バットマン:イヤーワン

登録日:2011/01/01 (土) 23:33:38
更新日:2022/05/30 Mon 13:23:29
所要時間:約 5 分で読めます




『Batman: Year One』は1987年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。

+ 作品情報
『Batman Vol.1』#404~#407
発売 1987年2月から
脚本 フランク・ミラー
作画 デビッド・マッツケーリ

日本では2005年にJIVEから邦訳本が発売され、2009年にヴィレッジブックスから『イヤーツー』を同時収録した邦訳本が発売されている。
2011年にアニメ化されている。

現在に通じる新生バットマンのスタートを切ったバットマンの歴史上でも、特に重要な作品の一つ。
ミラーが前年に手掛けた外伝作品『バットマン:ダークナイト・リターンズ』(以下、DKR)とは姉妹編の関係にあり、ミラーがDKRで示したレギュラーシリーズには無かったオリジナル設定が積極的に盛り込まれている。
バットマンの誕生を主題に、その正体たるブルース・ウェインと、後見人から盟友へと生まれ変わったジム・ゴードンを主人公に、リアルでシニカルな視点により描かれる重厚なドラマを特徴とする。



【物語】

犯罪都市ゴッサムシティ…この街に一人の男が帰還し、一人の男がやって来た。
億万長者のプレイボーイを装いつつも、両親を奪われた経験から犯罪浄化の信念を秘めるブルース・ウェイン…。
シカゴ時代の疵を抱えつつも、市警察の改革を目指すジム・ゴードン。
…自らの目的を果たす為に如何なる手段を用いるべきなのか…。
…奇しくも同じ夜。
ブルースは売春街でポン引きの少女に刺され負傷し、ゴードンは彼を快く思わない汚職警官達の襲撃を受けるのだった。
苦痛に耐えながらもゴードンが「この街の流儀」を悟った頃…疲れ果て、打ちひしがれたブルースの前に窓を突き破り、巨大な蝙蝠が姿を顕す…。
かつて、自らを怯えさせた古代の獣神との邂逅…。
そして、ブルースは自らが「蝙蝠」となる事を決意する…。
…街の犯罪者達に真の「恐怖」を与える為に。


【登場人物】

  • ブルース・ウェイン
数百万ドルに及ぶウェイン家の資産を受け継いだ若き億万長者。
表向きにはプレイボーイを装っているが、12年に及ぶ修行を終えゴッサムに帰還…悪との戦いを開始する…が。

  • アルフレッド・ペニーワース
先代よりウェイン家に仕える執事。
軍医の資格を持つ(※他にも一杯)。
内心ではブルースに復讐への道を歩ませてしまった事を後悔しているも、辛辣なジョークとユーモアに隠して彼を支える。

  • ジェームズ・ゴードン
※ジムは英語で定番的な愛称。
シカゴからゴッサムへと赴任して来た新任の警部補。
ある不祥事によりシカゴを追われたらしい。
正義感が強く厳格な姿勢で市警察の改革に乗り出すも、その事でローブやフラスを始めとする汚職警官達に睨まれる事になる。
その一方で、子供の誕生や同僚警官との不倫が描かれる等、人間ジム・ゴードンの姿が描かれている。

  • バーバラ・ゴードン
ジムの妻。
…間もなく臨月を迎える。

  • サラ・エッセン
ゴードンの部下。
優秀な女刑事で、彼の片腕として働く内に道ならぬ恋に落ちる事になる。
この名前が登場したのは『DKR』が初で、その時には詳細が明かされていなかった。

  • ハービー・デント
ゴッサムの若き地方検事。
組織犯罪に立ち向かう。
苦しい戦いを強いられていたが、ゴードンやバットマンと云う協力者を得、逆転して行く事になる。
規則を越えた判断を下す事も出来る信念の男。
…後のトゥーフェイス

  • セリーナ・カイル
娼婦(後には用心棒)。
常人離れした「空手」の使い手。
バットマンの登場に衝撃を受ける。
大量の猫と暮らしている。
…後のキャットウーマン

  • ホリィ
セリーナと同居している、孤児と思われる少女。
娼婦の予備軍だが、まだ商品にはならない年齢の為か、子供らしい天真爛漫さは失っていない様だ。
度胸が据わっており、ブルースを刺した張本人だったりする。

  • ジリアン・ローブ
ゴッサム市警本部長。
暗黒街と結託する腐敗の根源。
…その一方で、大量の玩具を集める子供っぽい一面もある。

  • アーノルド・フラス
汚職刑事。
巨体を誇るローブの腹心で、袖の下やでっち上げ捜査はお手の物。
ゴードンの襲撃も指揮していたが…すぐにゴードンに報復されてボッコされた。
また、麻薬の取り引き現場を見守ってもいたが、バットマンの襲撃を受けてギャング共々にフルボッコされたりと、なかなかに不遇なヤツ。

  • ブランデン
ゴッサム市警SWATチームの隊長で、ローブの腹心。
ゴードンは彼のチームをゲシュタポに喩えている他、社会病質者集団と吐き捨てている。
自分達の顔を潰したゴードンを憎んでおり、また、ローブに命じられてバットマンの抹殺に挑む。

ブルースが自ら「恐怖のシンボル」となるべく変身した姿。
鍛えられた肉体と技、数々の特殊装備を秘めたコスチュームを身に纏い暗黒街に戦いを挑む。
経験が浅い為か、本作では判断ミスから窮地に陥る場面も多い。



【余談】

映画『バットマン ビギンズ』は本作を事実上の原作としており、ラストにジョーカーの予告状が登場して来るのは本作のアイデアである。

バットマンの誕生編であり、ブルースとゴードンにスポットを当てている事から、キャットウーマン以外のスーパーヴィラン(悪役キャラクター)は登場して来ず、そもそも彼女とは敵対もしない。

同作の発表当時は娼婦の設定にあったキャットウーマンだが、後には娼婦の用心棒だったと云う設定に改められた。
…キャラクターのイメージの配慮からだが、作中での描写は寧ろ用心棒と云う設定が正しい物である。

ミラーによれば、77年頃を想定した設定(DKRは05年頃)で描いていたとの事だが、無論、現在では時間が改められている。



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最終更新:2022年05月30日 13:23