デッキ/山札(TCG)

登録日:2011/09/21(水) 04:59:52
更新日:2021/05/05 Wed 20:58:51
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デッキ/山札とは、TCGで対戦するために用意するカードの束の事。

タイトルによって異なるが、デッキを構築するのに必要なのは大体40〜60枚ぐらい。


【概要】

デッキとはいわばプレイヤーの魂である。
膨大なカード群から作られたデッキはその持ち主の趣味・傾向・実力・財力が如実に表れ、そのステータスを計る一種の物差しと言える。

何を切り札にして、それをうまく活躍させるのはどうすればいいか…
相手を足止めするには何を使えばいいか…
はたまた、劇中の名シーンを再現するにはどうすればいいか…

などなど、考えることは無数にあり一筋縄ではいかないが、
自分の立てた作戦がゲーム中にうまく実現できたときの喜びは計り知れないものがあるだろう。

また、多くのTCGタイトルでは大会が実施されており、
そのような真剣勝負の場で勝利を目指すのもTCGの楽しみの1つ。

気に入ったカードを使ってみたい場合や大会優勝などの目標があるなら、せひ自分だけのデッキの作成に取り組んで欲しい。


参考までにその指標例を記しておくと、


カードの束から適当にデッキ作る
カード毎の採用理由は殆ど考えない
カード同士のシナジーを考慮しない
→初心者


大会優勝デッキをとりあえずコピーする(上級者にも言えるが、デッキの都合上似たり寄ったりになる事もある)
環境は意識するが、腐りにくいカードに頼りがち
カード毎の採用理由は「強いから」や「有名プレイヤーが使っていた」からになりやすく、カード同士のシナジーは考慮するが深くは考えない
→中級者

テンプレに拘らずにデッキを構築できる(ただし、大会優勝レシピを参考にする事は多々ある)
常に環境を考えて投入するカードの取捨選択できる
カード毎の採用理由をきちんと考え、カード同士のシナジーをきちんと考慮できる
→上級者


こんなところだろう。
これらはタイトルによって多少異なり、プレイングの腕とも別物である(比例することも多いが)。
ただ、どのTCGでも拡張パックのカードを適当に付け足しただけでは改造とは呼べない。

初心者にしてみれば、下手をすれば若葉マークの代わりにザコの烙印を捺された奴になってしまう恐れがあり、
彼らにとって最初に訪れる試練の一つと言えよう。

デッキ構築する際の型の一覧。

※ガチやネタといった分け方は個人差が生じやすく非常に曖昧なので、ここではあえて触れません。代わりにこちらを参考に→デッキ構築(TCG)

●色
俗に言う属性にシナジーを求めたデッキ構築で、多くのTCGに存在する要素。
ドロー、除去、カウンターなど、ゲーム中の要素を長所として各色に配ることで個性を与えている。
特にMagic the Gatheringやデュエル・マスターズ、GUNDAM WARといった色分けされたエネルギーを利用するTCGにおいて重視されやすい。
原則として、ある色のカードを使うためにはそれと同じ色のカード、
またはそのカードに見合ったエネルギーを生み出せるカードを多めに入れる必要がある。
1つの色だけでデッキを組めば色を原因とした事故は発生しなくなるが、代わりに動きが単調になりがちになる。
色ごとに不得手な行動もある程度設定されているため、別の色を足してやることでその欠点を補うこともできる。
多くの色のカードを採用することで様々な動きを取りやすくなるが、デッキが機能不全となる事故の確率も高まる。

マナを利用しない場合でも、バトスピ、Precious Memories等、カードに個性を持たせるために多くのタイトルで参照されている。
遊戯王OCGにも「属性」として色の要素が盛り込まれているが、
「マナ」のようなエネルギーの概念が無いため、デッキを組む際にはそれほど意識されない傾向にある。
しかし、属性を参照するサポートカードは数多く存在するため、ある程度同じ属性で固めたデッキが組まれることは多い。


●クラン/作品
個々のユニットが所属するグループにシナジーを求めたデッキ構築。
簡単にいえば、同じクランのカードばかりでデッキを組めば強力になるというパターン。
例としてはヴァンガードやPrecious Memoriesが挙げられる。

組む時の指標とするには丁度いいのだが、混成デッキの構築が困難なタイトルもあり、
デッキ構築の自由度を落とす原因になると批判されることもある。
主にライト層を狙っているブシロード製のタイトルではこれらを重視したゲームデザインがなされることが多い。


●種族
個々のユニットの外見で決まっているステータスにシナジーを求めるデッキ構築。
モンスターやクリーチャー等の、人外が登場するタイトルに多く見られる要素で、
例としては遊戯王OCGデュエマ、バトスピ等が挙げられる。
色とは異なり、構築の際の障害になることは少ないが、
決められた種族をサポートするカードを活用するために、ある種族で統一されたデッキが組まれることは多い。

進化クリーチャーの存在から、特にデュエマでは重視されやすい傾向にある。


●シリーズ/テーマ/カテゴリ
共通の名称・種族・色、そして専用サポートを持った特定のカード群にシナジーを求めたデッキ構築。
メーカーが狙ってデザインした、いわゆるデザイナーズコンボが組み込まれている。
このため、カードプールの知識が乏しい初心者にも扱いやすく、強力なものも多い。
反面、上記の「クラン/作品」程ではないが、あらかじめ動きが決められたものになりやすく、
別のカテゴリとの混成も難しくなりがち。
一からデッキを組みたいヘビープレイヤーから好まれない場合もある。

ただし、その度合いはカテゴリ毎に様々であり、別のテーマを組み合わせやすかいカテゴリも多く存在する。

第5期終盤以降の遊戯王OCGでは強力なテーマデッキが多く出現しており、
現在の遊戯王OCGにおいては、テーマデッキが主流となっており、
また、少ない種類で行動可能なテーマデッキも増えており、【SRWW十二獣壊獣召喚獣】のようなテーマを詰め込んだデッキも登場している。
BF】や【甲虫装機】、【インフェルニティ】等は世界大会で優勝も果たした。

MTGではスリヴァーがよく知られている。

デュエマでも「NEX(ネックス)」や「XX(ダブルクロス)」などのカテゴリは存在するが、
ほぼ1年ごとにプッシュするクリーチャーが入れ替わっていくので、長続きしないことが多い。


●グッドスタッフ/スタンダード
シナジーよりも個々のカードの能力を重視したデッキ構築及びデッキ名。
要は、コンボを無視してでもとにかく強力なカードでデッキを固めてしまおうということ。
デッキの殆どのカードが1枚でも機能する為、手札事故を起こしにくい。

反面、特定のコンボに依存しているわけではないので、劣勢になった際の巻き返しが難しい。
よって、豪快な構成とは裏腹に、デッキ構築・プレイングともに頭を使う。

第5期中盤までの遊戯王OCGでは【スタンダード】という名のグッドスタッフデッキがトップメタの一角であった。
また、近年ではテーマを詰め込んだデッキや【メタビート】もグッドスタッフの一種として認知されている。


●メタビート
環境で活躍するデッキを徹底的に対策したデッキ。
環境を読む事ができれば無類の力を発揮できる反面、対策が通用しないデッキ相手には勝率が落ちやすい。

強力なカードを詰め込む事から上記の「グッドスタッフ」とは混同、同一視される事もある(本来は別物である)。
ただし、劣勢時の巻き返しが難しい点やデッキ構築及びプレイング難易度の高さは似ているが。

遊戯王OCGでは3期頃に原型と言えるデッキが表れ始め、現在も形を変えながら地雷デッキとして活躍している。


●アニメ及びマンガの再現
遊戯王DMやデュエル・マスターズといった、メディア化されている作品に登場したキャラクターが使用したデッキを再現する構築。
多くはファンデッキに分類され、強さよりもキャラクターのデッキの再現に力を入れたものはキャラクターデッキとも呼ばれる。
特にメインキャラクターが使うデッキはその作品が続く限り強化されていくのが大きな特徴である。
最終的に【ジャンクドッペル】として完成された【不動遊星デッキ】などが最もたる例だが、大会用に構築された【ジャンクドッペル】とファンデッキとしての【デッキ】は区別されることもある。

ただし、アニメでの強さは強力な引きやピンポイントなメタカードによる物も多く、適当に組んでもアニメでの強さを再現するできない事も多い。
その為、ルールやセオリーを理解していない初心者には構築が難しい側面もある。


●特定のカードを主役にする
気に入ったカードやコンボを主軸に据え、活躍するようにする構築方法。
甲鱗様デッキなど
上記に挙げられた構築方法とは違い、明確な基準があるわけではないので難易度としてはかなり高い。
これもファンデッキとして認識される場合が多い。
強力なカードならまだしも、マイナーなカードを主役にしながら勝利を求めるのは中々厳しい。
しかしながら、自分のお気に入りのカードを活躍させる事はプレイヤーにとって最大のであり、ロマンである。

知識、経験、財産、その全てを振り絞って構築し、一線級のデッキを打ち倒したら多くのプレイヤーから称賛されるだろう。


【構築済みデッキについて】

ほとんどのTCG構築済みデッキが販売されており、初心者でもすぐにゲームが始められるように考慮されている。
近年ではそのままでも充分に戦えるような構築済みデッキが発売されることも多くなった。
3箱買うだけでもそこそこ強力なデッキが組める遊戯王OCGストラクは特に有名である。
デュエマスーパーデッキのような、派手さと実用性を兼ね備えたものもある。

だが、そのデッキが初心者向きかどうかはまた別問題である。
ルールを覚えるためという意味合いの強い、シンプルなカードのみで構成されたセットが販売されることもしばしば見られる。
あまり詳しくない人は、あらかじめ調べてから購入しよう。


【ゲーム中での扱い】

対戦で使用しているデッキは、主に「山札」と呼ばれる。
ゲーム開始時には、あらかじめ決められた枚数をランダムにデッキから取り、残りを山札として使用する。
基本的に「デッキ」と「山札」は異なる用語だが、遊戯王OCGのような区別されていないタイトルもある。

ゲーム中、プレイヤーはデッキからカードを引くことでカードを補充し、自分の戦略に役立てていくことになる。

また、多くのタイトルではデッキがなくなると敗北となる。
デッキが0になったら捨て札を戻して新たなデッキにするWS等は例外だが、
その際もダメージが発生するので負けに近づくことに変わりはない。
ウィクロスのような、デッキ切れが直接の敗北条件とならないタイトルもあるが、何らかのペナルティが課されるのが一般的。
「カードを引くべき時に引けなかったら敗北」「デッキが0になった時点で問答無用で敗北」「デッキがライフポイントの代わり」など、
負けるタイミングはタイトルごとに様々だが、結局のところデッキ切れはプレイヤーにとって避けるべき状態である。


デッキ切れによる負けは「デッキアウト」や「ライブラリアウト」などと呼ばれる。
ライブラリアウトは元々Magic the Gathering用語で、これはMTGにおいてプレイヤーを「魔導士」、手札を「手に持っている魔導書」、
山札を「魔導書を収めた書庫」に例えていたことに由来する。
したがって、MTGにおける「知識」とは大量ドローを意味する。


様々なTCGにおいて「デッキ破壊」は戦術の1つとして存在している。
直接デッキを破棄するカードの使用や、大量ドローを強制することで、相手のデッキを減らしデッキ切れによる勝利を狙う。

前者ならば猛菌魚雷ヤサカノフカなど、後者ならMoMaなど。
また、カウンターポストのように遅延し続けて相手のデッキ切れを待つものも含まれる。

これほど相手にとって精神的にきついデッキもないだろう。
カウンターポストに至っては7時間かけてライブラリアウトまで待つのである。トラウマなんてもんじゃない。


Precious Memoriesなどでは主流のデッキタイプだったが、ゲーム性を損ねるためか現在は必要なカードがほとんど禁止になっている。
デュエマでは、相手のデッキのカードを選んで墓地に送る呪文を使ったLOデッキが使用されていたが、
07年にすべて禁止カードになったため、一時期はほぼ存在していなかった。
その後、09年のヤサカノフカ、11年のヴォルグ・サンダー、15年のアダムスキーなど、少しずつLOを狙えるカードが登場している。

墓地の再利用が容易い遊戯王OCGでも、容易に相手のライブラリアウトを狙えるようなカードは規制されやすい。


バトルスピリッツではデッキ破壊専用の青属性が存在し、ライフを削ることと並び主要な戦術として定着している。
『召喚時にデッキを12枚破棄する』『攻撃時にデッキを5枚~15枚破棄する』『攻撃時にデッキを1~3枚破棄し、
特定のカードを破棄した場合再攻撃を繰り返す』などのブッ飛んだデッキ破壊がひしめく様はある意味異様。

果てはアルティメットの登場で、
『攻撃する度に相手のデッキトップを1~2枚破棄し、捨てられたカードのコストに応じて追加効果発動』
というお手軽すぎるデッキ破壊+αが互いに飛び交う凄まじい状況になり、
その時期の販促アニメでは、主人公がラスボスをライブラリアウト(というか手札0、デッキ0、ライフ0の極限状態)に追い込んで倒している。


一方、カードは山札の中にある限り場に影響を及ぼすことはできない。
そのため、ほとんどのデッキにはキーカードを直接手札に持ってくるサーチ系カードを投入する必要がある。
中には山札から直接呪文をぶっ放すなんてのも居るが、現在は規制されている。

山札の中にあるよりはまだ墓地にあった方が再利用しやすかったりもする。
仮にデッキが20枚残ってゲームが終わったとすると、そのうち負けないために必要なカードは1枚なので、残りの19枚は無駄になったと言うことができる。
この極端な理屈を俗に「デモコン理論」と言う。
デッキテーマによっては、高速墓地肥やしの手段として自分自身にデッキ破壊を撃つものも存在する。

逆に、相手のカードをデッキに直接戻してしまえば(デッキバウンス)、墓地送りや手札バウンスよりよっぽど再利用を難しくできる。


当然ながらデッキに入っていないカードは使用できない。
だがゲームの外部からカードを持ってくることができるものも存在する
それらは大抵、大会では使用できないジョークカードだが、MtGにおいては「サイドボードのカード」と制限を加えられた形でトーナメントで使え、戦略としてかなりメジャーである。

デュエマにおいても、「カモン・ビクトリー」「カモン・レジェンド」などは、競技性の低い店舗大会レベルなら実際に使うことができる。


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最終更新:2021年05月05日 20:58