伝説巨神イデオン

登録日:2011/05/08 Sun 21:19:18
更新日:2024/03/27 Wed 15:09:10
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80年代テレビアニメ MAP兵器 ※木曜夕方18時45分です。 ※金曜夜19時30分です。 ∀ガンダム すぎやまこういち そして誰もいなくなった どうせみんないなくなる アニメ イデ イデの発動 イデオン グレンキャノンもだ! コスモスに君と コメント欄ログ化項目 サンライズ ジムの神様 ジム神 スパロボ スパロボ参戦作 スペースランナウェイ! スーパーロボット チート テレビ東京 バッフ・クラン リアルロボット ロボットアニメ 人よ生命よ始まりを見る 人類皆殺し 伝説巨神イデオン 因果地平へ 子供にも容赦なし 宇宙リセットボタン 富野由悠季 巨人 建設巨神イエオン 復活のイデオン 悲劇の主人公 懐かしのアニメ 接触篇 明るいイデオン 最強ロボット候補 湖川友謙 無限力 無限力←むげんちから 発動篇 皆殺しの富野 衝撃のラスト 逆襲のギガンティス 鬱展開 黒富野




「イデ」とは何か。イデオンとは。



聞こえるか 聞こえるだろう はるかな轟き

闇の中 (こころ)揺さぶる 目覚め始まる

大地割り そそり立つ姿 正義の証か



『伝説巨神イデオン』は1980年~81年にかけて放映された、富野喜幸監督、日本サンライズ制作のロボットアニメ
トミーとサンライズがマーチャンダイジング前提で組んで送り出したアニメの第二作目として、前番組『科学冒険隊タンサー5』の後番組として企画された。
しかし、下記の様に一般的なアニメ制作者の枠に収まらない富野善幸(由悠季)が監督と脚本を担当した結果、多くの逸話や伝説を残した末に作品自体は伝説となったが、
サンライズと組んだ二作(含めて五作が作られていた)トミー主導のテレビアニメシリーズは、本作での玩具販売の不振から終了を余儀なくされた。

前年の『機動戦士ガンダム』が視聴率こそ振るわなかったものの、いわゆる“アニメファン”に強い支持を受けた状況を踏まえて、制作されている。
とはいえ、スポンサーから押し付けられたイデオンのあまりに玩具然としたデザインや、主要人物の年齢を引き下げざるをえない(明らかな違和感が…)状況など、
富野氏も多くの横槍に相変わらずストレスを抱えながらの作業だったらしい。
しかし、相互理解という主題に負の側面から徹底的に切り込んだ重厚なドラマや、ロボットアニメの常識を覆す斬新な演出の数々から放映当時は苦戦した面もあったものの富野作品の中でも突出した人気を誇り、
庵野秀明をはじめとして本作に影響を受けたと公言するクリエイターも多い。声優置鮎龍太郎も本作の大ファンで当時の劇場版も観に行ったりとその影響力は計り知れない。
のちに国民的RPGの代表作『ドラゴンクエストシリーズ』で名を知らしめるすぎやまこういち氏も劇伴として参加している。

放送当時は局地的な人気を得たのみで視聴率は振るわず打ち切られ、最終回は唐突に、「その時だった、イデの発動が起こったのは…」というナレーションとともに全人類が滅亡して締めくくられる。
最終回の脚本を担当した松崎健一氏曰く、「最後の2分だけ富野監督が変更して最終回にした」そうで、「それまではただの39話」とのこと。唐突なのもむべなるかな。

翌年の劇場版「発動篇」では本来予定されていた結末が描かれ、主要人物達の壮絶な死に様がこれでもかと執拗に描かれた。
今も続く「真の最終回は映画館で」のハシリ。
なお、この劇場版はTVシリーズの総集編「接触篇」と併せて公開され、全編通して三時間を越す長丁場となった。

……因みに、劇場版公開にあたり、前回の『ガンダム』時と比較して一般的な盛り上がりが不足していると判断されたことから、制作サイドが公式にファンを巻き込み『明るいイデオン』という内容に対して白々しいタイトルのイベントが実行され、更にイベントの延長線上となる内容が後に40話(再放送枠)相当としてTVでも特番として放映された。
この『明るいイデオン』には、当時のアニメ雑誌の執筆陣や編集者達も半ば制作サイド側に立つスタッフとして参加しており、その内の一人であった漫画家のゆうきまさみも、当時『月刊OUT』に掲載していた漫画『イデオンマイナーノート』*1にて、この時の詳細な模様を描いている。

また、DAICON FILM*2の創設者である岡田斗司夫と武田康廣が“双子の悪魔”*3を名乗り、イベントやTVでの宣伝とパフォーマンスも行っていた。

尚、スタッフの一人で当時の『アニメック』編集長だった小牧雅伸によると、当初は「現在日本で最高水準のアニメ作品」という路線でイベントを打つ予定だったそうだが、よりにもよって富野の新作である戦闘メカ ザブングル』の初回オンエアを見たスタッフから、この謳い文句は『イデオン』には使えないという話が出たことから、割り切って熱心なファンの協力により、とにかく話題だけでも作る路線に変更したという。

当時は前代未聞だったラッシュフィルムによる試写会を行ったり、公式にパロディ作品の公募なども行われた。
かの有名な、公式によるトチ狂ったパロディ作品『アジバ3』*4等も、この一環として制作されたものである。
……しかし、前述のようにそもそもとして『イデオン』自体が一般向けする内容では無かったことや、この応援イベントや特番も青年オタク的なノリを理解出来ないとついていけない……と、前回の「ポスト・宇宙戦艦ヤマト」や「アニメ新世紀宣言」等と大々的に取り上げられた劇場版『ガンダム』公開前の盛り上がりに比べると限定的なものに終わった。
そして、TV版よりも凄惨さを増した劇場版『イデオン』は内容こそ、見た人間によって語り継がれていくであろう程の出来となったものの、興行はアニメーション部門に限ってもこの年のベスト5にも入れず、小牧は「今考えても無理のある企画」と振り返っている。


【あらすじ】

地球をはるか離れた植民星「ソロ星」(バッフ・クラン側は「ロゴ・ダウ」と呼称)。
「第6文明人」の遺跡を発掘中の地球人達は、伝説の無限エネルギー「イデ」を捜索中の異星人・バッフ・クラン族と、最悪な形でコンタクトしてしまう。
誤解が誤解を生み、バッフ・クラン軍の攻撃を受ける中、「第6文明人」の遺跡・巨神イデオンが立ち上がる。
それはソロシップの終わりなき逃亡の始まりであり、ふたつの地球の滅亡へのプロローグでもあった。


【登場メカ】


■イデオン

伝説の()(げん)(ちから)「イデ」を内包した「巨神」。見た目は全身真っ赤で超巨大なジム
このデザインはトミーの依頼を受けたサブマリンが描き起こしたのだが、それが作品自体の運命を決める事になるとは……。
イデオンという名称については、SFの傑作『禁断の惑星』に登場する人の無意識が生み出した“イドの怪物”や、作品のテーマ的に「イデオロギー」の意味も込められているとされる。
序盤の時点でも巨体から繰り出されるパワフルな打撃と全身に満載されたミサイルやグレン・キャノン(ビーム砲)を武器とする強力な機体だったが、話が進むにつれて艦隊を一瞬で消滅させるイデオンガン、惑星を両断するイデオンソード、核兵器ぐらいじゃビクともしない強力なバリアなども登場し、敵も味方も戦慄せしめる戦闘力を発揮した。
しかし、滅亡した第6文明人の精神の集合体であったイデの力の発現は非常に不安定で、十分なパワーを確保できず窮地に陥る事もしばしば。
ソル・アンバー、ソル・バニヤー、ソル・コンバーの三体のメカが変型・合体するギミックを持ち、戦闘中に機体を分離させて変幻自在に戦うドッキングアウト戦法は当時のアニメファンに衝撃を与えた。

ちなみに、デザインの段階ではレスキューメカを想定していたらしく、カラーリングが消防車なのもそのため。
だが富野氏は余りのダサさから一目見るなり「これは第6文明人の遺跡です」と言い放ち、実際にそんな設定となったとか。
これについてはそうでも思わなきゃやってられないのは勿論、玩具会社が主導してアニメを作らせようとする状況への反発があった……と振り返られている。
古代文明人の超兵器という設定に説得力を持たせるべく富野氏も尽力したが、それでもメカメカしくダサいデザインはやっぱり世界観と合わず、富野氏自身による小説版の挿絵*5では大幅に雰囲気が変えられている事でも有名。
生物的とも無機質ともいえ、どちらかといえば巨神兵やらオーラバトラーと例えられる見た目になっている。
後の時代の作品では『ぼくらの』的でもある。

見た目のダサさもさることながら、当時のロボットアニメの主役に欠かせない剣や銃といった視覚的に分かりやすい武器がほぼ無いのもイデオンの特徴。
超絶的なインパクトを誇るイデオンソードやイデオンガンは最初は出てこず、序盤はミサイルすら積まれずに徒手空拳のみで闘っていた。
設定が設定なだけに必殺パンチなんてものがあるわけもなく、その地味さからトミーは勿論、アオシマからも発売された玩具やプラモデルが売れずに番組の打ち切りにまで発展。
富野氏も、盟友であり作風に於いて影響を受けた長浜忠夫も同じ苦労をしていた事を振り返って、「今更ダイモスじゃあるまいし…」と自身の演出の遅さを悔やんだという。
イデオンソード&イデオンガンのインパクトがデカすぎただけに、つくづく惜しまれる判断である。

しかし、当時から年長のファンやアニメ専門誌では徹底したハード志向が支持されており、それが放送終了一年での劇場版制作へと繋がった。

主な武装

適当に手足を振り回しているだけでもバッフ軍の重機動メカを粉砕するぐらいのパワーはあるのだが、発掘後に色々武装が追加されたり解放されたりしていった。

  • ミサイル
最終的には549基、1万6千発という無茶苦茶な数が装填されたミサイル。
地球の兵器故に威力的に見るところはないが、後半になるとイデの力を得ているのか重機動メカをアッサリ破壊していく。
これとグレン・キャノンを一斉に発射する「全方位ミサイル(或いは、カミューラ・ランバン・アタック)」ともなると、ミサイルがイデの力で加速されることで敵機を貫通するようになる。
「無数の細い線が上下左右に伸びていく」という全方位ミサイルの演出は、のちに『超時空要塞マクロス』でその名を知らしめる板野一郎氏が行っており、これに限らず本作の演出は後の板野サーカスの原型になったという見方が多い。

ちなみにTV版では当初イデオンの合体構造が把握しきれていなかったため、合体したら使用できないところに搭載されたミサイルがあった。
小説版ではそういうことこそないが、こちらは何と人力で装填するミサイルとなっている。

  • グレン・キャノン
ソロ星駐留軍が取り付けたビーム砲。ミサイルと比べて搭載数は少ないが戦艦の大砲になるぐらいの武器なので強力ではある。
劇中ではイデによってパワーを引き上げられたことでさらに火力が上がったが、パワーが上がりすぎてエネルギー系統が焼き切れることも。

  • イデバリア
イデオンとソロシップが搭載しているバリア。ビームだけでなくミサイルすら防ぐ。
イデの力……もっと言えばイデの気分によってバリアの強度が激変し、最も高まっているときは冗談抜きで一切の攻撃を受け付けない
イデオンの肩で核爆弾が起動した際に、流石に肩こそ吹っ飛んだがそれ以外は無事でパイロットは放射線被曝すらないというチートっぷりである。
だがイデの力が弱まっていると大して攻撃を防げず、重機動メカとの肉弾戦で大損害を受ける場面も。
圧倒的な物量差に苦しめられながら最終局面までイデオンとソロシップが健在だったのはこのバリアのおかげである。

  • イデオンガン
波導ガン、イデオン波導ガンとも(ヤマトのアレと被るので作中後半~劇場版では一貫して「イデオンガン」)。
イデオンの唯一の手持ち武器にして、文字通り『銀河切り裂く』イデオンを象徴する武器。
ソロシップの面々が調査したところ原理的にはグレン・キャノンと一緒らしいのだが、腹部のシャッター内にあるミニ・ブラックホールのエネルギーコネクターに接続して撃つことでエネルギーが波導となって拡散し対象を破壊する。
劇中では一度も最大出力で放たれる事はなかったが(ただし、TV版ではコネクターは片方のみ、劇場版では両方接続されている)、半分程度の出力でも一撃で大艦隊を消滅させ、3割ほどのエネルギーしかない状態で惑星の輪を消し飛ばし、イデオンソードと一緒に使えば惑星を貫通し星の向こう側の艦隊を殲滅するという無茶苦茶っぷり。
亜空間航法(デス・ドライブ)で亜空間に逃げれば大丈夫……と思われたが劇場版では亜空間航法中の相手にも直撃させた。
一応イデオン側のFCSで捕捉されてる状態での出来事だったので、イデオン側に探知・捕捉されてない状態なら亜空間に逃げるのは有効かもしれないが……。
ぶっちゃけ「相手は死ぬ」の典型であり避ける術は事実上無し。『必殺の技が撃つのは我が身なのかと』という詞がシャレにもならない。
ちなみにイデオンガンそのものにバーニアが付いておりソロシップやイデオンの誘導で動かす事ができるのだが、劇場版の終盤では危うく忘れて出撃しそうになった。

  • イデオンソード
イデオンの両腕から放たれる『閃光の剣』
当初は戦艦をぶった切るという程度だった(ちなみにイデオンガンの方が登場は先)のだがイデがどんどん自重しなくなり、衛星を破壊したり挙句の果てに巨大な惑星を一刀両断したりとこっちも滅茶苦茶な性能を発揮するようになった。
ソードとはいうが厳密にはエネルギーを放出し続けるものであるようで、イデのパワーが上がらない時にビーム砲のように使ったこともある。
劇場版後半ではほぼ常時使用するようになったが、イデのパワーが下がっているためか無敵とはいかなかった。とは言え、超巨大構造物であるガンド・ロワを最終的にぶった切っているが。
使用時に独特のSEが流れるが、後年『機動戦士ガンダムUC』がアニメ化された際、作者がイデオン好きだからということで、終盤のある場面で全く同じSEが使用された。

■ソロシップ

イデオンの母艦。イデの器(イデオンをイデが宿る仏像に例えるとこちらは仏座のようなもの)とされるものであるらしく、イデオンと深くリンクしている。
武装は一切無かったが、イデオン同様ミサイルやグレン・キャノンが搭載された。
ただ、バリアーについてはイデオンと同等あるいはそれ以上の強度があり、夥しい数の重機動メカに攻撃されても轟沈しなかったのはバリアーの影響が非常に大きいだろう。

乗員には全くコントロール出来ないが、イデにより流星を生み出し、数百万光年以上の彼方にまで降らせる戦略爆撃的能力がある。アニメ史上でも類を見ないほどの長距離、アウトレンジ攻撃である。
物語の開始前から発動しており、バッフクランをソロ星に呼び寄せる呼び水として使われた。
終盤には大量の流星を発生させ、地球、バッフクランの母星、植民星を壊滅させ両人類を根絶やしにした模様。バッフクランの母星は絨緞爆撃的に降る流星のために真っ二つに割れてしまった。


【主な登場人物】


■地球側


CV:塩谷翼
「こんな甲斐の無い生き方など、俺は認めない!」
近年ではそのアフロヘヤーばかりがネタにされる主人公。
多感で直情的だが、心根は優しい。
ソル・アンバーのメインパイロットであり、最後までイデの意思に抗い続けた。
グレンキャノンもだ!


  • ジョーダン・ベス
CV:田中秀幸
「俺達はやる事が全て遅かったのかもしれん」
ソロシップのリーダー。
設定は18歳!だが、ここは+7~10歳と考えるべき。
優秀だが、序盤は恋愛感情を抱くカララをやたらと庇い、コスモやカーシャの反感を買っていた。


  • イムホフ・カーシャ
CV:白石冬美
「じゃあ、私達はなぜ生きてきたの!?」
ソル・コンバーのパイロット。多くの言動が物騒なタカ派な実行系少女。
コスモに今でいうツンデレ。「発動篇」でのキスシーンはグッジョブ。


  • フォルモッサ・シェリル
CV:井上瑶
「何をやっても、イデの掌で踊ってるだけなのよ…!」
第6文明人の遺跡を調査していた言語学者。18歳…?(だから+10とかすりゃいいだろ!?)
イデの謎に取り憑かれ、しばしば自己中な言動を繰り返す。声優も、その性格にうんざりしながら演じていたとか。
後半に恋の季節が描かれ性格が緩和されたのは、富野なりの中の人への贖罪であったらしい。
しかし、終盤では当の恋人を初めとした大切な人を次々と失い、最終回でとうとう壊れてしまう。
学者としてイデの謎に迫るがそれがイデを不機嫌にさせたのか元来の性格故か定かではないがソロシップメンバーの中でもイデから嫌われている節がある。


  • イラ・ジョリバ
CV:塩沢兼人(ナレーションも兼任)
「こんなことなら、ベスより先に口説くんだったよ」
ソロシップのメカマン。
普段はあまり目立たないが、TV版最終回でをあげる。


  • ナプール・ハタリ
CV:横尾三郎(7話まで)/井上和彦(9話から)
「馬鹿な!?俺はまだ何もやっちゃいないんだぞ…」
ベスの片腕としてソロシップの操舵を勤める。
担当声優は、後のグラドスから来た少年。
それなりに整った外見なのに、靴下には穴が空いているなどかなりガサツ。


  • バンダ・ロッタ
CV:山田栄子
「そんな利口ぶった言葉が何になります!」
家庭的な少女だが、異星人への憎しみからカララに銃を向ける。
…が、そのカララと過ごす内に異星人もまた人間なのだと理解していき、「発動篇」では、かつて銃を向けたカララを庇って射殺される。
一見かなりの地味キャラだが
「赤毛のアン声の世界名作劇場じみた女の子が、生死の瀬戸際に追い込まれる」
という、凄い刺激的な部分もあったりする。


  • フォルモッサ・リン
CV:横沢啓子
シェリルの妹。
作中では姉妹での絡みが少ないため、ロッタの友人としての出番が多い。
アジアン星への2度目の寄港の際に現地の軍に人質にされ、同胞の地球人に射殺される。
劇場版ではいつの間にか死んでいた


  • ファトム・モエラ
CV:佐々木秀樹/井上剛(スーパーロボット大戦シリーズ)
「この光は、俺達の運命を変えていく光だ」
ベスに代わりソル・バニヤーのパイロットを勤める。
あまり目立たない脇役のはずが、突然彼女が出来たり、子供と絡んだりと今でいう死亡フラグを盛大に立ててしまう。


  • ギャバリー・テクノ
CV:桜本晶弘
  • マルス・ベント
CV:三橋洋一
ソロ星の軍人。
イデオンの副操縦士や砲撃を務める。


  • ファム・ラポー
CV:つるたきみこ
ソロシップの看護兵。
17話で割と唐突に登場し、途中でモエラと交際するようになった。


  • アフタ・デク
CV:松田たつや/小桜エツコ(スーパーロボット大戦シリーズ)
  • ノバク・アーシュラ
CV:松原雅子
  • マラカ・ファード
CV:高木早苗
  • パイパー・ルウ
CV:井上瑶
ソロシップの子供達。イデオンが暴走する主な原因。
デクは中盤からソル・アンバーのサブパイロットも務める。
彼らの無垢な叫びにイデが反応する事も多かったが、赤子であるルウ以外は激戦の果てに戦士(或いは大人)として順応していった事でイデが見限ったのか、「発動篇」では明確な死亡シーンがないルウを除き全員無惨なを遂げる。
特に幼女アーシュラの首が吹き飛ばされるシーンはもはや伝説である。
ちなみにデクの担当声優は劇場版では声変わりして収録が大変だったらしい。

ルウは赤子ながら本作のキーパーソンであり、監督曰くルウが居なかったら2話でイデが発動(=全滅)していたとのこと。

  • キッチ・キッチン
CV:鵜飼るみ子
「私達から見たらあなた達も異星人と同じよ!」
逃亡中のソロシップが立ち寄った植民星・キャラルの少女。
コスモと良い感じになるが、TV版では射殺され、「発動篇」ではイントロダクションで首が吹き飛び絶叫するコスモと共にタイトルコールになる。もうこの時点で壮絶すぎる。


■バッフ・クラン側

地球のあるごく狭い空域を除く宇宙のほぼ全域を支配する種族。
重機動メカをはじめとする強大な戦力と圧倒的な物量でソロシップを常に苦境に立たせている。
バッフ星を起源とするが、彼らもしばしば自らの母星を「地球」と呼称しており、コスモら地球人の事は「ロゴ・ダウの異星人」と認識している。
(そもそも本作でいう「地球」はコスモ達のものも含め我々が住む太陽系第3惑星を意味せず、あくまで「母星」という意味に過ぎない)*6

特に翻訳などを介さずロゴ・ダウの異星人と会話はできるが使う文字は違うらしい。
また、文化なども似てはいるが決定的に違う部分も多く、それが原因で破滅へと導かれることになる。
とりあえず白旗はダメ、ゼッタイ。

  • カララ・アジバ
CV:戸田恵子
「異星人より身内の方が怖いものです」
バッフ・クラン武家の名門に生まれながらも、戦いを嫌う理想主義者。
好奇心から地球人に接触したことが戦闘のきっかけとなり、成り行きからソロシップに乗船したままとなったことが事態をややこしくしていった。
尊敬すべき人柄の本作のヒロインではあるが、ぶっちゃけ全ての元凶でもある。
地球人のベスとの子、メシアを身ごもったことでイデは積極的に彼女を守ろうとする(搭乗していた脱出艇が撃ち落されるも無事だった)が、
発動編では実の姉・ハルルに銃を向けた結果イデに見限られたのか、嫉妬と憎しみを込めた銃弾を顔面に何発も撃ち込まれ死亡。

担当声優はアンパンマンでも有名な女優さん。
見た目もアイドル出身であった当時の担当声優がモデルになっている美人さんで、EDも歌っている。


  • ギジェ・ザラル
CV:林一夫
「私は破廉恥な男かもしれん」
バッフ・クランの武人。
真面目でイケメンだが、とことん不憫。
一応、カララの元婚約者。
イデオンに惨敗を繰り返した挙句、終盤でダラムから見捨てられ、ソロシップに転がり込む。
ソロシップ入りした後はモエラに代わってソル・バニヤーのメインパイロットとなる。
シェリルさんと急接近して、互いにいい影響を与えあっていたのだが……。


  • ハルル・アジバ
CV:麻上洋子(現・一龍齋春水)
「ダラム、助けて…」
女傑と称えられるバッフ・クランの武人。
が、内面はダラムへの想いを捨てきれず、妹・カララの女性らしさに嫉妬している。
まだ25歳にもかかわらず、配下からも年増の行き遅れと陰口を叩かれているが、聡明な彼女はそのことに気付いている。
劇場版ではソロシップ内の白兵戦でカララを射殺し、その動機が「女としての幸せを得た妹への妬みと憎しみ」だったことを父ドバに吐露するも一蹴されてしまう。
その前後の悲痛なやりとりは涙無しでは観られない。
最終的には亜空間航法でソロシップとイデオンを攻撃しようとしたが亜空間を切り裂くイデオンガンの前になすすべもなく消滅。
ダラムに迎えられた彼女は実に幸せそうな顔をしていた。

  • ダミド・ペッチ
CV:田中崇(現・銀河万丈)
ギジェの同僚の軍人。
出世欲が強く、ギジェを出し抜こうと無茶な作戦を立てた末に戦死。
劇場版では序盤で死亡する。


  • マヤヤ・ラウ
CV:松原雅子
「お嬢様、私は余計な事をしたのでしょうか…」
カララの侍女。
序盤でカララ共々ソロシップの捕虜にされるが、脱走未遂を引き起こし射殺される。
劇場版ではロッタに射殺された。


  • ダラム・ズバ
CV:木原正二郎
「こんな巨人、この世に存在してはならん!」
バッフ・クラン正規軍とは別にイデオンを狙うオーメ財団私設軍の司令官。
ハルルの元カレ。


  • ルクク・キル
CV:高島雅羅
「こっちが赤面するわ」
対イデオン用に開発された多数の機動メカを以て、ソロシップを追う。
ハルルの女の部分を、同じ女として嘲笑った為に暗殺された。


  • ギンドロ・ジンム
CV:蟹江英司(TV版)/加藤精三(劇場版)
「ガンドロワは無駄になるかな」
バッフ・クランの地球で財界を牛耳るオーメ財団の代表。
ドバの旧友でもあるが、彼を真に理解できたのは死んだ後の事だった。


  • ドバ・アジバ
CV:石森達幸
「判るか?俗物。私はそれ程傲慢では無いよ…」
バッフ・クラン軍総司令。ワッキーに似ている。
イデから直々に(地球人がその憎しみをぶつける対象として)ターゲットされるほどの業の持ち主ではあるが、
バッフ・クラン内で見ると独裁者を打倒せんと奮闘するサムライであり、イデの力を欲したのはそれが理由である。
厳格な武人だが、対照的な二人の娘には割り切れぬ思いを抱く苦悩する父親でもある。
サムライ気質のバッフ・クランにおいて子供が男の子ではない事を悩み、長女のハルルは「女として育てたつもりはない」とまで言い放つほどの教育を施したが前述の通りであり、
カララはカララでよりによって敵対する異星人の子を身籠ってしまう。
そんなわけでバッフ・クランとしての、父親としての業を全て背負い、イデオンに憎しみをぶつけるが…。

実は富野監督自身をモデルに(というか、当時まだ幼かった監督の二人の娘さんがこんな感じに育ったら父ちゃんどうしよう……というシミュレーションを)したキャラ造形であり、ある意味分身なだけあってか監督屈指の名キャラクターである。*7なお実際の娘二人がどうなったのかは『F91』のセシリー、『V』のカテジナ、『ブレンパワード』の依衣子姉さんを見れば大体察せる。
公式『ダイターン3』OPパロディ『アジバ3』は必見。
あとサムライだからなのか協力者だったギンドロへの平手打ちや銃撃が妙にスタイリッシュでカッコいい。



【余談】

かの『ドラえもん』において『建設巨神イエオン』なるアニメ作品が登場する。
頭には鉢巻、手には鋸と金槌というロボットとしては非常にシュールなデザインが特徴的。
なんと替え歌もあり、何かとSF作品のパロディに縁のある藤子・F・不二雄らしい思い切ったパロディからかファンからは妙に人気が高い。

ケロロ軍曹』に「カララ」というケロン人が登場するが、原作では単なるゲストキャラの1人に過ぎなかったのだが、アニメ版では名前つながりで「カララ・アジバのパロディキャラ」という要素が与えられ、父親のドババだの軽機動メカだのと彼女を起点にイデオンネタが大量に持ち込まれた。

スーパーロボット大戦シリーズでは『F完結編』並びに『第3次α』に参戦。
いずれも王道シリーズの最終作であり、スタッフからもある種の特異な扱いを受けている事が垣間見える。
この他、『スーパーロボット大戦X-Ω』にも期間限定参戦。何と『ぼくらの』と絡む。


99年に富野が製作した『∀ガンダム』のコンセプトはガンダム版イデオンだった。
しかし、黒富野の極致たるイデオンに対して、こちらでは戦乱の黒歴史時代の果ての新時代に生きる人々が再び黒歴史に出会っても自分たちの意志で戦乱を回避するという白富野と呼ばれる次期の作品らしい平和的な結末を迎えている。



■放映終了から劇場版公開の間に、アオシマからバッフ・クラン軍の重機動メカを中心にしたプラモデルシリーズ、通称イデプラが発売。
当時白熱していたガンプラブームの恩恵を受け、上々の売上を記録した。
イデオン及びすべての重機動メカが1/600の統一スケールで立体化*8されており、他にもソロシップやバイラル・ジンなどの戦艦もラインナップされている。あのガンドロワも予定はあったようだが未発売に終わった。
他にも組み立て玩具的色彩が強い「合体ロボ」「おやこマシン」といったアオシマの商品シリーズでもイデオンが発売されており、なんとも形容しがたい怪しいイデオンのバリエーションが誕生した。

ちなみに駿河屋静岡本店ではどういう訳かこのイデプラが山のように売られており、ファンの間では無限力ならぬ無限在庫と呼ばれている。

■1983年にATARIから発売された『PAC-KONG』と言うソフトのパッケージには何故かイデオンの絵が描かれている
著作権を表す©マークが無いため、ほぼ間違いなくサンライズには無許可と思われる。




「死ぬかもしれないのに、何で追記・修正なんてしてんだろ?俺」

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最終更新:2024年03月27日 15:09

*1 この時の内幕を富野作品キャラに仮託して描かれた実録コメディ。タイトルも制作当時に出版された富野の自著『「イデオン」ライナー・ノート』のパロディである。

*2 大阪の大学生を中心に第20回日本SF大賞に出品された自主制作アニメーション、及びその後に発表された特撮作品で知られるようになった同人集団。庵野秀明等も参加しており、数年後の株式会社ガイナックスの母体となった。

*3 第20話に登場した印象的な兄妹バッフクランのドッバとキヤヤに由来。

*4 『無敵鋼人ダイターン3』のOPにドバ・アジバを当て嵌めた公式MAD。

*5 角川文庫版の挿絵。最初に出たソノラマ文庫の挿絵ではアニメ同様のデザイン。

*6 総監督曰く、陸棲知的生命体は母星の事を『地球』、水棲であれば『水球』などと呼ぶものであろうとのこと

*7 ちなみに富野監督みたいな見た目のキャラもカメオ出演していたりする。

*8 「登場する全ロボットキャラの立体化」を成し遂げたという点において、アオシマのイデオンシリーズは、バンダイの『ガンダム』や、タカラの『ダグラム』シリーズに類似する点に匹敵するぞ! byはぬまあん