スーパーロボット マッハバロン

登録日:2012/07/23(月) 03:15:04
更新日:2023/11/28 Tue 17:12:29
所要時間:約 7 分で読めます







マッハサリー、GO!

スーパーロボット マッハバロンは、1974年から75年に掛けて日本テレビ系列で放送された日本現代企画の特撮ロボット番組。全26話。

あらすじ

10年前、マッハバロンの設計者である嵐田陽一郎博士は、ドイツの天才科学者ララーシュタイン博士に師事し、ロボット工学を学んでいたが、
ララーシュタインが密かに世界征服を企んでいることを知り、完成間近だったマッハバロンを爆破したうえで逃亡。
しかし、ララーシュタインの追撃により、嵐田博士とその家族は逃げ切れずにロボット帝国の巨大ロボット・ハイルV1によって海の藻屑と消えた。
だが、幼い息子の(よう)だけは生存し、マッハバロンの設計図を持って逃げ延びる。

そして10年後。陽が持ち帰ってきた設計図は祖父・竜之介へと引き継がれ、新しいマッハバロンの完成が間近に迫っていた。
それを知ったララーシュタインは、いよいよ本格的な侵略活動を開始。竜之介を暗殺する。
辛くも難を逃れた陽は、国際科学救助隊・KSS(キス)の仲間と共に、マッハバロンを操りララーシュタインに戦いを挑む。

登場人物

  • 嵐田 陽
演:下塚誠
主人公。来たるべき日に備え、マッハバロンのパイロットとなるための訓練を竜之介から10年に渡って受けさせられていた。
精神的に未熟な所があり、番組序盤では軽率な行動でKSSの仲間達に迷惑を掛けることも多かったが、物語が進むにつれて徐々に成長していった。

  • 岩井 明
演:力石考
通称「ガンさん」。KSSの仲間の隊員のひとりで、陽の良き兄貴分。

  • 白坂 譲司
演:加藤寿(後の加藤大樹)
同じくKSSの仲間の隊員。当初は陽とは仲が良くなかったが、次第に打ち解けていった。

  • 小杉 愛
演:木下ユリ
KSSの紅一点にしてヒロイン。基本的にはごく普通の年相応の女の子だが、海で溺れた友人を助けられず、そのまま死ぬまで見ている事しか出来なかったという哀しい過去を秘めている。
そのためかKSS隊員としての使命感は強いものの、それが空回りしてピンチに陥るような場面が多く、最終回ではそれが最悪の形で現れてしまう事になる……。

  • 村野博士
演:団次郎(後の団時朗)
KSSの責任者にして、現在のマッハバロンを完成まで導いた功労者。
陽一郎博士や竜之介と面識があり、そのこともあって陽の事情を良く知っているため、彼をKSSのメンバーに迎え入れる。
頭脳明晰にして精神的にも逞しく、敵の裏を掻くなど策略にも長けている。はっきり言って、この人がいなかったらどうしようもないKSSの良心。
ウルトラ兄弟四男ではない。

  • 花倉刑事
演:深江章喜
通称「発明刑事」。渾名のとおり発明が得意な刑事で、KSSとも密接な関わりがあり行動を共にする機会が多い。
いわゆる三枚目のギャグキャラで、緊迫した場面でも平気でギャグに走るなど理不尽な言動が目立つが、だからといって全くの無能というわけではなく、場所によっては刑事らしい所もキチンと見せる。
が、結局はギャグキャラ補正で都合よく生き残ったりするという喰えないオッサン。

  • 小杉 健一
演:内海敏彦
愛の弟で、発明刑事と仲が良い。
一介の民間人の少年に過ぎないので、敵の捕虜になるなどピンチに陥ることが多いが、基本的には素直で賢い良い子。

  • ゲオルク・ララーシュタイン
演:伊海田弘
OPの歌詞に出てくる「悪の天才」。
自身の3人の息子が参謀を務める悪の組織・ロボット帝国を率いて、KSSとマッハバロンに挑戦する。
基本的には冷酷かつ残忍な性格だが、KSSの村野博士についてはその能力を高く評価しており、殺すには惜しいと思っているようだ。
少年漫画の主人公のように逆立った初めて見ると吹いてしまうこと必至のぶっ飛んだ髪型だが、放射能を浴びた後遺症というなんか重い設定がある。

  • タンツ
演:麿のぼる
ララーシュタインの長男で陸軍参謀。「ハハハ...」という、悪役にしてはちょっと控えめな高笑いが特徴。

  • スーカン
演:所雅樹
同じく次男で海軍参謀。その容姿や喋り方は3人の中でも特に悪人っぽく、活躍の機会も多かった。

  • ゲラー
演:桜木栄一→木村章平
同じく三男で空軍参謀。他のふたりに比べると若干キャラが薄い。
捕虜にした子供に、顔に向かってツバを吐かれるという醜態を晒した事がある。

ちなみに、ナレーターを務めているのはあの岸田森。
そこ、人材の無駄遣いとか言わない。

  • ロボット帝国戦闘員
何故かアメフト選手の格好をしている。ボール型の爆弾などが武器。

メカニック

  • マッハバロン
本作を象徴するスーパーロボット。OPの歌詞で4回も頼まれている事から、その重要性がうかがわれる。
全長は50メートル、重量は300トンで、材質は超合金バロニウム。動力源は小型中性子原子炉。
先述したとおり最初に造られたマッハバロンは嵐田博士によって破壊されたため、本編に登場するマッハバロンは2号機ということになる。
海底基地から発進するシーンや、空陸両用の特殊自動車・マッハトリガーを内部に格納するギミックはつとに有名。
武装は非常に豊富で、メリコンパンチ、フライングナックル、アイアンタイフーン、ベルヘンロケッター、アトミックファイヤーなど30種類以上の武器を持つとされる。
特に、中性子と一億ボルトの超高圧電流から成る必殺武器・マッハコレダーは一撃必殺の破壊力を持ち、敵を内部から粉々に破壊することが出来る。後の特撮やアニメなどに登場するコレダーという武器の大元はこれである。
武装の切り替えには頭部を高速回転させる必要があり、コックピットは頭部にあるため陽は回転に耐える特訓を積んでいる。画面で見る限り特訓でどうにかなるとは思えないくらいギュンギュン回っているが。

  • KSSバード
KSSの擁する戦闘機で、マッハバロンのサポート役。人命救助用としての役割も持っている。

  • KSSマリン
戦闘用の潜水艦。KSSバードと違い出番は少ない。

概要

打ち切りにより終了した前番組「スーパーロボット レッドバロン」の後を受けて作られた本作であるが、本作も全40話の予定が26話で打ち切りとなった(ストーリーをまとめ上げる事も出来ず、まんま俺たちの戦いはこれからだ!みたいな終わり方をする)。
「○○バロン」の名を冠したロボット特撮作品は「レッドバロン」「マッハバロン」「小さなスーパーマン ガンバロン」の計3作があるものの、そのいずれもが打ち切りによって終了しており、しかも打ち切りの理由≠番組の人気。不運なシリーズである。
ちなみに、これら「○○バロン」シリーズは全て独立した作品であり、ストーリー上の繋がりがあったりするわけではない。

この「マッハバロン」という作品は、その強烈すぎる主題歌が今なお語り継がれる異色の特撮番組である。
番組が始まるやいなやグニャグニャとした奇妙な映像が流れだし、それに合わせて掛かる主題歌は派手派手なロックンロールなのだ。
今でこそアニソンや特ソンはバリエーション豊かになったが、当時としては相当に衝撃的だったことは想像に難くない。
(ちなみに、この主題歌のように、昔ながらのツイスト系ロックンロールを荒々しいギターで再解釈するというスタイルは主にグラムロックと呼ばれている。グラムとはグラマラスの意であり、そういう音楽を演奏するミュージシャンが揃いも揃ってド派手な格好をしていることから名付けられた)
ROLLYやTHE BLUE HEARTS結成前の甲本ヒロト、企画盤ではあるがフィンガー5などがカバーしている。
パチソン版も原曲のカッコ良さが微塵もないへろへろな演奏やタグにもあるように平気で歌詞を間違っていることなどで、ある意味有名。
また、OPの影に隠れがちだがEDも斬新な曲調の名曲であり、フォーク〜ニューミュージック系の穏やかな伴奏に乗せて平和への願いを歌い上げたものとなっている。

グニャグニャとしたOP映像に限らず、本編でもなかなか意欲的な映像作りがなされており、ビデオ合成やスキャニメイトなど当時ならではの合成技術が駆使されている。
ミニチュアを使った特撮セットも出来の良いものが多く、特にKSSの海底基地からマッハバロンが発進するシーンは今なお特撮ファンからの評価が高い。

ネタ

この「マッハバロン」は流石にウルトラマンや仮面ライダーに比べるとマイナーな存在であり、その主題歌や特撮技術が細々と語り継がれるに留まっていたが、それと同時に驚くほど突っ込みどころが多いという事も一部のマニアの間で有名だった。
以下に主な具体例を挙げる。

  • もはや軽率とか迂闊という言葉では済まないくらいに残念すぎる陽の思考回路

  • 兄弟だというのに異常なほど仲が悪すぎて同士討ちを連発するロボット帝国の参謀たち

  • あまりにもシュールすぎるKSS本部の内装

  • 発明刑事のやることほぼ全部

  • KSSマリンで出撃した仲間が敵と交戦して劣勢に陥り、機体が損壊して浸水も始まっているというのに、1時間も放置

  • 捕虜にした敵の戦闘員に取調室でカツ丼をふるまう発明刑事

  • それで情に絆された戦闘員が礼を言って自爆。笑えばいいのか泣けばいいのか

  • 今にも爆発しそうな時限爆弾のスイッチを間一髪で止めたが、チッチッチッ...という音が止むまでちょっと間がある

  • 特撮ドラマのはずなのに、何故か観光旅行に出かけているシーンがいちばん気合いが入ってる

  • よりによって最終回の後味がすごく悪い


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最終更新:2023年11月28日 17:12