イゼット団/The Izzet(MtG)

登録日:2011/12/19(月) 21:28:26
更新日:2023/03/25 Sat 18:28:27
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ラヴニカでは、自然災害はほとんどイゼットによって無力化される。
その一方で、不自然な災害はいつでも起き続けている。


イゼット団/The Izzetとは、TCGマジック・ザ・ギャザリングの背景世界に存在する組織である。

イゼット団に所属するカードが登場したのは、2005~6年の間に展開されたラヴニカブロックの第2エキスパンション「ギルドパクト」*1
ラヴニカブロックは、全体が都市に覆われた次元「ラヴニカ」を舞台とし、文明が発展した穏やかで美しく平和な世界として描かれる*2
アメリカの大都市圏を中身の、チェコのプラハを外見のモチーフとし、ファンタジーの王道である「個性豊かないくつかの勢力がシノギを削る」という独特の世界観を融合させたラヴニカは、その独特な世界観から圧倒的人気を誇っていた。
一方で実は「平和な」というにはかなり語弊があり、実際のニューヨークの犯罪率が高いように様々なギルドが影に日向にと小競り合いを続けている。特に「ラヴニカへの回帰」以降は治安の悪さや貧富の差などをテーマにした話がよく登場するようになった。

このラヴニカには次元全体を管轄する10のギルドがあり、イゼット団はその内の一つである。
色は研究のと混沌ので、科学や錬金術に精通した魔導師達が所属しており、ラヴニカ人民の生活ラインを科学の力で支えている。
言わば、魔法を駆使する科学者・技術者の集団である。

…が、イゼット団ははっきり言って、ブッ壊れた思考回路の方が多いマッドサイエンティストの集団である。
ラヴニカは一見平和なように見えるが、その実各々のギルドが影で争っており、また強大な力を持って次元を支配しようと考えるギルドすらある。
しかし、イゼット団にはそういった支配や力の追求には興味がない。

イゼット団は、魔法や科学の研究と発明に、ただひたすら明け暮れる。

そうした側面から国内外問わず人気の高いギルドで、ラヴニカへの回帰以降のストーリーでは大きな活躍をすることが多い。迷路とか…
アニヲタwikiでも、長らくイゼットのみ固有記事があったことからも人気がうかがえるだろう。

他のギルドとの関係性としては、ボロス軍/Boros Legionと一時協力関係(後に解消)にあったりしている。
また、他のギルドに対してもけんか腰というよりは冷静に分析しているような感じであり、やはり研究のほうに熱が入っていることが分かる。
とはいえ、ラクドス教団/The Cult of Rakdosグルール一族/The Gruul Clansのように実験の邪魔になるようなギルドは嫌っていたり、セレズニア議事会/The Selesnya Conclaveとは科学vs自然ということで仲は悪い。
他にも実験に伴うトラブルで小競り合いを起こしたり、逆に実験の余波で他ギルドの利益となる行動を知らず知らずに起こしたりしている。

イゼット団のカードはほとんど、またはその両方の固有色を持つ。
一部例外の土地とアーティファクトもテキスト欄に青と赤のマナシンボルが印刷されていてイゼットのデッキに組み込んだ時に力を発揮する。

青も赤もインスタントとソーサリーの扱いに長ける、という特徴がある。
赤得意の火力札を青得意のドローで確保する戦術が基本となる。
特に、カウンターで守り火力で攻めるカウンターバーンや、青のサーチと赤の火力等で組まれる、ドラゴンストームなどの瞬殺コンボが代表的なデッキである。
イゼット団のカードを使ったデッキも、往々にしてそういうデッキになる。


固有メカニズム

複製/Replicate

Gigadrowse / 万の眠り (青)
インスタント
複製(青)(あなたがこの呪文を唱えるとき、あなたがその複製コストを支払った回数1回につき、それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
パーマネント1つを対象とし、それをタップする。

『ラヴニカ・ブロック』におけるメカニズム。複製コストを支払うことでコピーを直接スタックに乗せる。つまり追加コストを支払えば「1枚で呪文を数回唱える」ような扱いができる。エネルギーをつぎ込むことで効果を高めていくというイゼットらしさに溢れるもの。
分かりやすい理念とは裏腹にルール自体は結構複雑。たとえばコピーを直接スタックに乗せる、つまり「唱えていない」ために《虚空の杯》のように唱えたことを参照するカードをコピー側がすり抜けてしまう他、ストリクスヘイヴンの「唱えたときかコピーされたとき」に誘発する能力、魔技を持つカードとの相性も極上。
またスタックに乗るのはコピーではあるが呪文なので、スタック上の呪文を直接参照する呪文とも相性が良い。《ニヴメイガスの精霊》などはその代表例。
MTGのキーワード能力に多い「キッカー亜種」のひとつだが、こういった性質のおかげでキッカーとはかなり別物だったりする。
1マナの複製呪文を中心にトーナメント実績は十分で、統率者戦では呪文に複製を持たせる《啓発のジン》を用いることがあるようだ。


超過/Overload

Cyclonic Rift / サイクロンの裂け目 (1)(青)
インスタント
あなたがコントロールしていない土地でないパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
超過(6)(青)(あなたはこの呪文をその超過コストで唱えてもよい。そうしたなら、あなたがコントロールしていない土地でない各パーマネントをそれぞれオーナーの手札に戻す。)
『ラヴニカへの回帰ブロック』におけるメカニズム。対象を取る呪文が持つもので、超過コストで唱えると本来1体しか取れないはずの対象が「対象に取れる範囲全体」に広がる。
エネルギーをつぎ込むことで効果を高めていくというイゼットらしさを「複製」とは別の形で表現したもの。超過を持つカード自体取り回しがよかったため、スタンダード当時は非常に人気が高かった。
英語版では「文章中のTarget(対象)をEach(それぞれ)に変える」という、文章に直接アクセスする能力(文章変更効果)としてイゼットらしさを出したようだが、
英語とそもそも文法が違いすぎる言語、特に東アジア系の言語では翻訳しきれないので超過適用後テキストが直接テキスト欄に書かれてしまい、受ける印象がキッカーとほとんど大差ない能力になってしまった。
ラヴニカの回帰時代は「効果範囲が広がるだけの純粋な強化」としての超過しか存在しなかったが、デザイン上は「効果範囲が広がったせいで自分が巻き添えになるデメリット」としての超過も可能。
モダンホライゾンで登場した際はそういった形でキッカーとの差別化を図るカードが登場した。正直キッカーでいいと思う


再活/Jump-Start

Chemister's Insight / 薬術師の眼識 (3)(青)
インスタント
カードを2枚引く。
再活(あなたはあなたの墓地から、このカードを、これの他のコストの支払いに加えてカード1枚を捨てることで唱えてもよい。その後、このカードを追放する。)

『ラヴニカのギルド』におけるメカニズム。墓地にあるカードを手札1枚を捨ててコストを支払うことで唱えることができる。
そのカード1枚といらない手札で2回呪文が唱えられるため、書いてあること自体は強い。非クリーチャー呪文を唱えることを参照するイゼットのカードとの相性はよく、当時のスタンダードでもよく使われた。
しかし言ってしまえばフラッシュバックの亜種で、単体での運用は「手札コストを使うようになったフラッシュバック」にすぎない。これまでのイゼットに比べるとかなり堅実、悪く言えばものすごく地味な能力。
ルール的にはフラッシュバックとは異なり「代替コストを用いる効果ではない」ため、代替コストを用いるカードと強いシナジーがある。
でもやっぱ、超過とかに比べると地味だよねぇ……



○イゼット団の代表的なカード

イゼット団は他ギルドから見て変わり者だが、そのカードも非常に変わっている。まさにイゼット、としか形容できないカードもある。
なお、ラヴニカブロックのカードの内、ギルドに所属するすべてのカードは、テキスト欄にそのギルドのマークが透かしで入れられている。オサレ。

元々青赤というのは独特なカードが生まれやすいカラーリングだが、他の次元の青赤に比してさえ本当に独創的なカードが非常に多く、電波デッカーやクソカード愛好家にとってはまさにビュッフェ形式のご馳走。
誇張抜きで5割以上のカードにエピソードがついており、話しても話しても話し足りない。他のギルドだとこうはいかない。



  • 蒸気孔
デュアルランドの調整版たるショックランドの内の一枚。島でも山でもあるため青赤双方のマナを出せるが、2ライフを払わないと使えるのは次のターンからになる。
フェッチランドからもサーチできる強力な土地。

なお、カードタイプ欄で本来は

土地-島・山

でなければならない部分が

土地--島・山

とミスプリントされてしまっている…。


  • 超電撃の掌握
エンチャントされたクリーチャーがティム(タップでダメージを飛ばす能力を持つクリーチャーの総称)になる赤のエンチャント・オーラ。また、青マナを払えば手札に戻し、付け替えることができる。

何故か別ギルドのマークがミスプリントされている。


  • 小柄な竜装者
3マナ1/3飛行の青赤フェアリー。インスタントかソーサリーを唱えるとパワー2上がるため、かなりの破壊力を持つ。
「猛火凧」だの「電子推進マグネトロン」だのといった意味不明なキーワードを並べて「ね、簡単でしょう?」とのたまう謎フレーバーテキスト
レガシー*3で現在の果敢デッキのはしりのようなデッキ「ウィー・ゼロックス」が開発され、その主力として活躍した。
……が、ぶっちゃけそこまで劇的に強いというわけではなく、ゴブリンやZooに雑に殺されたり、コンボデッキに《意志の力》1枚だけでどうにもできずに殺されたりということも結構多く、率直に言うと「意識高い系のプレイヤーが好きそうなデッキ」って感じだった。
後に使用者はデルバーへと傾いていった。つまり「そういう」感じのデッキが昔は弱かったんだよ、って話程度のこと。


  • 破壊放題
1マナの赤いソーサリー。アーティファクト一個を破壊できる上に、イゼット団固有の能力「複製」持ち。
唱えた時には複製コストを望だけ支払え、支払った数だけその呪文のコピーが出てくる。コピーというのがミソで、「唱えた」呪文を打ち消す《虚空の杯》も2マナで確実に破壊可能。
歴代屈指のカードパワーを誇るアーティファクト破壊呪文であり、登場当初からよく使われる。


  • 火想者の高巣、ニヴィックス
イゼットの本拠地ランド。4マナでライブラリートップ1枚を追放し、それがインスタントかソーサリーなら唱えられる。
……のだがこのカード、非常に効率が悪い。「マナ・コストを支払わずに」なんて文章が書いていない上に唱えるタイミングも追放直後に限られる。
このカードがすることは「5マナ支払って極めて厳しい条件付きのドロー」で、1マナのカードを使うのにすら6マナ支払わなければならないというふざけきった土地なのである。実用性?ねぇよそんなもん
アンタップインかつアンコモンなので話題にのぼらないだけで性能としては結構悲惨だが、本拠地ランドってそんなカードが結構多い。
リーダーのニヴ=ミゼットの性格を示したように「名前は本名をもじったもの」「中は鏡張りで常に自分の姿を楽しめる」と至れり尽くせりな場所。


  • ティボーとルミア
リーダーの副官的立ち位置の伝説のクリーチャー。ティボーが青の男性、ルミアが赤の女性。青の呪文を唱えるとクリーチャーが飛行を得て、赤の呪文だと飛行を持たない各クリーチャーに1ダメージ。
リミテッドだと暴力的に強いが、構築だとそうでもない。
実は初めて「複数人で一組となった伝説のクリーチャー」であり、強い印象を残したためかたびたび公式コラムでも名前が挙げられた。
未来予知の「壮大」サイクルの原案にも「ティボーとルミアの子供」というアイディアがあったという。


  • ニヴメイガスの精霊/Nivmagus Elemental
ラヴニカへの回帰で登場したレアのカード。1マナ1/2というこの時代ではごく普通のスタッツに「スタック上のインスタント・ソーサリー呪文を追放すると+1/+1カウンターが2個乗る」という非常に独特な能力を持つ。
早い話が《思案》などを食べることで永続的に膨らむため、軽い呪文を次々と投げていくタイプのデッキのアタッカーとして運用が期待される……のだが「手札を食べる」などと違って呪文を唱えなければいけないため効率が悪く、脇を固めるカードの不足などもあってふさわしいデッキがなかなか出来上がらなかった。
一見すると逐一呪文を唱えなければいけないような感じがするが、実は「複製」「ストーム」「フラッシュバック」など様々な抜け道があるので膨らませること自体は楽。それが強いかどうかが大問題になる。
最近ではモダンで「2~4つの呪文を唱えてから1マナのストーム呪文を打って軒並みこれで食べて膨れ上がらせる」というギミックを持った「ニヴメイガスストーム」が、レガシーではデルバーデッキのサブアタッカーとしての活用が試みられている他、パイオニアでもバーンに入れることで打点を増やそうという試みがある。
誤植やルビ以外で「イゼットらしさ」へと挑戦したカードで、こちらはどちらかというと秩序・研究の青に寄ったカードである。


  • 世紀の実験/Epic Experiment
ラヴニカの回帰で登場した神話レアのX呪文ソーサリー。名前がかっこいい。「ライブラリーの上からX枚のカードを追放し、その中にあるマナ総量がX以下のインスタント・ソーサリーをコストを支払わず唱えてもよい」というもの。
Xの値が大きいと様々なカードを踏み倒せるようになるのだが、まったく効果範囲が予測できないというはた迷惑なカード。そもそもなかなか合うデッキが見つからないためショックランド狙いのハズレ枠としてショップでよく投げ売りされていた。神話レアの「ご祝儀価格」が薄らいできたのがちょうどこの頃で、有用でない神話レアは容赦なく100円以下で売られるようになる。
この手のコスト踏み倒し系ギミックに共通する弱点として「X呪文をめくった場合、Xを0として唱えなければならない」というものがある。そしてこのカードはX呪文なので「2枚目以降の同名カードをめくってしまい爆発力が落ちる」ということが無視できない弱点。
こんなカードだが実はある時期まで、モダンの青赤ストームで真面目に用いられていた。Xを3~5くらいで唱えるだけでストームをつなげるという狙いがあったのだが、効果がまったく予測できないため嫌うプレイヤーも多く、いつの間にかこのカードの入ったデッキリストも掲載されなくなっていった。
当時のルールでは「分割カードは片側のコストを持つカード2枚分として扱う」ような感じのルールだったため、たとえば2マナと6マナの組み合わせである《唯々+諾々》は、Xが2以上なら6マナの諾々側を唱えることができたので水増しが可能だった(現在は不可能)。

ハイランダーなどで使うと本当に何が起こるか分からないというイゼット感溢れたハラハラドキドキが楽しめるかもしれない。この場合は3色以上のデッキで唱えると特に楽しいことになるだろう。
「《ゴブリンのゲーム》!《世界混ぜ》!《泥棒の競り》!」
やめといたほうがよさそうだ*4


  • 無限への突入/Enter the Infinite
ギルド門侵犯で登場した神話レア。ライブラリーをすべて引き、その後1枚ライブラリートップに戻す。
手札がゆうに30枚を超えてしまうため、何らかのコンボパーツをそろえるのは当然として手札を参照・利用するカードなんかとも相性がいい。
一方でライブラリートップに戻すテキストは次のターンに負けないようにするための工夫だが「ライブラリートップに確実に好きなカードを仕込める」ということでもあり、これを利用して《蟻の解き放ち》*5という誰もが忘れていたクソアンコモンに突然レガシー需要ができるという珍事が起きた。
12マナと非常に重いのだがまともにコストを支払われたことは極めて少なく、だいたい《全知》あたりで踏み倒される。たまにマナ総量の大きさを悪用されたりもしている。
このように本当に無限の可能性が考えられるカードなのだが、フレーバー・テキストが無茶ぶりそのものでいかにもイゼットらしい。
「ひとつ思いついた ――― では足りぬ。すべて思いつけ。」 ――― ニヴ=ミゼット


  • ゴブリンの試験操縦士/Goblin Test Pilot
ドラゴンの迷路で登場したアンコモンのティム。なんとタップだけでどこかに2点のダメージを飛ばせるのだ!どこかって?私にもわからん
つまり「タップだけで2点という破格のダメージ効率を誇るが、対象が完全にランダムに決まるので自滅(こいつではなく自軍のクリーチャーが死亡する)の危険性もある」という極めて迷惑なカード。
構築はもちろんリミテッドですら自滅の危険性があるため使われない。その上テーブルトップだと対象を選ぶのに非常に難儀する。パワー9の対極(Poor9)を決めようという話をするとよく名前が挙がるくらいには弱い。
こんなめちゃくちゃなカードが開発された秘話がまたひどく、開発部の一人が居眠りしてしまい、それを注意されて「多色のイゼットのクリーチャーの穴埋め」の議題を問われて考えたというもの。
つまり誇張抜きで10秒程度しか吟味されていないクリーチャーで、発売当時から低かった「ドラゴンの迷路」の評価をさらに低くしてしまったという曰く付きのカード。人によっては看板PWの《ラル・ザレック》よりこっちを覚えていることもあるくらい。

ここまでなら笑い話なのだが、実はMTGで数少ない「ルールの枠組みを破ったジャッジが下される可能性がある」カード。MTGでは「能力の起動は対象を先に決めてからコストを支払う」というルールがある。
起動型能力の起動コストにマナを要求するようになる《抑制の場》が戦場にある時、《ゴブリンの試験操縦士》の能力を起動する。
この時不都合な対象が選ばれた場合、「コストを支払いません」と宣言して巻き戻すことがルール的にできてしまう。つまり「ランダム対象だが自分の都合のいい相手が選ばれるまで巻き戻しが可能」なのである。
ただしこの使い方は「うっかりミスで罰則ってのもゲーム的につまんないだけなんで巻き戻していいよ」という理念に反するルールの悪用であり、ジャッジに叱られてしまう。そもそもそんなことまでして使いたいカードではないため、今のところまったく問題にはなっていない
これはあるジャッジが「こういう事例の時はルールに反する裁定を下すよ」という例として挙げた面白事例のひとつ。偶然アンコモンでゲームそのものの深淵を覗けるあたりもまたイゼットらしいカードである。


  • 実験の狂乱/Experimental Frenzy
ラヴニカのギルドで登場した問題児。ライブラリートップをプレイすることが可能になるという《未来予知》の亜種。
4マナのシングルシンボルと非常に軽くなっているが、代わりに「手札から呪文を唱えられない」というデメリットを持つという重いデメリットを持つ。一応4マナで自壊させることが可能だが、これを使うようではプレイが甘い証拠。
ドローするとそのカードが使えなくなってしまう」というパラドキシカルなカードだが、赤というのは軽量火力を次々と唱えていくタイプのデッキ。
つまりこんなカードが存在すると「《ショック》や《稲妻の一撃》にキャントリップがつく」ような状況が生まれてしまい、非常に爆発力が高くなってしまう。
この時期のスタンダードは、なぜか赤に衝動的ドロー《舞台照らし》、対戦相手に選択権のあるドロー《危険因子》、そしてこのカードと3枚も有用ドローソースが存在しており、「赤はドローの色」とまで揶揄された。

フレーバー・テキストの「コーヒーは発明の偏屈な叔母であるのだ。」というのは「必要は発明の母」という英語のことわざのもじりなのだが、数学者レーニ・アルフレードの「数学者は、コーヒーを定理に変換するための装置である」という言葉も同時にもじっていると思われる*6



☆以下、しばらくミゼット様のターン!

そしてこれが、イゼット団のリーダーにして創始者である。

Niv-Mizzet, the Firemind / 火想者ニヴ=ミゼット (2)(青)(青)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー-ドラゴン、ウィザード
飛行
あなたがカードを引くたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。火想者ニヴ=ミゼットはそれに1点のダメージを与える。
(T):カードを1枚引く。
4/4

“(Z->)90°- (E-N^2W)90°t = 1”

伝説かつドラゴンながら6マナ4/4飛行はイマイチなサイズで除去耐性もないが、ドロー呪文はすべて火力になる。
また、毎ターン最低2点は飛ばせるため、タフネス2以下のクリーチャーは生存権を剥奪される。
守りきれば尋常ならざる制圧力を発揮するため、カウンターバーンの切り札として活躍した。

また、「エンチャントされたクリーチャーがダメージを与えるたびに1ドロー」の能力を持つ「好奇心」または「知恵の蛇の目」を付ければ、ダメージ→ドロー→ダメージ→ドロー→…と、ライブラリーの数だけループする。つまり瞬殺コンボができる。
MOMAの中核たる「精神力」でも似たようなことができる。

統率者では瞬殺無限ループコンボで勝ちを狙うことが多いため、自身が瞬殺無限ループコンボのパーツであるミゼット様は人気が高い。
また、青赤なら他にも瞬殺無限ループコンボが用意できる。双子とか。

意味不明なフレーバーテキストも魅力の一つ。
謎々になっているので考えてみよう。

背景世界では、ラヴニカで最も高い知能を持つ存在で、1万年前にイゼット団を設立(作った理由は「なんか面白そうだったから」)。
ドラゴンは長寿なためか現在もリーダーだが、イゼット団に任された仕事は全部部下にやらせて自分は本拠地に引きこもっている。
気まぐれで目立ちたがりで自惚れが強い、困ったドラゴンである。
ちなみにイゼット団もニヴィックスもミジウムも彼の名前から来ている。

ラヴニカが再び舞台となったブロック、ラヴニカへの回帰でも再登場を果たしている。

Niv-Mizzet, Dracogenius / 竜英傑、ニヴ=ミゼット(2)(青)(青)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon) ウィザード(Wizard)
飛行
竜英傑、ニヴ=ミゼットがプレイヤー1人にダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
(青)(赤):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。竜英傑、ニヴ=ミゼットはそれに1点のダメージを与える。
5/5

名前の読みは「ドラコジーニアス」。どう見ても厨二病です本当にありがとうございました。

※以下、ネタバレ注意








ストーリーでは終盤、部下の呼びかけに応じて嫌々ながら飛来。
「俺の怒りは収まらないぜ」とか言ってラヴニカを脅かす5匹の怪物「ネフィリム」と交戦し、内2匹を瞬殺する。
しかし頭部にダメージを受け、「飽きた」とか言ってどっかに飛んでった。

どう聞いても言い訳である。もしかしたらヘタレ属性も付いている可能性がある。



その後は、ミゼット様がいなくなったことでギルドは崩壊…と思われていたのだが、火想者の「他人と精神的に繋がる」という力で部下に指示を出していたことが判明。

その結果「ラヴニカへの回帰」で無事イゼット様が帰還、その後は何らかの研究に熱を出し、他ギルドとの小競り合いになったりしていた。

その研究はアゾリウスギルドの創設者であるアゾールが制作した力線の迷路のことであり、全ギルドが争いになった際にこの迷路による代表者制の競争を提案している。
このストーリーが描かれたパック名である「ドラゴンの迷路」のドラゴンは島根にあるドラゴンメイズではなくニヴ=ミゼット様のことである。


なお、「Duels of the Planeswalkers 2012」にて、イゼット団所属と思われる、青赤デッキ使いのプレインズウォーカーの男性が確認された。

名前はラル・ザレック。

その外見は、イゼット団らしき派手な青と赤で彩られた服を着て、電気を発する謎の装置を背負い、

自分の乳首を擦りながら目が白く光っている

という凄まじさ。まさにイゼット。
通称乳首。

のちにやはりイゼット団に所属しており、「プレインズウォーカーでありながらイゼット団への忠誠心が高い」という特徴を持っていることが明らかになった。
そしてラヴニカへの回帰ブロックの最終エキスパンション「ドラゴンの迷路」で見事カード化された。勿論カードイラストでも乳首に指をあて眼を光らせている。

Ral Zarek / ラル・ザレック (2)(青)(赤)
プレインズウォーカー — ラル(Ral)
[+1]:パーマネント1つを対象とし、他のパーマネント1つを対象とする。その前者をタップし、その後者をアンタップする。
[-2]:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ラル・ザレックはそれに3点のダメージを与える。
[-7]:コイン投げを5回する。表が出た回数1回につき、このターンの後に追加の1ターンを行う。
4


追記・修正だと?けっ!アニヲタWikiの項目になど興味ないわ。
何、イゼット団の項目だと?それなら話は別だ!v

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最終更新:2023年03月25日 18:28

*1 実際にはフレーバー・テキストなどからイゼット所属をにおわせるカードは「ラヴニカ:ギルドの都」から登場している。

*2 現在はジェイスも住んでいる。またラヴニカの基本土地カードは歴代屈指の美しさを誇り、非常に人気が高い

*3 当時モダンは存在しなかった。

*4 すべて突然わけのわからないことを始めるカード。そもそもハラハラドキドキを楽しむ層が後先考えたカードを採用するとも思えないので……。

*5 対戦相手とライブラリートップのマナ総量を競い、これに勝利すると手札に戻ってくる火力。普通に使うと極めて効率が悪いが、《全知》でコストを踏み倒し、他のライブラリーをすべて消して《引き裂かれし永劫、エムラクール》を仕込むと相手にこのカードを使うだけで勝ててしまう。

*6 誰だよ!という話だが実はこの言葉、アメリカだと「ポール・エルデシュ」というイゼット的な生き様をした数学者の発言として有名らしい。