パワーハラスメント

登録日:2012/04/20 Fri 01:18:54
更新日:2024/03/24 Sun 10:14:13
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パワーハラスメント(パワハラ)とは、社会生活の場である職場において、立場が上の者が下の者に対して行う、権力をふりかざしての嫌がらせである。

立場が強い者が弱い者に対して高圧的になると言うのは昔からあった問題だが、殆どが「上司から部下への指導」の範囲であると見なされ表面化する事は稀だった。
近年、肉体的・精神的苦痛を訴える者が増加してきた事から表面化しつつあり、ようやく問題として取り沙汰されつつある。

これがエスカレートすると、被害者に耐えがたい苦痛が生じてしまうのはもちろん、職場全体の雰囲気が悪くなり業務にも支障が出てしまう。


■主なパワハラ上司

パワハラが生じてしまう理由は、やはり上司自体のマネジメント能力、コミュニケーション能力の低さが問題である。
このような「モンスター上司」の存在こそがやはり最大の原因であるのは間違いない。
現在、以下のタイプに分類されている。

◆恐怖統治型

実質的な職場の頂点に立つNo.1の人間が、自分の機嫌次第で職場自体の雰囲気を良くしたり悪くしたりしてしまうタイプ。
部下達はその人間のご機嫌を必死に窺う形になってしまう。

◆張り子の虎型

実力は無いがそれを隠す為、「叱責、指導、管理」を徹底するタイプ。
些細な事も見逃さず、「それが会社にどれだけ損害をもたらすか」を力説し、「あなたの為」を連呼するが、実際は自分の力の無さをごまかす為に過ぎない。
人のミスを常にチェックしている。
本人は上記を自覚せずに「自分は仕事を真面目にやってるだけ」と思い、悪意は無い。

◆自我癒着型

職場も職場の人間も全てが自分の身体の一部や手足の延長と思っているタイプ。
職場の人間には自ら指導はせず、それを「他部署」に相談したりしてしまう
自分で指導はせずに何故か外の人間にお願いしてしまうこのような上司も割りといたりする。

◆リモコンコントロール型

目をつけた部下を可愛がりながらも自分の言うことを忠実に守るロボットにしてしまう。
だが、「自分のものである」ロボットが少しでも意に添わない事をするとあからさまに態度を変えて嫌がらせに転じる。
リモートコントロールで無いのは、「リモコンでコントロールするかのような」上司だからである。

◆立場の勘違い型

本来やるべき仕事そっちのけで別の仕事に熱中し、それで「一生懸命」やっていると思い込み、指摘されると逆ギレして嫌がらせをしてくるタイプ。

◆指示待ちお膳立て型

「自分の命令のみ聞け」
「自己判断はするな」
と、口でこそ言わないが遠回しにそうなるように仕向けるタイプ。
それに歯向かうと怒り狂い、失敗すると逆ギレ。

◆責任転嫁型

責任者の立場でありながら仕事の実行者である部下が失敗したらその部下のミスのみを追求し、自らの責任を出来うる限り回避しようとするタイプ。


■パワハラの類型


実際に行われているパワハラの類型。
  • 大勢の前での叱責、人格否定
  • 感情むき出しで怒り狂う
  • 暴言や名誉棄損
  • 殴る・蹴るなどの暴力
  • 脅しを含めた退職勧奨
  • 退職させるべく他メンバーにも無視命令
  • ワザと困難な仕事を与えて評価を落とす
  • 本人にとって明らかに過大・過小な仕事を突き付ける
  • 役職を与えずあからさまに干す
  • 訴えの聞き流し
など。

■対処方法

今までは「職場の空気」「暗黙の了解」等で見逃されていたこれらだが、労働環境の改善や鬱病等のストレスが原因の病気等の蔓延により、近年、ようやく対策が打たれつつある。

それまで泣き寝入りが主だった上司の過ぎた叱責等も、そこに「人格攻撃」をはじめとした理不尽なものを感じたならば、
「自分が悪いから」等とばかり思わずに労働組合や労働基準監督署等に相談しよう。
この時、音声まで録れとは言わないが、その都度メモ等も取っておくといい。しかし、先述の音声・メモに限らず証拠はなるべく残した方が良いだろう。

確かに、社会で生きるには我慢も必要だが、どうしても耐えられなければせめて相談出来る相手を探そう。
訴える云々でなくとも、少なくとも心の負担は軽減できるはず。
独りで抱え込むのはダメ、ゼッタイ。

職場側も、実は懲戒免職以外であなたを一方的に辞めさせる権限は無い。
威光を傘に着る連中に耐えられなくなったら、戦う勇気も必要なのだ。

大企業では2020年から、中小企業では2022年から法律によりパワハラの防止措置義務が課せられることになった。
未だに罰則規定は無いものの、理不尽なパワハラを抑止させる法律ができたことは(特に立場の弱い側の)労働者には心強い。


■逆パワハラ

立場が下の者から上の者に対してハラスメントを行うことを「逆パワハラ」と呼ぶ。立場が下の者が優位性を持つ場合に起きる。
事例としては立場が下の者が知識や技術などで優位性を持っている場合に上司を馬鹿にするなどが挙げられる。


■正当な叱責?

実は大声で(正当な注意であっても)怒鳴りつける行為はよろしくない(パワハラと訴えられたら反論できない)という知見が広がりつつある。
周りでその叱責を聞いているだけでもクリエイティブな思想をする能力が50%以下にガタ落ちするのだとか。

更に、日本アンガーマネジメント協会の2016年に発表したアンケート調査では、怒られた部下が上司に対してパワハラだと思う割合が53.8%に対し、反対に上司が部下に対して怒ったことはパワハラだと思う割合が16.7%だった。
さらに、上司の約6割は怒った後数分程度で感情を回復できるが、部下の5人中1人は怒られたことを1年以上引きずっている。
怒られた部下の内、怒られる以前のように人間関係を回復できた割合がわずか7.6%。
上司の怒り方が変われば仕事に対するモチベーションに影響が無かったと思う部下は70.4%に上った。

以上の結果より、部下は自らを怒った上司に対する恐怖心や嫌悪感を簡単には拭えない人が多い。そして、仕事を進める上でも怒りがモチベーションダウンにつながる。上の立場の者が下の立場の者に「怒る」のはそう簡単にしてはならないだろう。

「最近の若者は弱すぎる」と思う上司もいるかもしれない。
だが、時代によって物事の感じ方が変わるのは当たり前なのだ。自社が提供する商品やサービスを時代に応じて変化させるのと同様に、部下への指導方法も時代に応じて変化させる必要がある。
「パワハラ」と認識するしきい値は低くなっている傾向にある。近年は転職が従来より簡単に行われるようになっているため、上司が軽く叱責した部下がすぐに退職してしまうことも。
特に新卒で採用した社員への教育はお金がかかるというが、社員が辞められてしまっては会社に大きな損失になる。それも将来有望な社員が辞めようものなら・・・。


仕事中に重大なミスをした相手に対して、時には厳しく注意をする必要はあるだろう。しかし、その時でも別室で諭すように注意するのが理想的。感情をぶちまける前に一回深呼吸してみませんか?
一方で、部下においても正当な叱責をたやすくパワハラ扱いするのは早計なことがある。叱責を受けた際は反省しなければならない点を冷静に考えてみよう。

最後に、立場の上下に限らず、お互いにストレスを最小限に減らせるようにして仕事することを目指してみよう。




自分が部下を持ったらけしてパワハラはしないと誓いつつ、追記、修正お願いします。

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最終更新:2024年03月24日 10:14