サイカトグ/Psychatog(MtG)

登録日:2011/03/27(日) 16:34:18
更新日:2020/11/28 Sat 07:30:02
所要時間:約 3 分で読めます





こいつが最強なんて、誰も気付くはずがない。

……あるPWの言葉




サイカトグ/Psychatogはマジック・ザ・ギャザリングのオデッセイに収録された多色クリーチャー。レアリティはアンコモン。



サイカトグ / Psychatog (1)(青)(黒)
クリーチャー:エイトグ(Atog)
カードを1枚捨てる:サイカトグはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
あなたの墓地にあるカード2枚を追放する:サイカトグはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
1/2


かつて《エイトグ》と呼ばれる特定のリソースを食わせることでウィニーからファッティへとへとパンプアップする、マジックでも有名なクリーチャーが存在し、
大型エキスバンション・オデッセイにて新たなエイトグシリーズが登場した。《サイカトグ》はその内の一体。

登場当初は特に注目されることなく、というかみんな一瞥すらせず素通りしていった。

元々《エイトグ》自体があまり注目されなかった(一部のデッキでバンプさせてから《投げ飛ばし》を使って本体火力にするコンボで使われたぐらい)ことと、命とも呼べる手札はおろか墓地リソースすらも捨ててまでパンプするリスクの高さ。
何より当時のスタンダードでは、【青緑スレッショルド】と呼ばれる、墓地のカードの枚数が七枚を超えると強力な能力を発動する(マジックの用語的には正しくないが)「スレッショルド」を持つカードをメインとしたデッキが注目されていたため、多くのプレイヤーが墓地のカードを減らすクリーチャーには抵抗感を感じていた。

実際(1)(緑)(緑)の3/3バニラの《訓練されたアーモドン》と同等にしようとするだけでも
こいつを場に出す手間に加えて手札を2枚も捨てたり、墓地を4枚も用意しなきゃならない。

さすがにこれでは明らかに弱すぎる。




が……よく考えて欲しい。
こいつ手札を捨てる時は追放しない。つまり手札を捨てる効果と墓地効果が自己完結しているのである


そのため実際は手札を2枚捨てると+2/+2だけではなく、
捨てて墓地に落ちたカードを二枚とも喰わせれば実質+3/+3で「4/5」。


つまり手札が四枚あったら、+6/+6で「7/8」。


さらに元から墓地にあったカードを食わせると軽く「8/9~10/11」が軽く見込める



あれ、これヤバくね?


そう、《サイカトグ》は手札を捨てるほどに加速度的にパンプ値が増えてしまう、稀に見るインフレじみたパンプ能力を持った化け物……
マジック的に言うなれば「壊れた」クリーチャーだったのだ。

多色という色事故の可能性はあれど3マナという軽さ。
しかも手札を補充しつつ、その手札補充カードが墓地へ行くことでも墓地が自然と肥えまくる青と、
手札の総数こそ増えないがほぼ同じことが言えるサーチカードに恵まれている黒が入っているのでほとんどデメリットになっていない。

また特定のカードを選ばない点も優秀で、自然と増える墓地も無駄なく食えるし、いざという時は手札をも餌にできるということは、
特に手間をかけずとも餌に困ることがほとんどないということでもある。
つまり色さえあればファッティ兼ウィニーとして採用できる優秀さ。

これで弱い訳がない。


また、オデッセイには《激動》と呼ばれる、全てのプレイヤーがパーマネントを全て手札に戻すリセット呪文が収録された。
この《激動》も自分の場すら全部バウンスしてしまう事から「戻しすぎ」「全バウンスなのにソーサリーなので、リセット出来ても実質ディスアドバンテージ」等あまり評価は高く無かったが、ある時誰かがこのカードと《サイカトグ》の相性に気づいてしまう。
まず(5)(青)(青)(青)(黒)が出るまでカウンターやバウンスでしのぐ。そして手札に《サイカトグ》を握ったら先に(1)(青)(黒)を出してから《激動》をキャスト。
浮いたマナで《サイカトグ》を召喚しつつセットランド《島》。
当然手札は7枚を超えるので、《堂々巡り》を残して手札を適当に捨てる。
後は相手の呪文を《サイカトグ》の能力を起動させて《堂々巡り》を捨て、マッドネスコスト(青)で唱えてカウンター。
最後に手札と墓地を全て《サイカトグ》に食わせ、一撃で仕留める【激動サイカ】と呼ばれるデッキが誕生し、瞬く間にトーナメントを席巻した。

どのくらい強かったかと言うと、ドネイトやオースが蔓延っていた当時のエクステンデット環境の大規模な大会にて、ほぼスタンダード仕様のまま優勝したくらい強い。当時のカスクリーチャー扱いから考えて本当にスゴい。

その活躍ぶりにあるPWは「(1)(青)(黒)で5/6のクリーチャーが出たとしても、サイカトグよりは適正だ」とか言ったとかなんとか・・・

その後も手札を捨てながらプレイできるマッドネスとも好相性を発揮。

「1体のサイカを通したらゲームが終わった」
「サイカのせいで序盤からチャンプブロックを強制されてゲームプランを壊された」
等、様々な批判を受けながらも、スタンダードを去る寸前まで《サイカトグ》は前線で大暴れを繰り返す。


環境をエクステンデットやレガシーに移してからも環境特有の重要な墓地リソースを生かせるが故にその非凡な能力は発揮され続け、後に登場した発掘と組み合わせた【発掘サイカ】など今も様々なデッキのキーパーツとして活躍し続けている。
刹那能力により除去されやすくなったりもしたが、そこまで大きな影響は与えていない。


余談だが、オデッセイにおいて手札を捨てて何らかの効果を発揮するクリーチャーは共鳴者と呼ばれる。

サイカトグもその一体で、サイカトグと同様に収録された共鳴者に《野生の雑種犬》が存在する。

青緑マッドネスやビートダウンで大会では常連にもなった強力カードであったが、




発売当初はほとんどのプレイヤーが見向きしなかったという共通点がある。


嘘のような本当の話。



でも、サイカレスには注意しよう


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最終更新:2020年11月28日 07:30