遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記

登録日:2012/05/13 Sun 22:34:14
更新日:2024/03/07 Thu 23:26:01
所要時間:約 7 分で読めます





『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記(バトルオブグレイトデュエリスト)』とは、2000年12月7日に発売した遊戯王ゲーム。ハードはゲームボーイカラー。カラー専用。
DM1から続くOCG準拠ではないゲームは本作を最後にDM7まで一旦途切れる事になる。

遊戯王初にして今に至るまで唯一のバージョン分けソフト。遊戯デッキ、海馬デッキ、城之内デッキの3バージョンで発売された。

勿論遊戯王のゲームお馴染みの付属カードは健在。バージョンによって内容が違う。

◆遊戯デッキ

◆海馬デッキ

◆城之内デッキ
  • セベクの祝福
  • 竜殺しの剣
  • 攻撃の無力化
  • マジックアーム・シールド
  • ドラゴンに乗るワイバーン

※赤字はパラレルレアが存在する。

また、初回限定特典としてそれぞれのデッキにあのオシリスの天空竜オベリスクの巨神兵ラーの翼神竜が付属していた。
ただし、デュエルでは使えないコレクターカードである。


バージョン毎にそのキャラクターが主人公という設定で、使えるカードと使えないカードがある。
クリア後は使えるカードが少し増える。というかクリア前は制限がかかっているという表現が正しい。
収録されているカードは全900種類。

◆システム

本作では独特のレベル分けがなされている。
攻守どちらかが一方でも1350を上回ったら生け贄1体、2030を越したら2体、2800オーバーだと3体必要。
つまりブルーアイズは3体生け贄が必要。

レオ・ウィザード」、「舌魚」、「ベヒゴン」、「ディスク・マジシャン」、「マーダーサーカス・ゾンビ」の5体は生け贄無しで出せる最高打点である攻撃力1350を誇り、押しも押されぬエースモンスターとして君臨していた。
特に召喚魔族の弱点を突かれにくいレオ・ウィザードと、揃って「海」フィールドの恩恵を受けられるベヒゴン・舌魚の2体が強力。レオ・ウィザードの黄金時代。
DM2から続くデッキキャパシティ、デュエリストレベル、召喚魔族ルールは健在。

入れれるカードはデッキキャパシティとデュエリストレベルによって管理されており、カード毎に設定されている数値のデッキ全体の合計が前者を越してはいけないし、後者よりカードのコストが高いとデッキに入れる事すら出来ない。


召喚魔族ルールは各カードごとに設定されている「召喚魔族」の相性が有利・不利の関係にあるモンスター同士で戦闘になった場合、攻守の数値に関係なく不利側のモンスターが破壊されるというもの。
極端な例を挙げると、本作ではクリボー(黒魔族)で青眼の白龍(白魔族)を倒すことができる。

風→土→雷
↑   ↓
森←炎←水

黒 → 白
↑   ↓ 
幻想←悪魔

召喚魔族間の相性関係は上記の通り。
これらに加えていずれの召喚魔族とも有利・不利の関係がない、三幻神や儀式モンスターが属する「神魔族」という召喚魔族も存在する。

前作(DM3)では儀式モンスターを儀式魔法なしで通常召喚することができたが、本作ではいずれの儀式モンスターも単体では使用不可扱いとなっており、プレイヤー側は儀式魔法経由でしか召喚することができない。
本作では青眼の究極竜ゲート・ガーディアン等も儀式モンスター扱いとなっているが、こいつらは儀式に要求される生贄があまりにも重い*1ため召喚のハードルが極めて高い。
そもそもDMシリーズ独自仕様の儀式魔法そのものが使えたもんじゃない、というのはこの際置いておこう。

肝心のゲーム内容だが


クソゲーである。


◆評価

問題点

  • バージョン間の使用可能カードの格差が酷い。本作のゲーム面での最大の問題点はこれ。
各バージョンの代表的な使用可能カードは以下のような感じ。

遊戯デッキ:大嵐、死者蘇生光の護封剣、洗脳、トラップ・マスター、メサイアの蟻地獄、一角獣の角などの専用強化魔法
海馬デッキ:サンダー・ボルトブラック・ホールウイルスカード、トラップ・マスター、巨大化、ベア・トラップ、オベリスクの巨神兵、ほとんどの強化魔法
城之内デッキ:強欲な壺、ブラック・ホール、闇への手招き、ハーピィの羽根帚心変わり激流葬ラーの翼神竜、ほとんどの強化魔法

以上のラインナップからなんとなく察せられる人もいると思うが、どういうわけか城之内が妙に優遇されている。激流葬*2・心変わり・羽箒をはじめとする強力な魔法・罠カードが目白押しで、特に罠カードは有用なものの大半と除去手段である羽箒を城之内が独占している
残る2バージョンはぶっちゃけどんぐりの背比べ。全体的にカードプールがショボく、特に除去手段が「トラップ・マスター」と「死者の腕」*3くらいしかない遊戯デッキが最弱と言われることが多いが、目立った個性がないことから海馬の方が弱い・遊んでいて面白くないと評されることもままある。
そもそもにして入手カードではなく使用カードの方が縛られていることへの不満の声も多い。
また、上で触れた儀式モンスターのように全バージョンで使用不可扱いになっているカードもそこそこ存在する。

  • 神のカードもそれぞれのデッキでしか使えないが、使える神のカードをドロップするのもそのデッキで戦えない相手。よって通信必須。

  • モンスターのレベルの再設定に関しても色々と粗が多い。
    前作では「地雷蜘蛛」やコンストラクションモンスターをはじめ異常に高ステータスの下級モンスターが環境に跋扈しており、上級モンスターが軒並み死に体になってしまっていたため、バランス調整の面では致し方のない部分もある……が、攻守1350というラインはかなり微妙。
    「原作での人気カードの『エルフの剣士』や『砦を守る翼竜』あたりが最高打点になる1400ラインの方が良かったのでは」という声も。
    ギリギリ上級最低ラインを超えてしまったこの2体をはじめ、再設定の煽りを受けてかなり弱くなってしまった原作カードも少なからず存在する。特に海馬が原作で使用したモンスターは「サイクロプス」以外全て召喚に生贄が必要になってしまった

  • 一部魔法、罠カードのコストがおかしい。DMシリーズではよくあること。

  • 儀式召喚が弱い。DMシリーズではよくあること。

  • 前作も同じだが、ボスを倒さなくともパスワードを入ればエンディングが出る。エンディングも手抜き。

  • BGMはDM3からの流用が多め。開発期間が短かったせいか、そもそも基本的なシステムやグラフィックからして前作から変わり映えしない部分が多い。

  • 各バージョンで戦えないキャラがいる。

  • シリーズ全体に言えるが、付属カードもそのデッキの5枚の中から3枚がランダムで封入されている。そのため全部揃えようとすると最低6本買わなくてはいけない
その上本作収録カードのほとんどはたった半年後に構築済みデッキに収録された。企業態度もひどい。


評価点

  • デュエルのテンポが大幅に改善されている。

  • 前作では罠カードは発動の有無に関わらず設置した次のターンに破壊されてしまう仕様だったが、本作ではOCG同様発動まで場に残るようになった。そのせいで余計に城之内の優遇っぷりが際立ってしまってもいるが。

  • 流用多めとはいえBGMは全体的に良質。加えてキャンペーンモードでは全てのデュエリストに専用のBGMが設定されており、かなりバリエーション豊かになっている。


何かと低評価を受けがちな本作ではあるが、過去作のゲームシステムを踏襲しつつ正当に進化しているのは確かであり、キャラグラフィックやBGMのクオリティもゲームボーイカラー時代のゲームとしては割と良好。
ゲームバランスも対戦ツールとしては未熟さが残る一方でさほど理不尽な要素はなく、それでいてNPC達も油断したら負ける程度の歯ごたえはある。
総じて問題点は少なくないものの、普通に"遊べる"ゲームではあり、本作を愛好するファンも少なくない。この後の時代に"遊べない"レベルの超弩級クソゲーが何作か遊戯王から登場するので、相対的に評価されてる節があるのも否めないが。
バージョン商法やおまけカードの仕様等、出来そのものより売り方にケチがついてしまっているという面は大いにあり、色々と惜しいゲームであると言えるだろう。
とはいえバージョン格差に関しては擁護しがたいところである。


◆対戦相手

□ステージ1

激流葬止めて激流葬
梶木は他の罠カードを投入していないため罠が仕掛けられた場合激流葬で確定。踏めば大きなディスアドは避けられない。逆に言えば攻め時の見極め方やリスク、リソース管理の大事さを教えてくれるよきチュートリアル役でもある。
あまり見かけないが切り札は神魔族の要塞クジラ

  • シモン・ムーラン
DMシリーズ恒例のキャラクターだが今作ではまさかの本田ポジションに。
最大攻撃力は300。キャパシティ稼ぎの相手に。

罠貫通しないサイコ・ショッカー
何気にサイコ・ショッカー含め固有の★7のモンスターカードを3種類投入している。
原作通り洗脳をデッキに組み込んでおり、こっちのモンスターを奪っていく。

何故かダイナソーはつかない。
モンスターカードで統一された脳筋仕様の構成。
ちなみに竜崎は原作でも魔法・罠カードを使っていない。

初期デッキの火力では上回れない守備力を持つ兵隊アリと2枚の強化カードが意外に厄介。
炎魔族で燃やすのが効果的。ただし対策の水魔族による返り討ちに注意。同ランクのキャラでは頭1つ抜けて強いので、挑むのは出来るだけ後回しにするのがオススメ。


□ステージ2

  • レアハンター
何故かエクゾディアパーツを場に召喚する。
が、本体が地味に攻守1000な上に対処しにくい黒魔族と中々に強力。
ステージ2に上がったばかりのプレイヤーに、難易度が上がって来ていることを身をもって体験させてくれる門番キャラ。とはいえ彼に安定して勝てないようなら当然他のキャラに挑むのは厳しい。

ブラマジを倒せる幻想魔族を大事に。
死者蘇生を絡めたコンボで生贄1体で済むキラードールを呼び出す事も。

  • 人形
オシリス使い。
気付いたら電気カタツムリにことごとくやられているのはよくある話。

オベリスク使い。
融合を多用する。よく召喚されるのがヴァルキリー。


□ステージ3

トゥーンは生け贄を用意するのが大変デース☆
生贄無しで出てくるサクリファイス系列が非常に極悪。

□隠しステージ1

守備力1400のせいで生け贄が必要なハーピィ
山フィールドに対応したモンスターで組まれており、デッキの火力を底上げする。

おなじみ機械族デッキ。
デッキの特性上フィールドに対し非常に弱いため効果抜群。

遊戯デッキでは自分と戦う事になるので戦えない。
オシリスをドロップする。


海馬デッキでは戦えない。理由は後年明かされる。
オベリスクをドロップする。

城之内デッキでは洗脳される関係上戦えない。
この中では一番強い。生贄召喚で出てくるのは全て神魔族の儀式モンスター。下級モンスターも強力なカード揃いで真正面から殴り勝つのは相当なデッキパワーが必要。ただし事故りやすいのはご愛嬌。
ラーをドロップする。

□隠しステージ2

  • カイザー海馬
三幻神全てのみならず青眼の究極竜青眼の白龍3枚を投入した超ヘビーデッキ。
よく手札事故を起こしブルーアイズを捨てる。

  • ごんぶとり遊戯
今となっては懐かしの人。薄幸の美少女。

ペガサスまでは前のステージのキャラ全員に5勝すれば次のステージへ。
隠しステージはパスワードを入力する事で登場。ただし、一度に1キャラしか出せず、別のキャラと戦った後に戦いたければ再度入力しなくてはならない。


対戦相手毎にドロップするカードの種類は決まっており、勝つとその中からランダムで1枚手に入る。杏子がくれる。
また、特定のパスワードを入力しておけばそれに加えてGちゃんこと双六もカードをくれる。全魔法・罠カードからランダムに貰えるため性能はピンキリが。


地味に対戦相手17人全員デュエル時のBGMが違う。通信対戦時にも専用のBGMあり。


◆余談
「やっぱり遊戯王ゲーか」としか言いようが無い、カードのオマケと言うに相応しい出来だということは間違いない。

とはいえ評価点も多々ある。特にテンポの改善は当時の子供達は好評だった模様。

酷いバージョン分けだが、仕様にほとんど違いがなかった『クロスハンター』よりはマシ。

ちなみに本作の一週間後の12月14日に発売したポケットモンスタークリスタルの売り上げは187万本、こちらは出荷本数だが250万本以上。キャラゲーでは過去最高。
クリスタルがマイナーチェンジで購入者がちょっと少なかっただろうという事を差し引いても凄い量である。まあこのデキだと決して褒められたものではないが……


追記・修正あればお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王
  • DM4
  • GB
  • GBC
  • 3バージョン
  • KONAMI
  • デュエルモンスターズ
  • クソゲー
  • 非OCG
  • 攻撃力1350
  • レオ・ウィザード
  • バージョン分け
  • カードのオマケ
  • 遊戯王商法
  • ブラッド・ヴォルス
  • 王様:不遇 社長:普通 凡骨:優遇
  • 付属カード:神のカード
  • 遊戯王ゲームシリーズ
  • ゲームボーイカラー
  • コナミ
  • ゲーム

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月07日 23:26

*1 究極竜は青眼3枚、ゲート・ガーディアンは三魔神を生贄に要求される

*2 本作では「攻撃に反応して敵モンスター全破壊」というOCGでのミラーフォースの上位互換のような効果。しかも無制限

*3 どちらもOCGとは異なり、前者は「デッキ外から『硫酸のたまった落とし穴』を設置」、後者は「自分をリリースして敵モンスター1枚を破壊」という効果を持つ