ケムール人

登録日:2013/09/09 Mon 00:03:30
更新日:2023/10/25 Wed 11:04:00
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ピロロロ……

フォ~~フォフォフォ~フォッフォッフォッ……

ピロロロ……


画像出典:総天然色ウルトラQ VOL.6(2013年8月28日発売)「2020年の挑戦」より
©円谷プロ、TBS



ケムール人とは、ウルトラシリーズに登場した宇宙人(?)である。別名は「誘拐怪人」。
この項目では、関連するキャラ(宇宙人)についても紹介する。

●目次

【登場作品】


【主な活躍】


◆ウルトラQ

登場:「2020年の挑戦」(19話)
身長:1.9m~30m
体重:40kg~1万5千t

2020年」と言う未来の世界に存在するケムール星から地球に来襲した宇宙人。
医学の発達で500年も生きる事が出来るようになったものの、肉体の衰えだけはどうにもできず、地球人の若い肉体を得るためにやって来たという。
とは言え、その身体能力は凄まじく、本編中でも余裕で自動車を追い抜かしながら走っていた。その際にやたら大きく手足を動かしていたのが特徴的。

痩せ型のボディにキュビスムをモチーフにしたいびつな顔(後頭部に3つ目の眼球がある)と言うインパクトのある体つきだが、
一番の外見上の特徴であり最大の武器は頭に伸びる管のような部分。
そこから発射する「消去エネルギー源」と言うスライム状の物質に触れた人間を文字通り「消去」させ、次々に誘拐してしまった。
更には変身能力もあり、本編中では主人公の万城目淳に化けてヒロインの由利子を油断させるほど。ちなみにこの時から既に女性を追いまわそうとしていた。

その後自ら正体を現し、警官の銃弾で倒れてしまったがその後一気に巨大化ウルトラシリーズで初めて巨大な姿を現した宇宙人となった。
遊園地で大暴れするが、東京タワーから発射された「Xチャンネル光波」を浴びせられ、頭から消去エネルギー源を自らに吹きかけながら消滅してしまった。
いつもに破壊されてばかりの東京タワーに倒されるという珍しい末路を辿った怪獣(宇宙人)であった。
その後、無事誘拐された人も皆戻ってきた。

その正体は宇宙人では無く、2020年の人類ではないかと言う説もある。
続編として製作されたラジオドラマ『ウルトラQ倶楽部』では地球人のなれの果てと言う設定になっている。
風船怪獣 バルンガの元ネタとして知られる小説『ひる』の作者ロバート・シェクリィが執筆した小説『不死販売株式会社』で未来の地球人が「心」を取り出して別の人間に移植する技術を実用化していることも傍証とされる。
とはいえ、2020年に500歳とすると武田信玄と同世代ということになるため、年齢か出身年のどちらかで法螺を吹いているということにもなる。

声は東宝特撮映画『マタンゴ』に登場したマタンゴのものを流用したもの。あのバルタン星人と同じ声である。
巨大化後は『ゴジラの逆襲』のゴジラの唸り声を流用。

\フォフォフォフォフォ……/

また、『ウルトラQ』はモノクロ作品だった事もあってかカラー写真が現存せず、初代の体の色は長らく不明のままであった。
しかし、デザイナーの成田亨氏の発言(着ぐるみの塗装も担当していた)により現在は濃いめの青地にギザギザの模様という色となっている。
ちなみに着ぐるみの中の人は古谷敏氏で、その後成田氏があのウルトラマンのデザインの着想と中の人(スーツアクター)を担当するきっかけになったと言う。



さて、ここで一つ注意。例えケムール人を倒したとしても、「消去エネルギー源」の液体はその効力を保ち続けている
もし不用意に触れてしまうと……?


◆ウルトラマン

登場:「禁じられた言葉」(33話)
身長:55m
体重:1万6千t

メフィラス星人配下の宇宙人として、バルタン星人ザラブ星人と共に登場……するも、何もせずそのまま姿を消してしまった。
幻影じゃないかと言われるほどであり、ぶっちゃけ本編ではかなりのチョイ役である。
シナリオではダダがこの役を担う予定になっており、当時楳図かずお氏によって描かれていたコミカライズ版ではダダも含めた四体が一斉に登場、
ウルトラマンとの対決も実現している。最後はウルトラマンに空中におびき寄せられ、回転して放つスペシウム光線で四体纏めて撃墜される。
頭は前述の初代の物を流用し、黒いボディは新造したもの。着ぐるみの中の人は長年昭和ゴジラを務めていた中島春雄氏で、こっそり本編にも登場していたりする。

後にボディは『ウルトラセブン』に登場したキュラソ星人に流用されており、これを元ネタに「メフィラス星人からキュラソ星人の体を貰った」と書いた本もある。

ムラマツキャップの「以前倒した事がある」と言う発言がよく突っ込まれるが、ムラマツキャップそっくりな人なら前述のウルトラQに登場していたりする。
ちなみにケムール人自体がウルトラマンで再登場する予定自体はあったようで、企画段階だった『科学特捜隊ベムラー』のサンプルストーリー、「大誘拐」で再登場が検討されていた。

なお1992年に発売された『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の間を描く円谷プロ公認PCゲーム『ウルトラ作戦 科特隊出動せよ!』では
ケムール人が科特隊に退治されるエピソードがあるため、矛盾は解消されている。

なお、宮西達也の絵本『おとうさんはウルトラマン』ではこのエピソードが放映された1967年2月にウルトラマンがケムール人と戦ったことになっている。

◆ウルトラスーパーファイト

ビデオオリジナルのこの作品にも何度か登場。
車を運転中にウルトラマンからの注意を無視した結果大喧嘩になったり、アストラにリンチされたり、
変な儀式をしてウルトラセブンの背中にゼットンの背後霊を背負わせたりしていた。
自称「キング・オブ・ザ卑怯者」。ちなみに体の色は黒色である。
何気にウルトラ戦士との映像上での対決がここで実現していたりする。

◆ウルトラマン超闘士激伝

メフィラス大魔王の手下である「鋼魔四天王」の一員として登場。
他の作品とは少々異なり、メンバー内では一番の大柄の体を誇るパワータイプ。カードダスによれば持ち前の俊足も健在。
自慢の装鉄鋼(鎧のような物)も光線をもはじき返す重装型である。ウルトラ戦士を圧倒するも、闘士ウルトラマンの前に一撃で敗退。
その後、改心したメフィラス大魔王からの「依頼」を受けて再登場。宇宙を脅かすゴーデス軍団や二大魔神への戦いに挑む。

ちなみに他の四天王のメンバーはバルタン星人、ザラブ星人、ダダ。前述した「ウルトラマン」でのメフィラス星人配下の宇宙人が元ネタとなっている。

◆ウルトラゾーン

『ウルトラゾーンチャンネル』のレギュラーとして登場。泥棒退治に協力したり、初恋が実らなかったり、ラゴンやM1号と喧嘩をしたり仲良くしたり、と色々な事をしていた。
その中で連続した話の中では、地球人に怖がられるわケムール星からは人間を早く捕まえて来るようにしつこく言われたりと散々な状況だった。
偶然出会った少女とともに逃亡劇を始め、地球を破壊しようとするテロ集団「地球救い隊」と対決、見事に勝利して彼らが用意した「人類滅亡爆弾」を解除。
そんな彼の元に現れたのは「ケムール工作員1003号(演:関智一)」。実はケムール人の裁判官であり、ケムール人に死刑を言い渡してしまった。
しかし、少女の願いにこたえ、他の星への島流しとなった……。

◆ウルトラマンギンガ

登場話:「夏の夜の夢」(2話)、「双頭の火炎獣」(3話)、「夢を憎むもの」(5話)
身長:14cm(スパークドールズ)~30m(ウルトライブ/ダークライブ時)
体重:150g(スパークドールズ)~1万5千t(ウルトライブ/ダークライブ時)
バイクに乗って誰かを追い回す事に快感を覚える追跡魔・矢神が、その「ダークな心」をバルキー星人に利用された事でダークライブ。
正式名称は「ケムール人(SD)」。初代同様の素早い身のこなしや、人間を異次元へと消去させてしまう「消去エネルギー源」などを武器にする。
特に後者は、ヒカルたちの知り合いである警官・柿崎が犠牲になってしまった。

狙いの獲物である美鈴を追いかけ回し、礼堂ヒカルも苦戦させるも、その美鈴によって股間をモップで攻撃されてしまう。
当然物凄い勢いで悶絶し、そのまま怒りで巨大化した。
そのままヒカルがウルトライブしたサンダーダランビアを持ち前の身体能力で翻弄、屁まで浴びせた
消去エネルギー源でヒカルを消し去ろうとするが、そのままウルトラマンギンガにウルトライブされた事で形勢逆転。
ボコボコにされてブン投げられて宇宙空間にブッ飛ばされ、今度は自分が迫りくるギンガに恐怖を覚える事となりギンガファイヤーボールで敗れ去ると言う因果応報な結末を辿った。
ちなみに柿崎は無事に復活している。
テレビ番組内でのウルトラ戦士との対決が本作で実現した。

その後、ケムール人のスパークドールズはヒカルの元に渡る。

早速次の回でウルトライブし、燃え盛る教室の消化に当たった後、巨大化してその犯人であるキングパンドン(SD)と対決するもフルボッコにされてしまった。
第5話でもヒカルがウルトライブ。消去エネルギー源を逆に利用してワープを行い、ジャンキラーのコクピット内に現れたが、
バリヤーに阻まれてしまいスパークドールズへと戻ってしまった。

◆ウルトラマンX

登場話:「われら星雲!」(9話)、「激撮!Xio密着24時」(16話)

日本ラグビー協会とのコラボ回である9話ではババルウ星人率いる犯罪組織暗黒星団の一員として登場。
暗黒星団と星雲荘チームのラグビーの試合中は高速移動で相手を翻弄していた。
巨大化してエックスと戦うも、てんでばらばらのチームワークではエックスの相手にならず、サイバー超振動波で宇宙に吹き飛ばされてしまった。
なお暗黒星団にはゼットン星人も所属しており、夢?の共演と相成った。

16話ではおそらく別の個体がダダ率いる女子大生誘拐組織に属していた。
夜道を歩いていたところを怪しげな雰囲気に気付いたXio隊員ワタル・ハヤトに声をかけられ、逃走。
しかしエックスの合図で飛び出した大地に激突してしまい、アスナに公務執行妨害で逮捕される。
逮捕後は黙秘を貫いていたが、「ホトケの神木」の異名を取るXio隊長・神木からの故郷の話に号泣して完オチ、誘拐組織の情報を明かす。

『X』でも屈指のギャグ回2つに登場しているのは偶然かわざとやっているのか。

◆劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!

沖縄にある宇宙人街の住人として登場。大乱闘に参加した。

◆酩酊!怪獣酒場

怪獣酒場のチーフとして登場。怪獣酒場は分け隔てのない接客をモットーにする店だが、チーフである彼が一番分け隔てている。
自身が不気味な存在であるにも関わらず怖い話が苦手で、聞くと思わず消去エネルギー源を漏らしてしまう。
戦闘力は高く、ナックル星に乗り込み一帯を壊滅させたり、増殖したペテロの地球襲撃を阻止したりしている。

ウルトラ怪獣擬人化計画feat.POP Comic code

「でも他の星から誘拐するから    悪者ナリ……」

恐らくは初代の魂から生まれたと思われる擬人化怪獣として4巻から登場している。
しかし何がどうなったのか百合っ気のあるオタク女子となっており、しかも消去エネルギーで学園の生徒を消してしまった問題児でもある。
けれど足の速さは健在で、マラソン大会ではぶっちぎりで優勝した。
その後、同人誌漁りをするために地球行きの許可を得て、おまけでジャミラとともに旅立つがギエロン星域で遭難してしまう。
が、ジャミラの機転でピンチを逃れることに成功。そしてみんなとの友情や地球人へのために、ある決断をすることに……。

死することを嫌って若い人間の体を狙ったケムールが、死することによって若い人間の体を得れたということは非常に皮肉なものである。


ウルトラマンZ

…お前、人間じゃないな!?
半分は人間…半分は、ウルトラマン!私と同類だ!

私はケムール人。我々の来訪は、これが二度目だ!

CV:辻本貴則
演:宇田川かをり(カオリ役)

登場話:「2020年の再挑戦」(18話)
別名:誘拐怪人
身長:1.9~55m
体重:40kg~1万6千t
出身地:ケムール星

「ウルトラQの54年後」という直接の続編の敵役として現実世界の2020年に満を持してTVに登場。
武器はウルトラQの時に来訪した個体と同じく、触覚から放つ「消去エネルギー源」のみ。
だがその威力は怪獣パゴスすら容易く消し去り、ウルトラマンゼットすらも「ウルトラ厄介」と眉をひそめる凶悪な代物であることが明らかとなった。
これまでのゼットの対戦相手の中では貧弱な部類に入るが、取り込んだカオリが実質的な人質となってしまい、ハルキの優しい性格も相まって迂闊に手が出せないのをいいことに、デルタライズクローを苦戦させた。

54年前のケムール人の地球人誘拐計画の再始動に伴い、計画の実行役として出現。
54年前に地球に派遣された個体が誘拐した「カオリ」と言う地球人の女性の肉体を移植して地球に舞い戻ると、カオリの肉体を隠れ蓑にして地球人の誘拐を重ねていた。
だが実際は地球人との合成手術に失敗しており、1つの身体に2つの人格を持つことになってしまった。
結果地球に戻った瞬間、カオリの意思が覚醒して度々肉体の主導権を奪われるというアクシデントにも見舞われながらも着々と任務を遂行。
作戦の総仕上げとして使われなくなった観覧車に消去エネルギー源を詰め込んだ爆弾を仕掛けて爆弾を起爆させ、内部の消去エネルギー源を雨雲に混入させることで東京全土にエネルギー源を降らせて東京の人間を丸ごと誘拐しようと目論んだ。
だが己の命すら投げ出すほどのカオリの決死の抵抗により肉体の主導権を奪われただけでなく爆弾の上昇も食い止められ、
ダメ押しにベリアロクの次元切断能力により
  • ケムール人とカオリを物理的に切り離して分離させる
  • 次元の裂け目を意図的に生み出しエネルギー源が詰まった爆弾を異次元内に追放して処理する
という2つの行動を一気に行われ、ケムール人は敗北。
エネルギー源が詰まった爆弾も無力化され、カオリ自身もベリアロクの力により救出され、54年目の再挑戦は完全な失敗に終わることとなった。

ボイスドラマにて、ゼットン星人と見分けるテストが宇宙警備隊の訓練生に出されることが明らかになった。ゼットもゼロも間違えたという。



【関連キャラ】


・ゼットン星人、ゼットン

ゼットン星人はケムール人の頭部を流用(ただし被る方向を変えており、ゼットン星人は一つ目の宇宙人となっている)、ゼットンの効果音にもケムール人の声が使われている。
詳細はこちらを参照。
近年は共演もしているが、服を着ていたらゼットン星人、着ていなかったらケムール人と使い分けられている模様。

・レキューム人

登場作品:ウルトラQ dark fantasy「虚無の扉」(26話)
身長:最大373m
体重:最大45万t
ケムール人のリメイク的存在。別名は「電波怪人」。

文明の発達の中で想像力を失ってしまい、未来を見る事の出来る「想像力」(「創造力」という説もあり)が豊かな地球人を狙ってやって来た宇宙人。第二東京タワー(東京スカイツリーでは無い)を利用して怪電波を発射し、人々から想像力を奪ってしまった。想像力を奪われた子供は友達の顔も描けなくなってしまう。さらに、偶然自らの「想像力」で自分たちの侵略をそっくり描いてしまった漫画家・笹山が描いた漫画に興味を持ち、異次元に監禁してしまうも、そのまま彼は抵抗し、必死に漫画を描き続けた。
ちなみに作品中にも人間の想像力を司ると言われる物質として「レキューム」というガスが登場しているが、単なる言葉の被りらしい。

その正体は別名の通り「電磁波」そのものであり、逆の波長の電磁波をぶつけられてしまうもそのまま実体化。歴代ウルトラ怪獣・宇宙人の中でもかなりの巨体で町を蹂躙し始めた。第二東京タワーをへし折るも、その直前に発せられた電波を浴び、そのまま消滅してしまった。

シリーズでは他にも『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』や『ウルトラマンジード』、『ウルトラマンタイガ』に登場を果たしている。
なお、いずれの作品でも「普通の宇宙人」という扱いであり、原典作品における電磁波が正体という設定や、数百m規模に巨大化できる能力などについては殆ど顧られていない。


追記・修正お願いし……

ん、何だ、この液体……?って、うわあぁぁぁx

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最終更新:2023年10月25日 11:04