マジンガーZ対デビルマン(映画)

登録日:2011/07/21 Thu 09:59:05
更新日:2023/11/30 Thu 18:45:48
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1973年7月18日に「東映まんがまつり」の一枠として公開されたアニメ映画。
当時の人気テレビ番組『マジンガーZ』の劇場用オリジナル作品であり、
後に「劇場版マジンガーシリーズ」と呼ばれる一連の映画作品群の第一作目にあたる。


【概要】

タイトル通り、同じ永井豪原作の『デビルマン』とのクロスオーバー作品だが、
共演する両作品のジャンルが違う(変身ヒーローもの・巨大ロボットもの)クロスオーバー作品は当時あまり例がなかったうえに、
そもそもNET(後のテレ朝)系列の番組だった『デビルマン』とフジ系列の『マジンガーZ』の共演は当時は実現困難とされていた。

このときは両作品の原作者である永井豪の要望と『デビルマン』が公開当時には放送終了していたことにより、
なんとかNET側の認可を取り付けたが、後に再びフジ系列の『グレンダイザー』と、
NET系列の『鋼鉄ジーグ』のクロスオーバーが企画された際は実現せず、NET系列番組の劇場版マジンガーシリーズ参加は本作限りになった。

ちなみに『グレンダイザー対鋼鉄ジーグ』の代わりに制作されたのが『グレンダイザー対グレートマジンガー』である。

また、本作はテレビ版に先駆けたジェットスクランダーの披露の場(といっても四日程度なのだが)も兼ねており、
現代でも東映制作のヒーロー作品で見られる手法のはしりであると言える。

さらにどうでもいいことだが、タイトルに「対」が使われているのに、
マジンガーZとデビルマンの対決シーンはなく(兜甲児と不動明のバイク勝負はあるが)
この件について当時の子供たちの期待を裏切ったことに対し、永井は後に「つい」の意味だったと説明している。
そういう意味でもクロスオーバー企画の先駆けになってしまっている。

なお劇中の諸々の描写から、本作は両作品のテレビ版のパラレルワールドの出来事だと考えられる。
コミカライズ媒体では桜多吾作版『マジンガーZ』において本映画の内容が漫画化されており、
そちらではTVシリーズに沿った本筋に導入された「正史」として組み込まれている。


【あらすじ】

毎度のごとく光子力研究所に戦いを挑んできた機械獣軍団。
甲児はマジンガーZで機械獣を退けるが、その直後にデーモン族の妖獣シレーヌの復活を目撃する。
あしゅら男爵の報告でデーモン族が実在することを知ったドクターヘルは自慢の科学力で彼らを支配下に置き、
光子力研究所とデーモン族の語った裏切り者「デビルマン」の抹殺を画策した。

一方、ドクターヘルの陰謀を知ったデビルマン・不動明は噂のマジンガーZ、そしてパイロットの甲児の前に現れ……。


【登場人物】

◎光子力研究所&デビルマン


兜甲児
『マジンガーZ』側の主人公。
ボスたちのツーリングにマジンガーZで付き合ったり、
明とのバイク対決でしかけた技がどう見ても殺す気があるように見えたりといった一幕はあるが、それ以外は真っ当な主人公として描かれている。
明とは最初は対立していたが、なんだかんだで彼がデーモン族との戦いに込めている思いを知り、和解する。

◇不動明/デビルマン
『デビルマン』側の主人公。
甲児とは対照的に斜に構えた言動が目立つが、自身もデーモン族の出身であるが故に、
自覚してしまった「戦いしか知らないデーモン族の醜さ」と自らの人間界への愛着を甲児に語る場面がある。
本作ではマジンガー側の世界観に『デビルマン』側のキャラがゲスト出演する形になっているためなのか、苦戦する場面が非常に多く戦果は少ない。
「俺ならマジンガーZを空から攻めるね」はあまりにも有名な台詞だが、本人は孤軍奮闘とはいえ空戦で機械獣とデーモン相手に敗北し、捕われてしまう。

◇弓さやか
冒頭の戦いでアフロダイAが大破してしまったので活躍の場は少ない。

◇ボス、ヌケ、ムチャ
ボスボロット登場はまだまだ先の話なので活躍の場はない。

◇兜シロー
デビルマンに命を救われたことで、彼を正義の味方だと確信する。

◇弓教授
マジンガーZの強化のためにジェットスクランダーを開発していた。
長い時間をかけて開発したスクランダーをシレーヌに中破させられるが、
それを一晩で完全に直すという地味に凄いことをやっている。

◇もりもり博士・のっそり博士・せわし博士
弓教授の指揮の下でスクランダーの開発や修理を行う。
今回、もりもり博士はまぐれながらも奇跡的な射撃の腕を披露した。


◎ヘル一味


◆Dr.ヘル
デーモン族のことは伝聞で知っていたらしく、
いつの間にか用意していたテレパシー催眠装着でデーモン族の妖獣軍団を支配下に置く技術の冴えを見せる。
他にも、本作では自ら前線に赴きマジンガーZと直接対決する場面もある。
日頃の連敗のせいか、彼の頭の中では「あしゅら男爵が血相を変えて報告に来る=機械獣が負けた」という図式が出来上がっていたらしい。

あしゅら男爵
機械獣を指揮してマジンガーZに挑み、
返り討ちにあって敗走し、Dr.ヘルに叱られるという、いつも通りの様子。
デーモン族を見て「何と醜い姿」と漏らす。あんたが言うか


◎デーモン族

テレビ版での支配者「魔王ゼノン」については触れられていないが、
「デーモン族の本拠地はヒマラヤ」「ザンニンは幹部の一人に過ぎない」などの設定はテレビ版から引き継いでいる様子。
彼らの領域に踏み入って好き勝手にしていたドクターヘルの今後が心配になる……。
ミケーネよろしく生身剥き出しだからマジンガーZや機械獣との相性が悪く、搭乗者の直接攻撃などで貢献していた。
偵察せずにその瞬間を狙えばいいのではと言ってはいけない。

◆魔将軍ザンニン
テレビ版『デビルマン』の第1クールに登場したデーモン族の幹部の一人。
尺の都合上、登場して早々にドクターヘルに洗脳される。
シレーヌやブゴに比べて出番は少なく、マジンガーZと対決した際は無慈悲にオーバーキルをかまされ最終的には身体を引き裂かれ惨殺される。

◆妖獣シレーヌ
漫画版とテレビ版を折衷した設定で登場。
後半はテレビ版同様自他ともに「マダム・シレーヌ」という呼称を使う。
機械獣の装甲に傷をつけるのがやっとかと思いきや、超合金Z製のスクランダーを中破させるなど微妙に戦闘力が安定しない。
最終的にマジンガーZに翼を切り裂かれ串刺しにされ死亡。

◆妖獣ブゴ
全身に目を持つ流体状の体の妖獣。
隠密行動に向いているのか光子力研究所に容易に潜入する。
デビルマンいわく「目を一つずつ焼き切らないと倒せない」らしいが、もりもり博士のあてずっぽうの射撃で退散した辺り、素の戦闘能力は低いのかもしれない。
一応登場デーモンの中では一番活躍している。
最期は光子力ビームとルストハリケーンのコンボで消滅した。


【登場メカ】

マジンガーZ
毎度おなじみ「鉄の城」。
本作に登場した機械獣・妖獣の連合軍の大半を単独で撃破する活躍を見せる。
ジェットスクランダーのデザインやギミックがテレビ版と微妙に違う。

◇アフロダイA
映画冒頭の戦いではマジンガーZとの連続攻撃で機械獣ブラッガーS1を倒すが、
直後に空飛ぶ機械獣デモンガーJ5の奇襲で大破する。
修理が間に合わなかったのか、それ以降は登場しない。

◆海底要塞サルード
あしゅら男爵がテレビ版の前半で使っていた要塞。
本作では機械獣軍団の揚陸作戦の拠点となった。

◆空中要塞ナバローン
ブロッケン伯爵のグールに先駆けて登場した劇場版オリジナルの空中要塞。空飛ぶ機械獣軍団の発着場になった。
ミサイル・破壊光線・暴風発生装着・熱線砲などの武装を持つほか、ブリッジが分離して脱出挺になる。
映画のラストではDr.ヘルが操縦し、紅の翼を得たマジンガーZと対決する。

◆機械獣軍団
デビルマンを苦しめていた割に、マジンガーZには歯が立たなかった。
アニメにもホーム・アウェーの概念があるとでも言いたいのだろうか。
巨大な角を持つ四つ足の「トロスD7」と冒頭に登場した斧持ちの「ブラッガーS1」はスパロボ出演経験持ち。
特にトロスの方は漫画版や『マジンカイザー』、『ロボットガールズZ』にも登場している。
また、ブラッガーS1と共闘した恐竜型機械獣「ザウルスF1」は、何気に後の戦闘獣を先取りしたデザインの持ち主。

なお、本作の機械獣の大半が石川賢のラフを基に、作画監督の角田紘一がアレンジを加える形でデザインされたらしい。




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最終更新:2023年11月30日 18:45