マグニートー

登録日:2012/05/04 Fri 13:49:57
更新日:2023/10/31 Tue 14:30:48
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「私はパワー……マグニートー」


■マグニートー

『マグニートー(Magneto)』はMARVEL社のアメコミ作品『X-MEN』の登場キャラクター。
シリーズでも最大のスーパーヴィラン(悪役)で、Xメン最大の宿敵にして好敵手と呼ばれる。
初登場は63年の『THE X-MEN#1(※後にUNCANNY X-MENに改題)』で、シリーズ最初の敵役だった。

当初は自らのスーパーパワーにより世界征服を目指すと云う、典型的な悪役だったのだが、コミック表現が全体的に大人向けで、リアルな社会問題や科学的考察を盛り込んだ表現による世界観に移行すると共に、誕生当初には存在しなかった数々のオリジン(誕生理由)が後付けされ、強引な手段を用いてでも同朋たるミュータントを救おうとする鋼の意思の持ち主と云う、キャラクターが定着。

旧人類とミュータントの理想的な共存を目指しXメンを率いるプロフェッサーXと対となるキャラクターとして、世界観の中心に置かれる様になった。

魔神アポカリプスの求めた12人の強力なミュータントの一人。


【プロフィール】

コードネーム:マグニートー
氏名:エリック・マグナス・レーンシャー
※旧名:マックス・アイゼンハート
国籍:不明
性別:男
身長:188㎝
体重:86㎏
通称:磁界王、地上で最も危険なミュータント、史上最悪のミュータントテロリスト、創造主…etc.

1930年代生まれ。
ユダヤ人であり、幼い頃にナチスのホロコーストによりアウシュビッツ強制収容所に送られ家族を失う(彼の腕には当時に刻まれた識別No.が残っている)。
幼いエリックは数少ない生き残りとなるものの、理不尽に家族と同朋を奪われた記憶は、彼の中に迫害者達への消える事の無い炎を根付かせる事になる。

成人した彼はソビエトに移住し、妻マグダを娶り農夫として平凡な暮らしをしていたが、ミュータントパワーに目覚めてしまう。
人知を超えたエリックの力に脅えた村人は、偏見による迫害を彼と家族に加え、遂には家に放火……長女アーニャが焼死してしまう。
これに怒りを爆発させたエリックは自らに目覚めたスーパーパワーを使い、村人を惨殺。

彼が我に返った時には、妻マグダすらもが彼の姿に脅えて姿を消していたのである。

傷心のエリックは放浪の途中で新たなる恋人イザベラを得るが、彼女もまた信じていた人々にミュータントへの偏見を理由に殺されてしまう。

……更に放浪して辿り着いたイスラエルにて、ボランティアの看護士として働く中で精神科医のチャールズ・エグゼビア(後のプロフェッサーX)と出会い親交を結ぶ。
ある事件を通じて、互いがミュータントである事を知った二人はミュータントと人類の未来を夢見て活動していたが方法論の違いにより対立……袂を分かつことになる。(『エイジ・オブ・アポカリプス』はこの当時からの派生作品)。

そして、チャールズが来たるべき未来の為にサイクロプスら新世代のミュータントを保護すると共に教育し、人類とミュータントの共存を目指す「Xメン」を組織した頃、エリックもまた磁界王マグニートーを名乗り、人類に宣戦を布告。

共にミュータントの救済を目指しながらも、真逆の方法論を掲げる、嘗ての親友同士による対立の歴史が始まったのである。


……以降の行動は、日本語でも邦訳されていた部分であり、基本的にXメンと戦闘→何やかんやで撃退され→場合によっては生死不明→何も無かった様に帰還……の繰り返しなので、細かくは記さない。

生年からすると本来は老人の年齢なのだが、宇宙人の技術により彼自身が創造した究極のミュータント「アルファ」により幼児に退行させられる等の事件を経て、実年齢よりもかなり若い肉体を得ている様である(矛盾はあるが)。

宿敵である筈のXメンとはミュータントの同朋として(更にチャールズの教え子ということもあり信頼と)親近感を抱いてもおり、チャールズが重傷を追い治療の為に地球を離れていた時期には、彼の代わりにXメンの指揮を取っていた時代もあった。
現在は若返ったと思ったらクローンだったり、娘が引き起こした世界規模の異変で能力を失ったりしていたが復活。
Xメンに歩み寄りを見せている時期である。


以上の深すぎる設定と活躍により、Dr.ドゥーム宇宙魔神ギャラクタスらと並ぶ、MARVELでも五本の指に入るカリスマ悪役として捉えられるている。
日本では本格的にMARVELヒーローがコミックやゲームファン以外にまで浸透してきたのは近年になってからだが、米国本国ではジョーカーをも凌ぎ、コミック史上人気No.1悪役の地位を獲得している。
ダークヒーローに憧れるのは世の東西を問わず共通の本能らしい。


【能力】

「磁界王(Master Of Magnetism)」の異名の通り、磁力を自在に操る能力を持つ天才科学者。
初登場時は磁力反発で飛行すると説明される等、磁力のみを操る超能力だったのだが、後に科学的考察が深められると共に磁力を利用し、地球の磁界を操作する能力へと描写が拡大。
磁力のみならず電力や重力をも自在に操る能力者として描かれる様になった。
後の『X-MEN』にて唐突に登場した設定であった各分野の最上級の能力者を指す“オメガレベルミュータント”の一人でもある。

マグニートーのパワーの基本は磁力操作なのだが、電磁力が物理法則に於いて重要かつ多大な部分で影響力を持つために、磁力操作能力を極めているマグニートーは天才的な科学者であることも加わって、非常に多彩な能力を発揮している。

  • 磁性、非磁性問わず金属を意のままに操る
  • 地中や空中の金属分子を集めて塊にしてぶつけたり、巨大な金属性の壁を発生させる。
  • 核爆発や宇宙規模の攻撃にも容易に耐える電磁フィールド(バリアー)により、宇宙から深海までを自由に行き来出来る
  • 電磁波を練り上げ、最も有名なキャラクターに例えるならばスーパーマン級の能力を持つミズ・マーベル(2代目キャプテン・マーベル=キャロル・ダンバース)をも一撃で昏倒させる電磁ビームとして照射。このエネルギーは光子をも生み出せる
  • 大山脈を移動させたり、地殻に働きかけてマグマ層を開いたり、地震をも操作
  • 血液中の鉄分の操作により脳への血液流入量を抑えて思考能力を制御。これを利用してスーパーパワーも封じてしまえる
  • 金属分子限定だが分子レベルでの物質操作
  • 光線銃をエネルギー爆弾に作り替えるなどの金属分子でできた物質の分解と再構築
  • 光も電磁波であることから、光を歪めて透明化(空間迷彩化)
  • 放射線の影響を無効化(電磁波の方向を自由に操作可能な為)
  • 惑星規模の磁界操作。
  • 空間を歪めてワームホールを作り出す。宇宙空間から地上へと届く巨大な磁気嵐を発生させて瞬時に複数人を宇宙空間まで吸い上げてしまう等、それに近い芸当はかなり以前から見せていた。
  • 電磁パワーを利用した擬似的な身体強化(パワーやスピードを増加可能である模様)
  • 肉体を薄い電磁フィールドで覆うことで、直に肌が触れた相手のパワーと意識を奪うローグともギシアン可能

……ただし、これらの能力の内で特に複雑で繊細なものは多大な精神力を必要とする為に、戦闘時には基本的に単純なパワーの使い方をすることが多い。
戦闘技術自体も高く、それらのイメージはゲーム作品等に殆ど忠実である。

……このように、単純なれど能力の応用の幅が極めて強大、且つ幅広く、単体でXメンやアベンジャーズ全員を相手に大立ち回りを演じられる程。
根っからの悪人ではないので相手の命まで取ろうとはしていないだけで、物理面でのパワーは地球規模のスーパーヴィラン達の中でも最上級にある一人といえる。 
実際、パワー以上に存在の成り立ちがヤバいゴーストライダーの様なデタラメな存在と相対しても平然とやり過ごしている。
昔から居る&レギュラー的なキャラクターなのでトンでもな後付けは余りされていないのだが、単純に余りにも強大なので総戦力ならばフェニックスパワーに匹敵するとさえ言われたこともあった。

この他、自らの周囲に張り巡らした電磁フィールドにより、かなりの範囲内での電磁気情報を認識することが可能であり、これをレーダーの様に用いることで、常人を遥かに越えた感覚能力を披露する場面が度々あり情報処理能力も速い。
そのスピードは常人の十数倍と、それだけでも十分にパワーと呼べるレベル。
また、初期の連載ではしばしばアストラル体(日本風に言うと幽体離脱)の状態で戦闘を行ったこともあり、精神世界の怪物と成り果てたシャドウキングと戦ったこともある。
これは、ミュータントパワーというよりはマグニートーの資質によるものだと分析されている。

以上のように一国の軍隊を遥かに超える脅威であり、国連は「マグニートー議定書」なる物を用意して世界規模の脅威として認定している。
この為、ミュータント弾圧で世界に名を馳せたジェノーシャ政府軍や、ミュータントハンターロボットのセンチネル、世界でも最高クラスの科学者であるアイアンマン等は、マグニートーと敵対した場合を想定して配備した兵器や新型のモデルを非金属性の素材で作る等の根本的な対応をしている。
しかし、そこまでの準備をしてもマグニートーがパワーによる抜け道を見つけて対処してしまう場面も見られる。

身に纏うコスチュームも、彼自身が空気中の金属分子を利用して作り上げたボディアーマーであり、凡る攻撃を緩和する能力を持つ(の割には、良く破けてるが)。
特徴的なヘルメットも同様で、唯一の弱点とも呼ぶべきエグゼビアのテレパシー攻撃すら防ぐ精神防御が施されている(の割には、良く脱げてるが)。実はテレパシーについては当人がとんでも無く意志が強いので素で耐性を持っていると言えるレベル。唯一、例外と呼べるのがチャールズなのだ。

……上記の様に、操れる能力の規模は登場キャラクターの中でも最大級なのだが、如何せん元来の目的がミュータントの救済にあり、またチャールズとXメンとは対立しつつも同朋意識が常に付きまとう為か、そうした精神の隙を付かれて敗れる事が多い様である。(チャールズは心を許し合った親友だけに前述のトラウマを抉り出して退散させるという、冷静に見るととてつもなく外道な方法をとっている。)

復活の度にパワーも強化されており、ゲームの原作にもなった『フェイタル・アトラクション』事件の際には、大気圏外で発生させた電磁パルスにより地表を走る電磁波の大津波を発生させて地球全土を停電に追い込んでいる他、別世界では娘を殺された絶望から暴走し、数多のヒーロー達を惨殺した末にサイクに止められている。
天才的な科学者でもあり、衛星軌道にアステロイドMやアバロンと云った基地を作るのが趣味。


【メディア作品】

キャラクター設定から、映画やゲーム等ではラスボスとして扱われる場合が多い。
ただし、日本でお馴染みのカプコンの「VS MARVEL」シリーズでは94年の元祖『X-MEN』を除いてはプレイヤーキャラクターとして登場している。

VSシリーズでは元々がボスキャラだったためか、シリーズを通してキャラ性能は高め。
特に機動力と遠距離からの牽制に優れ、近寄っても素早い通常攻撃からコンボが怒涛のように決められる。
反面、体力は低めに設定されており、攻撃性能は非常に高いが打たれ弱い。
また出来る事が多い分、キャラ性能を引き出す事にも相応の習熟が必要となるテクニカルなキャラである。

00年からスタートした映画版では舞台出身の名優、イアン・マッケランが演じたが原作のパワフルさからはかけ離れていたキャラクター造形だった為に、原作ファンからの評価は低かった(人物設定に注目した結果であろうと思われる)。

11年からシリーズの再スタートと共に再構成された物語では若いときのマグニートーをマイケル・ファスベンダーが演じており、コスチュームのイメージも原作に近くなっている。


【関連人物】

  • スカーレット・ウィッチ(ワンダ・マキシモフ)
  • クイック・シルバー(ピエトロ・マキシモフ)
最初の妻マグダが、マグニートーから去った後に生んだ双子。
互いに親子と知らずにマグニートーの組織した悪のミュータントチーム「ブラザーフッド・オブ・イビル」に所属していた時期もあった。
後の二人は「アベンジャーズ」や「Xファクター」にてヒーローとして活躍していたが……。
「ハウス・オブ・M」の元凶。

  • ポラリス(ローナ・デイン)
磁力を操るメンヘル女。
マグニートーとの血縁が囁かれては否定されて来たのに、遂に娘にされた。

親友にして最大の宿敵。
共に現世代のミュータントの始祖世代にあり、ミュータントのカインとアベルとも呼ばれる。
史上最強のテレパスであり、マグニートーが唯一勝てない相手と言っても良い(心理的な意味でも)。

Xメンのリーダー。
結成当初から敵対している経験からかマグニートーへの猜疑心は強い。
が、紆余曲折あってマグニートーの思想を受け継ぐ者となっている。
現在では、反対にマグニートーの方がサイクの理想を繋いでいるような面も。

Xメンの中心メンバーで地上最高のエージェント。
マグニートーとは共に戦っていた時期もあり、互いに認め合う部分も多い。
尚、マグニートーはウルヴァリンから分子レベルで結合していたアダマンチウムを剥がした張本人。

  • ローグ
Xメンの中心メンバーの一人。
メンバーと離れ離れになっていた時期にマグニートーに保護され暮らしており、その時の経験からマグニートーに恋情に近い思慕を抱き続けている。
事実、別世界(AOA)では彼の妻となり子供まで産んでいる。
余りに人気の組み合わせだった為か正史世界でも恋仲に。

  • ジョセフ
マグニートーのクローン。
「オンスロート」事件の直前に登場し、暫くは青年まで若返ったマグニートー自身と思われていた。
死亡していたが、味方になりパワーダウンしたマグニートーに代わり悪役にシフトした。



追記・修正は同朋達を救ってからお願いします。

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最終更新:2023年10月31日 14:30