キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー

登録日:2012/03/18 (日) 01:59:46
更新日:2024/01/15 Mon 21:57:49
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◆キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー





彼こそが、世界最初の英雄<アベンジャー>


なぜ彼は、世界最初のヒーローと呼ばれたのか――




【作品解説】

『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(Captain America:The First Avenger)』は2011年製作の米映画。
マーベル・シネマティック・ユニバースシリーズの一つで、MARVEL COMICSのヒーロー"キャプテン・アメリカ"を実写化した映画作品。

第二次世界大戦下、米軍の極秘プロジェクト"スーパーソルジャー計画"によって生まれ変わったジミ系男子の活躍をパワフルなアクションシーンで描く。
現代が舞台である他のマーベル作品とは異なる、1940年代に合わせたレトロな雰囲気と、ヒーローとヒロインによる古風な恋愛ロマンスも特徴。

監督は『スター・ウォーズ』初期三部作、『レイダース』などで特殊効果を手掛け、『ミクロキッズ』『ロケッティア』『ジュマンジ』『遠い空の向こうに』『ジュラシック・パークⅢ」などの映画を手掛けたジョー・ジョンストン。
特に、第二次世界大戦時が舞台、アメリカとナチスドイツとの戦い、祖国と恋人を守るために戦う主人公など、監督作繋がりで「ロケッティア」との共通点が見られる。

また「ノルウェー」、「北欧神話」、「ユグドラシルの樹」など、前作『マイティ・ソー』が物語の設定に大きく関わっており、クロスオーバー要素も多少含まれている。

主演のスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ役には、『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』でヒューマン・トーチを演じたクリス・エヴァンスが抜擢。
かつてMARVEL映画でヒーローを演じた俳優が再び別のヒーローを短期間の間で演じることでも話題となった。

アメコミヒーローの元祖と言える"キャプテン・アメリカ"の誕生劇を丁寧に描写した点はアメコミファンから評価が高い一方で、映画『アベンジャーズ』の布石になる衝撃のラスト…というか「続きは『アベンジャーズで』!」といったオチについては賛否両論。
当時はMCUの手法が受け入れられる前で、『アベンジャーズ』抜きにして原作の設定通りにやった結果でもあるのだが……。


【ストーリー】

第二次世界大戦中の1942年。
国の為に戦うことを夢見る青年、スティーブ・ロジャースは出身地を偽りながら軍の入隊試験に何度も志願するが、貧弱な体格と体質を理由に落とされ続けていた。
ある日、入隊の決まった親友のバッキーと共に訪れた展覧会でも入隊試験が行われており再度試験を受けたスティーブだが、彼の持つ"ある資質"をアースキン博士に認められ晴れて軍に入隊。
軍の極秘実験である"スーパーソルジャー計画"の被験体1号に選ばれ、実験は成功。見事超人的な肉体を手に入れる。
しかし、直後に立会人の中に紛れていたヒドラ党のスパイにより、アースキン博士は殺害され"スーパーソルジャー計画"は打ち切られてしまう。

唯一の超人兵士になったスティーブは実験の経過観察もあって戦場には出れず、国内の戦意高揚の為に全身青タイツのコスチュームに身を包んだアメリカ軍のマスコットキャラクター"キャプテン・アメリカ"として活動することになる。
ステージ公演に映画出演、果ては漫画の主人公になったりと一躍子供達のヒーローになったスティーブだったが、ある時イタリアの前線に訪問したところ現地の兵士達から馬鹿にされる。
自身の理想からかけ離れた状況に思い悩むスティーブだったが、現地でヒドラ党の襲撃に遭い行方不明になった部隊がバッキーが所属している107連隊だった事を知り、彼らを救うためペギーやハワードの協力を得て単身敵地に潜入する。

捕虜になっていた兵士達を救出するスティーブは彼らにこう告げる。


「僕は―――キャプテン・アメリカ。君達を助けに来た。」…と。




【登場人物】


(俳優:クリス・エヴァンス)
(吹替:中村悠一)
善良でピュアな思慮深い若者。徴兵基準に及ばない虚弱体質な"もやしっ子"だったがアースキン博士から固い意志と弱者故の優しさを認められ特別に入隊。
軍の"スーパーソルジャー計画"により超人的な鋼の肉体に変貌。当初は戦場に出させてもらえなかったが、持ち前の行動力で結果を出し続け、周りの人間の信頼を勝ち得ていく。
最初は嫌々着ていた国債売るマンキャプテン・アメリカのスーツも「クセになってきた」と気に入るようになり、似たデザインの戦闘服を要望する等彼にとってのアイデンティティとなる。
兵士として認められても慢心することなくベストを尽くし自身の変化をネタにバッキーといじりあう一方、もやしっ子故に女性経験が皆無だったことから女性の扱いが分からずに同僚からのキスを拒めなかったところを、想いを寄せるペギーに見られて怒りを買い、必死に弁明する情けない姿も見せる。
特殊能力なしの正攻法のファイトと超人血清で得た『人間が人間のままで得られるギリギリの身体能力』、ハワードが開発した希少金属ヴィブラニウム製の特殊シールドを駆使して戦い抜く。屈強な体格になっても優しい心根は変わらず、人並みはずれた勇敢さと持ち前のリーダーシップを発揮し、常に先頭に立ち仲間を率いていく。

しかし、彼は原作同様の運命を辿ることとなる…。
「それは僕の未来じゃない!!」


  • ペギー・カーター
(俳優:ヘイリー・アトウェル)
(吹替:園崎未恵)
男顔負けのタフな軍人でツンデレ美女。スティーブの世話役で、もやしっ子ながらも強い精神力を持つ彼に早いうちから好意を抱く。
奥手で女心に鈍感なスティーブとなかなか思いを口にしないペギーのゆっくりと進展する恋の行方は意外にも切ない。
「撃てたのに!」 


  • チェスター・フィリップス大佐
(俳優:トミー・リー・ジョーンズ)
(吹替:谷口節)
冷静な判断と部下の信頼も厚い軍の大佐。当初は貧弱なスティーブに期待していなかったが、彼の強い内面と行動をしだいに認めていく。
「キスはしないぞ!」


  • バッキー・バーンズ
(俳優:セバスチャン・スタン)
(吹替:白石充)
スティーブが"もやしっ子"だった頃からの親友。屈強な体格をしており喧嘩も強く、女の子からはモテモテの青年。スティーブよりも先に軍の入隊試験に合格して精鋭部隊である107連隊に選抜される。
その事を自慢げに話す一方で戦争の恐ろしさも頭では理解しており、明らかに兵士に向いていないスティーブを止めようと説得するが、意思の硬さに折れて彼を応援しつつ先に戦場に向かう。
フィリップス大佐も名前を覚える程に優秀な兵士になったが、ヒドラ党の捕虜となってしまう。
バッキーを助けようとしたスティーブの行動がキャプテン・アメリカとしての第一歩を踏み出すきっかけとなる。そして彼の手で救出され無事に生還。その後はスティーブを中心とした精鋭部隊に所属し共にヒドラ党と戦う。
やはりスティーブの変貌っぷりには驚いており、助けられた直後に遭遇したレッド・スカルを見てドン引きし、同じ超人血清であの姿になったことを知ると「…お前もああなのか?」とスティーブに尋ねていた。

原作のバッキーは戦場で"キャプテン・アメリカ"と知り合って相棒になったサイドキックの少年だったが(バットマンの相棒のロビン枠)、
本作では設定が変更され、"キャプテン・アメリカ"になる前からスティーブと親しく、お互いの変化をネタに対等に軽口を叩き合う親友という新たなバッキー像を確立している。だが…。

「俺が付いていくのはただ一人、ひ弱なくせに頑固なもやし野郎だ」


  • ティモシー・“ダム・ダム”・デューガン
(俳優:ニール・マクドノー)
(吹替:志村知幸)
  • ゲイブ・ジョーンズ
(俳優:デレク・ルーク)
(吹替:乃村健二)
  • ジャック・デレニエ
(俳優:ブルーノ・リッチ)
(吹替:ふくまつ進紗)
  • ジェームズ・モントゴメリー・ファルスワース
(俳優:J.J.フィールド)
(吹替:宮内敦士)
  • ジム・モリタ
(俳優:ケネス・チョイ)
(吹替:遠藤大智)
バッキーと同様に捕虜にされていたがスティーブに救出された各国の兵士たち。
スティーブに恩義を感じて、キャプテン・アメリカの指揮するチーム「ハウリング・コマンダーズ」を結成する。


  • エイブラハム・アースキン博士
(俳優:スタンリー・トゥッチ)
(吹替:多田野曜平)
戦略科学予備軍の科学者。スティーブの善良な内面的資質を見込み彼に"スーパーソルジャー"としての鋼の肉体を与えた。
ヒドラ党のスパイの銃撃で息を引き取るが、実行前日にスティーブに"本当の強さ"を伝えていた。
ちなみにクイーンズ出身。


  • ハワード・スターク
(俳優:ドミニク・クーパー)
(吹替:野島裕史)
大企業スターク・インダストリーの社長にして天才発明家。
"スーパーソルジャー計画"に携わった事がきっかけでスティーブと親しくなり、装備などの技術面で彼をサポートしていく。
"キャプテン・アメリカ"のトレードマークとなるヴィブラニウムの盾を与えたのも彼。
スティーブが兵士として認められる前から、捕虜になったバッキーの救出を試みる彼(とペギー)の為に敵地まで飛行機の操縦を務めるナイスガイ。
名前からお察しの通り、女好き酒好きでワガママで天才科学者な社長であるアイアンマンことトニー・スタークの未来の父。
冒頭の展覧会のシーンでは観客の面前でショーガールにキスをして自ら製品のプレゼンをしたり、ヒドラの技術力の凄まじさを伝える為とはいえ「私はこの国で一番の技師だが~」と話す等トニーほどではないが目立ちたがり屋な一面を見せ、血筋がうかがえる。
アイアンマン2にも映像という形で壮年期の彼(演:ジョン・スラッテリー)が登場している。


  • ヨハン・シュミット/レッド・スカル
(俳優:ヒューゴ・ウィーヴィング)
(吹替:山路和弘)
ナチス内のカルト組織ヒドラ党を率いるボス。原作でもキャップの宿敵となるヴィラン(悪役)。
裂け谷のエルフ領主でも仮想世界のエージェントでもない。
アースキン博士を脅して未完成だった超人血清を自身に投与した結果顔を失い、名前の通り赤い髑髏の顔の怪物になる。
世界征服を目論み、その手段として世界の半分を吹き飛ばすため最強の武器を開発する。
元々は国を想う軍人だった様だが超人血清の副作用で悪の心も増幅してしまい、己の野望の為に序盤でヒドラごとナチスを裏切って独自勢力化し、目的の為なら虐殺も厭わないどころかスティーブ達の手で壊滅した部隊の生き残りである部下を八つ当たりで射殺したりと極悪非道の男になっている。

これらの要素から、悪党ではあるが曲がりなりにも国を想っておりナチスの代名詞だった原作とは異なる、違う意味でキャプテン・アメリカとは対になる新たなレッド・スカル像を打ち立てる。
完全に顔が赤い髑髏そのものだった原作アメコミと異なり、皮膚が赤く変質して唇が残っているデザインとなっている。
「まだ一人残ってるだろうが…!」


  • アーニム・ゾラ博士
(俳優:トビー・ジョーンズ)
(吹替:佐々木睦)
成り行きでヒドラ党の事実上のナンバー2、すなわちレッド・スカルの片腕になってしまった科学者。その頭脳をフルに駆使してヒドラの誇る超時代的装備を次々と生み出す。レッド・スカルに振り回され続けた一方でヒドラの思想に自然と共感しており、ゲーム版ではその辺が見て取れる。
「そう言われても、私は科学者です」


  • ハインツ・クルーガー
(俳優:リチャード・アーミテージ)
(吹替:川原慶久)
ヒドラ党の工作員。
スティーブの超人兵士化の実験に国防省職員のフリをして潜入し、爆破工作を行ってアースキン博士の命を奪った。
その後逃走するが、超人兵士化したスティーブに追い詰められ、服毒自殺する。
はなれ山を目指すドワーフの王ではない。


  • ニック・フューリー
(俳優:サミュエル・L・ジャクソン)
(吹替:手塚秀彰)
本作のラストにて登場。スティーブを"ある組織"に勧誘する。


  • 将軍
(俳優:スタン・リー)
原作者のスタン・リーがカメオ出演している。



【他のマーベル映画の伏線】


過去に公開されたマーベル映画には本作とのリンクがあり…




これらの作品のヒーロー等が集結した2012年8月公開の『アベンジャーズ』で共演した。

その後、翌年に公開された『アイアンマン3』のBDに収録された特典映像では短編ながらも“ペギー・カーターのその後”が描かれており、
2015年1月6日には彼女を主役としたスピンオフドラマ『エージェント・カーター』が放送された。



【続編】


本作の脚本を担当したクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーが続投して脚本を書いた『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』が2014年4月に公開された。
タイトルから分かる通り、この作品のメインヴィランは原作において死んだと思われたある人物がヴィランと化したあのウィンター・ソルジャーである。
原作コミックに詳しい人からすれば本作の時点で続編に出ることが予測できていたのは密に…

さらに『シビル・ウォー』をベースとし、キャップとトニーの対決を描いた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が2016年4月29日に日本先行公開、5月6日に全米でも公開された。



【余談】


キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスは同じマーベル映画『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』、『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』の二作品でジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチを演じている。
オファーを受けたときはあまりのプレッシャーから一度辞退したこともあったとか
後年のインタビュー等では有名になりすぎて私生活に影響を出ることを恐れていたのも辞退した理由の一つだったり、アイアンマン/トニー・スターク役のロバート・ダウニーJrから熱烈に説得されてい事や、オファーを受ける決意をしたきっかけが母親からのアドバイスだったこと等が明かされている。

国債売るマンキャプテン・アメリカとしてスティーブがステージで国債購入を観衆に呼びかけるシーンやエンドロールなどで流れている本作のエンディングテーマ、「Star Spangled Man」を作曲したのは、かの『リトルマーメイド』『アラジン』『美女と野獣』等数多くのディズニー映画の名曲を手掛けたアラン・メンケン氏である。


本作以前にもキャプテン・アメリカの実写作品は複数作られているが、それらのオマージュが多数盛り込まれている。例を挙げると

  • キャプテン・アメリカとして白黒映画に出演するスティーブ(『Captain America(原題)』(1944年の映画))
  • 後半でスティーブが単身ヒドラの基地に向かう際、銃撃を防ぐ為に運転しているバイクのハンドルに盾を付ける。(『爆走ライダー!超人キャプテン・アメリカ』(1979年のテレビドラマ))
  • ヴィランがレッド・スカルで、氷漬けにされて現代に飛ばされる展開(『キャプテン・アメリカ/卍帝国の野望(原題:Captain America)』(1990年の映画))

等がある。



追記・修正は正義感のある人がお願いします。






























怒れる二重人格の怪物





…彼らが集められたのは、全てこの時のため。





Captain America will return in...

キャプテン・アメリカは帰ってくる



THE
AVENGERS

アベンジャーズ



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最終更新:2024年01月15日 21:57