カエンタケ

登録日:2012/04/17(火) 09:32:01
更新日:2024/02/01 Thu 23:57:52
所要時間:約 5 分で読めます





山々を分け入り

ほう、よくぞここまでたどり着いたものだ

ご苦労だった…と言いたいところだが

キミには消えてもらおう。


我ら菌類と人類、幾千年の闘争は


我らの勝利により終焉を迎える……


どこまでもがき苦しむか、見せてもらおう。





死 ぬ が よ い



















この先には

暴力的で

鬼のような

菌類が

あなたをまっています。


それでも閲覧しますか?


はい  上等  正に恐悦至極














カエンタケはニクザキン科ツノタケ属に属するキノコ。
天然化学兵器と表されるほど極めて強力な毒性を有し、毒性ではまさに最強最悪の毒キノコである。

画像出典:相模原市立博物館の職員ブログ、23年4月26日閲覧、https://bit.ly/3He1L8e


カエンタケという名前通りまるで燃える炎のような赤色と、幾重にも枝分かれした棒のような形が特徴。
色と形から「火炎茸」というわけだが、見ようによっては地獄から助けを求める亡者の手指にも見えるような……。
しかし中の果肉は白く非常に固い。

キノコ≒菌類なので自力で栄養は作れないため、今のところは他の菌糸類の栄養分を奪って生育しているのではないかと考えられている。



最大の特徴は先にも述べた通り、含有するマイコトキシン類による極めて強力な毒性。
その強力さたるや致死量たったの3g
一本どころか一かじりでもすれば充分に死ねます。

誤食率、致死性において世界最強の毒キノコと名高いドクツルタケが15g(ちょうど一本分)であることからもいかに強力かがわかるだろう。

不幸にも口にしてしまえば嘔吐・腹痛・下痢のキノコ毒お馴染みの中毒症状から始まり。

全身の皮膚が爛れ

呼吸困難に陥り

動くことさえままならず

まともに言葉も発せられなくなり

血中の白血球・赤血球が激減し

新たに血液を造ることも叶わないまま

生命維持に必要な多数の臓器の機能が停止する


という数え厄満とも称される多彩な中毒症状が生物のありとあらゆる部位を破壊しつくす。まさにオーバーキル。

僅か2、3日で悶え苦しみながら死に至り、万に一つ助かったとしても、

小脳の萎縮による運動障害

脱皮・脱毛

という追加攻撃に一生苦しめられる事になる。
その強烈な毒性はかつてベトナム戦争で使用された化学兵器に酷似している。


また火炎というだけあってか汁には皮膚刺激性がある為触れるだけでも爛れる。
ただし汁が出ていなければ触っても問題はない…といっても触らないに越した事はないだろう。一度出た汁が乾いて付着してたりすれば同じ事なのだから。
触らぬ神に祟りなしとはよく言ったものだが、神ですらないこのキノコは本当にそうだから始末に負えない。
素人が駆除しようなどとは考えず、発見した場合は専門家に任せよう。

味は非常に苦く、齧ってしまうと先にも述べた汁の影響から口内が酷い口内炎になる。
また「一口、口に含んだだけで頭部を鈍器でぶん殴られた衝撃に襲われる」という体験談もある。
「苦っ」…これが彼の最期の言葉だった…という感じになりかねない。マジで。

キノコの有毒判断には口に含んで味をみる方法もあるが、カエンタケに関しては絶対に行ってはならない。
というかこれはカエンタケじゃなくても非常に危険な行為なのでダメ、絶対。
他にも仮に食べられるキノコでも生食はダメという種はかなり多いので、キノコ全般において基本的に生食も厳禁。


しかし先に述べた通り炎や手にも見えるおぞましい姿、そしてそもそもカエンタケが滅多に見かける事のない希少性から口にしたという例は非常に少ない。
可食菌のベニナギナタタケと間違って採取する例もあるが、ベニナギナタタケと違って肉質が非常に固いという点でも見分けはつきやすい。
冬虫夏草にもやや似てはいるが、流石にカエンタケと間違えるのはよほどのおバカさんとしか……。



その為中毒した事例がほとんどなく、近年まで毒があるのかすら分からない有様で「有毒」ではなく「食用に適さない」程度の認識しかなかったりした。
90年代あたりまでのキノコ図鑑には食不適食毒不明という記載があったり、そもそも載ってなかったりなんてことはザラだった。

まあもろにハデな警告色(見かけだけの種もあるが)のキノコなので、これを見て食べようと思う人はほとんど居ないだろう。
しかもあまりにも固い肉質と手が爛れるとあっては、より食べる気にならないのは当たり前だろう。


この強力な毒性については多少の報告はあったものの、マウス検査で24時間以内に症例が出なかったりしたために、疑いがあるのみで確信するまでには至っていなかった。
しかし1999年に、旅館のロビーに置かれていた*1カエンタケを客が盗みだし、酒に浸してキノコ酒として飲んだら30分後ぐらいに5人全員の体調が悪くなり(そのものを食べた者もいる模様)、5人のうち3名が重症で入院。2日後に1名が亡くなり、残り2名も脱毛や脱皮などを伴う症状で長期入院したという中毒事件が発生。
これがきっかけとなり、強力な毒性を持つことが完全に判明した。


一応江戸時代の植物図鑑『本草図譜』『梅園菌譜』に「大毒ありといへり」と記録されてるので、
どうやって調べたのかは不明(実体験があったのか、小動物に食べさせたのか、イメージなのか)だが、昔にはその危険性が認識されていたようだ。


こういったエピソードから毒性だけ見れば圧倒的なカエンタケだが被害は少なく、毒キノコの代表だとは言い難い。
間違って採取しやすく簡単に見つけられるドクツルタケなどのほうが、カエンタケよりも脅威だといえる。
まあどちらも口にしたら最後、悶え苦しみながら死に至るという点では同じである





※ 近年、このカエンタケの発見事例が増加傾向にあります ※
※ 身近な公園や神社などでの目撃例も多数        ※
※ 仮に発見した場合は直ちに地元自治体に連絡を!    ※




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最終更新:2024年02月01日 23:57
添付ファイル

*1 珍しいキノコを見つけたので飾る用途で置いていたらしい