009 RE:CYBORG(映画)

登録日:2012/11/02(金) 01:23:46
更新日:2023/10/10 Tue 03:59:02
所要時間:約 5 分で読めます





終わらせなければ、始まらない



『009 RE:CYBORG』は2012年10月27日より上映のアニメ映画作品。
石ノ森章太郎の代表作「サイボーグ009」の四回目のアニメ化にして初の全編3DCGアニメーション。

黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)壊滅後、冷戦終結の折を受け世界に散らばったサイボーグ戦士達が、現代の新たな世界の危機に再び結集する。


スタッフ
原作:石ノ森章太郎
監督:神山健治
音楽:川井憲次
美術:竹田悠介
3D:サンジゲン
制作:PRODUCTION I.G


ストーリー
かつて世界を救うため、幾度となく悪と戦ったゼロゼロナンバーサイボーグ。
そんな彼らも冷戦終結からそれぞれの道を歩み始め、その存在は歴史の影に埋もれていった……
それから27年経った現代。
世界は終わりの見えない謎の連続テロの恐怖にさらされていた。
犯行理由も定かではなく、実行犯にも統一性が存在しない。
ただ一つの共通点は実行犯達が聞いたと語る"彼の声"というキーワードだけであった。

「先を越されちゃったな」
そんな"彼の声"を聞いた人間の中に、ある一人の青年の姿があった。
それは幾多の高校生の人生を繰り返す最強のゼロゼロナンバーサイボーグ、009/島村ジョーであった。


経緯
当初は監督予定の押井守氏が「提示された脚本で撮りたくない!」と、今更009達が普通に出てくる話をやっても意味が無いと言い放ち、
ギルモア博士は死んでいて、イワンは犬に脳を移植している。他のメンバーもみんな死んでいて、フランソワーズはおかっぱ髪の58歳に・・・

サイボーグなので実年齢はともかく、見た目までもが58歳のフランソワーズを見て何が喜ばしいのかは難しいところ。
これにはスポンサーサイドもかなりの難色を示したとの事。

結局「神とは何か?」という押井守氏に向けた神山健治氏の脚本が通り、そのまま神山氏が監督を勤める事となった。*1

故・石ノ森章太郎氏は『サイボーグ009 神々との闘い編』の冒頭でこれらの疑問をファンに投げかけながら、その答えを見せることなく逝去した。
その一つの回答がこの映画の本筋とも言える。


時代
ストーリーが従来作の27年後であり、本編にも絡む「9.11」以降となっている。
登場する戦闘機なども現代機の最新型で、003の能力もネットを使う等、時代に合ったアレンジが加えられている。


特徴
一番の特徴は、今はステレオタイプだったビジュアルが大きく異なっている事だろう。
詳細は下記の各項を参照。


登場人物

009/島村ジョー(宮野真守)
ゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーにして最強のサイボーグ戦士。
ブラック・ゴースト壊滅後のギルモア財団の予算では、009の成長段階的な肉体的改造が出来ない為、
母国日本で3年ごとに記憶をリセットされ、27年間も高校生生活を繰り返していた。
容姿は大学生の方が的確な気もするが、特徴的な前髪の盛りは今回控えめ。
ストーリー序盤で、他のテロ犯と同じように"彼の声"に従い、六本木ヒルズにて爆弾テロを引き起こそうとしていた。
彼の特殊能力「加速装置」の圧倒的なビジュアルと表現は今映画の見所の一つ。


002/ジェット・リンク(小野大輔)
超大国アメリカのNSAに所属し、ゼロゼロナンバーの中でも特に孤独な戦いを続けていた孤高の戦士。
今回はギルモア博士や他のメンバー達とは直接合流しない。
まぁ、大国ではない日本人の009がリーダーというのが気に入らないだけだが。
ビジュアルでは鼻が長くなくなったお陰で従来とは大きく異なっている。
また、004に近い改造度合いとなり、背中のロケット噴射で大気圏外まで飛んでいける。
劇中では己の正義に従い超音速飛行能力を駆使して、ドバイ上空にて加速装置を持つ009と激突する。


003/フランソワーズ・アルヌール(斎藤千和)
サイボーグ戦士の紅一点にして、ギルモア博士の下に残った数少ないゼロゼロナンバーの一人。フランス出身。
超感覚を駆使した索敵能力を有し、009の記憶復活のため命を投げ打つ。
今映画のお色気担当。ブロンドというよりは茶髪だし、フランス人というよりは、そこいらに居る20代後半のOLのお姉さんである。
今回、ジョーとまさかの……
しかも、003から誘っているし、下着は黒だし、始終001を抱っこしていないし、今までのお母さん的ポジションからの脱却だろうか。
まぁ、元々改造度合いの低いお陰で生殖機能もちゃんと生きているので、子供を宿す事も可能だったりする。
実の所、原作でも003から誘ってる場面あるし、なんなら009と003の子孫も登場している
登場時期によるが、従来作で16~19歳の設定から27年後なのにこの若さ。女としてはフル改造状態。やはり女は魔物でである。


005/ジェロニモ・ジュニア(丹沢晃之)
アメリカ先住民の末裔にして、その巨体を生かした怪力と鋼鉄の皮膚を持つ豪腕サイボーグ。少しだけ色が薄まり、目に光が宿った。
003と共に009の記憶を呼び起こすため、手荒なショック療法を敢行する。ジェロニモブートキャンプ。
インディアンメイクはしていない。ガンダムUCみたいに能力を発揮する時には現れるけれど。


004/アルベルト・ハインリヒ(大川透)
右手にサブマシンガン、左手はレーザーソード、両脚にはミサイル砲が内蔵されたフルメタルサイボーグ。
白目な所など、昔の面影がそれなりに残っている。
母国ドイツにて特殊部隊GSG-9の教官を務めていたが、ワンオフパーツばかりで運用コストがかかりすぎて、現在は閑職に追いやられている。
全身に組み込まれた武器で009達をサポートする。


006/張々湖(増岡太郎)
口から高温の火炎を吐く炎の中国人サイボーグ。目が3じゃなくなったが、常に糸目。
本業の中華料理店がチェーン展開するほどの富豪にのし上がったが、特許でギルモア博士と揉めたため現在は犬猿の仲。
しかし、今回の召集にはすぐさま応じ諜報活動に一役買った。
ギルモア財団の為に寄付はしているよ。


007/グレート・ブリテン(吉野裕行)
体細胞を変化し様々な姿に変身できる、ゼロゼロナンバーでは最年長のサイボーグ。
今まで様なギャグ担当はすっかりと鳴りを潜めて、ハゲはそのままでダンディなナイスガイとなった。
母国イギリスの諜報機関SISでその能力を最大限に活かし活動している。
そのため誰よりも早く"彼の声"の存在に行き着くが、いち早くラザロ兵に狙われる事にもなった。


008/ピュンマ(杉山紀彰)
漫画→アニメ→今作…と時を経るにつれイケメン化していった、深海でも活動可能な水中能力を持つ黒人サイボーグ戦士。
考古学者としとアフリカの大地で謎の天使の化石を発掘する。
が、劇中にサイボーグ能力を発揮する事もなく、途中で消えていなくなってしまう。
不遇。


001/イワン・ウイスキー(玉川砂記子)
超能力を持つロシアのベイビーサイボーグ。
他のサイボーグ戦士と違って機械で肉体改造してある訳ではないので1ヶ月に1日分は成長する。
27年前よりも少し大人びている(ほんの少しだが)のではあるが、赤ん坊が約1歳分の成長をすれば、立ち歩きくらい出来るはずなのだが・・・
超能力によるテレパシーとテレポーテーションにより009達の活動をサポートする。


ギルモア博士(勝部演之)
元ブラック・ゴーストの科学者にしてサイボーグ戦士達の生みの親(嘘です、本当は育ての親です)。
サイボーグ戦士達にとって父親のような存在だったが、緊迫する世界情勢に疲弊したのかその影は見るも失せて、少々ひねくれたジジイ感あり。
解散後もイスタンブールに研究所を置き水面下で活動を続けていた。


●早坂トモエ(斎藤千和)
高校生である島村ジョーのクラスメートにして彼女。
ジョーが唯一心を許す人間だが、何故か003の超視覚には映らず、005の目にも彼女の姿を捉えることができない模様……
その真実は「愛するジョーのそばに、いつもいてあげられないフランソワーズが、自分の代わりに彼の脳にプログラムしたAR(拡張現実)」*2
との事。なるほど、ジョーの映っているガラスにはトモエの姿が映っていなかったりする(座っている時に何となく影があったりするのはご愛敬)。

なお、公式ではないが名前の由来は、
  • フランソワーズ→フランス→パリ→巴里→巴(トモエ)
  • 加速装置→早さ→早坂(早か)
とも言われている。


●サムエル・クライン(立花慎之介)
米企業サムエル・キャピタル社長。
アメリカ政府と手を組み、テロを利用しある目的を遂行しようとする。
サムエル・クラインもまた、彼の声を聞いたのだった。


●死体兵士<ラザロ>
米国の無人兵器思想により作り出されたサイボーグ兵士の総称。
その正体は戦死した米兵やアラブ人の死体をサイボーグ化したものという非人道兵器。
原作のサイボーグマンにあたるか。


謎の少女
"彼の声"の情報をつかんだ007や008の前に現れた全てが謎に包まれた少女。
その正体が明かされることはあるのか……


結末
神山監督が本作で云いたかったのは「願えば叶うし、思わないことは起きない」ということだそうです。*3

フランソワーズの望んだ世界に向かう途中でのイメージであり、造物主たるフランソワーズが二筋の流れ星に祈りを捧げた結果、
フランソワーズにとっての理想世界が創造されようとしていたのが最後の場面。
水の上の歩き方を見ても、フランソワーズは水上歩行できることを気取られないように周囲に目を配りながらササッと歩いていたのに対し、
グレートはおっかなびっくり、慎重に足を下ろしている事から、イエスの水上歩行物語を連想させられる。

イエスの水上歩行物語・・・「厳しい状況に直面したときに、自己の力以上の力を発揮しようとがむしゃらに頑張ることを意味している」


"追記"
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最終更新:2023年10月10日 03:59

*1 アニメスタイル002にて。

*2 アニメスタイル002にて。

*3 アニメスタイル002のP27にて。