トゥーフェイス(バットマン)

登録日: 2011/01/13(木) 03:54:23
更新日:2024/03/18 Mon 15:56:54
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HE IS WRONG. THEY ALL ARE!
No one understands the beauty of fate's hand.
I am grateful to Falcone. He gave me a clarity; a purity that few will know.
Everything boils down to a simple choice, this way or that way, GOOD OR BAD.

  • トゥーフェイス

「トゥーフェイス(Two-Face)」はDCコミックスのキャラクターで1942年に初登場した「バットマン」のヴィラン。
初登場は『Detective Comics Vol.1』#66。
『2』に関連した(妄執した)犯罪を行う異常犯罪者でギャングのボス。
尚"Hervey"は"ハーヴェイ"と発音するのが正しい様だが、日本語訳の表記、発音では"ハービー"とされる事が常の為、本項目でも以下は"ハービー"で統一して記述して行く。






【概要】

バットマンの代表的な宿敵の1人。
ゴールデンエイジの早くから登場したキャラクターだが、当初は出番が少なく本格的な登場は70年代に入ってからだった。
それ以降は最大の敵であるジョーカーキャットウーマン共々その存在感を保ち続けている。
ギャングのボスとして恐怖を振りまく一方、コインや『2』にこだわるルールのせいで苦しむ二面性が見どころのキャラクター。
特にその風貌や性格からレギュラーシリーズではなく短編で数多くの名作を残している。
またアニメ版の影響からか近年では復讐者としての一面も強調して描かれる事も多い。



【人物】

本名…ハービー・デント(Hervey Dent)

元ゴッサムの地方検事で正義に情熱を燃やす姿勢とハンサムな容姿から『アポロ』と謳われていた。
頭脳のみならず、肉体的にも健全である事からバットマンの正体であると疑われた事もある。
尚、同じく正義の為に戦うバットマンやゴッサム市警のジェームズ・ゴードン本部長とは盟友であり、共にゴッサムを蝕む犯罪と戦う約束をしていた。
近年では、ブルースとは学生時代の同級生と云う設定が付けられている。
しかし、ある時にマフィアに硫酸を浴びせられ、顔の左半分が灼け爛れ、以来正義の使徒ハービー・デントと邪悪の権化トゥーフェイスの二つの人格を抱える事になってしまったのである。
以上の事からバットマンやゴードンは彼の犯罪に心を痛めている。

左半分が酸で灼け爛れた顔を持ち、着ているスーツも右半身と左半身で色が違う…と云う容姿をしている。
犯罪に手を染めるようになってからは地方検事としての腕を活かしてか犯罪者たちをまとめ上げるボスとして動くことが多い。
また犯罪を犯す際には『2』に関連することが多いためバットマンや彼の仲間には早めに気づかれがち。

悪か正義か…その決定は1922年鋳造の片面が傷ついた1ドルコインで行う。
傷の無い表が出た場合は、巻き込んでしまった一般人を助けるなど決して悪を行わないが、傷の付いた裏が出た場合には速やかに相手を殺す等、悪をためらう事は無い。
登場作品にもよるが、彼の行動は善悪に限らずほぼ全てがコインによって決められており、右か左か、殺すか否か、終いにはトイレに行くかどうかすらコインを使って決断している。裏を返せばコインが無ければ何も出来なくなるということを意味していて、それ故に苦悩することも多い。
また、性格の一つである「二面性」の描写もかなり特徴的。彼の拠点や所有物、身の回りにあるありとあらゆるモノが彼の二面性を表すかのように片面が醜く焼け潰れており、銃も半分しか弾を装填しない、モノを奪うのも半分だけなどなど、とにかく「2」に異常なほど固執していることで知られている。
…そのコインの決定は絶対(表が出た場合は如何に不利でも悪行は為さない)なのだが、傑作コミック『バットマン:ダークナイト・リターンズ』では、
顔面の形成に成功したにもかかわらず、逆に完全な暗黒面に捉われコインの両面を傷つけて使用する等、作品によっては異なった描写もある。

コインの由来は初登場時には自分を変えたギャングのものだったが、『ポストクライシス』からは愛憎入り交じる存在である父親の形見となった。
父親はハービーに対し虐待を繰り返していた。虐待をするか否かはコインの裏表で決めていたのだが、コインは両面同じだったため意味のないものだった。
この虐待がトゥーフェイスの悪心の根源にあるともされ、その意味ではトゥーフェイスが容易く暗黒面に堕ちたのにもそうなるだけの理由があり、
正義の地方検事ハービー・デントの内に秘めた危うさが顔面を傷つけられた結果「具現化」しただけなのだとも言える。



【主な活躍】

【ゴールデンエイジ】

1942年の『Detective Comics Vol.1』#66で初登場。この時代にはハービー・ケント(Harvey Kent)という名前だった。
サル・マローニを裁く法廷中に硫酸を浴びせられトゥーフェイスに変貌した。
何度か犯罪に手を染めたものの婚約者ギルダの協力で正気を取り戻し顔の治療にも成功した。
トゥーフェイスからハービーに戻った彼はギルダと結婚し幸せな人生を歩んだ。
その後、ハービーの関係者がトゥーフェイスを名乗り活動するも短期間で終わっている。

シルバーエイジではこの時代のハービーはマルチバースの1つ『Earth-Two』の人物として登場。
しかし犯罪者に戻ることは無かった。


【シルバーエイジ】

1954年の『Batman Vol.1』#81で再びトゥーフェイスとなるも、そのグロテスクな姿が災いしてか17年間活躍が描かれなかった。
その後1971年の『Batman Vol.1』#234で本格的に再登場しバットマンの宿敵としての地位を確立していく。


【ポストクライシス

バットマンのオリジンを描いた『バットマン:イヤーワン』で検事ハービー・デントとして早くも登場。
以降トゥーフェイスとして犯罪を重ねる一方、『バットマン:ロング・ハロウィーン』などでオリジンや人間性が掘り下げられていく。
またバットマンのサイドキックである歴代ロビンと因縁が出来上がった。

『ノーマンズ・ランド』ではゴッサム市警の女刑事レニー・モントーヤと関わり奇妙な関係性を築いていく。
バットマン:ハッシュ』ではバットマンへの復讐を目論む謎の男ハッシュの整形手術を受けた結果、正気を取り戻すことに成功する。
その後『インフィニット・クライシス』の影響でゴッサムを離れることとなったバットマンから留守を任されることとなった。
彼の手ほどきで格闘術を身に着けたハービーは、『イヤーワン』でのブルースを思わせる姿でゴッサムを1年間守り切ることに成功する。
しかしバットマンが帰還した直後に起きた殺人事件によって悪の意識が目覚めた彼は、悪の自分との対話の末に自ら酸を被りトゥーフェイスへと変貌し再び悪の道を歩み始めた。


【ポストフラッシュポイント

『DCユニバース』全体の歴史が変更されたが他のバットマン・ヴィラン同様に大きな変化はない。

度々バットマンの事件に姿を見せていたが『Batman and Robin: The Big Burn』で新たなオリジンが描かれた。
この事件の末に自ら命を絶ったと思われたが、『オールスター・バットマン:ワースト・エネミー』に登場しバットマンと逃避行を繰り広げた。
この逃避行から赤いスーツを着るようになった。



【関連人物】

  • ギルダ
ハービーの愛する人物で永遠に忘れられない存在。
ゴールデンエイジには結ばれ幸せな結末となったが、シルバーエイジ以降は愛憎入り混じった複雑な関係となった。
『ポストフラッシュポイント』ではハービーを変えたエレン・マッキレンの手で殺されている。

ゴッサムを守る闇の騎士。犯罪者として幾度も戦って来た宿敵であるが、前述の様に正体のブルース・ウェインとしては市の名士として、何よりも学生時代の友人同士でもあった。
そのため彼の更生を願い失敗しても何度も手を差し伸べ続ける。
尚、ブルースが巨大な蝙蝠との出会いに自らの運命を悟った事とハービーが顔を灼かれた事で犯罪者に変貌した事が共通の対比として扱われる場合もある。

  • ジェームズ(ジム)・ゴードン
ゴッサム市警本部長。
腐敗を正し悪と戦う信念の男。
ハービーとはゴッサムにやって来た頃からの盟友で、共通する信念を持つ両者はすぐに通じ合った様である。
…それ故に、トゥーフェイスの行動には複雑な物がある様だ。

バットマンのサイドキック。
『ポストクライシス』では歴代のロビンたちと因縁を持った。
ディック・グレイソンティム・ドレイクとは彼らの最初の大物ヴィランとなり、特にディックは彼の存在がトラウマになった時期があった。
ジェイソン・トッドとは部下だった彼の父親を殺害している。

  • レニー・モントーヤ
ゴッサム市警の女刑事。
『ノーマンズ・ランド』で知り合いギルダ以来、本気で愛情を向けていたが彼女がレズビアンだと発覚し、その関係は終わりを迎えた。

犯罪の道化王子とも呼ばれるバットマンのライバル。敵対と協力を繰り返す関係。
本気で犯罪に取り組むトゥーフェイスが優位に立つときもあれば、ふざけた態度のジョーカーに一本取られることもある。

  • デアデビル(マット・マードック)
MARVELののスーパーヒーローの一人で、MARVELの版『バットマン』とも呼ばれる「恐れを知らぬ男」。
『バットマン』と『デアデビル』のクロスオーバー作品で共演。
弁護士であるデアデビルとは、知人であったと云う設定になっている。
デアデビルとは「向こう見ず」の意。



【主なメディアミックス】

演…ビリー・ディー・ウィリアムズ 吹…筈見純(ソフト版)/原田一夫(TBS版)/田中信夫(テレビ朝日版)/田中耕二(テレビ朝日版追加録音)
1989年に公開されシリーズ化もされたティム・バートン監督作品。
この時はあくまで「ハービー・デント」としての登場でヴィランではなく序盤で顔見世的に登場。新任の地方検事であり、ギャングの撲滅を宣言する。
尚、演じたビリー・ディー・ウィリアムズが黒人なことをツッコマれたが、もしフェイス化が実現したならば、バートンは自身の美学に従い黒白のトゥーフェイスにするつもりだったという。

声…リチャード・モール 吹…大塚明夫
ポール・ディニやブルース・ティムが手掛けたアニメ作品。
トゥーフェイスとしての登場のほか、ブルースの友人としていくつかのエピソードで登場。
またオリジンを2話かけて丁寧に描かれた。
なお、劇中特に言われてはいないが、上記のバートン版『バットマン』のハービー・デントに準じて黒人設定になっているらしく、
傷のない方の顔を見ると他のキャラと比べ、やや色黒で唇が厚めになっている。

演…トミー・リー・ジョーンズ 吹…菅生隆之(ソフト版)/小林清志(テレビ朝日版)
1989年の『バットマン』から始まったシリーズの第3作。
コミック同様、裁判中に顔を酸で焼かれた地方検事(酸をかけられたのは冒頭の回想シーンで語られる)。リドラーと手を組んでバットマンに挑む。
イメージカラーは白黒ではなく赤と黒になっており、部下たちに左右がこの色の覆面をさせていた。
外見の再現度は高めだが、テンションが高くコイン投げを何度も行う点が不評。

演…アーロン・エッカート 吹…木下浩之(ソフト版)/井上和彦(テレビ朝日版)
2005年の『バットマン ビギンズ』から始まったシリーズの第2作。
正義を求める地方検事でバットマンとゴードンと協力してギャングやジョーカーに挑んでいた。
しかしジョーカーの謀略によって悪の道へ堕ち、トゥーフェイスへと変貌した。
コインの決定に絶対の運命を掛ける厳格な復讐者として描かれており、続編の『ダークナイト ライジング』ではデントの直接の登場は無いが、ベインがこの件を公表するシーンが存在する。
またハービーを「光の騎士(White Knight)」と呼ぶ等、バットマンと対比させられ、堕ちた後の対比をより強く印象づけていた。
本作で吹き替えを担当した木下浩之は『バットマン:ブレイブ&ボールド』でもトゥーフェイスを演じている。

  • ゲーム『バットマン:アーカムシリーズ』
声…トロイ・ベイカー 吹…滝知史(ナイト)
2009年の『バットマン アーカム・アサイラム』から始まったゲームシリーズ。
シティ』、『ナイト』に登場する。
『シティ』ではバットマンで戦えるのは最初のチュートリアルだけで、本格的な戦いはキャットウーマンのDLCで行う。
『ナイト』ではサイドミッションに登場し市民の消えたゴッサムで銀行強盗を繰り返している。

演…ニコラス・ダゴスト 吹…遊佐浩二
バットマン登場前夜のゴッサムを描いたドラマ作品。
ゴードンとともにウェイン夫妻の事件を捜査する地方検事代理としてゲスト出演する。
ゴードンと同年代で優秀な人物だが、怒ると感情をあらわにする二面性を持つ。

  • 映画『ニンジャバットマン』
声…森川智之
中世の日本を舞台としたアニメ作品。近江の国を支配するヴィラン大名として登場。
明智光秀がモデル。



追記、修正出来るか出来ないかを決めるのは…コイン次第だ…


お前は…しなくて良い…


だが、その男は違う



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最終更新:2024年03月18日 15:56