劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!

登録日:2009/11/11 Sun 03:38:19
更新日:2024/04/16 Tue 15:58:31
所要時間:約 6 分で読めます






戦闘神、降臨!!

急行せよ、時空の彼方へ。



仮面ライダー電王』の映画第一作目。
2007年8月4日公開。
当時の平成ライダーは基本1作につき1映画だったが、あまりの人気から最終回以降もいくつもの映画が作られることとなった。

●目次

【概要】

従来の平成ライダー映画は、時間軸が曖昧だったり、キャラクターや世界観が異なるパラレルワールド方式がほとんどだったが、
この作品はシリーズで初めてTV本編との連動性を強く意識した作品となっており、時系列では第27話と第28話の間に位置する。
脚本はTV本編のメインライターである小林靖子、監督は長年東映ヒーローの監督を務めてきたベテランの長石多可男。

同時上映は『電影版 獣拳戦隊ゲキレンジャー ネイネイ!ホウホウ!香港大決戦』、
そして実写着ぐるみとアニメの融合を狙ったモーション・ピクチャー作品『モモタロスのなつやすみ』。
公開当時は、『電王』と『ゲキレン』のタイトルを重ね「今夏、最大級の“電ゲキ”が襲う。」というキャッチコピーがついた。


【あらすじ】


宝石店に入ったイマジン憑き強盗を追って宝石店に入る良太郎達。
強盗が奪おうとしていた宝石を奪い返してイマジンと戦うも、モモタロスのドジでイマジンは契約完了、過去へ飛んでしまう。

後を追い、無事イマジンを倒した良太郎達だったが、なんとデンライナーが良太郎達を置いたまま走り出してしまい……。


【登場人物】

◆主要人物

野上良太郎仮面ライダー電王
仮面ライダー電王に変身する青年。
動き出したデンライナーを追いかけるも現れた牙王に蹴られて電王に関係する事のみ記憶喪失で忘れてしまい、繋がりが失われたモモタロスが憑く事も電王へ変身する事も出来なくなってしまう。
終盤で増殖した。

ハナ
まだ幼女化していない今は懐かしき19歳のハナさん。
現役忍者より強いとかどんだけ……。


オーナー
時の運行を守るため、牙王のマスターパス要求を突っぱねる(が、力ずくで奪われる)。
チャーハンの旗(つまようじ)でイマジン用バリアを破壊できる辺り、本気を出せば牙王より強いんじゃないだろうか。


ナオミ
ピンチな状況でも笑顔でハイテンションな客室乗務員。
応援役。


桜井侑斗仮面ライダーゼロノス
仮面ライダーゼロノスに変身する青年。ゼロライナーで奪われたデンライナーを追いかける。
見えない所で(テレビ本編で)今回のために色々奔走していた。


◆ゲストキャラクター

牙王/仮面ライダーガオウ
演:渡辺裕之

時の列車を襲う強盗で、かなり名が知れているらしい。
三大欲求の食欲に貪欲で常にパイナップルやマンガ肉を食べている。
ちなみにこちらは当時の最年長ライダー。



小太郎
演:溝口琢矢

過去で会った幼い良太郎。今の良太郎と区別するために、ハナによって小太郎と命名される。FC版ではモモタロスが命名している。
何故か小太郎であれば憑依出来るため、モモタロスは彼の身体で電王に変身した。
おかげで、佐藤健(良太郎)が塗り替えられたばかりの『最年少ライダー』の記録を、早くも更新してしまう(『最年少主役ライダー』は別)。
この頃は子供が変身したら電王の身長も低かった(それでも小太郎より頭一つ分高い)が、
『超・電王&ディケイド』で彼(子供化した良太郎。)が変身した時は普通の等身になっている。メタ的な事情では中の人がさらば電王しちゃったから超電王シリーズの良太郎として選ばれただけなんだけどね。そもそもアレはリマジの電王の物語だから良太郎と表記されてるだけだし。
ちなみに9年後似た様な顔の青年が寺で修行していた


真田幸村
演:陣内智則

徳川に勝つために牙王に協力しているが、結局ガオウライナーを掘り出すために利用されただけのヘタレなお笑い芸人戦国武将。
部下は田所さんとトドロキ。

ちなみに約10年後、テレビ朝日系『日曜もアメトーーク!』の2017年11月26日放送分にて、真田役の陣内が、女優の瀧本美織と共にオブサーバー側のゲストとして出演。いずれもライダーを始めとする特撮は全く知らない。
10年前の棒演技というある種の黒歴史を晒され、宮迫博之と瀧本から「クソ大根」と酷評され、それ以来他の芸人や俳優(女優)などの周囲からいじられて笑いを誘うと同時に自身の大根演技シーンを流されたり、やらされたりする羽目になった。
当の本人もその事を恥ずかしそうにしたり、突っ込んだり、「やめてくれ!」などとかなり嫌っていた。
同じくテレビ朝日系『林修の今でしょ!講座』の2021年7月13日放送分にも真田の出演シーンを(悪意の籠もった編集込みで)流され、当然恥ずかしがっていた本人は不満していた。更に林修からは「あれが真田幸村?!(戦国武将としての)貫禄がまるでない」と酷評され、藤岡弘、(『仮面ライダー』の本郷猛/仮面ライダー1号役)にも(シリアスなシーンの筈なのに)「面白かったよ」と笑いを誘われ、やや失笑気味であった。
また、『シン・仮面ライダー』公開記念として、フジテレビ系『VS魂』の2023年3月16日放送分でも真田の出演シーンが流されていたが、山崎弘也(アンタッチャブル)は「ヒドっ…」と酷評され、テロップも「演技が…」と流れ、池松壮亮(『シン・仮面ライダー』の本郷猛/仮面ライダー第1号(第1バッタオーグ)役)氏からは「いや~すっばらしいですね~」と笑いを誘われた。
陣内本人も「みんなに『クソ大根』と言われるようになった」とコメントし、その後はザキヤマに真田をやらされたが、相変わらずの大根演技であった…。
本人曰く、撮影も余裕があまりなかったため、わりと長石監督から投げやりな感じでOKが出た模様である。
なお、これらの事はあくまで「いじり」である。
そもそも彼の本業は芸人で、演技を専門で学んだわけではないこと、コント師ではあるが芸風的に漫談やフリップ芸に近いこともあって、芸において演技量が求められるような立場にないことは留意するべきである。
加えて、レギュラー出演していた『かるたクイーン』や舞台などでは比較的まともな演技を披露しているため、向き不向きが分かれやすいタイプとも考えられる。



千姫
演:ほしのあき(『星野亜希』名義)

徳川家康の娘。チョイ役な三十路おっぱい。



登場イマジン


デンライナー側

モモタロス
ウラキンの協力で一人だけイマジン用バリアから抜け出した。
良太郎が記憶を失っているため普通なら消えるはずなのだが、ご都合主義で逆に完全体になり、デンライナーの外でも実体でいられるようになった。
この頃は実体があっても、モモタロスが直接変身する事はなかった。


ウラタロス
幽閉されている。
モモの頼みで脱出を手伝う……と見せかけてキンタロスに任せた。


キンタロス
脱出の手助けで、モモを張り飛ばした。


リュウタロス
この頃はまだ協調性が薄く、「面白い物を見せてやる」と牙王に言われ、デンライナー乗っ取りをスルーした。
しかし牙王に放置プレイを食らい「面白い物を見せてくれない」と結局反逆する。


ジーク
過去で再会した白鳥王子。
相変わらず特別で、記憶を失った良太郎にも憑ける。手伝いに来たくせに、終盤まで何もしないのはこの頃から変わらない。
グラスで栄養ドリンクを飲む。


デネブ
我らがオカン。
ジークも満足する料理の腕。


牙王配下


モレクイマジン
声:徳山秀典(友情出演)

物語の起点となる強盗に憑いてた牙王の配下のイマジン。
何気にこの映画の直接の前日談となる27話にも登場している。
とあるライダーと似たようなキックを放つが、やさぐれ兄貴ではない。
武器は剣と長く伸びる舌。

モチーフはオーストラリアに生息するモレクトカゲと言うトゲに水分を集めるトカゲの一種。モレクという名前も旧約聖書に登場し、ソロモン72柱にも数えられた悪魔の名前から取られている。

元ネタはケニア民話「ご先祖様はみんな卵」ワニに食われそうになった雌鶏が自分たちは同じ卵から生まれた兄弟だから食うのはよそうと説得して、難を逃れる話である。


コブライマジン
声:萩野崇(友情出演)

牙王の配下のイマジン。
外見がとある蛇ライダーにかなりそっくりで、おまけに配役が同じだが、スタッフが言うには偶然らしい。
ノーテンキラキラな私立探偵ではない。
剣による近接攻撃が得意だが、最期は白鳥のライダーに倒されると言う龍騎の意趣返しを受けた。

元ネタはタイ民話「クマ退治の勇者」。おかみさんの手助けや偶然が巡り巡って臆病なお百姓が英雄として讃えられるまでを描いた奇妙なお話である。コブラはこの話の終盤に登場する。


ニュートイマジン
声:齋藤ヤスカ(友情出演)

牙王の配下(ry
ヤモリのイマジンだが、誤って名前はイモリになっている。
速き冒険者ではない。武器はふた振りのショーテル。
TVシリーズでは別個体(声:遊佐浩二)がカイの配下として登場。ゲッコーイマジン共々クライマックスフォームに倒される。

元ネタは「井守の怪」。ただし、この話に登場する井守とは「守宮」…要はヤモリの事で落ち武者が化けた妖怪だとされている。


サラマンダーイマジン
声:内山眞人(友情出演)

牙王(ry
武器は鉄球と口から吐く毒液(未使用)。
スーツがスノーマンイマジンに改造された関係で、牙王の配下イマジンで唯一以降のシリーズに再登場しなかった。
やさぐれ弟ではない。
モチーフはオオサンショウウオだが、元ネタになったのは「死神ショロトルの化身」…それってメキシコサラマンダーじゃねえか!オオサンショウウオなら井伏鱒二の「山椒魚」が適任だろとか偶に突っ込まれる。


ゲッコーイマジン
声:鈴村健一

牙(ry
イモリのイマジンだが、ニュートイマジンと名前がごっちゃになったせいで、名前はヤモリ。
紫色のイマジンではない。
モチーフは見たまんまアカハライモリ。さてなんでこんな混同が起こってしまったのかと言えば、韮沢先生が間違えて名前を逆転させて東映にデザインを発想した為で、韮沢先生が気付いた時にはもう遅かったらしい。
まあ、カエルの王子様がカメレオンになる世界なのでイマジンらしいと言えばそこまでか。

元ネタは「井守の怪」。ただし、この話に登場する井守とは「守宮」…要はヤモリの事で落ち武者が化けた妖怪だとされている。元ネタの物語まで混同が起こるあたり、歴史は繰り返されている事がわかる。


【劇場版用ライダー】


仮面ライダー電王 ウィングフォーム


「降臨、満を持して…」

スーツアクター:永瀬尚希

ジークが憑依した良太郎が変身する電王。
いつもの電王と異なり、変身には専用のベルトを使用する。
無駄に動かないが相手の攻撃を華麗にさばき返すカウンタースタイルで戦う。
武器はデンガッシャー・ブーメラン&ハンドアックスモードの二刀流。
必殺技はブーメランを投げつけてからハンドアックスで挟み撃ちに斬り捨てる「ロイヤルスマッシュ」。
予告では「映画だけの新フォーム」とか言っていたが、映画より早くテレビシリーズの第24話に1シーンだけ登場している。
侑斗に忘れられたのか最後の揃い踏みでは欠席。ウィング含めて並び立つのはさらば電王まで待つこととなる。
FC版では戦闘BGMが『Double-Action Wing form』に変わっている。



仮面ライダーガオウ


「あ~あ、馬鹿の揃い踏みだな。いいぜ、全員俺が喰ってやる!」

スーツアクター:押川善文

牙王が変身する“電王シリーズ”初の悪の仮面ライダーで最年長ライダー。
姿形は電王に似ているがベルトやアーマー、電仮面が違い、大顎がモチーフになっている。
武器はデンガッシャーのソードモードに当たるガオウガッシャー。
必殺技はガオウガッシャーの刀身を分離させて相手を切り裂く「タイラントクラッシュ」。
変身ポーズは絶対に真似できない。難しいとか運が良ければ出来るとかそんなレベルではない。
ファイナルカット版ではゼロノスとの戦闘BGMが「Double-Action GAOH form」に変わっている他、変身カットも他の『電王』ライダーと同様のパターンになるように手が加えられていたりする。




【モモタロスのなつやすみ】

電影版ゲキレンの終了後流れたモーション・ピクチャー作品。
後のイマジンアニメの先駆けとなっており、泳げないモモタロスの特訓(?)を描く。
なぜかマスター・シャーフーも出るよ!あまり絡まないけど!
同時上映の短編でタイトルがなつやすみだがポケモンは関係ない。


【余談】

タイトルについて

さて、この映画のタイトルは『俺、誕生!』なのだが、何がどう『誕生』なのか物語を見てもイマイチ分からない。
強いて言うなら、ラスト間際でデンライナーが現代に戻る際、良太郎が生前の両親と自身が誕生する瞬間を目撃するあたりであろうか。


新規フォーム

本作で電王のフォーム違い揃い踏みの事件がテレビ本編でのクライマックスフォーム登場のきっかけとなるため、平成仮面ライダーの劇場版で行われてきた最強フォームの先行登場はなく、次作『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』がクライマックスフォームの劇場版初登場の作品となる。

良太郎とイマジンズ(特にモモタロス)の友情を軸にして観ると悪くはない展開なのだが、
ウイングフォームやガオウライナーやデンライナー&ゼロライナー全連結などは公開までに一瞬でだが本編でも見る事ができたり、
映画を見れない人に配慮してか劇場版お約束の最強フォームの先行登場もなかったりで、結局劇場でしか見られない限定キャラはミニ電王のみ。
サプライズに関しては平成ライダーの映画でえらく地味な作品でもある。


4大フォーム勢ぞろい!

とはいえ、見所がないわけでもない。
今作のクライマックスにおいて、ソード・ロッド・アックス・ガンのテレビでは見られない電王四大フォームが並び立つシーンは必見である。
TV本編第25話と第26話では侑斗がいかにして4大フォームを集結させたか…という裏話にもなっており、第26話ラストでオーナーが

「桜井侑斗君が用意したクライマックスシーン!その時間へ行くためには、別のチケットが必要ですよ~♪」

と当時の劇場公開日の記された仮面ライダーガオウのライダーチケットをちらつかせる演出がなかなかニクイ。

本作の後の話となるTV本編第28話ではこの侑斗の行動により、ある出来事が起こる。


ファイナルカット版

今作でもこれまで同様、ディレクターズカット版に相当するバージョンがソフト化されている。
約13分の未公開映像や劇場公開時と異なる編集、ガオウライナーと連結デンライナーの戦闘シーンの追加、牙王とジークのキャラソンの選曲、
スタッフの裏話が聞けるオーディオコメンタリーなどこの版でしか見られない、聞けない話が盛り沢山なので、劇場公開版と合わせて観るのもひとつの楽しみであろう。
なお、よく間違われやすいのだが、今作のみ名称がDC(ディレクターズカット)版ではなくFC(ファイナルカット)版となっている。




ジーク「くるしぅない。追記・修正するがいい…」

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最終更新:2024年04月16日 15:58