東京バベル

登録日:2013/09/29 (日) 18:22:52
更新日:2024/03/18 Mon 16:40:19
所要時間:約 4 分で読めます




「その武器(ちから)は、僕の存在理由(レゾンデートル)から生まれた――」

2012年8月31日に発売されたPCゲーム。
燃えゲーメーカーとして定評のあるpropeller初の全年齢向けの作品であり、声優陣には神谷浩史をはじめとする表の世界でよく見る名だたる面子が集まる豪華仕様である。
企画・シナリオは東出祐一郎、原画は石井久雄、音楽はAntistar担当。

◆あらすじ
天国は封鎖され、地獄は水没した。
無数に並行する世界は、その悉くが枯れ果てていく。
生き残った天使と悪魔は、最後の希望を抱いてその地に集った。
浮遊する煉獄――"東京バベル"

人間とともに全七階層から成るバベルを巡礼し、ヤコブの梯子より天国の門を再び開く。
それは天への贖罪である。

だが、その目論見は破綻した。
狂乱する巡礼者たちは、東京バベルの階層を支配し、総てを破壊し尽くそうとする。

一進一退が続く中、一人の少年が滅び行く世界から救い出された。
天道刹那――生まれついてから人間として扱われなかった少年。
彼は自分を救った"夜の魔女"リリスとともに、東京バベルの踏破を目指す。

――教えて。何故、貴方は生きようとするの?
その問い掛けへの答えを探しながら――


◆登場人物

●天道刹那 CV:神谷浩史
主人公。一応人間であるにもかかわらず天使や悪魔に比肩する戦闘能力を持ち、ナノマシンを用いた擬似魔法を使うなどいろいろとチート。
リリスに拾われて巡礼者となる。出身世界で壮絶な経験をしたためか、なかなか存在理由を見いだせずに苦戦する。
無感情で淡々と話すがツッコミスキルがかなり高い。
武器は「七つの罪(ペッカーティ)の剣」。元ウリエルの持ち物で、七つの大罪を元にする七罪の獣(セブン・ビースト)を召喚する。どうでもいいが暴食さんの登場率は異常。
一言で纏めると変態要素が亡くなったありゃりゃぎさん
科学が発展し、オカルトが駆逐された世界にて「否定したけど世界は辛いから神様が欲しい」という願いから生まれた『神として生まれさせられたホムンクルス』。つまりは『邪なる偽神』(ヤルダバオト)。ナノマシンを用いる能力もその過程で与えられたもの。しかし重圧に耐えきれずよりにもよってお披露目の公の場で『自分は人間だ』と発言して逃亡してしまい、それを発端として彼の世界は荒廃して人間は全滅した。そこからリリスとラジエルに拾い上げられたのが物語の始まりとなる。
上記の過去もあり自分に否定的であったがゆえ、自分を肯定するための定義である『存在理由』を見出だせなかったが、愛する者を得てそれを高らかに謳い上げる時は来る。
+ 存在理由
――この世は全て、機械が動かしている
「――神など存在しない。神になど縋らない。神に祈らない。神を信じない。神を求めない」
「――けれど。それでも人には神が必要だ。縋る物が必要だ。救う者が必要だ。だから、僕は、」
「あらゆる理不尽を“力”でねじ伏せるために」
「神を創造する。神を鋳造する。それが天道刹那の“存在理由”」
「召喚――万能機械(ユニバーサルマシン)/時の氏神」

存在理由は『理不尽への反逆』、『不条理の弾劾』。
機械仕掛けの世界にて神として鋳造されたこととそれら希望を背負わされた理不尽。
そこから神や天使、悪魔等強大な存在が蔓延る東京バベルにて無意識に強まった結果定義した存在理由。
理不尽に対してそれをも上回る大理不尽をぶつけて解決するために、大理不尽そのものになるという生きる理由。
根源にあるのは『楽しいことが好き』、『だけど世界は驚くほど冷たい』、『だから世界をつまらないという理不尽(やつら)を叩きのめす』という理屈。

能力は『万能の機械を召喚し、相手に対してもっとも適切な『武器』を鋳造して使用する』と言うもの。
『武器』と言う括りならば神器、聖宝、魔具問わずに鋳造できるどころか『既存のカテゴリに収まらない何か』すら鋳造できる。

相性差というバトルモノにて重要なアドバンテージを常にこちら側へ持ってこれる能力だが、欠点として『刹那より弱い敵には使えない(=面倒だが『理不尽』とは呼べない)』、『一つの敵に対して鋳造できるのは一つの武器のみ(あらゆる武器を召喚して圧殺は出来ない)』等の制約がある。
が、発現した頃の刹那は格下なら素の力で十分対処可能であり、一つの武器を鋳造すればその武器は相手を倒すためにもっとも適切な武器であるため必要以上の汎用性は必要ないため致命的とは言えない。

どちらかというと『相手の存在理由を知れないと鋳造できない(『存在理由』を叩きのめす『存在理由』とでも言える代物のため)』という性質があり、相手の存在理由を詳しく知る前に大きなダメージを与えられれば戦闘不能や死亡することもあり得る。
また、鋳造された武器以外は刹那の素の力に頼ることになるため、『武器と素の力が存在理由を発動した刹那よりも上回る相手』等がいる場合、アドバンテージは縮められる。
何より最大の弱点として『理不尽に対して理不尽をぶつける』と言う理屈と性質上、同じ性質の存在理由がある場合出力差があると逆に弱点を突かれて敗北すると言う性質がある。



●リリス CV:沢城みゆき
ヒロインのひとり。"夜の魔女"の異名を持つ高位悪魔。
とある並行世界から刹那を見出し、東京バベルに召喚した張本人。
飄々とした性格で普段おちゃらけていてすぐ調子に乗るが、面倒見よくしっかりしているため、他の天使や悪魔からはそれなりに頼られている…はず。
存在理由が常時発動しており、身体は実体のある幻で出来ている。

●ラジエル CV:花澤香菜
ヒロインのひとり。"神の秘密"を意味する高位天使。
高位天使であり有能であるはずなのだが、普段ぼんやりとしているため周囲からの扱いは結構適当。本作屈指のゲロイン。
自身の存在理由でありこの世のあらゆる事柄が書かれた本"天使ラジエルの書(セファー・ラジエル)"を紛失しており、これを探している。

●久沓空見 CV:伊藤かな恵
ヒロインのひとり。記憶喪失だが普通の人間。
壊れた天使「ゲテル」に連れ去られて虐殺されそうになっていたところを刹那たちに救われる。
ゲテルにより真実を見通す瞳を移植されてしまったため、その有効活用のために巡礼に同行することに。
相当理不尽な目に合っているはずだがあまり気にしない明るい性格。

●アダム CV:櫻井孝宏
最初の人間アダムを模して天使に造られた人間であり、巡礼に対する最終兵器。その助けとしてデュランダルなどの名だたる聖遺物を大量に持たされている。
刹那以上に無感情であり、その刹那とは遺伝子レベルで嫌い合う仲。
イヴに対してのみ天然ジゴロを発揮する。

存在理由は『最初の人間であることによる祝福』による『敵対存在の絶対悪認定による存在の否定』。
この効果は唯一の主たる神にすら条件さえ整えば適用される。

+ ……
上記の存在理由は生誕して間もない頃に巡礼の役目を聞かされて漠然と制定したものでしかない。

彼の真の存在理由は『イブへの愛情』。
名は我が深紅の心(エリュトロン・カルディア)
東京バベルで共に過ごした女性への胸に沸き上がった感情全てが彼の存在理由。

発現した能力は「自身を構成する最強のパーツである赤龍の心臓を変容させて剣を作り出す事」。
簡潔に言えば『心臓を剣に変えるだけ』の異能であり、強靭な素材で構築されているものの心臓そのものであるため剣が破損すればアダムは死亡する。
加えて性能自体で言えば我が深紅の心(エリュトロン・カルディア)を超える神話の武装は複数存在する。
他の特性としてはアダムの心臓、つまり『心』で出来ていることからその性能はアダムがどれだけアダムが自分の心を高ぶらせるかで左右される。
また、心臓が剣へと変貌した故胸を突いてもアダムに激痛を与えるだけであり、致命傷には至らない。

だが、『イブへの愛情を自覚したアダムがこの剣をイブの為に振るう』という条件を満たす限りこの存在理由は最強の存在理由足り得る者である。

つまるところ剣の性能や破損についてだがアダムの精神力に良くも悪くも左右されるということは、アダムの心が爆発的に燃え上がればそれに比例して性能が向上することである。
そして作中のアダムの心を突き動かすのは高ぶり続けるイブへの愛情。それは作中の描写では「アダムの心が折れない、つまりイブへの愛情が尽きない限り絶対に破損させることが出来ない」という代物にまで昇華されており、攻撃力も新世界の為に未来の技術を用いて構築された『天国』が一撃の余波で破壊されていく程になっている。

その為実質的には『アダムが我が深紅の心(エリュトロン・カルディア)を用いる限り、我が深紅の心(エリュトロン・カルディア)こそが全世界で最強の武装となる』という能力。

この存在理由を攻略するならば『アダムにイブへの愛情を行使することが困難になる』か『そもそもイブへの愛情を捧げるために戦闘は不要』という状況にもつれ込ませるしかない。


●イヴ CV:茅野愛衣
最初の人間アダムの妻。こちらは伝説に登場する本人であり、今回も造られたアダムの妻として付き従う。
清楚で従順な性格でアダムの世話に甲斐甲斐しい。空見の料理スキルに打ちのめされる可愛いところもあるが、いろいろと黒い。
アダムの前妻とされるリリスのことを「お姉さま」と呼ぶ。

●サマエル CV:喜多村英梨
神災の元凶ではと目されている堕天使だが、主要人物には全然信じられていない。見た目クレイジー幼女の鎌使い。
ちょくちょく刹那たちの前に立ちふさがるが、かなり高位の堕天使のはずなのだが、何故かあまり強くない。
リリスルートではほぼヒロイン状態となる。

●アスタロト CV:竹内良太
パンドラ校長室を根城にする悪魔側のトップ。パッと見黒幕。
インテリ風な見た目の青年なのだが、何故か空見との絡みが多く、出自を聞いて「オカマ」と言われたり割烹着を着て料理を教えてもらっていたりする(美味しくできるとドヤ顔)。
生き残っている悪魔の中では最強のお人。

●ベリアル CV:稲田徹
魔王を名乗れる高位悪魔なのだが、パンドラでは教師役。
ぶっちゃけ見た目は気のいいおっさんにしか見えないのだが、屈指の実力者でありリリスが信頼する数少ない悪魔である。
地獄の法学者と言うほどの文系らしいが、どう見てもケンカの方が強そう。実際存在理由はなかなかのチート。

●カマエル CV:阿部敦
生徒会室に本拠地を置く天使側のトップ。役職は生徒会長。
彼より上位の天使が居なくなったためこのポジションに就いているが、本人は向いてないとやや不満げ。
根性論信奉者の暑苦しい性格だが面倒見もノリもいい気さくな性格。戦闘では大剣と銃を使う。

●ケルベロス CV:ひと美
言わずと知れた三つ首を持つ地獄の番犬。
しかし、本作では本来の姿は封印されており、封印形態は三つの首を持つコーギーになっており、世話は持ち回りでパンドラで飼われている。ほねほねっこ大好き。
リリスルートでのみの登場だが、刹那、サマエルと共に大活躍。何よりクッソ可愛い。

◆用語

●神災
無数にある並行世界が次々と滅び、地獄が水没し、天国は閉鎖されて天使たちは追い出された。
この一連の災害を神災と呼んでおり、基本不死の天使や悪魔は魂の行き場が無いため、現在死ねばそのまま消滅してしまう。

●東京バベル
天使ミカエルが命と引き換えに用意した希望の地。元は煉獄。
全七階層、各階層は荒れた東京を再現した造りになっており、人間がこれら階層を巡礼して第七階層にあるヤコブの梯子を登ることで、罪が許され再び天国の扉が開くという。

●「壊れる」
精神汚染。東京バベルの巡礼を行う人間・天使・悪魔はおぞましい真実を知ったり、時折聞こえる「祝福の合唱」を聞くことで少しずつ狂気に汚染され、最終的に精神崩壊を起こして支配者となり、他の巡礼者に牙を剥くようになる。

●パンドラ
生き残りの天使や悪魔、並行世界から巡礼を行わせるために集めた人間たちが暮らす集落。学園(日本の高校)を模している。
生き残り勢力の本拠地であり、ここから各階層に赴くことになる。

●存在理由(レゾンデートル)
東京バベルにおいて誰もが持っている世界侵食術式。自身の生きている意味を見出し、謳いあげることで、その存在理由にちなんだ力を使用できるようになる。
東京バベルの戦いにおいて最も重要だとされるもので、モノによっては圧倒的戦力差を覆すことが可能。
要は超必殺技


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