バットマン リターンズ(映画)

登録日:2011/01/09 (日) 03:52:37
更新日:2023/09/10 Sun 22:02:25
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  • バットマン リターンズ

『バットマン リターンズ(BATMAN RETURNS)』は92年の米映画。
89年に復活した実写版『バットマン』シリーズの第2弾で、監督のティム・バートン、主演のマイケル・キートンらを始めとした主要なスタッフ、キャストは殆どが前作から引き継がれている。
当初は前作とは別の世界観により製作すると云う発言もあったが、最終的には直接の続編として完成された。

コミックヒーロー「バットマン」の実写化…と云うよりはバートン流の奇形への偏愛や美学、ダークファンタジーをバットマンのキャラクターを使って描き出したと言って良い内容であり、前作以上の評価を受けヒット作となった作品ながらコミックやアニメ、実写等を含めた『バットマン』の関連作品としてはかなりの異色作と云える。






【物語】
ある年の冬、名家コブルポット家に望まれない子供が生まれました。
…両親は相談し、あろうことか生まれたばかりの赤ん坊を、乳母車ごと真冬の下水の川に突き落として、捨ててしまうのでした…。
…きっと、生き残る事は無いだろうと思って…。

…それから数十年後、雪に閉ざされた冬のゴッサムにサーカス団(レッド・トライアングル・サーカスギャング)を名乗る無法集団が現れ、街を混乱に陥れていた。
…クリスマスシーズンの騒動にバットマンが出動し混乱の収拾に当たる中、冷酷な企業家マックス・シュレックは地下への打ち捨てられた動物園のサーカス団本拠地へ人知れず拉致されていた。
マックスの前に姿を顕したサーカス団のリーダー「ペンギン」はマックスに自らが地上に帰還する為の協力を要請し、マックスもまた自らの目的の為にペンギンを利用するべく、二人は手を結ぶ。
…果たしてバットマンは逆境の中でも、ゴッサムを救えるのか?



【主要登場人物】
前作に比べると社交的になったのか、表立って市の名士として市長に協力をする等の行動を見せる。
ヴィッキーが去った後、再び孤独な生活を送っていた彼だが、マックスの秘書セリーナに惹かれてゆく。

マックスの秘書。
要領が悪くいつも落ち着かないが、妙な所で気が回り、そのために殺されかける事に。
独身でキティと云う黒猫と彼女のお仲間を大事にしている。
序盤の眼鏡をかけたダサいOLから、妖艶なコスチューム姿、薄幸な美女など多彩な姿を披露してくれる。

  • マックス・シュレック
本作の狂言回し。
マックスデパートのオーナーで、ゴッサムで有数のリッチな男。
酷薄な守銭奴で、そもそもゴッサムをペテンに掛けようとしていた。
尚、デパートのマスコットは何故か猫。
ペンギンを利用し自らの信頼を勝ち得ようとするが…?

  • チップ・シュレック
マックスの一人息子。
日本人が聞いてもかなりの棒読み。「逃げるんだー父さん」
出番もセリフも少ないので分かりにくいが、悪いやつではないっぽい。

  • アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家の執事。
若い主人の戦いを支える。
切れ味鋭いブリティッシュジョークは今作も健在。

  • ジム・ゴードン
基本的に空気。
「…許してくれるだろうか」

  • 市長
上に同じ。
「あのクソ野郎はどこに消えた?」

  • アイスプリンセス
所謂一つのキャンペーンガール「ミス○○」のノリ。
頭の悪そうな可愛いだけの娘かと思いきや、意外に芯が強い…が。
謀略の一番の犠牲者と言っていいかも知れない。



【サーカス団】
  • 軽業師
  • 火吹き男
  • ジャグラー
  • 竹馬男
  • ピエロ
  • 怪力男
  • 手回しオルガン師
  • プードル女(ジェン)
…等が登場。
プードル女はペンギン(オズワルド)の秘書も勤める。





【登場キャラクター】
ゴッサムの闇の騎士。
今作では当初からヒーローとして登場するが、ペンギンの策略により最大のピンチを迎える事になる。
スーツのデザインが変更された他、装備もハイテクに。
しかしやっぱり首は回らない。

墜死したかに見えたセリーナが、復活してコスチュームを着込んだ姿。
その変貌ぶりが精神的なものなのかオカルティックな要因によるものなのかは敢えて曖昧に描かれている。
超人的な軽業とを使いこなすが、原作とは違い訓練で身に付けた物では無く、文字通りに変身した結果の物であろうと思われる。
アメリカに伝わる「猫は9つの命を持つ」という言い伝えからか、致命傷を負っても死なない。
尚、小鳥を飲み込むシーンは実際にファイファーが披露している。
…ビザールな衣装が素晴らしい。

  • ペンギン
本名オズワルド・コプルポット
数十年前に奇形であったが故に捨てられた赤ん坊がペンギン達により育てられ成長した姿。ブルースの調査では一時期サーカス団にいたらしい。
原作では怪盗紳士と呼ばれたコメディ路線に於ける代表的な悪役だったが、バートンの手によりフリークの極みとも呼ぶべき、悲哀の漂う怪物となった。
天才的な頭脳を持ち、ゴッサムへの復讐を企む他、様々な武器を仕込んだ傘や巨大なアヒルちゃん ダックモービル 、ペンギン(本物)のコントロール装置等を発明している。




【メカニック】
  • バットモービル
外見は変わっていないが攻撃用のディスクや、方向転換用のシリンダーを備える。
また、外装をパージする事でホットロッドや機関車を思わせる高速形態に変形可能で、これを利用してブルースは危機を脱した。
停車中の車を次々とはね飛ばすシーンは必見。

  • バットスキー・ボート
終盤に登場した高速ボートで、下水を走りペンギンの本拠地に乗り込むのに利用された。

原作でもお馴染みのペンギンの武器。
銃やヘリコプター、催眠(?)装置等が仕込まれている。

  • ダックモービル
見た目は巨大なアヒルちゃん…。
だが、六輪走行で如何なる悪路もパワフルに走破する等、装甲車並のパワーを誇る。
後年製作されたレゴバットマンにも登場するなど、ファンにも製作者側にも強いインパクトを残した。

  • コントロール装置
ペンギンがバットモービルに仕掛けたコンピューターの制御を狂わせ、リモコン操作する為の装置。
尚、この際の操作はバットモービルを模したテパートの屋上に置いてある遊具風の車で行った。

  • ペンギン軍団
ゴッサムを破壊するべく放たれた、ミサイル装備の恐るべき破壊者。
電波線を制したバットマンに逆に操られる事に…。
かわいい。



【余談】
元々はキャットウーマンにはアネット・ベニングが決定していたが妊娠により降板、ミシェル・ファイファーに交替された。
また、前作に出そびれたショーン・ヤングは同役を射止める為に自作のキャットウーマンの衣装を着て現れる等のアピールをしたが、逆に敬遠される結果になったらしい。
…見た人間からすれば、ファイファーで良かった。

脚本段階ではロビンが登場する予定だったが、次作に回された。
バートンが嫌ったからと云う話もあるが、次作『バットマン フォーエバー』を前にバートンが降板した為に詳細は不明。

本作で『バットマン』からは離れたバートンだが、その影響は後のシリーズにまで色濃く残る事になった。
また、復活『スーパーマン』の監督を打診され、当初はノリ気だったのかマイケル・キートンのブルース・ウェイン役でのゲスト出演も予定されていたが、結局は流れてしまった。

映画を見れば判るが、前述の様に「バットマン」と云うよりは、後のバートン特有のダークファンタジーに連なる作品である。
しかし、あまりにもダークかつ独自性の強い作風故にハッピーセットが中止になってしまい、マクドナルドに怒られたらしい。

バートンは本作品の撮影で忙しかったため、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』では監督ではなく原案・原作・製作を担当している。

なお、キートン演じるバットマンは31年の時を経て2023年の映画『ザ・フラッシュ』にて再登場を果たした。

【主要キャスト】
  • バットマン/ブルース・ウェイン
マイケル・キートン(渡辺裕之)

  • キャットウーマン/セリーナ・カイル
ミシェル・ファイファー(田島令子)

  • ペンギン/オズワルド・コプルポット
ダニー・デヴィート(樋浦勉)

  • マックス・シュレック
クリストファー・ウォーケン(小川真司)

  • アルフレッド・ペニーワース
マイケル・ガフ(松岡文雄)

  • ジム・ゴードン
パット・ヒングル(円谷文彦)


※他、『ピーウィーの大冒険』で主演したピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンス等、バートンが好んで起用するコメディアンや芸人が出演している。








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最終更新:2023年09月10日 22:02