ニュータイプ研究所(ガンダムX)

登録日:2012/10/24(水) 09:13:25
更新日:2023/02/06 Mon 22:27:24
所要時間:約 8 分で読めます




ニュータイプ研究所とは、「機動新世紀ガンダムX」に登場する研究施設及び組織である。
本項では関連される四人の被験者(MSは別途記載)についても言及する。
以降【NT研】と略式に記載。


研究所概要

ガンダムX本編に登場するニュータイプの研究を一手に担っていた研究施設である。
旧連邦軍時代から存在しているが劇中ではあくまで失われた旧連邦時代のニュータイプ関連の研究資料や技術を再解析していると見られる部分が多い(戦後は政府ではなく資本の支援で再建されたとも明言されている)。
所長はカロン・ラット。フロスト兄弟カテゴリーFと呼んでいたが、彼女が兄弟をカテゴリーF判定した直接の人物であるかは不明(ちなみに本人はそれに対する彼等の憎悪は全く知らなかったようだ)。
所在地は中央アジアで、岩山をくり貫いたような形で巧妙に偽装されていた。

ジャミル・ニートはNT研出身者ではないようで、当時の全てのNTがNT研に関わっている訳ではないようだ。
……が、ジャミルの「NTは迫害され、道具のように利用される」という危惧の根底はこのNT研が元祖といっても過言ではないほどに、やっている事はえげつない(後述)。


研究の方針・成果


前述の通りあくまで旧連邦時代のニュータイプ技術の再解析がメインである。
そのため、NT研究所と関連がはっきり設定がある原作登場のMSはフラッシュシステム以外はごくオーソドックスな機能しか備えていないラスヴェートのみであり、
コルレル等は新連邦参謀本部が開発した等、他の場所で開発された物であろう事からも窺える。
昔はビットMSなどの旧連邦軍NT兵器の全てを手掛けていたであろう事もあり、恐らくはD.O.M.E.の建設やファーストニュータイプの研究にも何らかの関わりがあると思われる(因果関係は不明)。

なおサテライトシステムはフラッシュシステムを利用して中枢制御部としてD.O.M.E.を使用しているものの、
基本的にはあくまで民間の月面太陽光発電送信システムでありニュータイプ研究所の研究の埒外に有る物である。


このNT研のNTに対する意識、一言で表すならばまさに「生体パーツ」である。
ニュータイプを研究する施設ながら、宇宙革命軍において人類の革新と大々的に喧伝されたニュータイプは、旧人類の支配体制にしがみ付く旧連邦においては厄介者以外の何者でもない。
だがその未来を読む力、フラッシュシステム起動時の絶大な戦闘力を知った彼等はニュータイプを戦争の道具として見る事にしたのだ。

特にガンダムベルフェゴールとLシステムに関してはそれが顕著であり

「NTの戦闘力でNTを倒すMSを開発しました!(キリッ」

「え?乗ってるNTに負担が強すぎる? あ、そうなんだー……で、それが何か問題?

というMSと、

「え? 酷使し過ぎてNTのルチル・リリアントが精神崩壊した? もう戦えないじゃないか」

「うーん……でも戦争を憎む心がまだ残っているなー」

「じゃあ彼女の精神を身体ごと機械に閉じ込めて、フラッシュシステムの応用で周囲の機械を使用不可能にする生体システムにしよう! いいじゃん、盛り上がってきたねぇ!

……というシステムから、NT研のニュータイプに対する意識が端的に表されており、非常に分かりやすい実例と言えるだろう。


特にLシステムの件ではルチルの唯一残った戦いを憎む心を利用した挙げ句、
結果的にルチルは海の底で十五年間身動き一つ出来ず、死ぬ事すら出来ない状態に陥っている。
この様な姿勢は、ガンダムX本編においてはNTの希少性から幾分か軽減されている(健康面と命だけは尊重)ものの、
新連邦軍の姿勢が殆ど変わっていないことを鑑みれば人間としての待遇など望めないだろう。

また、NT能力を最大限に破壊力へと還元出来て、汎用性・応用性も高いフラッシュシステムに拘っているため、
NT能力の片鱗を見せてもフラッシュシステムに適合出来なければ過去も戦争後もNTとは見なさない(※カテゴリーF)。
そして興味も持たなくなるため、扱いは極度に悪くなる。


まさに外道


最期


と、新旧連邦軍の戦力の中枢、決戦兵器の開発まで担っていたNT研であるが、新連邦軍側に全く信用されていなかった。
これはそもそも新連邦軍でも脅威であるNTに深く関わる施設であり、
多様な視点を持って研究しなければならない関係上宇宙革命軍から亡命してくる研究者達も一手に受け入れていた為である。(実際相当数の宇宙革命軍スパイは潜り込んでいたが)。
つまり「いつ寝首掻かれるか分かったもんじゃない」ということである。

余談だが、NT至上主義を掲げる宇宙革命軍側のNTの扱いも連邦やNT研と大差なかったりする。
直接的な非道さが目立たないだけで、プロバガンダの材料あるいは兵器としか見なさず、地球に潜伏した一派も
「NTが居ない? 薬(強烈な副作用付き)で強化して作ればいいじゃないいいじゃん、盛り上がってきたねぇ!よし騙そう!
的発想が基本だったりすることからお察しである。


最期には、フロスト兄弟の嘘の密告を信じた新連邦軍と、自分達が「出来損ない」の烙印を押したフロスト兄弟の手により、所長ら研究者諸共徹底的に壊滅させられた。
フロスト兄弟がNT研究所を激しく憎んでいなければ(少なくとも原作の期間では)まず滅んでいなかったことを考えると、巡り巡って自業自得とも言える。
外道にはお似合いの最期だろう。


ちなみにガンダムXの外伝漫画でNT研の跡地からガンダムベルフェゴールが発掘されている。
この事から、新連邦軍がNT研から技術を接収したり、跡地を調査したとは考え難い。


関連人物

被験者達


ガンダムX本編では、NT研によりNTに覚醒しうるのではと言われた被験者が四人登場する。
これは恐らく「NT=エースパイロット」という図式を逆転させ、エースパイロットの中からNTを探し出そうという試みのようである。
彼等はそれぞれがそれぞれの戦場で戦果を挙げていて、「ガンダムDXを破壊したら二階級特進」という条件のもとガロード達に襲いかかるのだった。

……しかしながらその内約は、四人中三人がそこいらの強化人間よりキワモノというなかなかに濃い面子であり、その独創性しかないMSも極まって、本編でも評価がかなり分かれる部分である。
ある意味ではこの連中のさきがけと言えるかもしれない。知名度は天と地ほどの差があるが…。
もしくはこの連中の後継とも言える。見た目はあまり奇抜ではないが。
また、以下の四人はいずれも現実世界においても精神疾患と認められている症状を発している。
NT研がNTに対してどんなイメージを持っていたのかがよくわかる例といえよう。


・デマー・グライフ
CV:遊佐浩二
アフリカ戦線において「白い死神」の異名で恐れられたパイロット。階級は少尉。
機体の特性をフルに活用した機動戦を得意とするが、白色に異常な執着を見せる傾向がある。
初登場時には、白く塗られていないコルレルを見て「何で白じゃない!?」とフロスト兄弟に激怒する辺りその執着っぷりが計り知れる。
誘い込まれたガンダムDXをビームナイフ一本で圧倒するも、ガロードの機転によりヘッドバルカン、マシンキャノン、ブレストランチャーの一斉射で蜂の巣にされてしまった。


・ドゥエート・ラングラフ
CV:真殿光昭
「東部戦線の狩人」と呼ばれるエースパイロット。
子犬をかわいがるような優しい青年と、「戦争が趣味」と言い切る程の残虐な男、二つの顔を持つ多重人格者。
ちなみに後者になると髪が逆立ち赤毛に変わる。
エスタルド国内で将軍救出を急ぐウィッツとガロードを奇襲、ブリトヴァの特異な武装で苦しめるが、ウィッツを餌にしたガロードに隙を突かれてワイヤーカッターの基部を撃ち抜かれ、その直後にウィッツのエアマスターのビームの一撃でコクピットを撃ち抜かれて倒された。

正反対の多重人格者ながら意外とこの手のキャラにありがちな両人格の軋轢がなく、青年人格が「君も僕なんだ」と残忍な人格を認めており、人格が一つになる感覚に安らかな笑みを浮かべつつも、「あの子犬、元気にしているかな?」と直前に出逢った子犬の安否を気遣いながら燃え盛るコクピットの中で逝った。
青年人格がメインであるように描かれていたが、厳密に最後までどちらが主人格だったかは言及されなかった。

漫画版では尺の都合で凶暴な方しか登場しなかった。
スパロボRでは2つの人格それぞれに顔グラが用意されており、死に際に人格の統合を果たすところも一緒と割と印象に残る扱いをされている。


・ミルラ・ドライド
CV:津久井教生
インド戦線では「不死身の殺人マシーン」と揶揄されたエースパイロット。
死に憧憬にも似た特別な感情を抱いているらしく、「強敵とのギリギリのせめぎ合いの果てに訪れる死」を渇望して戦場に出ている。
しかし死にたがりではない。雑魚には容赦が無い性格でもある。
搭乗機・ガブルを駆りエスタルド公国から抜け出そうとしていたフリーデンを強襲。
圧倒的な防御力でガンダム三機を追い詰めるが、ロアビィのガンダムレオパルドとの零距離の死闘の果てにフィールドジェネレーターと装甲を破損、他のガンダムの一斉砲火を受け、自身の望んだ死に歓喜しながら爆散消滅した。

漫画版では上記2人共々、ガンダムDXがゾンダーエプタ目掛けて発射したツインサテライトキャノンから逃げ遅れて三人仲良く蒸発した。


・アベル・バウアー
CV:中村秀利
おっさん
太平洋戦線で活躍したエースパイロット。
四人の中で唯一オサレな二つ名を持たず、更に唯一ニタ研から太鼓判を推された、フラッシュシステム対応のニュータイプである。

覚醒率は5%未満と非常に低かったものの、フロスト兄弟に置き去りにされ窮地に立たされた瞬間覚醒。
搭乗機・ラスヴェートのフラッシュシステムを使い三機のガンダム(レオパルドは修理が間に合わず出撃不可)を圧倒するなど、作中最強クラスの戦闘力を見せつけた。
ティファ曰く「私ともカリスとも、ルチルさんとも違う」らしく、ガンダムXにおけるNTという存在の最終的な評価の一端を表す存在でもある。
事実、ティファ達のようにテレパシーで会話は一切していない。

ガンダムDXにトドメを刺さんと襲いかかるが、ティファガロード愛の力(NT能力による本物の判別)により親機のラスヴェートを損傷。
フラッシュシステムを潰され、原因であるティファに襲いかかったものの、再びガロードの愛の力(ビームソードによる横槍)により阻まれ、撤退を余儀無くされた。

しかし帰還した彼を待っていたのは、フロスト兄弟による鉛玉であった。
彼等の目的であるニュータイプの殲滅に基づき、そのまま彼は射殺されてしまったのだ。

ちなみに元々殺す気満々だったので彼らの計画通りの行動なのだが、
ただでさえ期待されていた上に彼らが世界を憎む発端となったフラッシュシステムに対応したことで、アベルに対してはより一層憎しみが増していたと思われる。


これはフロスト兄弟がNT研を破壊する上で、邪魔に成りうるニュータイプ候補者を隔離し、フリーデンにぶつけ共倒れを狙うものだった。
もちろん、NT研には全員カテゴリーFだったと報告し、それまでのフロスト兄弟の根回しとNT研が飴と思っていた報酬(※彼らはもうそんなものに釣られない)によってNT研は報告を信頼していた。
もちろんカテゴリーFに興味が無いのは前述の通りなので、戦死した彼らへの興味はあっという間に失った。
結果としてNT研を守れる者達はいなくなり、フロスト兄弟からすると隙だらけの体制となり、フロスト兄弟の望むままに全ての事象は進んでいったのだった。





追記・修正はフラッシュシステムに対応してからお願いします。

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最終更新:2023年02月06日 22:27