ヨグ=ソトース

登録日:2012/03/31 Sat 22:34:32
更新日:2023/07/14 Fri 11:32:14
所要時間:約 4 分で読めます





虹色の球体の集積物という仮面をもち、時空間の最下底のさらに彼方、核の混沌のただなかにおいて
原初の粘液として永遠に泡立っている、有害きわまりないヨグ=ソトース
――――――暗黒の儀式

ヨグ=ソトースは門を知れり。ヨグ=ソトース門なれば。ヨグ=ソトース門の鑰にして守護者なり。過去、現在、未来は総てヨグ=ソトースの内に一なり
――――――ネクロノミコン





ヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)は、クトゥルフ神話に登場するの一柱。主神アザトースに次ぐ、外なる神の副王。


■概要

ラブクラフトの作品『銀の鍵の門を越えて』の描写では、「存在」・「実体」、「無」・「空虚」・「滅却」、「原型」、「全にして一」・「一にして全」がヨグ=ソトースである。なるほど、わからん
二つ名は「門にして鍵」「戸口に潜むもの」などがある。

神々達の系譜の始まりとして、まずアザトースは「闇」「無名の霧」「這い寄る混沌」を作り出した。その内「無名の霧」から誕生したのがこのヨグ=ソトースである(ただしこれには時系列的に謎がある。詳細は後述)。
ヨグ=ソトースは、同じくアザトースの作り出した「闇」から生まれ出たシュブ=ニグラスを妻として交わり、多くの子孫を残した。
ここから多くの旧支配者と呼ばれる存在が生まれ、邪神達の家系図を形づけていくことになる。

神話生物だけではなく人間と交わる事も出来るが、当然生まれてくる子供は真っ当な人間ではない。
寂れた寒村を舞台に落とし子が齎す怪異を描いた作品が『ダニッチの怪』であり、この作品では落とし子たるウェイトリー兄弟が「父」を召喚するべく暗躍していた。
兄ウィルバーは、神を召喚するためにミスカトニック大学のネクロノミコンを求めていたのだが、怪異を感じ取った番犬に食い殺された。

他作品では先生だったり、アリシア・Y・アーミティッジやマスターテリオンといった存在の親であったりする。こちらは犬に噛まれて死んだりはしない
また、水木しげるの『ダンウィッチの怪』を元にした翻案漫画『地底の足音』に登場した時には妖怪ヨーグルトという身も蓋もない和訳がなされた。


■この神の姿形や特徴について

我々の世界ではの姿で現れる。この球体は姿を絶え間なく変動させ、互いに接近したり離れたり、くっついたり分離したりという動きを繰り返している。…そんな形容されても全く想像出来ないんだが……
この球体に触れると触れた部位に、火脹れや骨の露出、組織の乾燥といった症状を引き起こす。
球体の大きさは頻繁に変化し、大きい物では1kmにも達する。だが、この神は個体でも、液体でも、気体でも好きな形態を取ることができるらしいので、実際は可変なのだろう。
これらの太陽じみた姿はただの仮面であり、尋常ならざる真の姿が存在しているとする作品もある。

さて、この神の特徴や正体について描写されている作品は上記の『ダニッチの怪』の他にはラヴクラフトの分身とも言うべき存在、
ランドルフ・カーターを主人公とした連作『銀の鍵の門を超えて』(余談だがこの作品はSF的な作風である)が存在する……が、
やはり人間の理解と想像を超えた存在という位置付けなためか、人間には理解が困難、もしくは不可能な幻想的な描写が延々と続く(一例を挙げれば、カーターが自分は無であり無限であり真理でありヨグ=ソトースであることに気がつく、等)。興味が湧いた者は実際に読んでみると良いだろう。
しかし「読めば分かる」では無責任な上、項目を建てる意味が無いので分かりやすい説明を書く。

端的に言うとこの神は、全ての時間と空間に隣接しておりそれらを超越している。
冒頭の一節や「全にして一なるもの」という呼び名はそれを現しており、このヨグ=ソトースは連続した時間軸と、果ての無い次元全てを内包しているのである。
たとえて言うなら次元の門にして鍵。
(上記の『銀の鍵の門を超えて』ではさらに進んだ説明と描写がされている)

故にあらゆる場所や時代に存在しており、人間が認識できる様態として出現する事もでき、積み重なった事象や、これから起きる出来事全てを知っている。事象や出来事そのものでもある。
無論、すべての過去・現在・未来に存在しているということは、ヨグ=ソトースはアザトースの創造よりも以前から既に存在しており、アザトースの創造によってそのヨグ=ソトースが誕生した……という矛盾した経緯になるが、詳細は不明である。
そもそも『銀の鍵の門を超えて』では、「始まりも終わりもない」ことがヨグ=ソトースであるとされている。
この奇妙なアザトースとヨグ=ソトースの関係については「卵と鶏」だとか、エッシャーのだまし絵『描く手』のようなものとする解釈もある。

ニートなアザトース様と違いこの神は明確な意思(と人間が感じるもの)を持つため、その恩恵や諸力を得ようとする魔術師達や、無限の知識を求める者によって信仰されている。
その信仰の見返りにヨグ様は魔術師達に次元を跳躍する力や、異次元を覗き見る力を授けてくれたりするらしい。

一切を支配する存在、というよりも某概念となった魔法少女の如く、一切そのものがヨグ=ソトースといった方が良いのかもしれない。
正しく想像もできない程の力を有しており「外なる神の副王」と称される程の事はあろう。
タイタス・クロウに一騎打ちで倒されてた?知らんな。

召喚する事も可能であり(ただし星辰の位置や天候が特定の状況下にあり、環状列石や高い石塔のある場所で儀式を行わなければならない)、
その際人間か何かを生贄として捧げ、願いを言うと気まぐれに召喚者の願いを叶えてくれる事もあるとか。



追記・修正は最極の虚空へと至ってからお願いします。

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最終更新:2023年07月14日 11:32