ミニ四駆

登録日:2009/06/30 Tue 18:32:00
更新日:2024/03/31 Sun 23:19:40
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『ミニ四駆』とは1982年から発売された、かつて日本で二度に渡る大ブームを巻き起こした自動車模型。
ガンプラを除けば日本で最も売れた模型とも言われ、
「世界一売れた自動車模型」のギネス記録をも持っていたりする。

モーターが付いており、直進のみだが自動で走らせることができるのが特徴。


誕生したきっかけは田宮模型の社長の目の衰えにあった。
自身が模型を組み立て辛くなったため、
「子供でも簡単に作れて、楽しめるプラモデルを」
というコンセプトのもと作られたのがミニ四駆である。

最初は実車をそのままミニ四駆にしたものであったが、まだリアル志向を捨てきれないせいで子供には見向きもされず、全く売れなかった。
そこで某氏のアドバイスに従い、コミカルかつパワフルなデザインに変更したところ中々のヒットとなり、さらに当時の主力商品だったRCカーのミニ四駆版を出したところ、RCに手が出せない子供達が飛び付き大ヒット。

この小型RCカーから始まったシリーズが、第一次ブームの引き立て役になった
レーサーミニ四駆」である。

最初はオフロード走行を想定しており、現在ミニ四駆の基礎パーツであるローラーすら付いていなかった。
だがバケツの内壁を走らせて遊んでいたのを元に、ミニ四駆を走らせるためのサーキットが発案されると、
子供達がローラーやスタビポールなど次々に斬新な改造を編み出していき、田宮もそれを公式パーツとして反映させるなど、子供達と共にミニ四駆は成長していく。

そして故・徳田ザウルス氏による漫画「ダッシュ!四駆郎」が一代ブームを巻き起こし、
第一次ミニ四駆ブームへと発展した。

しかし、メインの年齢層が大会に出られない年齢になったり、メガドライブPCエンジンスーパーファミコンといったTVゲームの台頭によりブームは終焉を迎える。
その後、ミニ四駆は長い冬を迎える。

フルカウルミニ四駆登場の少し前(スーパーミニ四駆時代)にも徳田氏による漫画
「風のレーサー(おとこぎ)」がコロコロコミック誌上で連載されるも奮わず。
もはや打つ手なしかと思われた矢先にフルカウルミニ四駆が誕生。
その未来的なデザインは社長にも気に入られ、「二回の読み切りで」という約束でコロコロコミックにこしたてつひろ氏による漫画「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」が掲載された。
読み切りであったが、空力によって加速するなどの設定がウケ、読者からの凄まじい反響により連載へと繋がり、
そのままの勢いでミニ四駆は第二次ブームへと突入、社会現象となった。

しかしやはりブームは終焉を迎えるもので、ポケモン、遊戯王やゾイドに子供達の注目は移行。
田宮もミニ四駆には無かった(正確には悪役の仕事だった)「バトルレース」をテーマにした「ダンガンレーサー」を子供向けのメインに投入する。

このダンガンレーサーもそこそこ売れはしたのだがミニ四駆のように一世を風靡するまでは行かなかった。
しかしこのダンガンレーサーがきっかけで第二次ブームの購買層が若干ではあるが田宮に再び振り向いた。

そこで田宮は従来のミニ四駆とは大きく異なる、MSシャーシを用いた「ミニ四駆PRO」を発表。(詳細は後述)
シャーシ分割式にリニューアルしていたダンガンレーサーのアイデアをそのまま用いたと思われる。

第一次ブームの源となった「ダッシュ!四駆郎」の主人公マシンをこの「ミニ四駆PRO」にリメイクしたり、
こした氏が数年振りに新マグナム&ソニックを設計するなど旧来のユーザーに売り込む他に、
声優桃井はるこ仕様や鉄のラインバレル作者の清水栄一&下口智裕デザインのコラボマシンの登場など、新規ユーザー獲得にも積極的に取り組むようになる。

さらにフルカウル、エアロミニ四駆はほとんどが今も生産されているため簡単に入手できる。
またディスプレイ専用のリアルミニ四駆もあった。

かつてのブーマーたちが財力と技術力を引っさげて復帰、更に自身の子供も引き連れて参戦したため、奇想天外な改造を施したマシンや、それに対応したコースによるレースが登場し、
安価ながら奥が深い大人、親子のホビーとして、静かなブームになっている。

…そして2021年、コロコロコミックにて新たなるミニ四駆シリーズ、「レーザーミニ四駆」が発表された。
今もなお、大人も子供達も、熱く夢中にさせていき、爆走させ続けている。

以下、各シリーズ

  • ミニ四駆/コミカルミニ四駆
記念すべき最初のミニ四駆。
前述のとおりデフォルメした実写の形状。
ウォームギヤーがスプリングでスライドする独自の機構によって悪路走破性が非常に高い。


  • ワイルドミニ四駆
でかいタイヤでおなじみのパワフルなミニ四駆。
見た目どおりのパワーに加え、ウィリー・片輪走行など遊び方も広がった。
ミニ四駆シリーズの中で唯一シャフトドライブを採用していない。現在は一部の車種が生産中。


  • レーサーミニ四駆
低重心・低ギヤー比と文字通りレース仕様に進化した新シリーズで一次ブームの火付け役。
ラインナップとしてはRCカーのミニ四駆化が多いが、一次世代の聖典「ダッシュ!四駆郎」で登場したマシンも多数リリースされた。
初期はオフロード走行が前提とされ、タイヤもスパイクだった。

ちなみにこのシリーズ、初登場から25年以上経っているのにもかかわらず未だに新マシンがリリースされ続けている。


レーサーミニ四駆の思想を一歩推し進めた純レース仕様マシン郡で、一次ブームと二次ブームの過渡期に属する。ここからしばらくモーターが別売りになる。
登場時はミニ四駆ブーム衰退期、二次ブーム時もフルカウルの影に隠れるなど地味な印象もあるが、
ビジュアル重視のフルカウルに対してこちらは大径タイヤが標準装備だったりとよりレース用に特化しており、こちらを愛用するレーサーも多かった。
このシリーズを題材にした漫画は「風のレーサー侠 外伝」及び「ダッシュボーイ天」で、ラインナップは全てこちらの漫画に登場したマシン、もしくはそのアナザーモデルである。
ちなみにあの名シャーシであるスーパー1を初めて採用したのはこっち。
現在は通常生産はなされておらず、時々限定で再販やS2シャーシでリメイクされたプレミアム版が出るのみとなっている。


みんな大好き「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」でおなじみのシリーズ。タイヤ全体を覆うカウルに小径タイヤが特徴。大径タイヤの装備にはボディ加工が必要。
二次ブームの火付け役にして牽引役で、ミニ四駆といえばこのシリーズというレーサーも多い。
SFM、TZといった新シャーシも積極的に採用され、スーパーミニ四駆にも輸入された。
初登場後20年近く経った現在でもほぼ全マシンが生産中 (例外はGPAシリーズの2種のとリアルミニ四駆あがりの2種、最近だと旧キット各種)という事実もこのシリーズの人気を物語っているといえる。
長らくリメイクマシンはともかく全くのニューマシンは発売されていなかったが、
2014年11月にZウイングマグナムが新発売されたのを皮切りに、
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!RR』に登場する新車が次々に発売されている。


走れないミニ四駆。
その分セミスリックタイヤやステアリング、内部メカの再現にクリアボディとディティールは綿密。
全車種が「レッツ&ゴー」シリーズに登場したマシンで、シャーシを走行可能なものに付け替えればレースへの出場も可能。
現在全車種が絶版だが、一部車種はレース用シャーシと共に期間・地域限定で再販された他、
2016年にはプロトセイバーEVO.が片軸最新のARシャーシを引っさげ、遂に通常生産ラインナップにプレミアムとして復活を果たした他、
翌2017年にはスピンコブラもS2シャーシで復活したため、他のマシンの復活にも希望が持てるようになった。
更に、2020年2月にバックブレーダーの再販を皮切りに、今後、全車種の復活が期待される。


フルカウルミニ四駆の後継シリーズで、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX」に登場したマシン郡。
特徴としてはフロントカウルの省略とリヤカウルの簡略化による逆三角形のボディ形状、さらにタイヤ幅が前輪と後輪で同じということが挙げられる。
シャーシは片軸最強との呼び声高く、根強い人気と豊富すぎるカラバリを有するVSシャーシの他、
無改造で抜群の駆動効率を誇るXシャーシ、相当癖は強いが性能を引き出せれば強いTZ-Xの3種類が採用されており、
何気にフルカウルより採用シャーシは多かったりする。

かつては、全車種が生産されていたが、現在はストームクルーザー1台のみで、今後、X系シャーシのマシンは定価で手に入れる事は難しくなるかも知れない。
また、一部マシンはXXシャーシでリメイクされている物も。


エアロがフルカウル後継ならこちらはスーパーの後継シリーズ。登場車両はレツゴと同時期に学年誌にて連載されていたミニ四駆漫画多数に登場していたマシン。
やはりエアロに比べて影が薄いが大径バレルタイヤを標準装備した実戦的なシリーズで、愛用者もそれなりにいる
(特に主人公機のダイナホークGXはかなりの人気があり、ポリカボディ全盛期の三次ブームでも愛用者が非常に多い)。
ただしこの頃は二次ブームの衰退期でもあり、まだ知名度があったエアロに比べてなおさら空気臭が酷い不憫なシリーズ。ラインナップも多くなく、全車種が絶版中。
たまに限定品で復活している程度なので、運よく復活に立ち会ったら逃さずゲットしておこう。


  • ラジ四駆
ダンガンレーサーと共にミニ四駆の後継ブランドとして企画されたシリーズ。
操作は専用プロポによるモーターのON/OFFのみで、RCというよりはスロットルカーに近い。ラインナップはいずれも実写ベース。
シャーシは専用のTR-1で、受信機を外せば公式大会への出場も可能…
だが競技用シャーシで唯一ニッケル水素電池のネオチャンプの使用が禁止されていたりと、かなり不遇。


  • ミニ四駆PRO
「ミニ四駆を超えるミニ四駆」として開発され、専用に開発されたMSシャーシはその奇抜な構造ゆえに多くのレーサーを驚かせた。
ラインナップとしてはレーサーミニ四駆のマイナーチェンジやRCのミニ四駆化が中心だが、フルカウルマシンをマイナーチェンジしたマシンも存在する。何故か先祖返りしているが
一部のダッシュマシンはこのシリーズで復刻している。
なお、このシリーズは全てMSシャーシもしくはMAシャーシを搭載しており、MS・MAシャーシを採用したマシンは全てPROである。
なお、2020年にMSシャーシのマシンの一部の車種が絶版になってる。


  • ミニ四駆REV
ミニ四駆30周年記念シリーズで、シャーシは専用に開発されたARシャーシ。
ラインナップはレーサーミニ四駆のマイナーチェンジ版ばかりだったが、
FM-Aシャーシ搭載第一弾のラウディーブル発売以降は独自デザインのマシンが数多くリリースされるようになった。


  • レーザーミニ四駆
上記のミニ四駆REVから9年ぶりの新シリーズであり、
コロコロコミック連載漫画「MINI4KING 」に登場したマシン群。

久々となるコロコロタイアップという事もあり、新たなブームの火付け役となるかと期待されたが、
折からのコロナ禍の影響もあってかマシンの発売ペースが半年に一度ほどという超スローペースであった上に、
肝心のMINI4KINGが早々に月刊コロコロ誌上からWeb送りになった挙句に連載開始から約1年8カ月でほぼ打ち切り同然の形で連載終了。
そのためシリーズそのものがたった3台のマシンを輩出しただけで打ち切りとなってしまい、第1弾マシンであるロードスピリット発売からわずか2年でカタログ落ちという憂き目に遭い、
結果的にトラッキンに次ぐレベルの超短命シリーズで終わってしまった。

全車種に安定性を向上させる追加クリヤーパーツが付属しており、シャーシは全てVZシャーシが採用されている。


  • ビギナーズミニ四駆
幼い子供や初めてミニ四駆を触るビギナー向けの半完成キットシリーズ。
上記のミニ四駆PROシリーズのマシンに、クリヤー成型のボディ、動物レーサーのドライバーや中身が見えるパッケージも特徴。
ボディが組み立て済み、シャーシは本体がほぼ組み立て済みでタイヤやローラーを組み付ければ走行可能な状態で封入されている。


  • トラッキンミニ四駆
古き良きアメリカの大型トラック文化をそのままミニ四駆に持ち込んだシリーズ。
だが殆ど売れなかったのか、ジョリージョーカーとサニーシャトルのたった2台のみでシリーズは打ちきられてしまい、
ミニ四駆界屈指の黒歴史の一つとなった…
と思われたが、2010年に一瞬だけ再販された後、
2013年にボディカラー・ステッカーデザインを大幅に変更した上で
当時の片軸最新シャーシのARシャーシを引っさげてプレミアムモデルとして突如復活。
あっという間に売り切れてしまい、プレミア化が進んでいたが、2017年と2021年に再販された事で手に入りやすくなった。


  • ミニF1シリーズ
F1ブームが流行っていた1990年代前半頃にF1カーをモチーフにしたミニ四駆の姉妹品として開発され、軽量・低重心の2WDシャーシを使用している。
スケールサイズは1/28で統一し、ミニ四駆と同様にはめ込みとビス止めで組み立てる方式。
実在のF1カーをモチーフにしているため、他のミニ四駆とは異なり、2輪駆動と地上高が1mmと非常に低めのサイズとなっている。
主にマクラーレン、ロータス、フェラーリ、ティレル、ウィリアムズ、ジョーダン、フットワーク、ベネトン等の、当時人気のF1チームのマシンがラインナップされた。
2006年12月に完成品として再販した事もあった。


以上が公式シリーズだが、奇想天外な改造は新たなるカテゴリを産んだ。

  • 超四駆、フェンスカー
みんなは速いからという理由でシャーシだけで走らせたことがあるだろう。
そこから発展し速さだけを求めた結果が超四駆である。
だが一部の人々はそれだけでは満足し得なかった。
更なるスピードと軽さを求め、最早四駆にすら縛られず、ミニ四駆のコースをフェンス沿いに最速で駆け抜けるだけとなった存在…それこそがフェンスカーである。
プロペラシャフトがなくなり後輪駆動のみとなり、重力とサイドローラーによって支えられている。前輪もサイドローラー1個。爆走兄弟に出てきたドラゴンデルタも真っ青である。
当然ガワなど存在せず、金属やカーボンの骨組みだけで構成されていることからアメンボとも呼ばれる。
世界的な広がりを見せており、世界最速クラスになると80キロを超えているとか。
なお、素手でキャッチするのは速すぎて危険とされる。



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最終更新:2024年03月31日 23:19