アフリカマイマイ

登録日:2010/08/29 Sun 21:17:21
更新日:2024/04/14 Sun 05:15:53
所要時間:約 4 分で読めます





腹足綱 柄眼目 アフリカマイマイ科に分類される陸生巻貝の一種。
学名はAchatina fulica(仮名転写:アクァティナ・フリカ)。
英名は Giant African land snail。
漢字表記は阿弗利加蝸牛。

カタツムリの中でも本種は極めて大型であり、成体の殻径が7〜8cm、殻高が20cmにも達するという 世 界 最 大 級 の大きさを誇る陸生巻貝。巨体を地に這わせて進むその姿はもはや魔物

全体的に濃茶色が掛かった色をしており、貝の中の本体も茶色。
殻は陸生巻貝にしては分厚い上に硬く丈夫で、時折オカヤドカリが背負う宿として利用されてたり。

名前の通り、元はアフリカのモザンビークやタンザニア付近のサバンナ地帯に生息していたが、食用目的で人為的な移植が繰り返され、現在では東南アジアやインド洋を始め、モーリシャス、スリランカ、ハワイ、台湾、タヒチ、西インド、カリブ海沿岸地域といった熱帯地方の殆どに分布している。
日本にも奄美大島や徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄の本島、宮古島、石垣島、小笠原諸島の父島、母島、南鳥島など、熱帯に近い気候を持つ島のほぼ全てに生息が確認されている。近年では鹿児島や和歌山などの本土の温暖な地域でも確認されている。

農業野菜などの柔らかい植物を好み、更にその巨体に見合った貪欲な食欲で野菜や芽を食い荒らす為、農家のおばちゃん達にはひっじょーーッッに嫌われている存在。

ちなみに、漫画鉄腕アトムのエピソードに「ゲルニカの巻」というものがあるが、多分こいつがモデルだと思う。






うねうね
うねうねうねうね






















と、ここまでならただの説明なのだが。

実はこいつ、外来生物法において要注意外来生物の指定を受けており、日本でも植物防疫法で有害動物指定され、世界規模では「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定され、分布地からの生体持ち込みは全面禁止されているというとんでもないカタツムリなのである。


【恐ろしさ その壱:食欲
アフリカマイマイを語る上で避けては通れないのが、その凄まじいまでの雑食性と食欲である。
ほぼあらゆる植物の芽や葉、茎、果実、種子、落ち葉や動物の死骸、菌類などなど、挙げればキリがない程の広汎な食性を持っており、えり好みや好き嫌いなどせず、とにかく口に入るモノなら何でもかんでも見境なく食べてしまう。
また、自身の巨大な殻を構築するカルシウムを補給する為、や石、挙げ句の果てにはコンクリートすら摂食する。逆に食べられないものを探せと言う方が難しい。ここまで来るともはや悪食の域を超えている。
因みにナメクジと同じくビールが好き。
この貪欲な食性と後述する繁殖力により、アフリカマイマイが侵入した海洋島の固有植物群は既に幾つかの種が絶滅した。

アフリカマイマイにとって、世界は喰えるものと喰えないものの二種類。ちなみに、喰えないものなど存在しない。


【恐ろしさ その弐:繁殖力
アフリカマイマイは他のカタツムリと同じく雌雄同体(要するにふたなり少女)である為、同種の成体2匹が出会うと交尾し、その後2匹とも産卵する。1回の交尾で得た精液は体内で約2年保存する事も可能。
1度に産む卵の数は凡そ100〜1000個と言うとんでもない数であり、それを約10日の周期で繰り返す為、黒いアイツもビックリな凄まじい繁殖力を持つ。
しかもこいつら近親姦は当たり前なので、たった2匹逃がすだけでそりゃあもう増える増える。
前述の食性スキルと組み合わせると本当に一晩で畑ひとつを壊滅させてしまう。
因みに生息域である小笠原諸島では、駆除したアフリカマイマイを自治体が買い上げることで処理していたが、たった小1時間でトラック1台を満杯にしたとか。


【恐ろしさ その参:生命力
単体の生命力もハンパない。
元々がアフリカ育ちで遺伝子的にアフリカの環境に適合している為、本来ならカタツムリの弱点である乾燥に強く、殻口に蓋をして仮眠状態になり、その状態でなんと半年以上の間持ちこたえる。人為的な移動が禁止されているのにもかかわらず日本本土に侵入したのも、この状態で物資に紛れこんでいたためらしい。
唯一の弱点は低温。こちらは乾燥に適合し過ぎたツケだと言えるだろう。
成貝の寿命は歯舌が磨り減って摂食不可になるまでの3 - 5年ほど。

更にコイツは巨大なカタツムリの癖に意外と速く、一晩で50mくらい移動出来る。
しかし殊更恐ろしいのは、こいつを中間宿主とする寄生虫である
最初に言っておくが決して暴力的で鬼のようなあの子の事ではない。つーかまだ可愛い方。

こいつに寄生するのは広東住血線虫(かんとんじゅうけっせんちゅう)と呼ばれる寄生虫であり、人体に侵入した場合は中枢神経へと移動、出血、肉芽腫形成、好酸球性脳脊髄膜炎などを引き起こし場合によっては死に至る。
アフリカマイマイが要注意外来生物とされる原因とも言える寄生虫であり、素手で触れるのは勿論、這った跡に触れる、這った跡の残る野菜類を生のまま食べるといった行為は 大 変 危 険なので、絶対にしないように。
というかこの寄生虫は、アフリカマイマイに限らず多くのカタツムリ・ナメクジ等陸貝に寄生する。よって全ての陸貝は危険だと思っておいた方が無難である。 
アフリカマイマイが蔓延の大きな原因なのは間違いないが、日本の関東などアフリカマイマイの侵入が確認されていない地域でも感染者が発生している、どこに住んでいようと油断できない寄生虫なのだ。

しかし前述の通り元々食用として輸入された為、取り敢えずは食べられる。
フランスでは既に絶滅寸前にあるエスカルゴの代用品としてアフリカマイマイが使用されており、格安のエスカルゴ缶詰としてスーパーマーケットなどで売られている。が、クセやアクが強く、あっさりしているエスカルゴとは似ても似つかない。ちゃんとした店で調理されれば美味しいのだろうか……
日本でも某アイドルグループある番組企画沖縄県で大繁殖したアフリカマイマイを捕獲し、和食のプロに依頼して調理してもらって食べたが、美味しく食べるためにかなりの手間を要していた。一般人が真似するにはちょっと難しいだろう。


海洋島諸島は生態系を崩壊まで追い込む本種への対抗策としてカタツムリを食べるカタツムリ、ヤマヒタチオビを導入したが、ヤマヒタチオビはアフリカマイマイよりも天敵への対抗手段を持たない固有種の陸生巻貝を積極的に狙った為、各島の固有種は危機的なまでにその数を減らし、特にハワイやタヒチではかなりの数の種が絶滅するという最悪の二次災害まで発生している。ついでにこいつも前述の通り広東住血線虫を媒介する。

日本も例に漏れず、ヤマヒタチオビを導入した小笠原諸島父島において陸産貝類固有種は1属を除いて絶滅した

そして、近年にはニューギニアヤリガタリクウズムシという天敵が現れたのだが、こちらも他のカタツムリを食う上、ヒルに似たグロい外見である等、まだ愛らしかったアフリカマイマイとは別のベクトルで厄介な外来種である。






何よ、人間が私に何か用?


あっちいってよ。どーせアンタも私のこと駆除しに来たんでしょ


え…私の項目を追記・修正しに来た…?


ふ、ふんッ。勝手にしたら?


か…勘違いしないでよ。人間なんかに編集されたって嬉しくも何ともないんだからね


で、でも……その……
一応お礼は言ってあげるわ


私達に、駆除以外で会いに来てくれたのって…その…アンタだけだからさ
















あ、ありがと……



―― HAPPY END ――




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最終更新:2024年04月14日 05:15