スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神Ⅱ REVELATION OF EVIL GOD

登録日:2013/09/06(金) 12:56:15
更新日:2024/04/09 Tue 10:28:28
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魔装機神、新章――

ラ・ギアスを覆う黒い翳


2012年1月12日にバンプレストより発売されたPSP用シミュレーションRPG。
スーパーロボット大戦シリーズ20周年記念作の1つ。

16年の沈黙を破って発売された魔装機神の正統なる続編。
通称は「ROE」だがファンには浸透しておらず、単に「Ⅱ」と呼称される事の方が多い


【あらすじ】
聖ラングラン王国をシュテドニアスが襲撃した『春秋戦争』

その後に起こったシュテドニアスの第2のラングラン侵攻とバゴニアの軍事介入を招いた『三國戦争』

2つの大きな戦いを経験したマサキ達、魔装機神隊は国際組織「聯盟」の名の下に『アンティラス隊』として再編成される

それは新たな戦乱の始まりでもあった


【概要】
元々の企画開始は1997年だったが、スーパーロボット大戦Fの開発優先とバンプレスト・ウィンキ-間の連携解消に伴いお蔵入りになっていた。
その後、正確な時期は不明だがバンプレストとウィンキーが再び連携を開始し、2010年に魔装機神LOEがOGシリーズの外伝としてリメイク。
これに伴い凍結されていた本作の企画が再始動。満を持して発売された。

10年以上塩漬けにされたゲームの続編という事もあってか、内容に対する評価は賛否が分かれた。

初回限定生産版には、既にDSで出ていたリメイクLOEをさらにブラッシュアップし、戦闘シーンに音声を追加したLOEが同梱された。
アーカイブスのリストに載るまでレアソフトとして扱われたため、同梱版の中古価格は数単位で高値だった。


以下、前作からの変更点と追加システム

  • キャストの設定
本格的にシリーズが再開したからなのか、今まで声の付いていなかったキャラにもキャストが設定されるようになった。

「キャラと声の親和性」を重視したため違和感のあるキャスティングは皆無と言ってもよく、結果的に版権シリーズ並みに豪華な声優陣となった。
しかし親和性以外の部分を無視したのか、OG本編だけでなく、魔装機神シリーズ内でキャストが被った人物が出てきてしまった。お前だよジノ
尤も、ジノはスタッフ内でもキャスティングが紛糾したらしいのであまり突っ込むのはエレガントではない
実は置鮎氏はさらにもう一つ重要な役を演じたのだが、フェイルやジノ、ついでにフレキと関係ない事を示すためにしばらく演じた事が伏せられていた

  • 戦闘シーン
ユニットグラフィックが書き直され、リメイクされたLOEの戦闘シーンをさらにグリグリ動く物になった。
本家シリーズなどに比べれば動きがまだ少ないが、旧シリーズ時代、殆ど動かさなかったウィンキー制作と思えば驚くほどの躍進である。

  • インターミッション音声
インターミッション操作時、ウェンディ、セニア、シャリアンのいずれかが音声ガイドをしてくれる。

  • 操者育成
操者ごとに決まったスロット数まで好きな技能をセット出来る
中にはレベルを設定された技能もあり、セットした状態で戦闘をこなしていけばレベルアップする。

  • 援護攻撃・援護防御
近年のスパロボの必須システム
技能をセットすれば1MAPにつき技能レベルの数だけ援護行動が出来る。

あれ、おかしいな記述が何か変だぞ……?

  • 地形効果
魔装機達が立つ地形にも属性が設定された。
魔装機と相性の良い地形ならば様々な補正を受けるが、逆に相性が悪いと戦闘が不利になる。
火属性の地形に至っては火以外の属性の機体にダメージを与えてくる。

本格導入された魔装機神の真の力。今回使えるのはサイバスターのみ。

気力+30以上の時に出るコマンドを選択する事で発動。
ターン制限ありで使える武器も少なくなるが機体性能が大幅に上がる上に武器の攻撃力が1.5倍になる。
今作のバランスブレイク要素。

【ストーリー面】
今作の時系列はLOEの終了直後。
一部選択肢の結果が曖昧になっているが各ルートを統合した結末が正史になっている。

そのため、テューディやラセツ、ゼツと復活したルオゾールを同時期に相手にした事になっている。

味方の魔装機操者もルート次第で死んだ面々を含めて全員続投しており、味方として使用できる。
しかしフェンターがストーリー開始時に廃棄されており、操者も何名かが途中で抜けるため「前作のラングラン正魔装機16体の集結」はできない。

本作の主な舞台は南と東に分かれたシュテドニアス。この分裂をきっかけに様々な勢力と接触、戦闘する事になる。

今作でもマルチ・エンディングは採用されており、「プレシアがヴォルクルス関係者と積極的に戦ったか」「南と北、どちらに味方するか」で終盤の話が変化する。


  • 北部ルート
通称「ウェンディルート」
普通にテロリストやヴォルクルス教団と戦ってたらエルシーネがウェンディをさらったので追いかけて決戦。
恐らく一番シナリオがオーソドックスなルート。
ルート固有の加入ユニットは
ニコ(キョウメイ朱)、リコ(キョウメイ蒼)、ライコウ、スメラ、ゴシン、アオイ、ユノー(いずれもスヴェンド・ニーダム)

  • 南部ルート
通称「ヤンロンルート」
本作で登場したエルシーネとヤンロンの絡みを深く描く。
最終話でラスボス級の敵を3体同時に相手にする必要があるのでかなりキツイ……事も無いか。

ルート固有の加入ユニットは
シュウ(グランゾン)、サフィーネ(ウィーゾル改)、モニカ(ノルス・レイ)、テリウス(ガディフォール)

  • プレシアルート
そのまんまのプレシアに関するルート。
ゼノサキス家のある秘密が原因となってヴォルクルス教団と戦う。
プレシアに関する謎が解けてしまうルート。最終話でジノが強制出撃してしまうので予め鍛えておいた方が良い。

ルート固有の加入ユニットはない。

【隠し要素】
今回用意されたのは魔装機神とヴァルシオーネ、ディアブロ、ノルス・レイの追加武器と一部操者の専用特殊技能。前作のようにユニットや操者がフラグで増える事は無く、肝心のフラグもかなり簡素。

とりあえず関連ユニットは出来るだけ出撃させて撃墜数あるいは必殺武器の使用回数を稼ごう。
特にヤンロンは本当に時間がない。

おまけの劇場を全開放しようとすると、割と長い道のりになる。

フラグは引き継ぐ上に一度追加された武器は周を跨いでも使用できるが、入手の際の会話劇は入手時のみである。


【主な登場人物】



マサキ・アンドー
言わずと知れた魔装機神シリーズ主人公。
今作の時点で既に歴戦の戦士なのだが、それはあくまでどこかの組織に属して明確な悪意を払いのける戦いだったり、
侵略してくる連中を追い払うという専守防衛な物であった、が、今作では自身たちの責任の元に「他国」の情勢に介入するという
今までにない体験をしたり、そんなタイミングでやたらと仇を連呼してくる連中のせいで、
自身の正しさに自信を持てずにサイフィスから一度突き放されてスランプに…。
これを乗り越えた後、一人だけ違うゲームに出演しているかのような強さを手に入れてカムバックする。

テュッティ・ノールバック
マサキの姉貴分。
成長期は越えたはずだがおっぱいが成長しており、バストサイズが85から90に。
目立つのは次回作までお預け。

ホワン・ヤンロン
相変わらず参戦の遅い炎の中華体育教師。
南部ルートでは主役を奪わんばかりの活躍をする。ヤンロンさんマジ主役。


ミオ・サスガ
アンティラス隊ギャグ担当。と思いきや序盤の戦いで仲間を喪い消沈。
魔装機神操者として様々な事を学ぶ事になる。
仲間を失った恐怖や怒り、敵対者を受け入れるまでの過程等
この頃からマサキとは別の形で「まるで主人公」めいた描写が増えていく。

リューネ・ゾルダーク
ヴァルシオーネRのパイロット。
マサキを攻略するため今までになく強気に攻めてくる。

プレシア・ゼノサキス
我らが妹。
専用ルートに新必殺技とシナリオ面で色々と優遇されている。


エルシーネ・テレジア
ネストリアス教という宗教の旗頭。

実はサフィーネの実姉。 

またヴォルクルス教団の大司教「エルシーネ・ヴォルクルス」でもある


□シュテドニアス連合
アクレイド・バロム
「神算鬼謀」の異名を持つ軍師で、北部の参謀。
その見た目がどこと無く孤独のグルメのゴローちゃんチック。
…とおもったら続編のⅢでパロネタをやった。

レッフェン・ダスドレーシュ
南部のエース。剣聖シュメルの兄弟子。

ニコ・サンドリーブ
リコ・サンドリーブ
シュテドニアスのエース「サンドリーブ姉妹」
ロリ巨乳な双子。

◆リシェル・グレノール
◆ナセル・ザンボス
EXに登場したシュテドニアス将校。

まさかの再登場に驚いたファンは多い、と言いたいがぶっちゃけこいつらの再登場など序の口である。

◆レオ・ギボン
EXに一瞬だけ登場した事で有名なシュテドニアス将校。

リシェルやザンボス以外の数多のシュテドニアス将校を差し置いてモブ同然のこいつが登場した事に往年のファンは衝撃を受ける事になった。
ちなみにクロが何故かこいつの事を覚えている。なんで覚えてるんだよ…

□エリアル王国
魔装機開発で有名な東洋の小国。家屋や服装が江戸時代の日本を思わせる意匠になっている。
シュテドニアスを始め、大小様々な国に魔装機とそのパーツを売っているため「死の商人」と呼ばれている。
ちなみにジンオウやダイオンなどの語感が日本風の機体はこの国が開発した物である。
関連人物はアドバーザリー部隊を参照。

□マルテナ社
傭兵派遣業を営んでいる。

エラン・ゼノサキス
サイバスターに酷似した機体ゼルヴォイドを駆る男。
その目的は不明。
鳴り物入りで搭乗したのにルート次第では出番が無くなったり陰が薄かったり…。
プレシアを助ける手がかりをくれたりはするが。


ムカデ・ラーベンス
マーガレット・ウォン
かつてラセツを信奉していていたシュテドニアス軍人。
ラセツを殺したマサキに復讐するために付け狙う。
マサキが欝った原因の1つ。


□霍奕の細胞
「かくえきのさいぼう」と読む。神聖ラングラン王国の階級制民主主義の打倒と、絶対民主主義の復古を標榜するテロリスト。
隊員同士は「執友」(しつゆう)と呼び合う。

今作の主な敵。


晨明旅団
ヒャッハァーーーーー
Ⅲのニムバス無双が伝説だが、実はこいつらも「火」属性の機体なので、
1週目で碌に改造できない序盤でサイバスターをヒャッハァァー!


□ヴォルクルス教団
ウーフ
凄腕の暗殺者。
ゼオルートと戦った経験があるが……?

サティルス・ギャレール
ルオゾールの盟友である大司教の1人。
今回の作戦の責任者。

ルザムノ・ラスフィトート
三位一体を構成する邪神の一柱。
調和を司る。


【備考】
16年掛かって復活した新作という事で新旧様々なスパロボファンから壮大な期待を歓迎を持って迎えられたが…。

16年という月日を経て描かれた魔装機神という世界に、ユーザーの困惑が広がる事になった。

◇世界観
前作では中世チックな文化や見た目を成していたラングラン王国が主な舞台であり、マサキ視点で話が進むので、
所謂ハイ・ファンタジーのようなイメージを持つユーザーも多かったのだが、今作では
悪乗りの象徴ともされる「アンティラスショップ」の設立などに象徴されるような
現実の現代社会の模様がモロに反映されたような描写が多く、違和感を覚えるユーザーが多発した。

ちなみにラングランが中世ファンタジーのような国であり、「魔法」「精霊」が居る世界なので勘違いしがちだが、
他の国は元々現実の近代的な国家である描写は前作から存在し、ラ・ギアス全体が剣と魔法の中世ファンタジーという訳ではない。
前作では軍需産業と政治の結びつき、大統領制がある事を示唆し、今作では民主主義の復活を唱えるテロ組織が居るシュテドニアスが良い例だろう。

その他に劇中でマサキ達が、大所帯になったとはいえ、部隊運営のために金策を模索するなど変に生々しい描写が目立つ。

◇ストーリーの構成、関連作発売延期の影響
発売前のPVではサイバスターとゼルヴォイドの対決がピックアップされ、ゲームのジャケットもそれを意識した物になっているが実際の対決は数回でエランとの決着は着かず、ゼルヴォイドの謎も判明しないし、第1話で登場したヴォルクルス教団のボスと思われる人物が最終的に顔も名前も分からないまま終わる。
新規キャラも思わせぶりな事を言ったり、「そういう設定がある」という体で登場するも詳細が分からなかったりする。

詰まる所、大して話が進まず、それどころか謎や新設定を広めて終わった、続編ありきの続編だったために
16年ぶりの新作という期待に応える内容では無かったと言える。1歩進んで2歩下がる等と評された。
これはⅢで大幅に悪化してしまった。
「どうしてそんな設定に…」
「あと数作引っ張ろうと思って…」

また、本家のEXに相当する第二次OGのラ・ギアス編で、今作で発現する問題の複線たる描写が多かったのだが、
延期の結果発売順が逆転してしまったことで、「Ⅱでなんか急に新しい設定とか次々に増えたぞ…」とプレイヤーが困惑することに。

◇台詞
シナリオライターが自身の知識を自慢したいのか?と疑いたくなるほどに難しい言い回しが目立つ。
各魔装機の必殺技名もそうだが、まず日常では使わないような漢字や熟語の他に、過去の偉人の言葉の引用がシナリオ中で当たり前のように活用されている。
ラ・ギアスの言語で日本語に適応してない物は難解な表現で成される事がある、という設定があるが、いささかやりすぎである。
また、セニアがライターの代弁者のような台詞を度々言う(余計な事したマスコミへの批判等)のも槍玉にあがった。

◇武器
今作の武器は「必殺武器は極端に強く、通常武器は弱め」に調整されている。

これだけなら普通に魔装機神のバランスだが今作の必殺武器はプラーナの消費量がかなり高めに設定されており多用出来ない。
そのため弱い武器を使っていくのだが敵が強化されていくとまともなダメージを与えられないので資金は主に通常武器に回す事になる。
結果、二周目以降ならともかく初プレイでは必殺武器の改造に金を回す余裕が無いという事態に陥りやすい。必殺武器のランクアップなどまず不可能。

◇機体格差
魔装機神と魔装機の性能の差がかなり大きい。今作では魔装機神にかなり使いやすい武器が追加されるのでこの格差はもっと大きくなってしまう。
今作の出撃枠はかなり少なく魔装機神を出したら残り3機出せるかどうか、といった所。
味方機が10機以上いるのにかなり持て余す事になってしまう。

◇インターフェイス
データインストールに対応しているがインストールを使用してもロード時間がかなり長い。戦闘シーン突入時だけでなくスタート画面に行くだけでもかなり長い。
Z2がかなり早かったために不評。

またインターミッションにおけるロードの位置がかなり紛らわしい事になっており、「データをセーブしようとしたら間違えてロードしてしまった」なんて事もある。
しかもスタッフの中にも間違えた人がいたらしい。


□総評
このような内容からか本作の評価はかなり微妙な物で、リメイクのLOEのおまけと言わんばかりに
Ⅱ単体のソフトは凄まじい勢いで値崩れした。
それでも今作では話を広げるため、新たな仲間が大量に加わったことや、前作のマサキ視点でしか表現されなかった
ラ・ギアス世界が広がりを見せるなど、新しい情報や描写が増えたのも事実である。
今作からシュウがやたらと人情味を見せたり、前作で目立たなかった魔装機操者にもスポットが当たるなど、話的にも見所が無いわけでもない。
おまけ劇場ややたらと多い合体攻撃の存在を見るに、いろいろ試行錯誤してたこともうかがえる、今から見れば過渡期の1品である。


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最終更新:2024年04月09日 10:28