アンギラス

登録日:2011/01/26 Wed 00:18:09
更新日:2023/12/11 Mon 15:23:05
所要時間:約 5 分で読めます





「このアンキロサウルス、通称アンギラスは……
(中略)
身長150フィートから200フィートに及ぶ完全なる肉食の暴龍で、その行動は、巨大な体の割にはなはだ敏捷である。
(中略)
しかもアンギラスは、他種の生物に対しては、徹底的な憎悪を持つ好戦的種族である」



アンギラスゴジラと同時代に生息していた4足歩行で背中に無数の棘を持つ恐竜型怪獣。

体長:60m
体重:3万t

と、実は直立すればゴジラより大柄。


概要

ゴジラの逆襲』以降の「ゴジラvsゲスト」という作風を築いたある意味偉大な怪獣は『怪獣総進撃』、『ゴジラ対ガイガン』、『ゴジラ対メカゴジラ』、『ゴジラ FINAL WARS』に登場。

肉体のあちこちにある太い神経節のおかげで、非常に俊敏。
モデルはアンキロサウルスだが、このアンキロサウルスの背中にトゲはなく、大人しい草食恐竜であり、“暴竜”で尻尾のコブがないアンギラス*1とは種族レベルで違う。

熱線や光線といったブレス等の遠距離技*2を持ち合わせていないアンギラスは牙で噛み付き、背中のトゲや体当たりで立ち向かうその姿は正に

「アンギラス」と付いたタイトル作品はないが、ゴジラシリーズ初となる「ゴジラの対戦したライバル怪獣」で、2代目はゴジラの名コンビと、未だに根強いファンが多い。


【登場作品と活躍】

ゴジラの逆襲

同族以外に徹底的な憎悪を抱く極めて凶暴な初代アンギラス。
孤島での戦いの後、大阪湾に出現して市街から大阪城になだれ込み、顔面にゴジラの熱線を喰らっても平気なタフさを見せつけたが、最後にはノドを噛まれて出血多量で死亡。
挙げ句の果てに市街地もろともゴジラの熱線で焼かれた。

死の直前、アンギラスの絶叫で大阪城にビシビシ亀裂を入るシーンがある。


怪獣総進撃

目がイってた初代と比べて黒目がちの可愛い顔で性格も温厚な二代目アンギラス。
流用・改造の多い本作の怪獣には珍しく、頭角や棘のパターンも変わった着ぐるみが新造された二代目はキングギドラの左首に果敢にも噛み付いた。
終盤では空を飛ぶキングギドラに文字通りぶらさがったままダメージを与え続け、たなぼた的にキラアク星人の基地を露呈させる。


ゴジラ対ガイガン

『怪獣総進撃』のスーツを流用した本作では何とゴジラと会話する。



ゴ「おい!アンギラス」

ア「なんだい?」

ゴ「すぐていさつにゆけ」

ア「OK!」

ゴ「いそげよ!」

素直じゃないラドンと違って信頼が厚いようだが、もはやパシリである。
アンギラスェ……と思うところだが、彼がガイガンの腹ノコに突進する勇姿も必見だろう。
もっとも、高速回転する回転ノコを意味ありげにじーっと見つめたあげく顔から突っ込んで大流血*3というかなり突っ込みどころのある*4痛々しいシーンだが。

そんなガイガンとキングギドラの凶悪コンビに苦しめられたが、終盤にはゴジラとの見事なコンビネーションで撃退してみせた。
今作では直立した後、ジャンプして棘のある背面から体当たりするという新技を披露。
見た目はアレだが、その質量と棘からくるダメージは相当大きいはずである。


ゴジラ対メガロ


冒頭の地下核実験で発生した地割れで転んで終了と不憫。
しかし、次回作はもっと……。


※アンギラスファンの方には大変心を痛める描写があります。

ゴジラ対メカゴジラ


偽物が化けたゴジラだと野生の勘(?)で気付き、不意打ちを仕掛ける。

だが……。

ニセゴジラに尻尾を掴まれ、何度も地面に叩き付けられ、腹から蹴り上げられてダウン。

満身創痍なアンギラスはニセゴジラに上顎を掴まれ顎を引き裂かれ鮮血を大量出血。見ていて非常に痛々しい…。アンギラスたんは悲痛な叫び声をあげ撤退する……

僕は何も知らない!!

テレビマガジン1979年10月号の記事によると本作の終了後、傷は後遺症もなく完全に回復し、ゴジラと共に平和に過ごしているという。
『怪獣総進撃』が未来の話(1994)だとすれば本作(1974年)の傷を癒やした後、20年後にキングギドラとの戦いに挑んだという解釈もできる。
しかし、メカゴジラ本体は衝撃に弱かった事から、「ガイガン戦で見せた背中体当たりで特攻しまくれば第三惑星人もびっくりの損害も与えられたのではないか」と疑問視するファンも多い。
また、この時のゴジラの造形がシリーズを通して圧倒的不人気の童顔のメガロゴジラなのもアンギラスファンにとっては不快な要素であろう。


アンギラス不遇時代


その後は30年後の『FW』まで出番無し。

ゴジラVSデストロイア』の企画案の一つである『ゴジラvsゴーストゴジラ』でバルバロイの形態としてのデザイン画も描かれていたり、
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』で背中のトゲから氷柱を撃つ新技を引っ提げてバランと共に登場する予定だったり、
ゴジラ×メカゴジラ』や『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の機龍と戦う案や死体役での登場も検討された。
……のだが、『大怪獣総攻撃』ではモスラギドラ*5、『東京SOS』ではカメーバに変更*6されたりと、いずれも東宝サイドの要望であえなく没になってしまった。

また、VSシリーズを牽引し、後に『モスラ』で四足怪獣を投入する川北紘一監督曰く「四足のためゴジラと並んだ時に絵にならない」「膝をついて動くため、スピード感が出せない*7」とのこと。
川北監督による我々の想像を超えてアレンジされたアンギラスも、それはそれで非常に興味があるのは事実だが。

ゴジラ FINAL WARS

全長:160m(尾を含めると180m)
体高:40m(直立時:90m)
体重:6万t

地球防衛軍の飛行戦艦『火龍』のメーサーに対し、丸まった状態で避け、上海を蹂躙。操るX星人が本性を現した後は火龍を撃墜し、上海を壊滅状態に陥れた。

ゴジラが覚醒した後はその進撃を止めるべく、ラドンキングシーサーと共に富士の裾野に召喚される。
最初のうちはラドンと連携して『暴龍怪球烈弾(アンギラスボール)』でゴジラにダメージを与えるも、二度同じ手は通用せんと言わんばかりに尻尾で打ち返されてラドンを撃墜してしまう。
すぐにキングシーサーにサッカーボールよろしくシュートされたが、大きくカーブ*8して崖に激突。
ダメ押しのフライングボディアタックを仕掛けたシーサーもぶん投げられて、ラドン・アンギラス・シーサーの豪華怪獣三段重ねにされたのだった……


GODZILLA 怪獣黙示録

カマキラス出現後、度々人類の前に現れるようになった怪獣の一体として登場。
個体数も複数確認されている。
ただし、人類にとって脅威ではあるものの、先進諸国の装備で何とか対処できる程度ではあった。
北京郊外でヘドラを実戦投入して駆除されたこともあった(ただしそのヘドラにより北京は一夜で壊滅したが)。

2030年、アメリカ・ロサンゼルスをバラン・バラゴンと共に襲う。
しかし、このアンギラス・バラン・バラゴンは必死に逃亡してきただけで、たまたまその先にロサンゼルスがあったというのが実情だった。
ロサンゼルスはその後、3体の怪獣もろとも更なる脅威によって殲滅させられることとなる……

ゴジラ S.P<シンギュラポイント>

不遇という印象が強いが、ラドンを差し置いてソフビ化。

別名「未来予知怪獣」「跳弾怪獣」
元ネタのアンキロサウルスっぽい外見で、直接未来を見ていると推測される。さらには全身を虹色に輝かせて銃弾を跳ね返す厄介な特性を有する。
最終的には至近距離からの捕鯨砲を胸部と頭部に二度浴びせることで討伐された。
倒された後、頭部の角はジェットジャガーの武器として使われることにある。

4話終盤で全長10メートル程度のアンギラスがラドンの死体漁りに姿を現し、一回り以上も急成長をとげ、5話の放送後には各地で売り切れるほどの人気を博した。
また、本作ではCGで描写されたことで着ぐるみの制約から解放された形となり、設定通り俊敏に動くアンギラスの姿が令和にして遂に日の目を見ることとなった。

『ちびゴジラの逆襲』

本作ではデフォルメされたちびアンギラスが登場するのだが…何故かこいつだけ鳴き声である。ある意味本人役
ちびゴジラ曰く「声変わり」らしい。
ちびゴジラすら意味が分からずコミュニケーションが取れないという大きなデメリットがある。
但し手でバツを作るジェスチャーならできる。

ゲームでのアンギラス

アタリ発売のゴジラ怪獣大乱闘シリーズではアドバンスを除く全作品に登場。
口から大砲のように空気を発射する技を得る。光線?使わないよそんなの。

あと、背中のトゲを踏むとメカゴジラさえ痛がる。アンギラスマジパネェ。
GC版では飛び上がって背中の棘からビームを発射する技を披露したが、PS2版で暴龍怪球烈弾に変更された。

PCエンジンの『ゴジラ 爆闘列伝』とSFCに移植された『ゴジラ 怪獣大決戦』では、
攻撃が格闘技のみなので他の怪獣達と比べると見劣りするが、その分動きは素早く、格闘戦に長ける。
ダッシュ時やしゃがみガードなどでは体高が低くなるため、うまく使えば相手の射撃攻撃をかわして接近戦に持ち込める。
こういった特性から本作最強キャラの一角であるモスラに優位を取れる数少ないキャラクターとなっている。
超必殺技の“空中急降下体当たり”は、『FINAL WARS』で見せた上述の“暴龍怪球烈弾(アンギラスボール)”の原点となった。
なお、このゲームでのアンギラスのデザインは初代がモチーフとなっている。



玩具・フィギュアでのアンギラス

なんだかんだで人気怪獣だけに、古くから今に至るまで多くの商品が発売されている。
海洋堂の特撮リボルテックでは、バラゴンやラドンは初代がラインナップされる中、当然のように皆が愛した2代目アンギラスが参戦。
愛嬌のある顔立ちや甲羅のトゲを見事に再現しながらも、リボルテック得意の可動により四足・二足歩行を両立している。

バンダイのTCGバトルスピリッツにはFW版アンギラスがカードとして収録。
なんとにっくき仇敵昭和メカゴジラが光らないアンコモンカードとして収録されている中、
まさかのレア収録。要するにキラカードである。アンギラスすげえ!

性能は「ゴジラと名の入っているカードが味方にいるとパワーアップ」というもの。

ゴジラのカード名の都合上、ゴジラと名の入っているカード全てを対象にしているため、
隣にいるのがメカゴジラやスペースゴジラでもパワーアップするのはご愛嬌。

Magic the Gatheringのゴジラコラボでは《装甲暴龍、アンギラス/Anguirus, Armored Killer》として登場。
このコラボは基本的に元のカードにゴジラ怪獣のガワをかぶせたものなのだが、アンギラスの場合は空中の敵にも食らいつく俊敏さを到達、強力な突進力をトランプルとして表現しておりかなり再現度が高い。
最短2ターン目には出てくるマナコストの安さ、変容するたびアーティファクトかエンチャントを破壊する能力の汎用性の高さから、変容を取り入れた緑系デッキでは中堅クリーチャーとしてよく採用されていた。
宿敵メカゴジラ*9もアーティファクトなので、ランダムで付与される呪禁を持っていない限りは一方的に破壊することができる。



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最終更新:2023年12月11日 15:23

*1 東宝の社内公募で命名

*2 小説版で熱線を吐く描写がある

*3 「ゴジラはやられてるときどうして血が出ないの?」という子供達の質問を受けた中野昭慶特技監督により取り入れられたもの

*4 それ以前の海を渡るシーンでも顔の傷がついているが、スーツが濡れた後の処理が大変なので撮影を後回しにしたため

*5 金子修介監督が「今度ゴジラ映画を撮る」と自慢話をしたところ、飲み友達がアンギラスとバランを知らなかったという噂もある。

*6 富山省吾プロデューサー曰く「次回作に登場しますので」。

*7 モスラ成虫か自身よりかなり小さく地面をはい回るモスラ幼虫相手ではゴジラとは比べにくいだろうが、デスギドラは決してスピーディーではなかった。

*8 何故かゴジラはこの時セービングしようとしている。

*9 厳密に言うとカード化されたのは機龍だけど。