ベルトスクロールアクション

登録日:2010/03/22 (月) 21:18:35
更新日:2023/09/02 Sat 14:18:11
所要時間:約 4 分で読めます




ベルトスクロールアクションとはゲームのジャンルのひとつ。
人によっては『くにおくん』型もしくは『ファイナルファイト』型のアクションと呼ぶ。
前者はファミコン世代(ゲーセンに1980年代から入り浸っていた世代と一致する)、後者はスーファミ世代が多い。

カメラ視点が斜め上から見下ろしたタイプで、進む度に雑魚敵が出てきてプレイヤーはその敵をフルボッコにする。
敵を倒すと先にスクロールして進むことができ、また雑魚敵がでてくる…といった繰り返し。
プレイヤーキャラクターが進む道が、ベルトのように左から右に続いている(シーンによって例外多数)事が名付けの由来。


■このジャンルの特徴

ここに挙げられた特徴も作品によって異なる事に注意。
メガクラッシュの仕様をカプコンが採用すると以降の同ジャンルのほぼ全作品がそれを取り入れたように、先駆者に影響される部分がかなりある。

  • 攻撃ボタンの連打でコンビネーションを放てる(同じ攻撃で殴り続ける事がシステム的に封じられている)。
  • 8方向(左右に移動、奥と手前、組み合わせて斜め)に歩くことが出来、ジャンプが出来る。
  • 敵味方問わず、通常攻撃ができるのは左右のみ。これによってグラフィック製作作業を減らす。
    • これにより、Y軸をずらして攻撃を連打して敵が寄ってくるのを待つという戦術が基本になる。当然敵AIはそれを回避してくる。
  • 360度全ての方向から敵が来るので簡単にゲームオーバーにならないように、無敵状態で全方向に攻撃して敵を打ち払える必殺技がある(当然何らかのリソースを消費する)。
  • 彼我の距離や状態に応じて敵の行動は変化する。ガチガチにパターン化するのは難しい。
  • 雑魚敵が持っていたり、アイテムコンテナから出てきたりして落ちた武器を手に取って攻撃する事も出来る。
  • コンシューマ版は簡単にクリア出来ないようにコンティニューが制限されている。 

『単純な操作で爽快に敵を倒せる』のがウリで今遊んでも結構面白く、友達と遊ぶ用に手元に一本置いている人もいる。
いわゆる「無双系ゲーム」の先祖の一つと言えるかもしれない(ただ、無双系は育成に重点を置いたアクションRPGとしての色も強く、横向きスクロールアクションの進化系であるベルトスクロールアクションとは直接的には繋がらない節もある)。

模倣作品は大ヒット作『ファイナルファイト』を参考にしているものがとても多く、一見するとどれも同じゲームに見える(もっとも、FFのような大きいキャラを作画して動かすのはそれだけで技術が要る。他メーカー同ジャンルの大半はダブルドラゴン級のキャラサイズ)。
だが、敵を殴った時のヒットストップやキャラグラフィックの作り方で生まれる「殴る手応え」の演出、
敵の行動ルーチン・単純なハメを防ぐ仕様などで構成される難易度調整など、ゲーム制作におけるハードルは相当高い。
そのため、ユーザー的には遊べるタイトルを探し出すのが結構大変なのがある意味で難点。

どのゲーマーにも好評なジャンルだが、中には操作性やゲームバランスが悪くクソゲーと化してしまった作品も存在する。

スーファミ時代では対戦型格闘ゲームとともに、様々な派生作品を作ったジャンルでもある。

グレイトバトル4など、横スクロールだがこの手法を採用した作品も存在する。


ほとんどの作品が2人同時プレイが出来るのだが、いざ遊んでみると
  • 味方攻撃ありなので間違えて攻撃
  • 回復アイテムを勝手に取る
  • 味方がフルボッコにされていても助けない
  • 最終的にリアルファイトに発展
になる事があるので、プレイする時は仲良く遊ぼう。


ファミコン時代は斜め上視点のゲームはいくつか存在したのだが、テクノスジャパンの『熱血硬派くにおくん』のように操作が自由度の高い作品が無かった。

この手のジャンルは日本ではくにおくんが人気がでたのに対し、海外では同社の『ダブルドラゴン』で有名になった。


■主な作品



■カプコン製の特徴

このジャンルは特にカプコンが得意としており、ファイナルファイト以降作られた作品はいずれも人気を博した。
当時のカプコンが発売したベルトスクロールには共通の特徴がある。

①玄人向けのキャラクター

使いこなせば1Coinクリアが逆に楽になる場合もあるが、基本的にはスペシャリスト以外お断りの難解仕様。必ず一人はいる。

【代表例】
マイク・ハガー(ファイナルファイト)
マジックユーザー(ダンジョンズ&ドラゴンズ・シャドーオーバーミスタラ)
ダッチ・シェーファー(エイリアンVSプレデター)
黄忠(天地を喰らうⅡ赤壁の戦い)


②初見殺しの2面ボス

カプコン製のゲームをプレイする際に大半のプレイヤーがぶつかる壁。
インカム回転率の向上と初心者をふるいにかける為か、2面のボスが異様に強い、強すぎる。

【代表例】
  • ソドム(ファイナルファイト)
  • シュトゥルムJr(キャプテンコマンドー)
  • レイザークロウ(エイリアンVSプレデター)…(高い攻撃力とリーチの長さ、素早いジャンプからの突撃が脅威)
  • 夏侯惇(天地を喰らうⅡ赤壁の戦い)
  • ブラフォード(ナイツ オブ ザ ラウンド)…(夏侯惇のように馬に乗って出てくる。地面にたたき落とした後も、出の早い飛び蹴りや突撃攻撃をしてくるのでガードを使いこなせないと勝ち目がない。さらにダウン起き上がり時傍にいるとメガクラを使ってくる。)
  • ダークウォリアー(ダンジョンズ&ドラゴンズ・シャドーオーバーミスタラ)



③自重しないラスボス一つ前のボス

ラスボスの一つ前、つまり七面・六面などに多く見られる。
  • 凶悪なパターン攻撃
  • ハメが通用しない
  • 一撃で即死するダメージ
などスコアラーのトラウマになる例も。

【代表例】
  • アビゲイル(ファイナルファイト)・(吸引力が高い投げの持ち主)
  • ワーロック(パワードギア)・(2人プレイ時はもう1体増えて更に手に負えなくなる)
  • スライサウルス二人組(キャディラックス恐竜新世紀)・(2人プレイ時は(ry
  • 徐晃(天地を喰らうⅡ赤壁の戦い)
  • シュトゥルム&ドラック(キャプテンコマンドー)・(2面ボスシュトゥルムJrに新たな攻撃が追加されたボス)
  • プルート(バトルサーキット)・(特にイエロービーストで来ると恐怖)


④メガクラッシュの存在

体力を消費して強力な攻撃を繰り出す「メガクラッシュ」が全キャラ共通で装備されている。
敵に囲まれた際の非常手段として使うことが基本。


⑤移植に恵まれていない

カプコン製の名作は版権や利益の関係で移植に恵まれておらず、中々遊べる機会が限られがちだった。
D&Dシリーズ等は移植されている。


◆21世紀のベルスク

1998年頃からゲーム業界が全体的に3Dポリゴンに移行した流れから、N64、PS、SSなど以降の次世代機では、この手のジャンルのゲームはほとんど発売されず、絶滅したかに見えた。

しかし21世紀に入ってバーチャルコンソールやPS2のコレクション、アーケードアーカイブスや各メーカー独自の旧作復刻などでプレイ出来るので、
あの日スーファミやゲーセンでファイナルファイトで敵をフルボッコにした日々を過ごしたあなたも、次世代ゲームしか遊んだ事の無い君も是非一度友達を誘って遊んで欲しい。
2010年代に入って、ダブルドラゴンやベア・ナックルという往年の人気タイトルに正式な続編が発売され、
インディーゲーム市場が盛り上がる中で海外の愛好家が同ジャンルのゲームを作るようになり、地味に復活しつつある。

90年代後半のゲームハードでこのようなジャンルのソフトはほとんど無いのだが、一対多数の格闘アクションという精神を3Dゲームで表現しようとしたタイトルは実は少なくない。
バカゲーのダイナマイト刑事シリーズも(本来は)そうだし、多人数プレイが推し出されたセガの「スパイクアウト」はそのスピード感・多数の敵をまとめて吹き飛ばす爽快感、「パターンよりセオリー」と呼ばれる状況判断の難しさはベルトアクションの血筋そのもの。
GOD HANDもまさにこの系列のゲームだ(無慈悲な難易度も含めて)。

他にも『デビルメイクライ』や『龍が如く』など単純かつ爽快な部分を受け継いだアクション作品は少なからず存在する。



追記・修正は横スクロールを練り歩きつつ、襲ってくる敵をなぎ倒しながらお願いします。

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最終更新:2023年09月02日 14:18