国家の一員でいられればこちらに分類される。

  • 狼人間援助室
人間状態の人狼を支援する。

  • 屋敷しもべ妖精転勤室
恐ろしく暇らしい。


○動物課
  • 危険生物処理委員会
所属:ワクデン・マクネア(死喰い人)

  • 狼人間登録室
  • 狼人間捕獲舞台
変身状態の人狼を担当。

  • ケンタウルス連絡室
ケンタウルスを担当。ケンタウルスがこの部署を利用したことはなく、「ケンタウルス室送り」という言葉はクビを表す隠語になっている。
(ケンタウルスや水中人は、自分たちが人間の基準で分類されることを望ましく思っていないため)

《国際魔法協力部》地下五階
国外の魔法使いとの外交を担当。(少なくとも法執行部と比べると)傍流らしい。
クィディッチワールドカップにも携わる。
○部長
バーテミウス・クラウチ(~四巻)


《魔法運輸部》地下六階
交通・運輸を担当。
煙突飛行ネットワークや姿現し、移動キーを管轄する。


《魔法ゲーム・スポーツ部》地下七階
ゲームやスポーツ、特にクィディッチを管轄する。
○部長
ルドビッチ・バグマン(~四巻)


《神秘部》地下九階
逆転時計や予言の管理を担当。
愛や時間、死についての研究を行っている。
職員は『無言者』と呼ばれており、どのような活動を行っているのか、省内ですら殆ど知られていない謎の多い部署。
その部屋には、何かの脳など、何のために使われているのか分からない物体が多数ある。
ダンブルドア曰く、この部署には一つの施錠された部屋があり、そこにはハリーが多く持ち、「例のあの人」が全く持たない力で満たされているという。
……作中では説明されなかったが、シリーズを追いかけ続けてきた方なら自ずと推測出来るだろう。


○その他の部署・役職
○守衛室 地下八階
外来はまずここで杖を預ける。
因みに地下八階には他にアトリウムがある。

○魔法ビル管理部
庁舎の管理。

○ホグワーツ高等尋問官
ドローレス・アンブリッジ(五巻)
大臣に任命され、ホグワーツに対し指導を行う。

○マグル生まれ登録委員会
ヴォルデモートに魔法省が掌握された七巻で新設。
「魔法を盗んだ」マグル生まれの魔法使いを審査、アズカバンへ投獄する。
委員長:ドローレス・アンブリッジ






追記・修正は魔法省を改革してからお願いします。

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最終更新:2024年04月22日 16:21

*1 62442にダイヤルして名前と要件を伝えると、お釣りの所にバッジが出てくる

*2 表向きには「ダンブルドア殺害の重要参考人」。

*3 逆に、二巻のハリーのように、他に成人の魔法使いがいないはずの場所では、未成年者が魔法を使ったという事になる冤罪も発生するようである。

*4 ゴースト達が「過去形の存在である自分たちに通常の生物の分類を当てはめないでほしい(意訳)」と主張しているため