ゴジラVSモスラ

登録日:2011/06/19 Sun 21:28:37
更新日:2024/03/13 Wed 18:31:24
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「ゴジラVSモスラ」は1992年12月12日に公開されたゴジラシリーズ19作目の作品である。


【ストーリー】

太平洋上に隕石が落下したことにより、メカキングギドラとの戦いの後海底で眠りについていたゴジラが目覚めた。
その頃、インドネシア諸島にあるインファント島では大型台風と乱開発の影響によって島の地表が崩れ、巨大な物体が姿を現した。

インファント島を所有・開発していた「丸友観光」と援助していた日本政府は、その「巨大な物体」の調査のため、
社長秘書の安東、役人の手塚雅子、手塚の元夫でトレジャーハンター藤戸拓也の三名を派遣する。
インファント島で彼らはモスラの卵と、地球の先住民族の末裔だというコスモスと遭遇する。

コスモスからの話で、モスラと黒いモスラ=バトラの話しを聞いた三人だが、丸友観光の社長・友兼の指示もあり、モスラの卵を日本に輸送することにする。
しかし、その頃日本には北極で目覚めたバトラが上陸し、またモスラの輸送船にはゴジラが襲いかかる。その時、卵からモスラが誕生した。


【概要】

本作は前作のキングギドラに引き続き、人気怪獣であるモスラを登場させた作品である。
全体的なプロットは『ゴジラVSビオランテ』ののちに企画が立ち上がったが、VSキングギドラの製作により没となった『モスラVSバガン』、そして本作の原型となった『ゴジラ対ギガモス』を流用し、ゴジラやバトラを盛り込んでいる。
『ギガモス』の企画が中止されたのは川北紘一監督のお気に入りのメカニコングが登場予定であり、これはメカニコングの権利関係が東宝とRKOとの間で曖昧であったためこれを明確にしようという意図もあったが、RKO側から製作した場合トラブルが生じる可能性があるとの回答が出されたためである。

また、悪徳企業家にモスラの卵や小美人が利用されそうになるなど、「モスラ」や「モスラ対ゴジラ」を意識したような面もある。

本作では当時関心が高まっていた環境問題も取り入れられメッセージ性の強い内容となっている。
その他、女性人気も高い別所哲也を起用し、別れた夫婦が家族愛を戻すストーリーを展開した。

小林昭二氏や宝田明氏、篠田三郎氏といった特撮を経験したベテラン俳優も多数出演している。

このような取り組みの結果、後にシン・ゴジラに抜かれるまでの約24年間、平成のゴジラ映画では最多となる観客動員数420万人の大ヒットを記録し、ゴジラ映画は年末の東宝映画の定番として確固たる地位を築いた。


【登場人物】

◆藤戸拓也(演:別所哲也)
元は大学の助手だったが、現在は遺跡荒らし紛いのトレジャーハンターである。妻子がいたが今は離婚し、養育費を払うために盗掘に勤しんでいた。
島探索の先導役でありながら、いい加減な状況判断で同行者を危険に晒す、コスモスを取り戻しにモスラが東京へ迫る中、お金のためにコスモスを外国へ売り渡そうとするなど、駄目人間な部分も目立つが娘に対する愛情は失っていない。彼が家族と真に向き合い、絆を結び直すことが本作のドラマ軸の一つである。
12年後、ウルトラマン・ザ・ネクストに変身することになる。

◆手塚雅子(演:小林聡美)
藤戸の元妻で、環境庁に勤めている。藤戸とは会えば喧嘩ばかりだが、本当はお互いによりを戻そうと考えている。
周囲にも気持ちはバレバレな様子。
かつて84年版ゴジラに登場した浮浪者に似た顔の先生の元で学んでいたかもしれない。

◆みどり(演:米澤詩織)
藤戸と雅子の娘。純粋で素直な良い子で、藤戸の心を動かした。

◆安東(演:村田雄浩)
丸友観光の社長秘書で、社命でインファント島へ向かった。社長の命令に愚直に従うが悪い人間でなく、社命と良心の狭間で揺れる。
最後まで社長を説得しようとしていたが、ついに愛想を尽かして社長に啖呵を切るシーンはかなりカッコイイ。
仕事を背負うサラリーマンとして、大人として見た時に味わい深いキャラクター。藤戸夫妻とは別ベクトルで、もう一つの人間ドラマの主役ともいえる。
後のゴジラ予知ネットの創設者ではない。

◆友兼(演:大竹まこと)
丸友観光の社長で、安東の上司。
東宝特撮映画でもはやお馴染みの「儲けのために強引な開発を進めるも怪獣の所為で手痛いしっぺ返しを食らう分かり易い悪役」のポジション。
最終的には案の定本人にはどうしようもないところで何もかも失い、腹心にも見捨てられ、
高級なカーペットで一人のたうち回る様は、大人として見れば却って胸に迫るものがあるかもしれない。
ゴジラザウルスを目撃していたような部下がいる。

◆三枝未希(演:小高恵美)
シリーズ恒例のレギュラーである。VSキングギドラ同様あまり目立たない。
精神感応でコスモスを探し出す活躍を見せてはいる。

◆コスモス(演:大沢さやか、今村恵子)
インファント島に住む先住民族の末裔。藤戸達にモスラとバトラの神話とバトラの目覚めを伝えた。

演じた大沢さやかと今村恵子は東宝シンデレラ入賞者で、一時期コスモス名義でアイドル活動も行った。
大沢さやかの方は後にゴジラの最期を見届けている。

【登場怪獣】

ゴジラ
ご存じ怪獣王。
今回はモスラがドラマの主軸なため、あまりドラマには絡まない。というか、実のところゴジラがストーリーに絡むこと自体が稀なのだが……
バトラ幼虫との戦いで海底火山の噴火に巻き込まれて以降しばらく本編からフェードアウトしてしまうが、終盤に入ってマントルを泳いで移動し、富士山の噴火と共に現れるというとんでもない方法で再登場。
相変わらずの不死身っぷりを見せつけた。

本作から鳴き声が昭和シリーズを彷彿とさせる甲高い物に変わり、以降ミレニアムシリーズまでこの鳴き声がアレンジを施されながらも使用される事となる。
また放射熱線の効果音も他のシリーズと違い、「キーン」という音が混じっている。(こちらは後にデストロイアのオキシジェン・デストロイヤー・レイやシン・ゴジラの放射線流の効果音として使用された)

モスラ
インファント島の守り神で、かつてバトラを封じ込めた。今作では1961年版以来となる繭からの羽化のシーンが撮られた。

  • 幼虫
インファント島の輸送中にゴジラから襲われた際に孵化した。そのままゴジラに襲われる。
突如乱入したバトラに吹っ飛ばされるが、負傷は特になくバトラとゴジラが戦っている間にその場から逃げた。
その後インファント島に戻るが、コスモスを助けるために東京に上陸した。
その後は国会議事堂に繭を張った。何故かこの作品では湯気が出て煮えたぎるような効果音がする熱そうな糸を吐いてる。

幼虫の造形は初代も担当した村瀬氏が担当し、初代と同じ素材も使用した。
また国会議事堂に繭を作るのは初代の没案であった。

  • 成虫
羽化した後にバトラの成虫と交戦、一度は撃墜されかける。その後ゴジラと戦うために和解、共闘した。
平成になり「超音波ビーム」という飛び道具と、光線を乱反射させる「燐粉フィールド」という能力を得た。
川北監督お得意の「光線合成」と「金粉乱舞」を象徴するようなキャラクター。

昭和と比べモコモコしてて可愛い。モコモコしすぎてネットではタオルとか言われることも。


バトラ
モスラ同様地球の守護神的存在だが、こちらは攻撃的なタカ派である。
過去に地球汚染のきっかけを作ったコスモスの先祖を滅ぼすために出現、モスラに封じ込められた。
ちなみに、正式名称は「バトルモスラ」。
本作では人類を滅ぼす事が目的と思われていたが…
敵対していたはずのモスラを助け、最期にはモスラに使命を託す辺り、ツンデレに違いない。
べ、別にあんたに助けられたから共闘するんじゃないんだからね!

  • 幼虫
隕石衝突が引き金になり北極から復活した。
その後は日本に上陸、破壊活動を行った後南下しゴジラとモスラに遭遇、ゴジラと戦った。

結果的には相討ちか引き分けだったが無敗に等しい戦績を持つゴジラを相手に互角の戦闘をしたり、
いかにも弱そうな外見をしてるモスラ幼虫とは違い厳つい顔つきをしてる強キャラ。
ていうかこの時点でゴジラよりもゴツくてデカくて攻撃的。こいつ本当に幼虫かよ…と言いたくなる凄まじさ。
その後はモスラの羽化とゴジラの復活に呼応するかの様に海上に再出現。繭は作らず直接羽化した。

  • 成虫
同じく羽化したモスラと戦い、一度は勝利しかける。しかし現れたゴジラと交戦し危機に陥り、モスラに助けてもらう。
そしてゴジラを倒すためにモスラと和解し共闘、ゴジラに勝利する。

しかし、ゴジラを海に運ぶ途中、蓄積したダメージと輸送中のゴジラに攻撃を受け続けたことで死亡し、ゴジラと共に海に沈む。

幼虫から成虫に進化するシーンはやたらカッコいい。
幼虫の方が強いといわれることもあるが、ある書籍では「幼虫バトラがゴジラと渡り合えたのは、光線が減衰する海底だったから」としているものがある。
あるいは、バトラは幼虫と成虫でパワーや攻撃力が変わらないのかもしれない。





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最終更新:2024年03月13日 18:31