ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空

登録日:2013/9/14 Sat 17:45:12
更新日:2024/03/20 Wed 20:37:19
所要時間:約 10 分で読めます






オラ、こんな強え奴と戦えるなんてうれしいぞ。

だけど、地球はおめえらの勝手にはさせネェッ!!




1991年3月9日に東映アニメフェアの作品の一つとして公開されたドラゴンボール劇場版作品第七弾。
実は監督があの名作テレビアニメスペシャル『たったひとりの最終決戦』を手掛けたのと同じ橋本光夫氏。
他にもピッコロ(というかナメック星人)の意外な弱点が判明したり、タイトル詐欺な映画だったりと見所は多い。
……というのも、でかでかと超サイヤ人のことを銘打ってる割に実はアニメはおろか原作にすら超サイヤ人が登場する前に公開された映画だったりする。

時系列の方もこの時期にピッコロが存命、ドラゴンボールが地球にあるというだけで既にありえないので、
他の多くの作品と同じくパラレルワールドと考えるのが一番無難であろう。
「最初の元気玉フリーザが消し飛び、クリリンが殺される前にZ戦士たちが地球に帰ってきた」世界線とする説もある。

演出面では、決戦が都市で行われている点が珍しい。
原作者の鳥山明氏は「作画が難しいから決戦の舞台は荒野」としており、各劇場版も大概平野や荒地なのだが、
本作は最初から最後まで都市で戦いが行われ、保冷車から冷気が漏れたり、服飾店の中に敵が隠れたり、悟空の脇に縫いぐるみが転がったり、輝くネオンが消えていったりと、「都市」のギミックが多い。


◆あらすじ

ピッコロに自慢の口笛を聞かせようとして激昂されている中、悟飯はピッコロと共にある異常を察知する。
同時刻、地球に向かってくる巨大な彗星が一つ。破壊しようにも中には生命反応があり迂闊に手は出せない。
悟空とクリリンが軌道をずらそうと試みるも失敗し、地球はあわや壊滅の危機に。
が、激突直前でどういうわけか彗星は軌道が逸れ爆発、直後に現れたのが全宇宙を支配を目的としたスラッグ率いる宇宙人勢力。
地球を新たな惑星型クルーザーに改造しようとたくらむスラッグ一味とZ戦士との戦いが幕を開ける。


◆登場人物

●Z戦士

ご存知我らのカカロット。
今回は序盤の彗星撃退に失敗した影響で戦闘参戦は中盤以降となる。
敵の幹部級を瞬殺する頼もしさを見せたかと思いきや、敵の大ボススラッグには大苦戦。
戦い好きでつえーヤツとの勝負を好み、外道には本気で怒ったりしている印象があるが、今作では戦闘開始早々にぶん投げられて「あれだけ修業したオラの力が、全然通用しねえ……!」なんて弱音を吐いてたり、初期劇場版お馴染みの胴着破かれを経てズタボロになった挙句に、同じように瀕死の仲間たちに「オラに力を貸してくれ……」と懇願していたりと、どうにも後ろ向きな発言が目立っていたり。
ぶっちゃけた話、擬似超サイヤ人に変身した時、界王拳を放つ時、元気球でトドメを刺す時以外は終止フルボッコ状態。
あのブロリー程露骨ではないにしろ、一方的にやられるシーンの方が目立ってしまっている感じがするのは珍しいかも。

雑魚敵キラーなカカロットの息子。
今作で一番戦ってるのって実はコイツなんじゃないかと思わなくもない。
実際、最初に敵に向かっていき、いったん撤収してからも悟空やピッコロが来ない内から戦地に戻って抵抗したりと、ほぼずっと戦線にいた。
雑魚の大群相手には善戦してみせたが、数の暴力と幹部級の敵のトリッキーな戦術には力及ばず敗北してしまう。
が、終盤ではピッコロの助言もあって敵の大ボスに隙を作るのに大貢献してみたり。

中ボスキラーな僕らのピッコロさん。
後述の敵幹部・ドロダボとの戦闘では、敵の右手を握力で握り潰して血を飛び散らせ、すかさず肘と膝で挟み骨折させ、そのまま無言で死ぬまで追い詰めると、久々に大魔王らしいダーティかつ冷徹な殺しっぷりを見せる。
……が、今回は悟飯を庇うためとはいえ他の中ボスにやられてしまってたりする。
劇場版ではお約束といった感じに悟飯のピンチに颯爽と駆けつけ敵幹部の一人を圧倒するも、悟飯を庇うような形で他の幹部にボコボコにされてしまいリタイア。
しかし、終盤に悟飯と共に悟空が大ボスを倒す為の最大の手助けを行うという見せ場もある。特にスラッグの種族ゆえの弱点を突けたのは彼のおかげだし、悟空にエネルギーを与えて復活させたのも大きな功績。
ちなみに、悟空にエネルギーを送るのはネイルと融合した場面のオマージュと思われる。

「何で俺ばっかり……」でお馴染みの、劇場版ではどうにも恵まれない印象のある悟空の相棒。
やられ役とはいえそれなりに戦闘シーンのあった前作、前々作と比べて今作ではそれが更に顕著。
序盤で悟空と共に戦線離脱し、ようやく復帰したと思いきや意気揚々と挑んでいった敵の大ボスの裏拳一発でノックアウト。
特に何もしてないのにあとは延々と瀕死の状態が描写されるなど、コイツが何をしたってくらいに扱いが酷い……
強いて言うなら、序盤に迫り来る星に悟空と共に撃った二本のかめはめ波が空中で一本に合流する、というこの作品特有の姿を見せたことぐらいか。
「俺だって死ぬ前に一回くらい結婚したかったよぉ~~~!!」(←既にタンバリンに殺されたじゃん)

登場シーンは数分足らずだが何気に今作のトリはこの人が務めていたり。
惑星が衝突しそうになろうが太陽光が遮断されようがエロ本被って眠り続けていたその図太さはある意味凄い。

序盤の僅かの間とはいえ悟飯の危機を伝え雑魚敵二人を一撃でのして見せたりと、ある意味クリリンより活躍してるかも。なお、前作までは荘真由美が声を務めていたが、妊娠・育児休業のため本作から交代した。

ウーロンを盾にしてスラッグ一味に噛み付くも、余計なことを喋り過ぎた所為でスラッグにいいように利用されてしまうことに。

ブルマに盾にされたり、悟飯とハイヤードラゴンに戦場まで引っ張られたり、雑魚敵の大群に足蹴にされたり……と散々な目に遭う。

  • ハイヤードラゴン CV:龍田直樹
前作から引き続いて登場する悟飯の相棒。
冒頭に口笛に合わせた見事なダンスを見せた以外、今作での活躍はこれといって無い。

シナリオの都合とはいえ悟空の超サイヤ人宣言や、フリーザをも上回る超ナメック星人発言など、視聴者を勘違いさせるようなことばかり言っているのが目立つ。


●スラッグ一味

スラッグを除いて皆魔族で構成されており、幹部、雑魚兵士共通して太陽の光を弱点としている。
故に地球改造の手始めとして太陽光を遮断する分厚い雲を用いて地球全体を極寒へと変えた。
界王のセリフによると首領スラッグは「スラッグ星」なる惑星に流れてきたとのことなので、部下たちはそのスラッグ星の住民と思われる。
因みに幹部たちの名前の由来は全員を合わせて「アンドロメダ星雲」となっている。

今作の大ボスを務める。界王様曰く「超ナメック星人」。
かつての地球の神様と同じく赤ん坊の頃に別の星へと飛ばされたナメック星人だったが、生まれついた時から悪の気だけが肥大化して育った突然変異的な存在なのだとか。
中盤まではヘルメットを被って自身がナメック星人である事を隠していた。
登場時点では多量の薬品を摂取して延命しなければいけない程の高齢だったが、ブルマの記憶から読み取ったドラゴンボールへの願いによって全盛期のパワーを取り戻す。
その後は高みの見物と洒落こんでいたが悟空の登場と部下の敗北により参戦。
圧倒的な力を持ってして終止悟空を圧倒するも、最後は悟飯の口笛の音色に悶絶していたところに、悟空の界王拳(+ピッコロから渡されたエネルギー)による腹部貫通&太陽の力を得た元気球の一撃によって敗れる。

初登場時は老齢だったがドラゴンボールの力で若返る、追い込まれて巨大化、腹をぶち抜かれるなど原作のピッコロ大魔王およびマジュニア戦をオマージュした描写が多かったりする。
(悟空を握りつぶそうとするシーンはべジータ戦っぽいが)
名前の由来はナメクジの英訳である「スラッグ」

  • アンギラ CV:難波圭一
幹部の一人でイケメン&穿いてない担当。青い肌をした金髪のイケメン戦士。
地面に潜ったり腕を伸ばしたり口からエネルギー波を放ったりする。自分の取り分が無いことに不満を見せたり服の汚れを気にしたりといった一面も。
悟飯を助けようとするピッコロの不意を突いて無力化し、さらにメダマッチャとの連携で悟飯・ピッコロを気絶にまで追い込んだ。
しかし、直後に現れた悟空にはまるで叶わず、メダマッチャを撃破されたのに慄く。
それでも悟空を倒すべく渾身のエネルギー波を口から放ったが、パンチ一発で弾かれて口の中に押し込まれ、そのまま死亡した。

幹部の一人で脳筋&やられ役担当。悪魔のような翼を生やした巨漢の戦士。自信満々にピッコロに立ち向かっていくも終始圧倒されてしまう。
待ち伏せして狙い撃ちしようと思った矢先、背後から襲撃されて吹っ飛ぶ様は見ていて逆に悲しくなるほど。
挙げ句の果てにピッコロに自陣営への勧誘という名の命乞いまでするも、聞き入れてもらえるはずも無く、顔にエネルギー波の直撃を受けて死亡した。

  • メダマッチャ CV:堀之紀
幹部の一人でキワモノ&トリッキー担当。全身緑色でギョロリとした目を持つ小柄の戦士。
戦闘の際には悟飯相手に見事なアンダースローによるエネルギー弾の連射で圧倒した後、エネルギーを吸い尽くす性質を持つ小型の分身を生み出すことによって勝利を収める。
更には直後に駆けつけたピッコロをアンギラと共に戦闘不能にさせるなど幹部の中では一番活躍している。
しかし悟空には全く歯が立たず、分身を悟空に貼り付けて勝機とみて突撃したところを強烈なアッパー一発で撃沈。分身も気合い一発で消し飛ばされた。

  • ゼエウン CV:戸谷公次
幹部の一人で失言&出オチ担当。筋肉隆々でドロダボと同じ巨漢の戦士。
部下の科学者への叱責の際に「スラッグ様ももうお歳だ!」と口を滑らせたのが原因で恐ろしい形相となったスラッグの一撃によって見せ場も無く死亡してしまう。

  • ギョーシュ 
一味に所属する技術者の一人、スラッグに対して地球の改造に十日は欲しいと進言したところ、有無を言わさず粛清されてしまった。
名前の由来は「教授」

ギョーシュと同じく技術者の一人、ギョーシュの粛清に怯えながら改造を三日で済ますと進言。こちらは何とか粛清されずに済んだ。
その後は宇宙船内で地球改造の指揮を執っていたようだが、口笛に悶絶した巨大化スラッグがビームを乱射した際に船にも誤爆。この際船内を転げ回った。
さらに復活した悟空の一撃で、巨大化スラッグが船に倒れ込んだ際に、船の瓦礫に押し潰されたカクージャの姿も映っている。
船はその直後に爆発したため、彼も死亡した模様。
名前の由来は「学者」

  • 一般兵 CV:里内信夫、緑川光、中尾みち雄
スラッグ一味に多数所属している同じ外見の魔族たち。
最初はヘルメットを被ったそれなりにカッコいい姿だったが、その中身はお世辞にもカッコいいとは言えない物だった。
序盤、中盤にかけて主に気功波を用いた攻撃で悟飯と戦うも、ピッコロ参戦以降は空気と化す。


◆擬似超サイヤ人

本作にのみ登場する悟空の変身。
髪を逆立てて黄金の気を纏い、戦闘力が大幅に上がるといった点では超サイヤ人と同じであるが、金髪にはならずに目も白目で理性は失われる。


◆余談

今作のボスキャラであるスラッグなのだが、他の劇場版キャラと比較するとどうにも影が薄い感じがしてならない。
悟空と瓜二つのダークなサイヤ人ことターレスと、あの宇宙の帝王フリーザの兄であるクウラの間に挟まれているという所為もあるのだろうか……。

FCソフト及びそれを原作にしたOVA、プレイディア用ソフト「サイヤ人絶滅計画」とリメイク版「超サイヤ人絶滅計画」では
ターレス、フリーザ、クウラと共にスラッグもゴースト戦士として復活した……がピッコロと悟飯に倒された。
また何故か「超サイヤ人絶滅計画」のみスラッグの声が本来の屋良有作氏ではなく稲田徹氏に変更されている。
てかこの「超サイヤ人絶滅計画」はPS3/Xbox360用ソフト「ドラゴンボール レイジングブラスト2」のおまけとして製作されたのにもかかわらずゲーム本編にはスラッグが登場しない等冷遇気味。
(前身に当たるSparkingシリーズにはNEOから参戦していたがレイブラ以降は大猿等の巨大キャラがオミットされているからだと思われる。
しかし巨大キャラとの戦闘が可能になった「アルティメットブラスト」でもハブられた。)
データカードダス「ドラゴンボールヒーローズ」ではスラッグ以外にもアンギラ、ドロタボ、メダマッチャ、ゼエウンも参戦しており、巨大化したスラッグもボス敵として登場。
また本作で明かされた「ナメック星人は口笛の音色が苦手」という設定は原作者である鳥山明氏による裏設定である。

キャラソン『口笛の気持ち ピッコロ編』は悟飯の口笛でひたすらピッコロが苦しみ続ける曲なのだが、悟飯を止めようとするピッコロがこの映画の話を出している。

悟飯の部屋のポスターにアラレちゃんが映っている。




オッス! 追記・修正よろしくな。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 劇場版
  • ドラゴンボール
  • ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空
  • アニメ
  • 映画
  • 東映
  • 超サイヤ人←出ません
  • 口笛
  • 魔族
  • 超ナメック星人
  • 超サイヤ人だ孫悟空
  • 小山高生
  • 橋本光夫
  • スラッグ
  • 彗星
  • 映画ドラゴンボールリンク
  • 東映アニメフェア
  • タイトルに偽りあり
  • 東映動画
  • 東映アニメーション
  • アニメ映画

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月20日 20:37