喧嘩商売(漫画)

登録日:2012/02/17(金) 15:41:23
更新日:2024/01/09 Tue 17:40:59
所要時間:約 16(格納部込みで25) 分で読めます




最強の格闘技は何か!?

多種ある格闘技がルール無しで戦った時…

スポーツではなく

目突き金的ありの『喧嘩』で戦った時 最強の格闘技は何か!?

今現在 最強の格闘技は決まっていない


ジャンプ伝説の怪作『幕張』で一部に知られる木多康昭の漫画。ヤングマガジンで連載。全24巻。
第1部『喧嘩商売』終了後、数ヶ月の休養期間を経て第2部……のはずが作者が逃亡を続け、4年後ついに捕獲されて強制的に連載が再開。
第2部『喧嘩稼業』として現在ヤングマガジンで連載中。既刊13巻。

なお、作画にはコンピューターグラフィックスが使われている、それを導入したことにより、書くペースが遅くなってしまい、現在は隔週連載になっている。


〇内容

行座宇都宮高校へ転校してきた主人公・佐藤十兵衛の喧嘩にまつわるストーリーを描く。
要するに格闘漫画なのだが、格闘家のフィジカルや技術以上に知略・策略が重視されており、特に十兵衛の卑劣ギリギリな事前・戦闘中の策謀が見どころ。
例を挙げると、試合であれば自分有利なルールに設定されるよう画策したり、催涙スプレーを使い、相手の視界を奪ってビルの屋上から転落を誘導するなど。

また合間に挟まれる、木多漫画ならではの本筋には関係ないブラックギャグ色の強いエピソードがこの作品の個性を強くしている。

〇登場人物

◆富田流

実在する古武術流派。
冨田勢源(作中で語られたところによると、『バガボンド』の小次郎の師匠の鐘巻自斎の師匠)を開祖とする流派。よって刀を扱う技術もある。
文学の一派は江戸後期に分派したものだという。
一子相伝で代々受け継がれてきた立派な流派なのだが、どこぞの6代目がアラフォーになっても童貞なせいで存続が危ぶまれていた。

佐藤十兵衛

本作の主人公。宇都宮ラッパー。
転校初日にチンピラ数名をボコボコにし、さらにヤクザを教室から投げ飛ばしたため全校生徒から恐れられるようになった。
詳しくは項目で。
ちなみにエアリア充の童貞で仮性包茎。

●入江文学

古武術富田流6代目継承者。十兵衛の師匠。通称文さん。
小さい頃から武術一辺倒だったため、性知識が乏しく38歳現在未だに童貞。その事を言うと本気で落ち込む。
9年前、父を田島彬に倒されて以来田島に復讐するため修行を積んでいる。
その修業はそのへんのヤクザの事務所をメタルスライムを狩るかのように襲撃して全滅させるという凄まじいもの。学生時代には既にハマっていたらしい。
当然報復に来るヤクザも返り討ちにして経験値にしている。
しかし近年はその程度では練習台にならず、十兵衛を弟子にしたのは彼を練習相手にするという目論見もある模様。

独りで家事をこなすうち、独力でおせち料理を作れるくらいの腕前になった。十兵衛に手作りおにぎりなどを振る舞ってはキモがられる。
十兵衛は彼の弟子だが、恋愛事情においては(ネット及び妄想で)経験豊富な弟子に対して全く歯が立たず、密かにエアリア充疑惑を持ちながらも慄いている。

父とのエピソードは「木多なのに泣かされた」と好評。
その強さや親しみやすい性格からも人気が高い。漫画家・田丸浩史曰く「宇宙一かっこいい童貞」。

●入江無一

文学の父。富田流5代目継承者。
父(文学の祖父)の不動産収入で生活しており、働かずに修行に明け暮れる日々を送っていた。
巨大な灰色熊を蹴りの一撃で殺害し、空手王と讃えられる山本陸が立ち会いを望むなど、その強さは作中でも屈指と思われる。
しかし、9年前に事前のある戦いで重傷を負っていたところを田島彰に奇襲され、昏睡状態に陥る。
8年の歳月を経て目覚め、文学の成長を見届けながら息を引き取った。

◆暴力団

●工藤優作

最強の喧嘩師。
生まれた時に母親に捨てられ、死にかけた経験から体内のアドレナリンを自由に放出する事ができる。
また身体能力も凄まじく、握力だけで相手の骨を折り、ビルから突き落とされようが倒れない耐久力を持つ。
上記の名前は15歳の時にヤクザから買って得たもののため、生まれた時の名前は存在しない。バーローの父親は関係ない。
強い敵と戦い戦闘に満足すると「燃えたぜ」とつぶやき逆に手ごたえがなく満足しないと「燃えねえな」とつぶやく癖がある。

本格的に喧嘩業に身を投じる前だが十兵衛の仕掛けたさまざまな罠を超人的なパワーでねじ伏せた結果十兵衛をフルボッコにし、
ついに失禁しながら命乞いさせ殺害寸前まで追い詰めたものの、仲間のヤクザから止めが入った*1ことで「親に救われたな」の捨てセリフで彼に完全な敗北と強い恥辱と屈辱を味わせた。
そのため、現在はこの工藤を打倒する事が十兵衛の大きな目標の一つとなっている。
一方、勝利した工藤も無傷では済んでおらずしばらく病院で療養することを余儀なくされるほどの状態まで追い詰められていた。
その分十兵衛との戦いに満足し「燃えたぜ」とつぶやいた。


梶原修人

古武道「梶原柳剛流」継承者。
13歳で初めて真剣を握り、その日に燕を切り落としたという天才的な実力者だが、流派の名誉のためならばあらゆるモラルを無視する危険人物。
……なのだが、全体的に小物っぽさが漂う残念な人。詳しくは項目で。

陰陽(インヤン)トーナメント主催者

●田島彬

総合格闘家。元進道塾門下生。
ボクシング・ヘビー級チャンプを一蹴する圧倒的な実力を持つが、それ以上に最大の武器は十兵衛をも上回る知略。
ルールの隙を突いて直接戦う事なく対戦相手を死に追いやり、裏格闘場では対戦相手を蹴りの一撃で殺害するなど、一切の情を持たない男。
9年前に山本陸や無一を襲撃し、陸の片目を奪い無一を昏睡状態に追いやった。
そのため、進道塾関係者や文学からは仇と狙われている。

アメリカで得たファイトマネー2億ドルを手に帰国し、国内の強者を集めたアンダーグラウンド大会「陰陽トーナメント」を主催する。

◆進道塾

フルコンタクト空手団体。モデルは実在する極真空手か。

●高野照久

進道塾の天才高校生。来るとわかっても避けられない「光速後ろ回し蹴りの高野」の異名を持つ。
十兵衛のクラスメイトでもある。
非童貞、しかも相手はハーフのビクトリア。ノーとは言えない性格。

かつていじめられていた十兵衛を不良から助けた事があり、その出来事が十兵衛を喧嘩の道に進ませた。
後に十兵衛と夜の体育館で闘い、暗い体育館を利用した策略と十兵衛に技を盗まれ続けた事により敗北。
その後は喧嘩を商売とするために総合格闘技に転身する。

イッてる奴の多いこの漫画において貴重な爽やか風味の善人だが、そのせいか噛ませ犬役が定着しつつある。
十兵衛の(一応)良い友人なのだが、しれっと利用されているあたりがなんとも。
陰陽トーナメントでは十兵衛のセコンドとなり、彼の謀略の片棒を担がせられる。

●山本陸

進道塾創始者。空手王の異名を持つ最強の空手家。モデルは大山倍達か。
圧倒的な実力で名声を欲しいままにしていたが、9年前にかつての弟子・田島彰に襲撃され、片目を失う。
(なお、この件が無一の仕業と勘違いされた事が、前述の無一の悲劇に繋がる)
その後は武者修行を名目に消息を絶ち、残された進道塾は分裂する事となった。

進道塾秘伝「煉獄」の開発者でもある。

●山本海

陸の息子。現在の進道塾館長だが、実力・人望の両面において疑問が持たれており、塾の分裂を防ぐ事ができなかった。

陰陽トーナメント開催に伴い進道塾代表として上杉を復帰させねばならなくなり、自らの器の小ささに号泣・心情を吐露しながら彼に復帰を要請。快諾され、共に分裂していた流派をまとめあげる。

●上杉均

進道塾高弟。陸に並ぶ実力を持つとされる「喧嘩王」。
弟子想いで義侠心があり人望も高いが、それ故に勘違いで無一を襲撃、遺恨を残してしまった。
進道塾の掟に背いた事で破門されていたが、陰陽トーナメント出場のため進道塾に復帰。

陸を除けば、「煉獄」を完全な形で使える唯一の男。

●橋口信

元進道塾高弟。中量級・軽重量級で三度の全国優勝経験を持つトップ選手。
上杉に恩義があり、彼が塾を破門されたのを受けて自身も塾を離れ、総合格闘技に移籍する。
しかし、八百長の依頼を断った事で暴力団・講談会と敵対し、雇われた工藤に襲撃を受けて敗北。
その後は借金返済のために講談会の用心棒として活動していた。

文学の正式な弟子としてメタルスライム講談会狩りを続ける十兵衛と激突。
十兵衛の策略と富田流奥義「金剛」の前に敗れ去る。

◆柔道

●金田保

元オリンピック柔道金メダリスト。現在は総合格闘家。
実力も相応にあるが、かつて国体の1位・2位を罠にはめ失格させ、自分を繰り上げ優勝できるように仕向けるなど目的のためには一切手段を選ばない。
専属ドクターである後藤とは学生時代からの親友だが、当時から彼に濡れ衣を着せて利用していた。
他にも当時の担任の弱みを握ってレイプし、彼女が後藤と結婚した後もしれっと関係を続けるなど、「こんな悪い奴見た事ない」というキャッチコピーを全く裏切らない、どうしようもない腐れ外道。
策謀家という点では十兵衛と似ているが、十兵衛と違い良心の欠片も残っていない。
その一方で、目的のためなら自身のリスクも厭わないなど、ただの卑怯者とも一線を画する。

+ ネタバレ格納
ドクターである後藤を利用してドーピングも常習的に行っており、柔道家ながら打撃戦も得意。

大晦日格闘技イベントにて十兵衛とデスマッチで戦う。
試合前に十兵衛に挑発された事もあり、互いに事前の策を徹底的に行使した上で試合に臨んだ。
グローブにメリケンサックを仕込み、試合中に胃に仕込んだ時限式のドーピングで「魔人」と化して十兵衛を何度も追い詰めるも、十兵衛の策でとどめを刺しきれないまま金田自身も睾丸破裂・骨折多数の重症を負う。
最後の切り札として時限式カプセルを一旦吐き出して直接服用し、限界を超えて魔人化。
勝ちを確信するも、十兵衛に自分が吐き出した残りの薬剤を飲まれ、両者魔人化しての打ち合いの末に薬の有効時間を読み負け、完全に勝機を失う。
負け惜しみも十兵衛に完全論破され、「煉獄」の前にこれまでの悪行を悔いながら失神KOとなった。

試合後、メリケンサックを持ち込む反則までしておきながら高校生に敗北した事で名声も失墜する。
+ そして……
煉獄を食らいながらあれだけ懺悔していたのはなんだったのか、資産家である後藤の一家を殺害してその遺産を貰い受ける事をベッドの上で企んでいた。
が、後藤はそんな金田の目論見はとっくに感づいており、「妻を陵辱していた事も全て知っていた。金田が金を稼ぐから付き合っていた」と告げる。
後藤に致死量の興奮剤を飲まされた事に気付いた金田は薬を吐き出そうとするが、後藤に妨害され、彼の目の前で薬剤のオーバードースにより死亡した。
自分の人生を弄び続けてきた悪魔を殺し、復讐を果たした後藤だったが、そのモノローグは「今日、僕の親友が死んだ」という寂しいものであった。

なお、その死はドーピングの失敗による事故として処理された……
……のだが、十兵衛戦直後の死という事で文学達は「やっちまったな十兵衛」「柔道家殺しと言われていたら本当に殺しちまった」「罪から目を逸らすな!」と十兵衛が試合で殺したと徹底的にネタにしている。
十兵衛は当初は言われるたびに硬直していたが、最終的に開き直るようになった。いいのか。

事実上の『喧嘩商売』ラスボス。
モデルはヌル山こと秋山成勲。

●関修一郎

4大会連続金メダリストであり、国民栄誉賞の授与経験もある最強の柔道家。「仁王」の異名を持つ。
その強さは、同じ金メダリストの金田を6秒で失神させるほど。
またいわゆる我々が知る、オリンピックなどで採用されている講道館柔道だけでなく、「高専柔道」の経験もある。
+ 高専柔道について
高専柔道とは戦前~戦中に旧制専門学校や大学予科など、現在で言うところの大学において学生たちが行っていた独自の柔道及びその大会のこと。誕生は1898年とされる。
今「柔道」と聞けばぱっと柔道の始祖加納治五郎が作った本流である「講道館」柔道が思いつくであろうが(オリンピックの柔道も勿論これである)、
これから派生しながら独自ルール/独自組織として本家の講道館が無視できぬほどの勢力を誇っていた。また学生による大々的な大会としても規模/独自性/歴史の長さ全てで世界的にも類を見なかったという指摘もある。
団体戦であることや練習のすさまじさなど特徴も数多いが、関の高専柔道の経験が戦闘能力に関わる部分としては極めて高い寝技能力が挙げられる。
本流の柔道と高専柔道との違いとして大きく上げられるのが、前者はいわゆる「引き込み」と言った自分から寝技に誘う技術が反則とされている一方後者はそれが許されており、
また前者が寝技において膠着状態だとみなされた場合「待て」がかかりお互い立った状態からまた仕切り直しになるのに対し、後者は試合時間いっぱいまで続くことである。
つまり高専柔道においては「試合開始直後からお互いが寝技の攻防に入り、ひたすら粘っこく相手に関節技や締め技を狙う、そしてそれをひたすら凌ぐ――試合終了まで」という流れなど珍しくもなんともないのだ。
逆に高専柔道側からすれば寝技も立ち技(投げ技)も許されているので必然的に寝技重視となったのであり、講道館柔道こそ変に寝技を排斥していると主張していた
(実際戦前に講道館がルールの統一を図ろうと高専柔道側に寝技の制限を申し入れたが、高専柔道側が反発したという件もあったとのこと。寝技も立ち技も認めるルールだと高専柔道の選手にはどうしても勝てなかったゆえ、という説もある)。
なお高専柔道とは関係のないシーンではあるが、文学が「嘉納治五郎は柔道を広めるためにスポーツ化しすぎた」と現代の柔道の欠点を指摘*2しているところもある。
ちなみに高専柔道は主に寝技の開発でも多くの功績を残しており、関が金田に決めた「三角絞め」も元々大正時代に高専柔道のコーチと選手が他校に勝つため開発したものであり、紆余曲折を経てブラジリアン柔術経由で世界の総合格闘家に広まった。
元々は学生たちが試合に勝つために編み出した技が、数十年の時を経て世界の総合格闘家たちの必修科目になるなど、なんとロマンに溢れた話ではないだろうか。
+ 関と高専柔道
なお関がいつ高専柔道に触れたのかは不明である。「戦前~戦中に」と前述した通り、敗戦を機に柔道そのものが軍国主義と紐づけられてGHQによって禁止され、当然ながら高専柔道も消滅した
(そのような中を、武道ではなくスポーツであると積極的に宣伝した講道館柔道がひとり生き延び、今では柔道の代名詞として完全な「ひとり勝ち」状態にある)。
ただしいくつかの大学では「七帝柔道」として現在でも高専柔道ルールを採用した大会を開いており、ありえそうなのは関の出身大が七帝柔道に参加している旧帝大であるということか、旧帝大の七帝柔道部に頻繁に出稽古を行っていたか、あたりだろうか。
まあもっとも喧嘩商売/喧嘩稼業で高専柔道がどうなっているのかわからないので、今のところ関の試合を楽しみに待つしかないのだが……。
なお高専柔道及び七帝柔道では絶対の抜き役(対義語:分け役。勝ち抜きの団体戦である高専柔道において、相手と引き分けて現状をマイナスにしないため分けるのではなく、相手を抜いて有利を作りだす)を「超弩級」という。
関が七帝柔道の大会に参加経験があるのなら、その実力をもって恐らく「超弩級」の位置であったことは想像に難くない。
文学達は大会参加者の中では金降山と並んで最高峰のフィジカルを誇ると評しつつ、性格の甘さを指摘している。

●川原卓哉(カワタク)

柔道金メダリスト。金田や関よりも1つ上の世代。現在は現役を引退している。
文学の高校時代の先輩でもあり、インターハイ優勝した年に彼と試合をして敗北した経験がある。
数年後、オリンピック後の会見で「自分は山本陸に勝てるわけがないが、自分に勝った奴(文学)の師なら勝てそう」と発言した事が陸と無一の対戦のきっかけとなった。
今も文学や十兵衛の練習に付き合うなど仲が良いが、割と外道な文学に「いつか俺も利用されて殺される」と恐々としている。
……既に数年前、山本海に喧嘩を売って門外不出の奥義を出させこっそり撮影する策の片棒を担がされているのだが、全く気づいていない。
陰陽トーナメント編に入ってからは文学とノリのいい会話を交わしつつも、数々の常識から外れたモノを見てはドン引きするシーンが多い。
主に十兵衛・文学チームの一員として偵察要員を務めており、「グローバルホーク(※アメリカの無人偵察機)」の異名を持つ。

◆日本拳法

実在する武道。略称は日拳。

●佐川睦夫

伝説の拳法家・佐川雅夫(故人)の長男。
父から日拳の英才教育(という名の虐待同然の鍛錬の強要)を受けて育つ。
弟ほどの才能がなかったらしく、弟からは露骨に見下されたり、父親から比較されて超えるべき目安として設定されるなどの扱いを受けていた。
マトモな教育を受けていないため口ぶりはたどたどしく、漢字もまともに読み書きできないが、記憶力や観察力に秀でる素振りがある。
父の指導のもと、すべてをなげうって修練に明け暮れてきたが、若かりし田島に敗北したことをきっかけに実力の限界を見限られた結果精神が破綻。凶行に走る。

その後は海外で傭兵として活動しており、殺した相手の血を啜る奇行で仲間から恐れられている。
ブッ飛んだ奴の多いこの漫画でもトップクラスのヤバい人であり、十兵衛曰く「マジモン」。

自らを捨てた「父」を求め続けており、彼の判断で「父」と見込んだ相手を拉致・洗脳して従わせている。
「あなたが父さんだったんですね」はこの漫画最大の死亡フラグ。
ちなみに我らが十兵衛ちゃんは彼を利用しようと接近・信頼を得た結果「彼が弟の徳夫だったのか」と新種の死亡フラグを建てた。十兵衛の明日はどっちだ。

●佐川徳夫

佐川雅夫の次男。とてつもない身体能力・洞察力を持つ天才。読唇術に長け、相手の嘘を完璧に見破る能力も持っている。
動体視力、反射神経が特に鋭く、かつて野球の素人でありながらドラフト指名を受けた事すらある。
一見涼やかなイケメンだが、その実未だに父の死を受け入れられず、常に傍らに父がいる幻覚を見て会話もしている兄に負けず劣らずの精神破綻者。
だが、現在の身体能力も、父の幻覚による強迫観念によって形成されたと考えると皮肉なものである。
才能で劣る睦夫を見下しているが、兄が自分のベッドの下で一週間寝起きしていた事には気づかなかった。
戦うと興奮して眠れなくなるので、自分の試合が始まる直前まで睡眠をとっている。
陰陽トーナメントでは情報のわからない文学と梶原を警戒していた。

+ ネタバレ格納
陰陽トーナメントでは第2試合で石橋と対戦予定だったが、十兵衛が石橋を破り乱入参戦したため、十兵衛と戦う事に。
身体スペックと技術では十兵衛を圧倒していたものの、事前に徹底して策を張り巡らせていた十兵衛によって試合開始直前に「煉獄」を受け、ダメージを負った状態での開戦を与儀なくされる。

そんな状態でも十兵衛のあらゆる攻撃をカウンターで切って落とし、あと一歩で勝利をもぎ取れるところまで追いつめるが、最後の最後、十兵衛が道着を脱いだ際に同調行動で自分も脱いだのが仇となり、梶原が回収していなかった「屍」を食らってしまい戦闘不能に。
富田流奥義「金剛」が直撃し、敗北を喫した。
前述のとおり、洞察力が高いにもかかわらずに第一試合を寝ていて見ていなかったのが敗北の遠因となった。
(もし見ていたとしたら、工藤と梶原の会話を読唇術で読み取って毒の在処に気づいて対応できていただろう…)

その後は彼を身内に引き込みたいタン・チュンチェンと板垣組の取引により、12億円で命を救われる。
が、逆に言うと命と引き換えにタンに12億の負債を背負ってしまったのであり、彼の元から離れられなくなったとも言える。
ちなみに「屍」をぶち込んだ当の十兵衛は、最初に「屍」を持ち込んだ梶原が治療法を知っていると高をくくっていたが、当の梶原が第1試合で負けてさっさと帰国していたために頓挫。十兵衛・高野の間では死んだものとされてしまった。
高野「俺はもうシリウスを見ることはできない!」


+ ...
(父さん……父さんは、死んだ……?俺達が殺した……?いや、違う父さんは生きている……父さんは……)

(12億もかけて命を救ってくれるなんて、そうか……)

「あなたが本当の父さんだったんですね」

「??? 日本語の比喩表現?」

(どうやら記憶を失っているようだな)

その後、兄・睦夫のように、ベッドの上でタンを父親と認識した徳夫。
もうやだこのマジモン兄弟。

◆ボクシング

●石橋強

日本人ながらWBO世界ランキング1位の怪物。「東洋のフランケンシュタイン」の異名を持つ。
その分厚い巨躯と一枚アバラ、強固な首、そして後述のメンタルによって凄まじい打たれ強さを誇る。
それゆえに誰からも試合を避けられるようになり、長年1位に就き続けながらも未だに王位戦の機会がない。
WBC王者であるウォーレン・ウォーカーも彼との対戦は避けていたほど(テクニカルに戦うウォーカーとの相性は最悪)。
フットワークもかなりの練度であり、頭も良いため純粋なボクサーとしても超一級。

ヘビー級ボクサーこそが世界最強と信じており、下の階級のボクサーを「弱い奴らが群れているだけのコロポックル」と見下している。
そんな性格なので親しい者もおらず、あまりに強すぎるせいで試合を組んでもらえず、常日頃から目ぼしい格闘家に喧嘩を売っている。
田島に勝負を挑んだ際には彼の弟子に車で撥ねられてダウンし(なんで生きてんの……?)、その間に田島に逃げられる。
その後、高野から蹴りを学習するべく彼を襲撃し、片玉を潰されるもジャブ一発でKOした。

陰陽トーナメントにボクシング代表として参戦が決まっており、立ち位置から全参加者で唯一トーナメントの参加権をかけた喧嘩を受ける可能性があるとして、トーナメント直前に十兵衛に喧嘩を挑まれ、対決する事に。

+ ネタバレ格納
「十兵衛ぇえええええっ!!助けてくれぇえええええっっ!!」

「オチンチンが破裂してしまう!!パーンて!!!」

何よりも彼の強さを支えるもの、それはダメージを受ければ受けるほど興奮して強くなっていくという極度のマゾ体質であった。
しかも相手は女性でも男性でもイケるというとんでもない男。
またその性癖は相手にも通用すると思っており、彼にとって自他問わず「死」は絶頂でしかない。

この性癖の萌芽は美しい継母にしつけとして叩かれた事にある。当時小学生。
それをきっかけに継母に恋慕を抱くが、それを知ったサディストの父は彼女と息子にSEXを命令
父という絶対者に精神的に支配されながらのSEXという倒錯しきった環境で、己の性癖を磨き続けた。
その後、継母も彼の子を身ごもって自殺。この件が関係しているのか後に父もその手で壊してしまい(作者のTwitterから一応生存はしている模様)、絶対者を失ってしまう。
しかしその継母の死も、彼の目には「絶頂」にしか見えていなかった。

これまでの一方的な戦いは「自慰」でしかなく、十兵衛との死力を尽くした戦いこそ「SEX」であると認識。十兵衛を新たな絶対者として認める。
喧嘩の最中に勃起を始め、「お、犯される」「イクのは一緒だから」と呟き十兵衛をドン引きさせながらも、その身体スペックで煉獄を耐え抜き、頭脳で十兵衛の策を次々と潰していく。
だがエレベーターに誘い込まれた事でフットワークを封じられてしまい、頭をドアの角に何度も叩きつけられ、ついにその装甲を破られる。
そして富田流第3の奥義「高山」で睾丸を握り潰され(高野くんと合わせて通算2個目)つつ、頭部を地面に叩きつけられ敗北。陰陽トーナメントの参加権を十兵衛に奪われる。

試合中はあれだけキモがっていた十兵衛だったが、高山を叩き込む瞬間、戦いたくとも戦えず、また強者としての美学故に十兵衛と戦うしかなかった彼を哀れんでもいた。
救急は呼ばれたものの、その後の容体は定かではない。

◆相撲

●金隆山康隆

戦績843勝0敗0休を誇る史上最強の力士。あまりにも強すぎたため、自ら「突っ張り」「張り手」「閂」「鯖折り」を封印して土俵に上がっていた*3が、それでも一度も膝を付くことはなかった。
ミオスタチン関連筋肉肥大と呼ばれる遺伝子異常により常人の2倍以上の筋量を誇り、さらに身長197cmという正に神に選ばれた身体能力の持ち主である。
相撲の実力を疑う外国人記者の前で、体重1トンの闘牛横綱を合掌捻りで投げ飛ばし、圧倒的なパワーを見せつけた。
あえて禁じ手を設定して技を磨いたことで、相撲の技術自体も高い。
陰陽トーナメント参加者の中では関と並ぶ国民的ヒーローであり、かなりの人格者のようである。

+ ...
陰陽トーナメント1回戦は同じく超ヘビー級の怪物、川口と戦う。
重戦車対重戦車の死闘の末、全力を尽くして戦えたことに満足し、勝利した。


だが川口の蹴りが側頭部にヒットしたことが致命傷となり、試合後に控室で倒れ、生涯一度も敗北することなく死亡した。

◆キックボクシング

●川口夢斗

キックボクシング団体「立技*4」の花形選手。
伝説のキックボクサー・川口拳治の養子で、彼の技術のすべてを受け継いでいる。

◆行座宇都宮高校

序盤の日常パートで登場していたが、作品が本格的に格闘漫画になっていくにつれて出番がなくなっている。

●山田綾子

十兵衛の同級生。十兵衛の転校初日に十兵衛のおティンコを顔に押し付けられたばかりか、2日目には処女まで奪われそうになった。
事あるごとに島田とその仲間に絡まれている。
「背の高さとエロさは反比例する」法則に従うと身長165cmなのでマグロ疑惑あり。

手前ビクトリア

ハーフで長身のブサイク。ハーフなのにブサイク。そしてワキガ。夏の彼女はもはや兵器。
ブサイクだが母親のお見合い相手にスタンハンセンラリアットを決められようが義理の兄と父にフォークで額をぶっ刺されようが怒らないので暴力は苦手のようだ。
しかし高野とのSEXの時にこっそりコンドームに穴を開けていたりする辺り性格は最悪。寝る時は目を開けたまま寝る。

◆島田軍団

島田流空手の使い手・島田武とその関係者。

島袋島田武

JK大好きエロ教師。女子アナも好き(高橋真麻以外)。早漏。
空手有段者で天敵は条例と交番。
十兵衛からはしまぶーと呼ばれている。
十兵衛にストーキングを働くサゲマン・多江山里の退治を引き受けたと見せかけ、まさかの多江山とヤった上に多江山が妊娠した子供を十兵衛に押しつけようとしている。
島田プロデュースによるメガネっ娘でボクっ娘でJKの小林紀子という彼女がいる。

●島田清

武の祖父。
多江山里を巡るいざこざで島田に復讐を目論む十兵衛と対決、体を反らせて攻撃をかわしつつTNKを押し付ける「男イナバウアー」などの技で善戦した。
実は武の祖父ではなく実父で、武は自分の息子(故人)の妻を寝取って生ませた子である。

●東園馬々

●山元池輝

●鷲尾一次

●森元獅子(ライアン)

女子高生を愛する島田の教師仲間。ただし鷲尾は中学生も守備範囲、ライアンに至っては初潮前でもOK。事あるごとに山田綾子に絡む。
高橋ジョージを合法合体ゴッドジョージとして崇めている。
彼らが女子高生との淫行についてトークを繰り広げる幕間ギャグは、よりにもよって十兵衛と金田の死闘の合間に挟まれ読者を非常にやきもきとさせた。

◆佐藤家

●佐藤萌

十兵衛の妹。最近性に興味を持ち始めた。
十兵衛のイタズラによりクラスの男子に恨まれ、万引き少女としてネットに晒されてしまった。
十兵衛からは妊娠していると思われている。
現在は十兵衛が経営するIT企業の名目上の社長としてマスコット扱い。

●佐藤俊太郎

十兵衛の父親。財務省の官僚。
十兵衛に激辛カレーを食べさせられ続けたせいで家族と別居している。

◆白い三連星

●ガイア(品川章二)

●マッシュ(折野仙蔵)

●オルテガ(手前浩哉)

匿名掲示板「ちゃんねるA(某アニメは関係ない)」のVIPPER。
万引き少女の汚名を着せられた萌を制裁するため自宅を特定、凸を敢行するが、萌の策略により全員逮捕された。
オルテガはビクトリアの義理の兄。

○技

◆富田流

以下の3大奥義は名前こそ実在する富田流奥義のものだが、内容は本作オリジナルである。

金剛(こんごう)

敵の心臓を「押す」事で脳を誤作動させ、意識をシャットアウトする一撃必殺の技。3大奥義の中でも富田流の骨子とされる。
心臓を押す事さえできれば技の形式に決まりはなく、拳・肘・蹴りなどバリエーションは多々。
拳よりも蹴りの方が威力が高く、無一は蹴りの一撃で灰色熊の心臓を押して倒す事に成功した他、十兵衛は金田戦で助走を加えた飛び蹴りを繰り出し、敵の背中から押す事に成功した。

使い手は富田流の文学&十兵衛と、文学から技を盗んだ梶原。
文学も十兵衛も割と頻繁にこの技を使っているが、技の性質上相手に心室細動を引き起こしてしまう可能性があり、表の流派の人間からは金剛の存在を知っても「練習相手を殺してしまう可能性があるから取得したくてもできない」と言われてしまう危険な技。

無極(むきょく)

0.1秒で自己暗示を行い、火事場の馬鹿力を自在に引き出したり、逆に痛みを無視するなど万能の技。
攻撃技ではないが汎用性が高く、十兵衛は様々な策謀に利用している。
この奥義を持つ富田流は如何なるテンションからでも一瞬で戦闘に入る事ができるため、文学は「富田流は爆笑しながら人を殺せる」と称した。
イメージがつきづらい人は「セクシーコマンドーを使ったor食らった直後でも臨戦態勢に入れる」と思おう。
十兵衛は工藤戦のトラウマを利用し、0.1秒で火事場の馬鹿力を発生させている。

高山(こうざん)

名前は『喧嘩商売』の時点で出ていたが、披露されたのは『喧嘩稼業』の石橋戦が初。
相手の股間を握りしめ、激痛による硬直で本能的に受け身を封じ、柔道の肩車の形で頭から落とす。
金剛とは別の意味で一撃必殺。見るだけで痛い技。
……この技のみ習得の過程が描かれていないが、やはりメタルスライム(ヤクザ)を狩って習得したのだろうか。

☆煉獄

「あの連打を煉獄っていうんだよ。昨日30分くらいだったかな?」「10分!」「そうそう、10分くらいで考えた技なんですけどね」
「ほら進道塾とかパクりそうじゃないですか?」「パクるのは勘弁して下さいよ」

「富田流の『煉獄』をね」

四肢をフルに活用し、怒涛の連打により相手の防御や回避、そしてダウンすらも許さず、こちらの体力の限界までダメージを与え続ける技。
全く知らない者にはひたすら連打しているようにしか見えないが、その正体は「5回の攻撃を1セットとし、それを7パターン×左右2種用意。状況に応じてパターンを繋げていく」というシステマティックなもの。
相手がどんな状態であろうとも14パターンのいずれかを選択する事で体力が続く限り対応を許さない。
欠点としてタネを見破られると弱点を研究されてしまう可能性があり、第三者の前で煉獄を使う事は、開発者の山本陸が禁じていた。

+ 富田流の?
開発者からわかるように、本来は進道塾の秘奥義であり、一部の門下生しかその存在を伝えられていなかった。
しかし、入江親子と上杉&山本海の2対2の戦いにおいて文学が上杉の煉獄を目撃しており、それをきっかけに文学と十兵衛が「パクった」事で世間に晒される。
金田戦での決め手となり、石橋戦や徳夫戦でも使用された、富田流3大奥義と並ぶ十兵衛の必殺技の一つ。

当初文学は「あらゆる攻撃を体力の限り連打し反撃も許さない技」と認識していたが、連打しながら次の手を選択するのはあまりにも困難なため、正体を掴めずにいた。
十兵衛が弟子入りした後に進道塾高弟・青木の稽古を盗撮し、それを十兵衛がそれまでに文学が集めた煉獄の資料と照らし合わせた結果、ついに煉獄のパターンが解析される。
そして当の青木を実験台にして実戦投入した文学と、彼の練習台となった十兵衛も煉獄を習得。
金田戦でTVの電波に乗った上で煉獄を披露し、試合後に堂々と「10分で考えた富田流の技」と発言。進道塾に喧嘩を売った。

他流派の技をパクった上に特に罪もない青木をボコり、全国ネットで挑発までした理由は、文学の父・無一がかつて田島に重症を負わされた原因の一端が、上杉が勘違いから無一を襲撃した際に煉獄を叩き込んで負傷させた事にあるためで、文学にとっては恨みを晴らした形となる。
……青木がとばっちりを受けたのは変わらないけど。

現状の欠点は煉獄を発動するための初撃で十分なダメージを与える必要がある事で、文学はレバーブロー(左鈎突き)からのみ、十兵衛は事前に負傷させるなどしなければ発動ができない。
山本陸や上杉はそれらの制限がなく、14手全てから発動が可能といわれていた。それどころか上杉は実際には7×5×2の70手(実際には左右共通の頭突き等があるためもう少し少ない)の初手から煉獄につなげることが可能であった。
進道塾の門下は人前では煉獄を使わないが、富田流が世間に晒したため現在はその制限がなくなっている。
また、相手のタフネスが圧倒的な場合、使い手の体力が尽きてしまうとその後の反撃を免れない点も入江親子対上杉&海戦や石橋戦にて判明している。



最強の追記修正は何か!?

多種ある追記修正をルール無しで行った時…

真面目にではなく

りどみ無視BBS相談なしの『喧嘩』で追記修正した時 最強の追記修正は何か!?


今現在 最強の追記修正は決まっていない

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 漫画
  • 喧嘩商売
  • 喧嘩稼業
  • 格闘漫画
  • 木多康昭
  • 栃木県
  • 宇都宮市
  • パロネタ
  • 下ネタ
  • ブラックジョーク
  • しまぶーからは許可とった
  • 淫行条例
  • ヤングマガジン
  • 格闘技
  • 週刊ヤングマガジン
  • 講談社
  • 呪術廻戦ネタ元項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月09日 17:40

*1 十兵衛の親が公権力を持っているため、十兵衛を殺害してしまうと組の活動に大きな影響が出てしまうため

*2 具体的に文さんが指摘したのは「当身(打撃技)の廃止」について。投げに入る前に当身で相手の隙を作るのは柔術であれば一般的で、嘉納治五郎自身も当身の名手であった。

*3 この点は江戸時代に実在していた、大相撲史上最強の力士として名高い雷電爲右エ門の逸話が元になっている。ただしこの逸話自体が実話なのかについては大いに疑問視されている

*4 モデルは恐らくK-1