ゴジラ対メガロ

登録日:2011/06/05 Sun 14:47:18
更新日:2024/03/13 Wed 18:12:33
所要時間:約 6 分で読めます




海底王国のすごいやつメガロ!
傷だらけのゴジラ必殺のウルトラC!



ゴジラメガロ


『ゴジラ対メガロ』とは、ゴジラシリーズの第13作目にあたる映画作品である。
1973年3月17日に公開され、観客動員数は98万人。





【概要】

本作は予算や製作期間が非常に厳しい状態であったことが知られており、特撮の中野昭慶監督によれば、撮影期間はわずか2週間であったとのこと。

予算が厳しい状態で製作されたためか、前作同様若手中心でキャスティングされた。シリーズで唯一女性のメインキャラが存在しない。

製作状況の厳しさ故か作品には粗が多く、人によってはゴジラシリーズ最大の駄作という評価もあるが、作品全体に漂う独特の空気やジェットジャガーの存在感からファンも少なからず存在する模様。

本作では数少ない予算を、一部の見せ場に集中的に投入しており、メガロによるオープンセットでのダム破壊のシーンは迫力がある。また、怪獣達のスーツは4体ともすべて新造されている。
しかし、そちらに予算を注ぎ込んだので決戦は広い荒野になってしまった。

また劇中のカーチェイスはかなりの迫力と派手な展開で、こちらも見もの。
階段や急傾斜を転がり落ちるように進んだり、正面に回ったバイクが飛び上がったりと、事故寸前のスタントアクションが見事。

同年には東宝による特撮ヒーロー番組『流星人間ゾーン』がテレビ放映されており、本作で製作されたゴジラやガイガンのスーツはそちらでも使われている。


【ストーリー】

ゴジラとアンギラスが協力しガイガンとキングギドラを宇宙に追い払ってから一年後、アリューシャン列島の核実験により、シートピア海底王国は被害を受けた。
シートピアは報復のために地殻変動を起こし、さらに守り神である怪獣メガロを地上攻撃に派遣するため、地上に工作員を送り込み日本の科学者・伊吹吾郎が開発した万能ロボット「ジェットジャガー」を強奪し、メガロの水先案内に使う。

しかし伊吹博士らはジェットジャガーを奪還し、メガロに対抗するためにゴジラに協力を依頼する。
ゴジラを呼びに向かったジェットジャガーは日本に戻ると、自我が芽生え巨大化、メガロに戦いを挑む。

対するシートピアはMハンター星雲人にガイガンの増援を依頼、メガロとガイガンに苦戦するジェットジャガーだが、そこにゴジラが駆けつけた。

かくして、ゴジラ・ジェットジャガー対メガロ・ガイガンによるタッグマッチが始まった。


【登場怪獣】

ゴジラ
本作でも怪獣島にアンギラスラドンと共に暮らしていたところを、ジェットジャガーの要請に応え、日本に向かう。
メガロとの戦いでは時代劇みたいな殺陣も披露している。

作品冒頭では怪獣島も核実験の被害を受けているため、本来ならシートピア同様に人間の被害者なのだが、シートピアのやり方が悪かったのか、ジェットジャガーの心意気を気に入ったのか、救援要請を快く引き受けている。

本作ではスーツが新造され、頭が大きく愛嬌のあるデザインとなっている。このスーツは映画以外にも『流星人間ゾーン』に使われ、『怪獣総進撃』で使われたスーツに次いで酷使されている。

ジェットジャガー
ある意味でメガロ以上に本作を象徴する存在。ゴジラシリーズ初にして唯一のロボットヒーローである。シルエットが某光の巨人と似ている。
飛行能力や怪獣との会話機能を持ち、一個人が作ったとは思えないハイスペックを発揮する。
作品後半で何故か自我が芽生え、これまた何故か巨大化した。
武装はされていないようで、メガロ&ガイガン戦では必殺技も飛び道具も使わずに格闘のみで立ち向かった。

一般公募のデザインコンテストに入選したコウモリのような頭を持つ「レッド・アローン」というロボット怪獣が元だが、胴体以外に名残がないくらいにデザインを変更されている。

…この時は後世で開発された同じ名前のロボットが、改装によって愛らしい声のAIとアンギラス由来の武装を搭載することになるとは思わなかっただろう。

ちなみに、後の『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するロボット「ジェットアローン」は、ジェットジャガーとレッド・アローンが名の由来とされている。

メガロ
本作で初登場した怪獣。
シートピア海底王国の守り神とされる。
両腕は合わせるとドリルになり、地中でも行動可能。口からはナパーム弾を放つ。
非武装のジェットジャガーに苦戦していたため、タイマンでは結構弱いのかもしれない。
子供に人気のある昆虫をモデルにしているそうだが、海底王国の守り神なのに昆虫怪獣とは、これ如何に。

ガイガン
前作に引き続き登場したが、スーツは新調されている。
これは前作のガイガンのスーツが胴体に回転カッター用の電飾を内蔵してた事で重く激しい動きには向いていなかったため、アクションに特化した軽量のスーツが必要になったためである。(補修または改造説あり)
メガロの応援に駆けつけ、タッグマッチで戦う。
本作に登場した後は『流星人間ゾーン』にも出演し、ゴジラやゾーンと戦った。

アンギラス
ご存知、ゴジラの相棒。冒頭でゴジラと共に核実験の影響を受けた怪獣島から避難しようとするが、地割れに飲み込まれひっくり返る。よって、今回の出番はこの冒頭わずか数十秒のみ。

ラドン
先述の通り、ゴジラ達と怪獣島で暮らしており、冒頭の怪獣島のシーンで登場する(映像は怪獣総進撃のライブフィルムの流用)。……しかし、その出番はアンギラスよりも少なく、登場時間はなんと驚異の3秒


【登場人物】

◆伊吹吾郎(演:佐々木勝彦)
ジェットジャガーを製作した若き科学者。電子工学を専攻しておりあのジェットジャガーを作れるんだから、その才能はかなりのものと言えよう。
シートピアの工作員にジェットジャガーを奪われた後はジェットジャガーの奪還に尽力する。
演じた佐々木勝彦氏は『ゴジラの逆襲』に出演した千秋実の息子で更に『怪獣大戦争』に出演した佐々木孝丸の孫にあたる。
以降もゴジラシリーズに度々参加しており、2014年の『GODZILLA ゴジラ』にも吹き替えで参加されている。

◆伊吹六郎(演:川瀬浩之)
吾郎の弟でシリーズ3回目の子供のメインキャラだが、1、2回目と比べると影が薄い。

◆陣川(演:林ゆたか)
吾郎の後輩で六郎の良き遊び相手にもなっている。自動車の運転が得意。作中ではシートピアの刺客と戦ったりした。


【シートピア海底王国】

失われた超古代文明の末裔で、海底のさらに地中に王国を築いていた。
地殻変動を自力で発生させるなど高度な技術を所持しているほか、独自にMハンター星雲人と友好関係がある。海底帝国なのに宇宙人と友好関係とは、これ如何に。

作中では核実験への抗議・報復のために地殻変動を起こし、メガロを派遣する。
交渉も無く最初から攻撃する気満々なため、元々は被害者ではあるが典型的な悪役である。

ちなみに、リーダーのアントニオのそっくりさんが地上にいて、ダイヤを狙うギャングや宇宙細胞と戦ったとか。


【DVD】

オーコメは主演の佐々木氏。
撮影は12月で凄く寒かったらしい。また、本編は1ヶ月で撮影終了したとのこと。
特撮班も見学に行ってゴジラの着ぐるみを着せてもらったが、凄く臭かった

また、本作も海外に輸出され、アメリカ以外にも当時共産圏だったポーランドからのファンレターが届いたらしい。

本作が低予算であったと自覚していたためか、低予算、低予算と連呼していた。
続編の可能性はあったが、ヒットしなかったので無かったことになった。


映像特典は中野監督へのインタビュー。メガロから始まり、シリーズへの関わりをノリノリで語っている。
年に似合わず軽妙な語り口で面白い。


【余談】

当時流行していた時代劇『木枯らし紋次郎』よろしく、ゴジラが楊枝に見立て咥えた電柱を地面に吹き付けたり、
「おひけえなすって」のポーズをとっている場面などが撮影されており、
宣材やパンフレット類にスチール写真が載っていたりもしたが結局ボツになったため映画中ではそのようなシーンは存在しない。
なおスチール写真は現存しており、ネットで画像検索すると当該物は結構ヒットする。




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最終更新:2024年03月13日 18:12