ラドン(怪獣)

登録日:2011/06/10 Fri 09:59:58
更新日:2023/04/29 Sat 15:16:56
所要時間:約 9 分で読めます






「ラドンだ! プテラノドンが、巨大化した……」
「きっとそうだ……核の影響かなにかで、ゴジラと同じことが、プテラノドンにも起こったんだ……」



ラドンとは、東宝特撮映画に登場する怪獣である。
ゴジラモスラと共に、東宝三大怪獣の一体として数えられる程の知名度を誇る名怪獣である。
「ラドン」という元素(地下水などに多い)が実在する為、海外での表記は Rodan (ロダン)とされている。






【概要】

初登場は単独作『空の大怪獣ラドン』であり、モスラ同様にゴジラシリーズへは後から輸入される形で登場した経歴を持つ。

その正体はゴジラと同じく、人類による原水爆実験の放射能汚染の影響で翼竜プテラノドンの生き残りが巨大化・怪獣化した存在。
名前の由来もそのまま「プテドン」から来ている。

元が翼竜なだけあって、飛行能力と空中機動力の高さは東宝怪獣の中でも随一。
超音速で空を飛び、飛行の際に発生するソニックブームで地表にある全てを破壊する。
その威力は凄まじく、初期はゴジラをも吹き飛ばしてタジタジにしてしまい、『FW』では地球軍の対怪獣用の空中戦艦を衝撃波だけで粉砕した。
その他、硬く鋭い嘴や尖った足の爪なども強力な武器の一つである。足の力はとても強く、体重2万tのゴジラを持ち上げて飛べる程の怪力。
耐久力もそれなりに高く、ゴジラの放射熱線の直撃を受けても何発かは耐えることができる。

ただ、やはり体型は翼竜そのものなので格闘自体はあまり得意ではなく、捕捉され接近戦に持ち込まれてしまうと一方的に攻撃を受けてしまう弱点を持つ。
事実『三大怪獣』や『VSメカゴジラ』での対ゴジラ戦では、不意にゴジラに近づいた時に地面に叩き落とされてしまい、何度も尻尾で滅多撃ちにされてしまう場面がある。


印象的なラドンの鳴き声は、コントラバスでの音と人の声を合成させたもの。
如何にも「怪獣の鳴き声」らしい鳴き声なのでその汎用性は高く、その後数多くの怪獣に流用・加工されて使われている。
(例:アントラーアギラ平成キングギドラバトラなど)




【各作品での活躍】

◇『空の大怪獣ラドン


全長:50m(翼長120m)
体重:1万5000t
速力:マッハ1.5

九州阿蘇の炭鉱地下空洞に眠っていた卵が水爆実験による気圧変化や地殻変動、地球温暖化や火山活動等の諸影響により異常発達し誕生。
卵の時点で人間が米粒に見える程巨大である。

後のラドンと比較した場合、口から黒いガス状の気体を吐く描写がある。
もっとも威力は不明。火事が起きたのはタンクローリーが激突した際の漏電と、ラドンが起こした暴風によって燃え広がったものなため。
また明確に肉食で、メガヌロンをついばむのは有名だが、それだけでなく放牧されていた牛三頭や、少なくとも人間二名を捕食している
(終盤、阿蘇山火口の巣穴近くに人間の骨と女性の靴片方が散らばっている)
ギャオス以前に「怪獣の危険性」が描かれていたシーン。

劇中では2体のつがいが登場*1し、メガヌロンを食いつくし、北京、ジャカルタ、マニラ、当時アメリカ領だった沖縄など世界中を飛び回った後、長崎福岡・博多地区を壊滅させた。特に見せ場もなく通過されただけで恐らく滅亡した佐賀県ェ…
当初は謎の飛行物体とされていたが柏木久一郎博士により正体を暴かれた。

F-86Fセイバーとの空中戦はCG無しでのものとしては非常にレベルが高い。後のラドンの登場作品と比べても、その凄さは分かる筈。
一方、セイバー四機から受けたダメージによって速度が半分に落ちるなど、空を飛ぶが故かゴジラほどのタフネスは持たない。

自衛隊の攻撃を受け、阿蘇山火口付近で休んでいた所、自衛隊の最後の攻撃を受ける。
最後は誘発された阿蘇山の噴火に巻き込まれ…



◆『三大怪獣 地球最大の決戦



ゴジラはこう言っています。

「我々が人間を助ける理由は何も無い」
「人間はいつも我々をいじめているではないか」

……と言っています。

ラドンも「そうだそうだ」と言っています。


ゴジラシリーズ初登場作品。
基本スペックは『空の大怪獣ラドン』の個体と同一だが、関連性は不明。
同個体、もしくは2体から生まれた2代目とする説もある。
また、前作の卵から生まれたラドンだが、卵から生まれたときは翼も未発達な雛だったのが、ほんの数日でいきなり成獣になっているとは考えがたいため、
「前作で卵から生まれたラドンが数年を経て成長し、本作に登場した」とも考えられる。

金星人を名乗る女の予言通り阿蘇山から出現。横浜〜富士山麓でゴジラと戦う。この時、ゴジラの放射能火炎を受けても動じない程のタフさを見せた。
キングギドラ襲来の際は「我々をいじめた人類を守る必要はない」「勝手にしろ」とゴジラ共々モスラ(幼虫)の説得に応じなかった。
こいつらが言うと妙に説得力がある。
最後は単身キングギドラに挑むモスラを見て共闘を決意。キングギドラと空中戦を展開し超高速で体当たりを仕掛ける漢気を見せたり、モスラを背中に載せる等のチームプレー等でギドラを撃退した。


◆『怪獣大戦争

本作では終始ゴジラの相棒として活躍。アンギラスの相棒就任の実に7年前の事である。
密かに翼長が150mに巨大化している。

鷲ヶ沢山中に眠っていたところ、X星人によりX星に運ばれ、ゴジラと共にキングギドラと戦う。
X星人からは「怪物02」と呼ばれた。

X星人に洗脳され地球を襲うも、その後洗脳を解かれ再びギドラと戦闘に入る。最後はゴジラ、キングギドラ共々湖に落下。
キングギドラは宇宙に逃げていくもゴジラと共に最後まで姿は見せなかった。
泳げるのだろうか?


◆『怪獣総進撃

怪獣ランドに飼育されていたが、キラアク星人に洗脳され、モスクワを襲撃。
その後、地球怪獣VSキングギドラの対決に加わったり、ファイヤードラゴン(キラアク星人の円盤)に突撃されたりしたがアンギラスやゴロザウルス等と比べると妙に影が薄い。
昭和での出番はここまで。

ちなみに海獣ランドでは、捕食するつもりなのか海に飛び込んでイルカを掴みあげる場面がある。
初代も川に落ちながらもすぐ飛び立っているので、やっぱり泳げるようだ。



◆『ゴジラVSメカゴジラ

●翼竜怪獣 ラドン


身長:70m(翼長150m)
体重:1万5000t


核廃棄物の影響でプテラノドンが怪獣化。
昭和ラドンと比べると翼竜要素が強くなり、より生物的なデザインとなった。

ゴジラザウルスの卵を托卵された状態で生まれた為、ゴジラザウルス=ベビーゴジラを兄弟と認識している。
その「弟」ベビーゴジラを護るために人類、果てはゴジラを相手に闘った。

アドノア島でベビーゴジラの卵を護るため、同じく同族を求めるゴジラと対決。
ソニック・ブームや鋭利な嘴による突つき攻撃で苦しめるも、圧倒的な力の前にノックアウトされた。

ちなみに着ぐるみではなく操演用のものと、首部分のギニョールで撮影されたがゴジラとのサイズ差が凄まじくなっている(明らかに大きさが合ってない)。
しかし、かえってそれが決死に闘う様を表している。

川北紘一特技監督はスーツも作るべきだったと反省とも受け取れる発言をしている。


●ファイヤーラドン

ゴジラに敗北し倒れたラドンが古代植物のメッセージを精神開発センターの子ども達が歌った事で復活。
その際に体色が赤になり、口からウラニウム熱線を吐ける能力を獲得。戦闘能力も正に「ゴジラ並み」にまでなった。

ベビーゴジラを助けるべく、日本に飛来。
ベビーの叫びを聞きコンテナを急襲、ベビーを救出するもメカゴジラと対峙する事になってしまう。

スピードと熱戦で青木の乗ったガルーダを撃墜し、メカゴジラの右のレーザーキャノンを破壊する等善戦するも、
プラズマ・グレネイドをほぼ零距離から喰らって致命傷を負う。
前座のような扱いをGフォースから受けたラドンはそのまま命尽きたかと思われたが……


その後メカゴジラはゴジラと対峙、合体・一斉射撃等、性能と武装をフルに使用しゴジラを完封。
間髪入れずGクラッシャーでゴジラの第二の脳こと、下半身の神経を破壊、高圧電流で嬲り殺そうとする。
そのゴジラの悲痛な姿を見たベビーゴジラが助けを求める様に啼く声に応え再び覚醒し飛び立つも、直後にメカゴジラの攻撃を受けゴジラの上に墜落する。

今度こそ命尽きたかと思われたが、ラドンはゴジラを同じ「ベビーゴジラを護る者」として自分の生命エネルギーを全て託して風化し消滅した……

蘇生したゴジラは凄まじい怒りでメカゴジラを跡形も無く消し去った。この結果をGフォースは「命ある者」と「命無き者」の差だと称している。

漫画版ではゴジラに敗北後、アドノア島の小動物を大量に吸収して復活する特殊能力を披露。ゴジラとの融合への伏線となっている。
この能力は復活後のゴジラも受け継ぎ、『VSデストロイア』では重要な役割を果たす事となる。


◆『ゴジラ FINAL WARS


体長:100m(200m)
体重:30000t

必殺技:「超音速衝撃粉砕波(ソニックブーム)

醍醐国連事務総長の乗る専用機を襲撃し、ニューヨークに降り立つ。

この時の満月をバックに叫ぶ様はとても美しく、その様子は誰が呼んだか『怪獣貴族』。

超音速衝撃粉砕波で摩天楼を蹂躙し尽くし、何と地球防衛軍の対怪獣用空中戦艦ランブリングを撃墜してしまう。

その後は実力派として、アンギラスキングシーサーとチームを組みゴジラにぶつけられる。
そう、彼ら「元・ゴジラの相棒」達は今作ではX星人に操られているという設定なのだ。

結果はお察しください。むしろ三体がかりとはいえ善戦した方である。

因みにクモンガ含め、嘗て味方だった怪獣は皆止めを刺されずに終わっている。


脚本では止めを刺される筈だったのだが、尺の都合で無しになった、又はスタッフが止めたとあるが詳しくは不明である。



◆『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

ハリウッド版ゴジラにも登場。
メキシコのイスラ・デ・マーラにあるモナーク基地に封印されており、現地では「空の悪魔」(吹替版では「炎の悪魔」)と呼ばれている。
翼が赤く焼け爛れているのが特徴で、ファイヤーラドンに近い。
久々に飛ぶだけでソニックブームを引き起こし、翼を自然にしならせるのが操演より簡単なCGの特色を活かしバレルロールで戦闘機を叩き落とすなど華麗に空を舞う。
なお、モナークとの戦闘シーンにおいて、戦闘機からイジェクトした直後にラドンに喰われてしまったパイロットを演じたのはマイケル・ドハティ監督その人である。



◆『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>


作品中で最初に登場した怪獣。
ケツァルコアトルスに似た姿だが、翼竜とも恐竜とも異なる「あり得ない生き物」の一種と推測された。
体組織から放射性物質「ラドン」が検出され、 「未確認生物 ラドン検出」 と報道された事で「ラドン」が生物名のように呼ばれる事になった。
『古史羅』について記された絵『古史羅ノ図』には『羅甸天狗』と記され、烏天狗のような姿で描かれている。
鳴き声から発する高周波の電波で仲間と連絡を取るため、電波怪獣とも呼ばれる。
細胞内にデンキウナギ等の発電器官に似た組織がある他、胃に相当する消化器官が特定できない、地球生物共通のホメオボックス遺伝子が存在しない等の特徴がある。
電波を出す物や大きな音を出す物に優先的に襲い掛かる。また海から出現するため、普段は水中に住んでいるらしい。
通常の環境では体が適応せずに数時間で死亡するが、紅塵の中では不死身とも言えるほどの生命力を発揮する。

最初は全長5メートルほどの個体が出現して逃尾市の夏祭り会場で暴れ、ジェットジャガーとの戦闘中に環境が適応せずに死亡し、その後同族の死骸が次々と発見された。
その後は全長2メートルほどの成体の群れが出現し、空中に紅塵をまき散らしながら逃尾市に被害を出し、大滝ファクトリーの面々による電波誘導作戦で誘導された末に、やはり環境が適応せずに全滅。
それ以降も世界中に成体ラドンの大群が出現し、世界中に紅塵をまき散らた事で、突然死しなくなっていく。
また日本では、ゴジラがゴジラテレストリスに進化した際に黒く巨大なラドンが1体出現、ゴジラに襲い掛かるも、ゴジラが放った青白い光輪の一撃で倒された。
その後も成体ラドンの群れがゴジラとの最終決戦に向かうジェットジャガーと戦ったり、ゴジラの熱線に巻き込まれたりしたが、オーソゴナル・ダイアゴナライザーの発動によって世界中の紅塵が青い結晶になって消滅したため、全滅したらしい。


◆『怪獣プラネットゴジラ』

(※サンリオピューロランドで上映された3D映画)
ゴジラ、モスラと共に怪獣プラネットに生息。「VSメカゴジラ」の個体と酷似。
怪獣プラネットの調査に来たアース号を襲う。その後、東京にも出現。

◆『ゴジラアイランド』

初代とVS版のソフビで登場。ゴジラを掴んで飛ぶコンビネーションは健在。
火の精霊の力を借りて「ファイヤーラドン」になれる。ホントに燃えてます。
島にはラドン温泉がある。

◆『GODZILLA 怪獣黙示録』『プロジェクト・メカゴジラ』

初代個体は北京に出現。
同じく現れたアンギラス共々、中国政府が解き放ったヘドラにより瞬殺されるが、ヘドラの撒き散らした猛毒で北京及び上海はたちまち滅亡した。
他にもロシアでヨーロッパ大陸から逃げ延びてきたゴジラ難民を食いまくったり(メガギラスがライバルだったらしい)、
ヒマラヤでオペレーション・グレートウォール参加者を食い散らかしていたメガヌロンを全滅させたりしている。



◇余談

  • 「ラドンとギャオスはどちらが強い?」
    という議論は稀に上がるがギャオスを平成3部作、ラドンを『FW』で考えると実は結構いい勝負。
    というのも、普通は超音波メスを持つギャオスが圧勝だと思うだろうが、空中は空気の振動をモロに受けるため接近されたらまともに飛べず墜落(もっとも、ギャオスの身体では衝撃波で粉砕されてしまう)する可能性が高いらしいのだ。
    実現出来る機会があれば見てみたいものである。

  • 出番の多いメジャー怪獣のラドンだが、実は名前がタイトルになったのは『空の大怪獣ラドン』だけである。

  • 流用フィルムの関係上、直前の場面でどこにいても瞬時に 岩田屋デパート を破壊するのは有名な話。





ソニックブームで地表を破壊し、ウラニウム熱線を吐きながら追記・修正お願いします。


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最終更新:2023年04月29日 15:16

*1 「ラドンが2体いる」という事実は伏線こそあるものの劇中ではなかなかハッキリと描写されず、福岡での襲撃シーンと最終盤の火山噴火シーンでしか確認ができない。そのため、映画をしっかり視聴していないと途中で展開が分からなくなる可能性があるので注意。