ハヤタ・シン

登録日:2011/08/06(土) 11:52:17
更新日:2023/08/29 Tue 10:28:50
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青い光を放って飛んでいます。スピードはマッハ2。更に接近して正体を見届けます!


『ハヤタ・シン』とは、円谷プロが製作した特撮TV番組『ウルトラマン』の主人公である。演じるのは黒部進。
漢字表記は『早田進』。
ハヤテ・シンだと月面基地あるいは宇宙人捜査チームの隊長になってしまうので注意。



【概要】

科学特捜隊に所属する隊員。科学特捜隊養成学校を首席で卒業したエリート中のエリート。
24時間ブッ続けでジェットコースターに乗って根性を付けたらしい。

隊内ではムラマツキャップに次ぐ副隊長的存在であり、
またキャップからの信頼も厚く彼が不在の際はハヤタが指揮を執る。

基本的には真面目で如何なる任務も的確に対処するが、
無謀とも言える行動をとったりくじ引きに細工をしたりと茶目っ気を見せたりする。
持ち物をよく落とし、ある回では大切な道具であるベーターカプセルを忘れてきたことさえあった。(2話(撮影順では1話)で既に落として建物から飛び降りるハメになった)

そんな非の打ち所の無い完璧超人なようで何処か抜けている彼にはもうひとつの姿があった。







そう、我らがヒーロー・ウルトラマンである。

小型ビートルで竜ヶ森上空を警戒飛行中にベムラーを追って地球にやって来た
M78星雲の宇宙警備隊員と衝突、命を落としてしまった。

責任を感じた『彼』はハヤタと一心同体となってその命を救い、地球の平和の為に戦う決意をした。
そしてこの事件以降は科学特捜隊の隊員とウルトラマンの二足の草鞋を履いて平和を脅かす異変に立ち向かうことになるのだった。

金城哲夫氏の小説によれば普段の人格はハヤタのものだが、
変身後はハヤタの意識は傍観者でありウルトラマン自身の意識で行動しているようだ。

TV本編でも地底人に誘拐され、洗脳された際にもウルトラマンは正気だったことからもそれは判断出来る。
『ファンタスティックコレクション』では、ウルトラマンがハヤタを生かすためにハヤタに乗り移ってその人格を演じていたと記述されている。

また、ハヤタの時にもウルトラマンの意識が表層に現れていると思わしき場面もいくつかある。
しかしハヤタ自身についての描写は少なく、また彼にスポットを当てたエピソードも全くなかったので、
ハヤタの詳しい情報や心情を伺うことは難しい。だが、時折強く感情を見せることがある。


そして迎えた最終回、ウルトラマンはゼットンに敗れて命を落とした。
ゼットンは科特隊によって倒され、ゾフィーが新しい命を持って駆けつけた。

しかし地球と人々を愛するようになったウルトラマンは
ハヤタを殺してしまったことへの責任を感じて命をハヤタに与えるようゾフィーに告げる。
それを聞いたゾフィーはスペアの命をハヤタに与え、ウルトラマンとハヤタを分離してウルトラマンと共にM78星雲に帰っていく。

ウルトラマンに別れを告げる科特隊のメンバー。しかしハヤタは竜ヶ森で赤い玉と衝突してからの記憶がなかった。
ハヤタは命と引き換えにウルトラマンや仲間との記憶や思い出を失ってしまったのだった。
その証拠にシナリオでは削除された会話では、
「ハヤタ! いままでいったいどこにいっていたんだ! ウルトラマンが地球を去るぞ!」
「ウルトラマン? ウルトラマンってなんです?」
「ハヤタ! それは失礼だぞ!」
「でもぼくにはさっぱりわからないんです。キャップ! なんです? ウルトラマンって」
「寝ぼけた事をいうな!」
「夢でも見ていたのかな……キャップ! あれですよ、あの赤い玉ですよ! 僕が竜ヶ森で衝突して……その後どうしていたんだ?」
とある。
これ以後、明確にハヤタ本人が登場することはなかった。

『帰ってきたウルトラマン』の前身となる『続ウルトラマン』では30年後にはすでに引退し、冒険家になっている設定で登場が予定されていた。
一応、ウルトラマン最終回で分離したオリジナルのハヤタということになる。



【以降のシリーズでのハヤタ】

これ以降のシリーズでのハヤタはウルトラマンの人間態として登場するが、
再びハヤタと一体化したのか姿を借りているだけなのかは語られていないが、各種媒体では後者とされていることが多い。
確かなことは長い年月が経ってもハヤタの姿を人間態にしているくらい愛着があるということだけである。


◆『帰ってきたウルトラマン』

第38話に登場。
ウルトラマンジャック救出のために、ウルトラセブンと共にナックル星に降り立ち、科特隊の制服を纏ったハヤタの姿となり、
同様にウルトラ警備隊の制服を纏ったモロボシ・ダンと握手を交わした後、ウルトラの星作戦を決行した。


◆『ウルトラマンタロウ

第33話・第34話に登場。
タロウに招待されて、地球に遊びに来た。極悪宇宙人テンペラー星人との戦いで隠密活動を行った際には、荒垣副隊長やバレーボール選手の身体を借りた。
科特隊時代同様に冷静なサブリーダーぶりを発揮。


◆『ウルトラマンメビウス』及び『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

我々ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。

公式サイトでは『20年前のUキラーザウルスとの戦いの後、地球に留まることを決意。
ハヤタに姿を変えたウルトラマンは、正体を隠し、神戸空港・空港長として暮らしていた』
とあるので一応、後者である。


◆『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

ウルトラマンベリアルがプラズマスパークを奪ったことによって光の国が凍結。
咄嗟にバリアを張ったマンとセブンは難を逃れ、ハヤタとダンに変身してエネルギーを温存しながらベリアル傘下の宇宙人と戦いを続けていた。

武器は光線銃(倒した宇宙人から奪ったとのこと)で、劇中ではシャプレー星人を倒す活躍をみせる。


◆『ウルトラマンサーガ

公開版にはあくまで光の国でのイメージ映像としての登場で、ハヤタ本人の姿はディレクターズカット版で登場。
変身してバット星人の怪獣兵器と戦った。


◆地球人としてのハヤタのその後

M78ワールドにはウルトラマンが変身したハヤタと本物のハヤタの2人が存在する筈だが、ハヤタ・(真)のその後は全くわかっていない。
何事もなく生きていれば、少なくとも1986〜2006年には2人のハヤタ・シンが地球にいたことになるが……

なお、ウルトラ銀河伝説からは、Q~メビウスより遠い未来の時代であるため、ハヤタ本人はおそらく生存していない。
サーガでのハヤタは明確にウルトラマンの擬態であると設定されており、銀河伝説も同様と思われる。



【パラレルワールドのハヤタ】


◆『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第40話「ウルトラマンに逢いたい」

東映特撮作品。円谷一夫の提案で実現したコラボ。公式が病気。
黒部進演じる怪獣おじさんの着ぐるみに突然命が吹き込まれ、町で暴れ出してしまう。
しかし怪獣おじさんの正体は地球に留まるウルトラマンで、ベーターカプセルでウルトラマンに変身。
シュシュトリアンを巨大化させ、協力して巨大化したバルタン星人と戦った。
バルタン星人を倒した後は怪獣たちを連れて光の国へと帰って行った。


◆『甦れ! ウルトラマン』

ゼットンに敗れた後もウルトラマンが地球に留まった平行世界。
しかしゼットンにやられた際の傷は深く、スランプに陥った一方で科特隊の快進撃に自分の存在について思い悩んだり、
予知夢を見ても周りに話せないことに悩んだりと本編以上に彼の内面が描写された。


◆『大決戦!超ウルトラ8兄弟

本作では防衛チームの一員でもウルトラマンでもなく、横浜で自転車屋を営む只の一般市民である。
しかし勇敢な性格であることに変わりはない。

平行世界で同僚だったフジ・アキコと結婚して娘のレナを授かった。
その恋人のダイゴとも親しい。
また、同じようにこの世界では只の人間であるダン、郷、北斗とは家族ぐるみで付き合いがある。

平行世界から来たウルトラマンメビウス=ヒビノ・ミライの話を全く理解していなかったが、
スーパーヒッポリト星人率いる怪獣軍団やいち早く復活したティガダイナガイアを応援する
人々の声援を聞いて平行世界の記憶を呼び覚まし、ウルトラマンに変身してギガキマイラや黒幕の影法師に立ち向かった。
戦いが終わってから数年後、アキコと共にジェットビートルに乗って仲間達とウルトラの星を目指して旅立っていった。
アキコとは夫婦だが、何故か妻から名字の「ハヤタさん」と呼ばれている。


◆『ULTRAMAN(漫画)

――俺が、ウルトラマンだった…

CV:田中秀幸
ウルトラマンがゼットンに敗れて以降、ウルトラマンが現れることはなく、しかし依然として異星人に地球が狙われている世界。
この世界のハヤタはウルトラマンと融合したことで『ウルトラマン因子』なるものがウルトラマンと分離後も身体に宿っており、
驚異的な身体能力を持つ一種の超人となっている。

その因子は息子の早田進次郎にも受け継がれており、
超人的な能力を活かす「ウルトラマンスーツ」を身に纏って「ウルトラマン」となった息子を見守りつつも、
進次郎が父親である自分のせいで否応なく『ウルトラマン因子』を受け継いでしまい、息子が平和な日々を送れなくなっていることを心苦しく感じている。

当初はハヤタ自身も「ウルトラマンスーツ」を着て戦っていたが寄る年波には勝てず、戦士としては引退状態にある。
しかし進次郎の危機にはプロトスーツで駆けつけ、父子ウルトラマンとして戦う。
後にプロトスーツは、かつてゼットンに倒された自身を救ったゾフィーを思わせるカラーリングに変更。補助用のスペシウムコアを複数搭載しており、性能も強化されている。

ちなみに『ウルトラマン』の最終回同様、かつては自分がウルトラマンであったことを忘れており、
彼が地球を去ってから何故か自分に宿った超人的な能力をひた隠しにしていたが、幼い進次郎にもその超人的な能力が受け継がれたことを悩み、
イデにそのことを相談しに行った時に自分がウルトラマンであったことを思い出している。
イデ曰く当時の科特隊のメンバーは皆ハヤタがウルトラマンだったことに気付いていたらしい。

なお、科特隊を離れてからは一時期は日本の防衛大臣を務めていた。本編では既に隠居しているとはいえ、最前線で無茶しすぎです。


◆『ウルトラマン怪獣伝説 -40年目の真実-』

この作品の設定でも、ウルトラマンがゼットンに敗れて以降はウルトラマンは現れていない。
即ち『空想特撮シリーズ』としての『ウルトラマン』の延長線上の世界観である。

本作では「科特隊の隊員として戦った日々の記憶はあるが、ウルトラマンに関する記憶だけが抜け落ちている」という解釈が採られている。


ウルトラマンがゼットンに敗れてから40年。
その間に科学特捜隊は再編されて地球防衛軍へと生まれ変わり、ハヤタはイデと共に組織に残留し、やがて引退した。

ウルトラマンが地球を去ってちょうど40年後、ムラマツキャップが亡くなって10年目に当たる2006年。
元科特隊の隊員に誰かから手紙が届き、ムラマツ邸に集まった。

集まったアキコとイデはハヤタがある話をする為に手紙を出したと疑う。
『ある話』、即ち『ハヤタがウルトラマンだった』という話である。流石に皆も怪しんでいたのだ。
しかしハヤタも手紙の差出人を知らず、相変わらずウルトラマンの記憶もなかった。


ウルトラマンは何者だったのかについての話が進む中、
遅れてきたアラシはバラージの一件以来『ウルトラマンは神だった』と考えるようになったと語る。
ハヤタはおぼろ気にウルトラマンのことを思い出したものの、結局本当のことはわからなかった。

一同はムラマツ邸を後にし、一人用を足しに戻ったハヤタは帰り際に自分を呼ぶ声を聞き、そこで40年振りに懐かしい友との再会を果たした。


ウルトラマンである。


彼はハヤタと分離する際に心の一部をハヤタの中に残しており、精神が繋がっていた。
そこでウルトラマンはハヤタに自分を思い出してもらう為にかつての仲間達を集めた。

そう、隊員を集めた手紙はウルトラマンの心がハヤタに書かせた物だったのだ。

全てを思い出したハヤタはウルトラマンと語らう。
ムラマツキャップが多々良島で語った話はハヤタの中のウルトラマンにも向けられた話であったという推測など、ハヤタは共に戦った日々を思い出していった。


ウルトラマンはハヤタに言う。地球に再び脅威が迫っていると。
ハヤタは、ウルトラマンから自分と共に戦ってくれる健全な心と身体を持った勇敢な若者を探すことを頼まれた。
現実に還ったハヤタの手には40年振りにベーターカプセルが握られていた。

そしてハヤタは歩きだした。
かつての自分のような正義と平和を愛する若者を探す為に。



【余談】

演者の黒部進氏は、もともと悪役を得意としており、ハヤタ役のオファーが来た時には「なぜ自分にヒーロー役を?」と首を傾げたという。
「ヒーローに適したイケメン俳優がみんな忙しかったので、仕方なく自分にお鉢が回ってきたのだろう」と冗談めかして語っている。

なお、黒部氏はのちに『仮面ライダーBLACK』で、悪の科学者・黒松英臣教授を演じている。
初代ウルトラマンが相手なのだから、仮面ライダーが苦戦したのも当然と言えよう。





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最終更新:2023年08月29日 10:28