ミョルニア(蒼穹のファフナー)

登録日:2012/09/28(金) 04:36:09
更新日:2023/12/31 Sun 15:19:21
所要時間:約 5 分で読めます




蒼穹のファフナー』シリーズの登場人物(フェストゥム)。






※この項目は劇場版までのネタバレを含みます。



■概要
数少ない(『THE BEYOND』までも含め、僅か2体しか登場していない)、『マスター型』に該当されるフェストゥム。
「ミョルニア」とはクレジットや設定等での呼び名であり、劇中では一切呼称されない(もう一体のマスター型『イドゥン』も同様)。

マスター型はフェストゥム、正確には北極ミールが生み出す群れの上位/統括個体であり、
ミールを一人の人間、フェストゥムをその人間を構成する細胞1つ1つに例えるならマスター型はより重要度の高い部位に相当する存在と言える。
同化した人間をベースとして人の姿を取ることができるが、ミョルニアは普段は真壁紅音(主人公・真壁一騎の母親)の姿をしている。
これは、過去にフェストゥムと同化した紅音がミョルニアの思考に大きな影響を与えたため。
同化された紅音の記憶を全て受け継いでいる上に酷似した姿だが、本人と同一の存在ではない。

本編中では、自分たちフェストゥムの脅威であるファフナーを研究するため人類軍に潜入し、そこで出会った日野洋治の下で働いている。
紅音の記憶を持っているためか普通の人間と変わらない言動をとることは出来るが、自身の正体を知る洋治などの前ではフェストゥムとしての無機質な振る舞いを見せる。
日野洋治は当然彼女をフェストゥムだと知って部下に迎え入れており、フェストゥムに「情報」という概念を与えるのと引き換えに彼女に大きな影響を齎すことになる。

フェストゥムとしての姿は赤い女性的なシルエットの人型フェストゥムであり、その戦闘力は非常に高い。
また、人の姿をしているのでファフナーにも搭乗することが可能。

■本編中の活躍

《蒼穹のファフナー》

人類軍モルドヴァ基地で初登場を果たす(紅音の姿は一話から写真で登場しているといえばしているが)

同じマスター型フェストゥムであるイドゥンと共に鹵獲されたマークエルフのコアに興味を示す。

モルドヴァ基地にフェストゥムが襲来すると、洋治にザルヴァートルモデルを一騎に渡すよう頼まれるが、フェストゥムだらけの状況下で彼を一人にすることを嫌がる。
ミョルニアがフェストゥムの中でも特異的な存在であることが分かる一場面である。
その後、洋治が遠見真矢・溝口恭介と合流したのを見届けると、一騎のもとへと向かう。

一騎の乗るグノーシスモデルの窮地をマークザインで救うが、一騎にザインを託した直後「個」の存在を理解しつつあったミョルニアを疎んだイドゥンによって食われてしまう。

この時死亡したかと思われたが―――――






「なぜ…私はここにいる。なぜ…――――――?」



立て続けにパイロットを喪い、竜宮島が北極決戦に参加する意向を固めつつあった終盤に復活。
復活の理由は不明だが、直前に自身を喰らったイドゥンが一騎のマークザインと交戦しており、この戦闘が契機となった可能性が高い。
真壁紅音の齎した「祝福」とこれまでの経験からフェストゥムの大元であるミールと拮抗した(上の例えで言うなら、手や足が自身(ミール)の意思に反して勝手に動けるようになった)ことで独自の行動を開始。
竜宮島に襲来したフェストゥムを圧倒的戦闘力によって撃退し、竜宮島を守る。

その後、竜宮島首脳部に対し、

彼らはまたくる
会話がしたい
山で待つ

真壁紅音

というメッセージを送る。
皆城乙姫の立会のもと、一人山で司令官・真壁史彦と対面を果たす。
ここで、紅音がフェストゥムに与えた影響と、その影響をフェストゥム(ミール)自身がなかったことにしようとしていることが語られる。

そして史彦に、影響の根本であるミール(北極ミールから切り離されてて捕らえられた、ミョルニアの本体)の救出を依頼。
その対価として、「未来」に影響を与える「同化現象の緩和法」や「ワームスフィアからファフナーを守る方法」などの多大な情報を竜宮島に提供する。
その情報は、洋治の思想である「兵士をできる限り生き延びさせる」ということを大きく反映したものだった。

更に、攫われたジークフリードシステムと搭乗者・皆城総士の生存を伝える。
また、スレイブ型に覚醒した春日井甲洋と共に蒼穹作戦中の島の防衛も約束した。

紅音のもたらしたこれらの対価によって、一騎たちパイロットをはじめ多くの人の命が救われることとなる。



対話の最後の問いとして、史彦は「なぜ、紅音の名前を使った…?」と問う。

それに対してミョルニアは

「それが最適の方法だったからだ」

「――――いや、お前に会いたかったからかもしれない」

「そう、お前に伝えたかったからだ」


「ありがとう、史彦。一騎を育ててくれて……」


と答えてフェストゥムの迎撃に向かった。

確かにミョルニアは真壁紅音ではない。しかし、真壁紅音もまた確かに”い”たのだろう。



以下、映画版ネタバレ







第一次蒼穹作戦以降、どのような経緯があったかは不明だがボレアリオスのミールに捕えられていた。
大元たる北極ミールが砕け散り、世界中のフェストゥムが個を獲得しつつあるなかでミョルニアには最早元の力は無いようだが、
ボレアリオスミールは「(人と)戦うための術を知る存在」としてミョルニアを利用しようとしていたようだ。
だがメッセンジャーとして生まれたフェストゥム・来主操は「傷み」を背負うことで苦悩しており、彼に対し

「痛みは皆城総士の祝福だ。生と死は皆城乙姫の祝福だ」

「―――おまえは世界をどう祝福する?」

と問いを投げかける。

その後の第二次蒼穹作戦によって、近藤剣司のマークアハトがボレアリオスを攻撃した際、その混乱に紛れ脱出し竜宮島に向かう。
フェストゥムの襲来によって不安定になっていた新たな竜宮島のコア。立上芹による命がけの補助も限界に達していた。
ミョルニア自らが竜宮島のコアと同化することで、コアは「成長期」を乗り越えることとなる(これにより、ミールの補助装置に入っていた芹の命も助かった)。




「以前のコアに教えられたからだ」


「この島が、私の還るべき場所だと………」



そう告げたミョルニアは乙姫と共に島の大気へと融けて行ったのだった―――

なお本作のクレジットではミョルニアではなく「真壁紅音」と明記されている。


■関連人物

  • 真壁史彦
紅音の夫。
ミョルニアを紅音とは全く別存在として扱い、彼女の名で通信を送ってきた際には怒りを隠しきれなかった。
だがフェストゥムとの対話を望んでおり、ミョルニアの主張を受け入れる。

  • 真壁一騎
紅音の息子。
ザルヴァートルモデルを渡すその瞬間以外対話することはなかったが、一騎はミョルニアを「母さん」と呼んでいた。
この出会いによって一騎が溝口さんに「何故母さんはいなくなったのか」と尋ねる契機になり、これによって父史彦とのわだかまりが完全に解消される事になる。
また、ミョルニアのもたらした情報によって一騎の同化現象が緩和され、「総士が生きている」という彼にとって最大の希望を伝えられるなど恩恵は計り知れない。
ちなみにどうみても一騎の見た目は母親似である。作品を重ねる毎にどんどん似ていく。

  • 日野洋治
元竜宮島、現人類軍参謀本部所属の研究者。
一人でも多く人を生き延びさせるような兵器の開発をする一方でフェストゥムの在り方そのものについても様々なアプローチで研究を行っていた。
その思想はミョルニアに大きな影響を与える。

  • イドゥン
劇中登場するもうひとりのマスター型。
ミョルニアとは思考が異なり、フェストゥムを「分岐」させる。

  • 来主操(及びボレアリオスミール)
前述の通りミョルニアを捕らえていた。
彼らの群れに属する「エウロス型」フェストゥムはミョルニアのように真紅の体躯だが、これは彼女の影響を強く受けていることを示唆している。


■余談
ミョルニアに影響を与え、自ら同化された紅音は、かつて日本消失に際し絶望の淵に立たされていた竜宮島のAlvis職員に


「生きろ」


と声と希望を投げかけたという。
その言葉と姿勢は第一次蒼穹作戦において溝口を始めとしたAlvis職員に、データの送信者が真壁紅音であると察知させるほど、
"真壁紅音"が島に「いた」ということと、ミョルニアの中に確かに"真壁紅音"が「いる」という証となった。

紅音はフェストゥムがまだ「個」や「時間」などを知り得ない無機質な存在だった頃から彼らにも「個としての存在」や「還るべき場所」があると考えており、
史彦を庇って同化された際にも他の人間と違い彼らを自ら受け容れた事でフェストゥムと強く共鳴し「時間」という概念をミョルニアに与えることになった。
(ミョルニアは「時間は巻き戻せない(いなくなった人間は戻せない)」「これから起こりうる未来なら変える事ができる」とはっきり史彦に告げている事からもそれがうかがえる)

また、史彦が自他諸共に認めるほど売り物にならない位に下手くそながら陶芸を趣味としているのは、紅音の影響。
紅音はフェストゥムとの相互理解を図る第一歩として、フェストゥムを構成するケイ素を材料とする陶芸を始めたらしい。
だがミョルニアと会うまではフェストゥムへの憎しみが隠しきれず最後にぶっ壊してしまうので歪な形状になっているという笑えない理由があったりする。
(HAE以降は憎しみが払拭された影響もあって、ちゃんとした形になっている)




原作同様の役回りを果たす。
初登場は第一部からで、モルドヴァ基地でのイドゥンとの会話を侵入したアレルヤ達に聞かれている。
第二部終盤では同化現象の緩和法をもたらす*1だけでなく、蒼穹作戦の前にカティにUXの支援を要請した。
なお、史彦との対話の「ありがとう、史彦。一騎を育ててくれて…」の場面は原作では背中を向けているため、表情が分からないのだが、
スパロボではこの場面のためだけに笑顔になったミョルニアの顔グラが用意されている。
ファフナー関係の顔グラはやたらとパターンが多く、スタッフの本気がうかがえるがその一端と言える。
まぁ、実際には『K』の時点でも用意されて…うっ、頭が*2

第三部終盤(ここから「真壁紅音」名義になる)では操の元に囚われていたが、第二次蒼穹作戦にて竜宮島に戻り、コアとの同化を試みる(BGM:「蒼穹」)。
そしてコアが「成長期」を乗り越えたのを見届けると、乙姫と共に島を包む大気となって消えていった。


「還ろう。私達の、安らぎの故郷へ………」


その後、紅音は「時空を越えた意志」の一人となり、乙姫やエンネア達と共にUXを導く。
ユガの終焉を乗り越えた後、「全ての可能性が集う世界」へと帰還する最愛の息子と、最後の会話を交わすのだった。

「ありがとう。お前が生まれてくれて、私と史彦は幸せだった」





追記・修正は憎い相手でも理解しようとする方にお願いします。

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最終更新:2023年12月31日 15:19

*1 『K』ではこのデータ情報量が大量過ぎて条件を満たさないとファフナー組はバッドエンドというとんでもない展開になってしまうが、『UX』ではティエリアが機転を利かせてヴェーダで解析をサポートした為原作よりも早く治療法が進歩した

*2 というか、『K』の頃からファフナーキャラは顔グラが異様に多かった。顔グラ用意したスタッフは最初から本気だったのだろう