キーワード能力(MTG)

登録日:2011/07/27 Wed 00:14:45
更新日:2024/03/24 Sun 15:30:15
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キーワード能力とは、TCG『Magic the Gathering』におけるカードの能力のうち汎用性の高い能力を一つの言葉で表したもの。

この言葉さえ書いてあれば、後ろに別の文言がくっついていなくても各自に設定された効果を発揮する。
例えばカードに「トランプル」と書かれてさえいれば、ルールに基づいて「トランプルの能力」が機能する。

似ているが「能力語」や「キーワード処理」は若干違う概念なので注意。

さらにキーワード能力は「起動型」「誘発型」「常在型」「呪文」の四つの能力に分類される。
これらはルーリングの一部に含まれる上、アニヲタWikiの大容量でもkwskは書ききれない程細かい。
やってるうちに大体把握出来るので、割愛させていただく。

キーワード能力に限らずMtGで使用されるメカニズムには
  • 全てのほとんどすべてのセットに収録されうるもの(「常盤木」)
  • 必要に応じていつでも収録されうるもの(「落葉樹」)
  • セットを盛り上げるための新規のもの
の三つに分類できるが、キーワード能力はこれに最も深く関わってくる。




分類

常盤木(Evergreen)キーワード能力

基本セットやエキスパンション問わず、どのセットでも入っている基本中の基本であるキーワード能力。
「常盤木」と訳されているが、要は「常緑樹」=「常に同じ姿でありつづける樹木」のことを指す。
ストーム値*1に直すと「1」。
TCGの始祖たるMtGの最初期から存在しているため、全ての「効果付きキャラカード」の先祖とも言えるだろう。

新規の基本セットやエキスパンションなどが出る際、今までのカード群で特に多い能力が新たに纏められてこっちに分類されることもある。

そのため古くからのプレイヤーが新たに制定されたキーワード能力を見て
「何これ新能力?……え、○○能力の事なの!?」
……といった事がままあったりする。
「速攻」「被覆」「防衛」「警戒」「瞬速」「到達」あとキッカー亜種など結構該当するものは多い。
時代に応じて求められるゲーム性が変化することから入れ替えも行われ、かつて常盤木であった能力が退場することもままある。
「被覆」「プロテクション」「土地渡り」「果敢」あたりはこうして常盤木から外されたものの一部である。

落葉樹(Deciduous)キーワード能力

常盤木のワンランク下にあたるキーワード能力。
「必要とあればいつでも登場しうるが、必ず登場するわけではない能力」が該当する。
「道具箱の中にある道具」とも表現される。
ストーム値に直すと「2」。

新規のキーワード能力

各セットではそれぞれでキーワード能力が新規で製作され、リリースされる。
これらは主にそのセットの盛り上げや雰囲気再現のために作られる。無論ゲーム自体を盛り上げるためでもある。
その中でもデザイン空間の広いキーワード能力はしばしば落葉樹として再登場したり、或いは常盤木に昇格したりする。


主なキーワード能力

常盤木キーワード能力

「飛行/Flying」

このクリーチャーは飛行や到達を持たないクリーチャーによってはブロックされない。
その名の通り「空を飛んでいる事を表す」能力。
これを持つクリーチャーは、同じ「飛行」持ちか下記の「到達」持ちクリーチャーしかブロックされない。
いわゆる回避能力で、MtGの戦闘システムを象徴する能力でもある。当然持っていた方が便利。
「空を飛んでいるので地べたにいる連中には邪魔されず、逆に地べたにいる連中が攻めて来たら空からおりて邪魔をできる」
と一方的に有利を取れる。

青には大型小型問わず様々なクリーチャーが持っている。
白は小型が多いが、天使の大型もたまに存在する。
黒と赤はドラゴンやデーモンなどフレイバー的に相応しいクリーチャーになら付与される。
緑は持つこともあるが、極めて稀。どちらかというと「到達」持ちなどメタることの方が圧倒的に多い。
かつてはよく「空を飛んでいるように見えるイラストなのに『飛行』を持っていない」という、イラストと能力の差異が問題になっていたりした。

ペナルティ能力として「飛行を持っているクリーチャーしかブロックできない」を持つ飛行持ちは通称「High-Flying」と呼ばれている。要は高く跳びすぎて地上に届かない状況。
このクリーチャーが飛行を失うと悲惨で、飛行を持っていないので飛行クリーチャーをブロックできない、能力で地上クリーチャーはブロックできないので、完全にブロックができなくなってしまう。
この手のハイフラな人々は「飛行を持つクリーチャーしかブロックできない」という飛行を持っていないクリーチャーをブロックできないことにも注意が必要。

同じような「回避能力」であるキーワード能力に
  • 「馬術/Horsemanship」:「馬術」持ちにしかブロックされない
  • 「シャドー/Shadow」:「シャドー」持ちにしかブロックされず、自身も「シャドー」持ちしかブロックできない
  • 「土地渡り/Landwalk」:相手が対応する土地を持っているとブロックされない。こちらは同じ能力を持っていても対処できない
などがある。

「到達/Reach」

このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。
緑によくいた「飛行を持つクリーチャーをブロックできる」という能力をそのままキーワード化したもの。
防御用の能力であり、自身は「飛行」でないので回避能力は持たない。
そのため単体では「飛行」の下位互換だが、代わりに「飛行」持ちを指定するカードで狙われないというメリットもある。
イメージとしては
「空を飛んでいる敵にも手が届くほど背が高い」「矢を放つことで空を飛ぶ敵を射落とす」「空を飛ぶ敵を専門に狙う捕食者」
といった感じ。

有名なカードは《大蜘蛛》。そもそもこのカードの持つ能力をキーワード化したものである。
ほぼ緑専用だったが、最近では赤が持つこともある。白や青でも無いわけではないが、ほぼ例外とみていい。
射手や蜘蛛といった共通イメージは存在するが、それ以外で持つ事例も多くある。
そのため「イラストから『到達』持ちか判別しづらい」ということが起こりやすい能力でもある。

「トランプル/Trample」

攻撃しているこのクリーチャーは余剰の戦闘ダメージをそれが攻撃しているプレイヤーかプレインズウォーカーに与えることができる。
ダメージ貫通を表す能力。
ブロックしてきたクリーチャーを全て倒し、それでもパワーが余っていれば相手のライフ/プレインズウォーカーの忠誠度にもダメージを与えられる。
実は「プロテクション」や「破壊不能」が絡むと少々直感とズレる事態になるため*2、一時期は常盤木から外されていた。
が、「基本的なシチュエーションならそんなに難しくない」ことから復活した。

緑のお家芸。次いで赤であるが、他の色でも高レアリティの大型クリーチャーならばしばしば持たされる。

亜種としてダメージ全部をプレイヤーやプレインズウォーカーに与える事の出来る能力もある。
「スーパートランプル」という俗語で表現されるが、今の所正式にキーワード能力にはなっていない。
また「トランプル」と違い、ライフにダメージを振った場合クリーチャーにダメージを与える事が出来なくなる。

「速攻/Haste」

このクリーチャーは、あなたのコントロール下で戦場に出てすぐに攻撃したり(T)したりできる。
これもかつては「召喚酔いに影響されない」となっていた能力をキーワード化したもの。
召喚酔い*3に影響されず、場に出したターンから攻撃したりタップ能力を起動できる。

赤の御家芸。次いで黒、緑の順で得意という扱いだった。
しかし「ラヴニカの献身(RNA)」で「暴動」を収録する際に緑がより得意になり、それ以降は黒に付与されることは稀となっている。

「先制攻撃/First Strike」

このクリーチャーは、先制攻撃を持たないクリーチャーより先に戦闘ダメージを与える。
戦闘の技巧を表す能力。
クリーチャーと戦闘になった場合相手よりも先にダメージ計算をし、撃破した場合ダメージを受けず一方的に勝利出来る。

白と赤が得意とする。緑、黒は例外的に騎士であるクリーチャーなどが持っていることがある。

「二段攻撃/Double Strike」

このクリーチャーは先制攻撃と通常の戦闘ダメージの両方を与える。
2回攻撃を表す能力。
「先制攻撃」のタイミングと通常のタイミングの両方でダメージを与える。
  • パワーが実質2倍
  • 1回分で倒せるだけのパワーがあるなら「先制攻撃」と同様に一方的に倒せる
  • 「ダメージを与えた場合~する」の能力(十手とか十手とか十手)が2回誘発する
などのメリットがある「先制攻撃」の上位互換。
ダメージステップごとに優先権を得られるので、
「1/1の『二段攻撃』持ちでアタック」→「通します」→「先制時で十手のカウンター獲得、通常時で十手2度起動して5/5にします」
なんて事にもなる。
見ての通りシンプルに強い能力のため、所持しているクリーチャーは露骨にパワーを下げられる傾向がある。

白・赤が得意。

ちなみに銀枠では更にダメージステップが増えて
  • 「後制攻撃/Last strike」:通常より後に攻撃を行う(=通常のクリーチャーが「先制攻撃」持ちみたいになる)
  • 「三段攻撃/Triple strike」:「二段攻撃」に「後制攻撃」を追加し、3回ダメージを与える。
が登場している。

「防衛/Defender」

このクリーチャーは攻撃できない。
旧来のクリーチャータイプ「壁」が持っていたルールがキーワード化したもの。
持っているクリーチャーは攻撃を行えない。
ちなみにこの能力のキーワード化とルール変更に伴い、旧来の「壁」クリーチャーは全て別途「防衛」を持たされている。

理念的に防御的な白に多いが、どの色でも存在しうる。

「警戒/Vigilance」

このクリーチャーは攻撃してもタップしない。
いわゆる「《セラの天使》能力」がキーワード化したもの。
攻撃してもタップせず、ブロックに参加したりタップ能力を使える。

白のお家芸。次いで緑。
ただ差別化のため、白では防御的なクリーチャーが持っていることが多く、緑では攻撃的なクリーチャーが持っていることが多い。

「瞬速/Flash」

あなたはこの呪文を、あなたがインスタントを唱えられるときならいつでも唱えてよい。
カードのタイプにとらわれず、自分がカードを使える全てのタイミング(いわゆるインスタント・タイミング)でこのカードをプレイ出来る能力。
覚えやすいので「インスタント・○○」能力とも。

どの色でも持ちうるが「対応の色」である青に最も多く、次いでクリーチャー除去のためのコンバットトリックとして機能させるために緑が多い。
他の色は必要に応じて使用される。

「接死/Deathtouch」

これが何らかのダメージをクリーチャーに与えたら、それだけで破壊する。
かつて「バジリスク能力」と呼ばれていた能力がキーワード化されたもの。
1点以上のダメージをクリーチャーに与えた場合、ダメージを受けたクリーチャーを破壊する。
このダメージは戦闘ダメージ以外でも適用される。
例えば「(T):クリーチャーに1点のダメージを与える」という能力があれば、対象に取れるクリーチャーが全て一撃死したりする。
「トランプル」と組むと酷いことになる*4ため、同時に持つクリーチャーはほぼ存在しない。

黒・緑が得意とするが、機能の必要性とフレーバーの観点から、黒の方が優先度が高い。緑に付与される場合は毒というフレーバーが多め。

能力の内容が弟分の『デュエマ」の「スレイヤー」の元ネタになった。
しかしキーワード化した理由の一つが「スレイヤーがデュエマで活躍したため」という奇妙な関係がある。

「威迫/Menace」

このクリーチャーは2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない。
古い時代の《ゴブリン・ウォードラム》の能力がキーワード化したもの。
これを持つクリーチャーは単体ではブロックされない。
後述する「威嚇」に代わって常磐木入りした。得意な色は相変わらず黒と赤。

「絆魂/Lifelink」

このクリーチャーがダメージを与えると、さらにあなたはその点数分のライフを得る。
これを持っているパーマネントが与えたダメージ分だけ、自分のライフを回復するいわゆるドレイン能力。
元になった《魂の絆》というカードの能力とは少し違う*5ので注意。
……といってもかつての「魂の絆能力」が使われるシーンは現在ではかなり少ないので、問題になることはほとんどないのだが。

白が得意で、次いで黒。フレーバー的意味合いとしては白が回復、黒が吸収となっている。

「呪禁/Hexproof」

このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。
昔からあった能力を「基本セット2012(M12)」発売に合わせてキーワード化したもの。
これを持つパーマネントを対戦相手の呪文・能力の対象から守る。
ただし戦闘ダメージは普通に受けるし、対象を取らない全体ダメージや全体破壊などには無力である。
旧来は「トロール能力」「超被覆*6」、一部では相手の対象にはならず自分だけ一方的に対象にできることから「一方通行」と呼ばれていた。
ちなみに読み方は「じゅごん」で「じゅきん」ではない。

青が最も得意とし、緑のファッティに持たされることも多い。

「破壊不能/Indestructible」

ダメージや「破壊」と書かれた効果では、このクリーチャーは破壊されない。これのタフネスが0以下であるなら、これはオーナーの墓地に置かれる。
「ダークスティール(DST)」で大量に登場した「破壊されない」能力をキーワード化したもの。
文字通り破壊されなくなる。
ただしマイナス修正などでタフネスが0になった場合は状況起因処理で墓地に行くことになるし、生け贄にも捧げられる。
追放やバウンスもどうにもならない。

実はもともとこれは「~~ is indestructible」という記載であり、キーワード化ではなく開発部もそのつもりはなかった。
ただなまじ一単語で表されていたがためにこれを「Indestructibleというキーワード能力」と誤解する人が続出。
結果「人の本能には逆らえない」ということでキーワード化された、という経緯がある。
そのため書いてある事はほぼ変わらないのに弱体化する羽目に*7

全ての色で登場の可能性があるが、色自体の防御的性質や「プロテクション」の代替として用いられる点から白が最も多くなっている。
次点として黒と緑と無色(「ダークスティール」という金属で作られたアーティファクト全般)。
常盤木落ちした「再生」の代わりとして用いられている。

「エンチャント/Enchant」

これを唱える際に、○○1体を対象とする。このカードはその○○につけられている状態で戦場に出る。
オーラ・エンチャントが持つ能力。
指定された対象にエンチャントを付けられることを意味する。
実はこれもれっきとしたキーワード能力なのだ。

「装備/Equip」

装備(コスト)((コスト):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。)
装備品・アーティファクトが持つ能力。
指定されているコストを支払うことによって、これを自分がコントロールするクリーチャーにつけることができる。

「護法/Ward」

護法(コスト)(このクリーチャーが対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、そのプレイヤーが(コスト)を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。)
「これを持つパーマネントが対戦相手の呪文や能力の対象になるたびに誘発、指定されたコストを相手が支払わなければ打ち消す」という能力。
「護法(マナコスト)」または「護法-ライフなどのコスト」、という形で表記される。
なお「打ち消す」という形式のため、「打ち消されない」を持つ呪文ならば貫通することが可能。

「呪禁」は元々対処がサイドボード頼みになりやすいため、特に軽い呪禁持ちは不評だった。
それが『MtGアリーナ』でBO1がプレイされるようになったため、より安易に付けていい能力ではなくなってきた。
ということで唱える際に追加コストを要求する《峰の恐怖》《北方の精霊》といった実験を経て新たな除去耐性として追加された。
ただし「呪禁」を排斥する意図はなく、
  • 《殺戮の暴君》に代表される重量級クリーチャーの除去耐性
  • 《蛇皮のヴェール》のような一時的に付与する保護手段
として今後も使われていく、と明言されている。

基本的に白、青、緑では追加のマナ、黒、赤ではライフが要求される。黒は手札を要求する場合も。

「プロテクション/Protection」

プロテクション(○○)(このクリーチャーは○○のものによっては、ブロックされず、対象にならず、ダメージを与えられず、エンチャントされず、装備されない。)
指定された要素を持つ呪文や能力の対象にならず、ダメージを受けない能力。
主に色が指定されるが、中にはプロテクション(すべて)とかプロテクション(有色の呪文)、更にはプロテクション(選んだ対戦相手)なんてのも。
ここでは簡単に書いたが、実際に能力の及ぶ範囲は意外と多岐にわたる*8ため「初心者には難しい」として常盤木からは外されていた時期がある。
実際「プロテクション(有色の呪文)」を持つ初代エムラクールに《忘却の輪》(白のエンチャント)や《ネクラタル》(黒のクリーチャー)が作用する……
というのは直感的に分かりにくい*9
さらに
  • 色対策として効く・効かないが極端すぎること*10
  • 「トランプル」やオーラが絡んでくると面倒になること
などの理由から「マジック・オリジン(ORI)」あたりで常盤木から外される。
しばらくスタン用セットからは姿を消していたが、のちに経過観察扱いで再登場。
「イニストラード:真夜中の狩り(MID)」で常盤木に帰ってきた。


落葉樹(Deciduous)キーワード能力

「搭乗/Crew」

搭乗X(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計がX以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体(Vehicle)はアーティファクト・クリーチャーになる。)
発明家による大騒ぎの世界「カラデシュ(KLD)」で登場した能力。シャレじゃないぞ。搭乗の登場は「カラデシュ」からでしゅ
パワーの合計値が指定値以上になるようクリーチャーをタップすることで、この能力を持つアーティファクトはアーティファクト・クリーチャーとなる。
要するにそれらのクリーチャーが乗り込んで、機体を動かすわけである。
新しいアーティファクトのサブタイプをである機体・アーティファクトが持っている。
機体のカードは特殊な枠とクリーチャーではないのにパワー/タフネスの記載がある妙なデザインが特徴。
ちなみにクリーチャー化した機体で「搭乗」を使うことも適正である。まあパイルダー・オンみたいなもんだ
なお「搭乗」後にタップしたクリーチャーが戦場を離れてもクリーチャー化は解除されない。

昔は
「クリーチャー化した機体が自分の『搭乗』能力のために自分をタップする」
というバグみたいな無駄な行為が可能だったが、ルール改正で自分は「搭乗」出来ないように修正された。
インスタントタイミングでのコントロール奪取に対抗する手段として使われていたが、直感的におかしいという理由で改正された。
……壁が《恐怖》で死ぬのはいいのか

「果敢/Prowess」

あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、ターン終了時まで、このクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
「タルキール覇王譚(KTK)」で登場した能力。
自分がクリーチャー以外の呪文を唱えた場合、この能力を持つクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。
回避能力以外の戦闘関連能力を持たない青の能力としてピッタリとして常盤木入りした。
……が「(常在型でなく)誘発型能力である」「複数の『果敢』を得た場合効果が重複する」「パワー・タフネスを変更する」
といった盤面の複雑さを増やす要素が多いため、あえなく常盤木から外された。その後落葉樹に格上げされて落ち着く。

タルキールでは青赤白で構成されるジェスカイ道固有の能力であったため、得意な色も変わらず青・赤・白。
青のクリーチャー関連の能力の不足を埋めることが主要因であったため、青が最も多く、次いで赤となっている。白はタルキール関連以外では稀。

当初は「功夫」という名にする予定だったが「それだと他の次元で使えない」という後述する「武士道」や「忍術」を踏まえた反省を元にこの名前になったとか。

「サイクリング/Cycling」

(コスト),このカードを捨てる:カードを1枚引く。
特定コストを支払ってカードを捨ててることでカードを1枚引く能力。
要はカードに「1ドローができるモード」をつけるもの。
ドローの代わりに指定のカードをサーチする「(指定のカード種)サイクリング」という変種もある。
また「このカードをサイクリングした時、トークンを出す」等の追加効果(サイクリング誘発型能力)を持つ「サイクリング」持ちカードもある。
……というか、再登場したときは割とそっちを目当てに使われるカードが多かった。
なお、追加効果があってもあくまで起動型能力をトリガーとする誘発型能力なので呪文扱いにはならない。
そのため《対抗呪文/Counterspell》で打ち消すことは不可能。
「打ち消されないキャントリップ呪文」という使い方ができるので、カードによっては非常に厄介。

比較的登場頻度が高い割に扱いは1セット用のものだったが、近年落葉樹に格上げされた。

「フラッシュバック/Flashback」

フラッシュバック(コスト)(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)
再利用能力。
この能力を持つカードが墓地にある場合、フラッシュバックコストを支払いそのカードを追放することで墓地から唱えることができる。
当然だが「カード1枚で呪文を2回唱えられる」「手札以外のカードを唱えられる」のだから弱い理由がどこにもない。故に人気能力。
単純な再利用だけでなく、わざと墓地に落として「フラッシュバック」のみで活用する、なんて手段もある。
「フラッシュバック」なら黒マナ無しで唱えられ、黒を含まないリアニメイト戦術を可能とする《屈葬の儀式》がその一例。
墓地テーマのセット(主にイニストラード関連)以外での登場は稀だったが、「ファイレクシア:完全なる統一(ONE)」で新規カードが追加されたことで落葉樹への格上げが判明し、墓地がテーマではないセットでも少数であれば登場が可能になった。


かつて常盤木だったキーワード能力

「バンド/Banding」

バンドを持つ望む数のクリーチャーと最大1体のバンドを持たないクリーチャーは1つのバンドで攻撃できる。バンドはひとまとまりとしてブロックされる。あなたがコントロールしていてバンドを持つクリーチャーがクリーチャー1体をブロックするか、それにブロックされるなら、そのクリーチャーの戦闘ダメージはそれのコントローラーではなくあなたが、それによってブロックされているかそれをブロックしているクリーチャーに割り振る。
この能力を持つクリーチャーは攻撃やブロックの時に「バンドを組む」ことができる。
そしてそのバンド内でのダメージ割り振りをコントローラー側が決めることができる……という能力。
フレーバー的には「パーティを組んで大物を潰す」というイメージ。
それなりに有用ではあるのだが、攻撃時とブロック時でバンドの組み方が違っており、上記注釈文のように色々ややこしかったので使われなくなった。今後も多分登場しない。ストーム値は貫禄の「10」
ちなみにこの注釈文は、2020年のドラフト向けセット『Mystery Booster』のジョークカードに書かれたもの(バンド現役当時は注釈文が存在しなかった)。もし再録したらこれだけややこしくなるのだという、一種の自虐ネタだろう。

なお派生能力として「他の〜とのバンド」という物も存在する。ただでさえややこしい能力が一層酷くなったため、こちらはMTGに使うカードのサイズを変更するのに匹敵するレベルで再録がありえないらしい。
何より"〜"で示されているクリーチャーとバンドが組める能力ではないという、はなっから意味不明な効果だった(後年修正された)。
プレイテスト段階では多数のクリーチャーが持つぶっ壊れ能力だったらしいが、あまりに強すぎたため、製品版では「元々持っていたクリーチャーからは削除」「同時収録の特定の土地をコントロールしている場合のみ使用可能」というナーフが行われた。結果、初期の遊戯王の通常モンスターを彷彿とさせる紙屑バニラが量産されてしまい、切り離した土地の方も限定的すぎて使い物にならないという惨状になり、実戦で活躍する機会はないまま今に至る。

「ランページ/Rampage」

ランページX(このクリーチャーがブロックされるたび、それをブロックしている2体目以降のクリーチャー1体につき+X/+Xの修整を受ける。)
これ持つクリーチャーが2体以上のクリーチャーにブロックされた場合、1体ごとに指定値分パワーとタフネスが上がる能力。
ぶっちゃけ分かりにくい上に有効になるチャンスが少ないということで、常盤木落ち。
これの調整版が後述の「武士道」である。

「生息条件/Landhome」

大海蛇は防御プレイヤーが島(Island)をコントロールしていないかぎり、攻撃できない。
あなたが島をコントロールしていないとき、大海蛇を生け贄に捧げる。
かつて青の大物が良く持っていた、水棲動物であることを表す能力。
「島をコントロールしていなければ生贄に捧げる、相手が島をコントロールしていなければ攻撃できない」というもの。
一時期「生息条件(島)」というキーワード扱いになっていたことがあった。
色々使えるかも、という目論見はあったようだが結局使い勝手はよくなかったらしい。
さして当該のクリーチャーは作られず、この言葉自体今では廃語(ルール上使われない用語)になっている。

甲鱗様ネタにおいてライバル枠となった《島魚ジャスコニアス》に絡んで覚えられる分廃語の中では妙に知名度が高いやつではある。
実存とか誰も知らんし使わんやろ

「畏怖/Fear」

このクリーチャーは、アーティファクト・クリーチャーや黒のクリーチャーによってしかブロックされない。
「アーティファクトか黒のクリーチャーによってしかブロックされない」という能力をキーワード化したもの。
昔の黒のお家芸。まさにこの能力を与える黒のオーラ・エンチャント《畏怖/Fear》が名前の由来。
……なのだが、結果として
  • 「このクリーチャーは畏怖を得る(creature gain fear)」が「クリーチャーが怯える」という意味にも取れてしまう問題
  • 「これ黒以外に使えないよね?」という根本的な問題
から、これらを解消した後述の「威嚇」が造られることになった。

「威嚇/Intimidate」

このクリーチャーはアーティファクト・クリーチャーかこれと共通の色を持つクリーチャー以外にはブロックされない。
「アーティファクトかこのクリーチャーと同じ色を持つクリーチャーによってしかブロックされない」という能力をキーワード化したもの。
前述のように「畏怖」をどの色にも適用できるようにしたものである。
ただ
  • 最近推されてる多色環境では使いにくい(色被りが発生しやすく弱い上に、無色のエルドラージとの相互作用が非常に分かりづらい)
  • 逆にリミテッドでは「『威嚇』持ちに何も出来ずにボコボコにされるのは面白くない」という意見が相次いだ
ために、前述の「威迫」と入れ替わりで常盤木落ち。

「被覆/Shroud」

このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。
これを持つパーマネントはあらゆる呪文・能力の対象にならなくなる能力。
それまでは「アンタッチャブル」と言われていた「呪文や能力の対象にならない」能力をキーワード化したもの。《Autumn Willow》などが有名か。
弱点は概ね「呪禁」と同じ。

「キーワード能力=プラス効果」という先入観から、自分のコントロールする呪文や能力は対象に取れると勘違いする初心者が続出したという。
自分のメリットとなる効果を受けられないせいで非常に評価が難しい能力でもある。
たとえば一切助力が必要ない大型ファッティが持っている分には「あらゆる単体除去をものともしない」というメリットとなる。
逆に小型が持っていても「ブロックすればいいんだから除去なんて使わないし、相手の《巨大化》などで突然強化される心配もない」とさして強くない。
そして自分のメリットとなる効果を受けられないということはオーラや装備品をはじめとした様々な強化手段を使えないということでもある。
そのためデッキに「被覆」持ちを入れる場合はこれらのカードが敬遠されるという土壌にもなってしまった。
混乱を避ける+オーラや装備品をてこ入れするため、「呪禁」と入れ替わりで常盤木落ち。
実際「呪禁」環境になってからは【呪禁オーラ】をはじめとして、これらのカードの使用率が上昇した。

「土地渡り/Landwalk」

このクリーチャーは、防御プレイヤーが森(Forest)をコントロールしているかぎりブロックされない。
相手が対応する土地を持っているとブロックされない能力。
基本土地に対応するものが多いが、平地に対応する「平地渡り」だけは他に比べ非常に少ない。
これは「広大な平地では身を隠せる場所がなく、相手をすり抜ける事が出来ない」ため。
……という事以上に「平地渡り」の英語表記「Plainswalk」がMtGにおいて重要な意味を持つ用語「Planeswalk」と同音であるため。
効かない相手には全く効かず、逆に刺さる相手にはとことん刺さる、という極端さが問題視され、常盤木から外された。
  • 特定の土地に対して渡りが存在しないこと
  • 「飛行」や「シャドー」ではできた「同名の回避能力による無効化」ができないこと
などから、初心者にもかなり受けが悪かった点もある。

『デュエマ』では「ステルス」として輸入されている。


有名なエキスパンション用キーワード能力

「側面攻撃/Flanking」

側面攻撃を持たないクリーチャーがこのクリーチャーをブロックするたび、ターン終了時まで、ブロックしているクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
ブロックしたクリーチャーは、「側面攻撃」を持たない限りターン終了まで-1/-1の修正を受ける能力。
非常に端的に言えば「先制攻撃のさらに前に機能する先制攻撃」。ポケモンの優先度の話みたいになってるけど大体この認識でOK。
タフネス1クリーチャー殺し。「ブロッククリーチャーも『側面攻撃』を持ってると無効」という部分を忘れるのは割と誰もが一度は通る道である。

「フェイジング/Phasing」

これはあなたの各アンタップ・ステップの間であなたがアンタップする前にフェイズ・インまたはフェイズ・アウトする。それがフェイズ・アウトしている間、それはそれが存在しないかのように扱う。
これを持つパーマネントはアンタップ・ステップ時に「フェイズ・アウト/Phase Out」し、その次のターンに「フェイズ・イン/Phases In」する能力。
フェイズ・アウト中は場には存在しないものとして扱うが、戦場を離れた訳ではないのでオーラやカウンターなどはそのまま保持される。
要は2ターンに1回しか戦場にいられないというもの。これ自体はペナルティ能力としてデザインされている。
しかしフェイズ・アウトを任意で発生させる場合は「状態を保持したまま好きなタイミングで戦場から離せる」というメリットとして機能する。

幻影のように出たり消えたりするのを忠実に再現した能力だが、かつてはあまりにも処理がめんどくさかった*11
そのため初出の「ミラージュ・ブロック」限りで用いられなくなった。
その後一応「基本セット2010(M10)」でのルール大整理時に「フェイズイン・フェイズアウトも位相として扱う*12」というルールでこの辺りはほぼ解決。
しかしやっぱり処理がめんどくさいので、延々と使われずに放置されていた。
そしてなんとそこから20年も経ってから「統率者2017(C17)」でフェイズ・アウトを取り扱う新規カードである《テフェリーの防御》が登場。
そして「基本セット2021(M21)」では実に23年ぶりにスタンダードにフェイズ・アウトを扱うカードが登場した。
その後もちょくちょく新規カードが登場し、「フォーゴトン・レルム探訪(AFR)」で落葉樹へと収まった。

ちなみに「一度追放し、その後戦場に戻す」いわゆるブリンク能力は「フェイジング」を分かりやすく作り直したもの。
フェイジングとの根本的な違いとして「一度戦場を離れ」「その後戦場に出し直す」。
そのため単独での挙動こそ似ているものの、コンボ的な用途は全く異なる。
一時期は良い感じだったのだが、この違いによって
  • せっかく付けたオーラや装備品が外されてしまうため、これらのカードを使いづらい原因を作っている
  • ETB能力が再利用できるため、除去として気軽に使うのが難しく、変なコンボに悪用されかねない
という問題点が出てきてしまっていた。
そのため「基本セット2021(M21)」あたりでフェイズ・アウトが再利用されたという経緯がある。

「バイバック/Buyback」

バイバック(コスト)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(コスト)を支払ってもよい。そうした場合、その解決に際し、このカードをあなたの手札に加える。)
同じく再利用能力。
こちらは対応したコストを支払うことで墓地に落ちずに手札に戻る。
大抵対応したコストは重いが、それを賄えるなら何度でも使えるのが魅力。
なおあくまで呪文の効果の一部であるため、打ち消されると普通に墓地に落ちるのが玉に瑕。

「キッカー/Kicker」「多重キッカー/Multikicker」

キッカー(コスト)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(コスト)を支払ってもよい。)

多重キッカー(コスト)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(コスト)を望む回数支払ってもよい。)

唱える際に追加コストを払う能力。「多重キッカー」はこの追加コストを複数回支払う事が出来る。
……実はキーワード能力としての定義はこれだけだったりする*13
有名なのは「キッカー」を支払うとダメージ量が爆発的に上昇する《ウルザの激怒/Urza's Rage》だろうか。

なお「追加コストを支払わせるだけ」の広い定義なので、これはこれで問題があったりする。
要するに多くの「追加コストを支払ってなにかをさせる能力」に対し「それキッカーでよくね?」という突っ込みを発生させてしまうのだ。
開発部では頭痛の種になっているとか。*14
一方で「単なる『キッカ』ーの亜種でしかない」という評価を覆したコスト変更系キーワード能力もいくつか存在する。
たとえば「ギルドパクト(GPT)」の「複製」はほとんど「多重キッカー」と同じ。
だが「スタックにコピーが直接乗る」「呪文を唱える動きとコピーする動きを任意の回数行える」という点が独自の強みになっている。
このため、亜種でありながら「キッカー」とは完全に別物の能力として評価されることが多い。

「エコー/Echo」

エコー(コスト)(あなたのアップキープの開始時に、これが直前のあなたのアップキープの開始時よりも後にあなたのコントロール下になっていた場合、そのエコー・コストを支払わないかぎりそれを生け贄に捧げる。)
維持コストを表す能力
これを持つパーマネントが前のターンに配置されている場合、指定されている*15コストを支払わなければ墓地に置かれる。
追加コストの要求という点で上記の「バイバック」「キッカー」と似ているが、次のターンに支払う、支払えないと墓地送りという点で異なっている。
この能力持ちは通常のカードよりスペックが高かったり、戦場に出た時の能力が本体なのでクリーチャーはオマケという事もある。
そのためあえてエコー・コストを支払わない運用も出来たりする。

上級者には「相場より早いターンに出せるんだから追加コストは致し方ない」となる能力。
だが初心者には「合計マナがかかりすぎる。そもそもデメリットでしかないので使いたくない」となりやすい。
そのためストーム値は「8」と高くなってしまっている。

現在は更に寿命が短い「この方法で唱えた場合、出た瞬間に生け贄に捧げられる」という想起が登場。
こちらの方がクリーチャーとしてもソーサリーとしても使えるように感じたり、エコーコストの払い忘れが存在しないなど直感的にも扱いやすいので、エコーの再登場は余計難しいか。

「消散/Fading」「消失/Vanishing」

消散X(このクリーチャーは、その上に消散(fade)カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)

消失X(このクリーチャーは時間(time)カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、その上から時間カウンターを1個取り除く。最後の1個が取り除かれたとき、それを生け贄に捧げる。)
いわゆる時間制限付きのユニークな能力。
これを持つカードには寿命が存在し、カウンターが無くなると消えてしまう。
寿命であるカウンターを削って能力を発揮するカードもある。
古参にはダーム様こと《ブラストダーム》や《はじける子嚢》で有名だろう。

似たような能力だが、「消散」は最後のカウンターを取り除かれた段階では消えない。
「カウンターを取り除かなければいけないタイミングで取り除けない場合に墓地に送られる」という能力である。
これを間違えるプレイヤーが多かったため修正版として造られたが「消失」である。
「消失」は最後のカウンターが取り除かれた瞬間消えるようになっている。
そのため「消散3」持ちの《ブラストダーム》と「消失4」持ちの《カルシダーム》の寿命は同じである。
ただ「カウンターを2倍にする」とかで置かれる個数が変わった場合には寿命が変わる。

「マッドネス/Madness」

マッドネス(コスト)(あなたがこのカードを捨てるなら、これを追放領域に捨てる。あなたがそうしたとき、マッドネス・コストでこれを唱えるか、これをあなたの墓地に置く。)
カードを捨てる代わりに唱えてもいいよというアンチハンデス能力。
赤や青のルーターや、手札コストを求めるカードで捨てつつ唱えるという動きも強力。というかこっちの使い方の方が断然多い。
《日を浴びるルートワラ》が普通に唱えると(緑)なのに、マッドネスが(0)と捨て得過ぎる事で色々有名*16
ただしあくまで起動条件は「別の効果でカードを捨てる時」であり、この能力自体に任意に手札を捨てる能力は無い点に注意。

  • ルールが複雑*17
  • リミテッドやスタンダードのバランスを考えると「手札コストを要求するカード」を一定数作らなければならない
といった問題があるため、マローから「再登場は難しい」*18……と言われた直後に登場した事で「マジックに絶対は無い」を証明した能力でもある。
そもそも「ストーム値」は開発部の総意ではなくマローの個人的な評価なんだけどもね
ただやはり諸問題の解決には至らなかったようで、収録後もストーム値は更新されなかった。

よく『遊戯王』の「暗黒界」に例えられるが、あちらと違ってテーマ特有のメカニズムというわけではない。

「変異/Morph」「大変異/Megamorph」

変異(コスト)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。)

大変異(コスト)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの大変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。そうしたなら、これの上に+1/+1カウンターを1個置く。)
これを持つクリーチャーは(3)で2/2として裏向きで戦場に出すこともできる能力。
変異コストを払う事で表向きになり通常のカードとなる。この表向きにする処理はスタックに積まれない「特別な処理」に該当する。
表向きになった時に能力を発揮(変異誘発型能力)するカードもある。
リミテッドならともかく構築では使われる「変異」持ちが少ないことから、慣れてくると土地を見て「あ、これあのカードだな」と察せてしまう。
「フェイジング」のところでちらっと述べた「一時的な追放」を利用すると、いちいち変異コストを支払って表にするという手間を省くことができる。
8マナで変異コストが6マナかかる《憤怒の天使アクローマ》を「変異で3マナで出して一時的追放で場に戻す」という踏み倒しギミックが流行した。

「大変異」は「変異」の発展版で、通常の「変異」に加えて表向きになったときに+1/+1カウンターを一つ置く。
そのため変異コストは全体的に「変異」より重め。
……これだけなので「カード側に書けばいいのにわざわざ別のキーワードにする意味ある?あと名前ダサい」ということでストーム値は堂々の「9」。

なお裏面のカードは戦場を離れる際、またはゲーム終了後に必ず表面に戻して確認しないといけない。
当然ながら変異じゃなかった場合はペナルティの対象です。

ストーム/Storm

あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。
そのターンにこれ以前に唱えられた呪文の数だけ、この呪文をコピーする能力。
キーワード能力界の問題児その1。詳細は項目参照。
ストーム値の語源でもある。

「親和/Affinity」

親和(○○)(この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールする○○1つにつき(1)少なくなる。)
対応した種類のカードが場にある数だけ不特定マナコストが安くなる能力。
キーワード能力界の問題児その2。めちゃくちゃ大暴れしました。
マナコスト軽減系のカード自体は初期の頃から登場しており、そういったカードたびたび大暴れを起こしていた*19どうして学ばなかったんですか?
ただ分かりやすく強めになるので割と新規カードは登場する。そしてたまに暴れる

『デュエマ』の「シンパシー」の元ネタ。

「発掘/Dredge」

発掘X(あなたがカードを1枚引くなら、代わりにあなたはカードをX枚切削してもよい。そうしたなら、あなたの墓地にあるこのカードをあなたの手札に戻す。)
これを持つカードが墓地にいる時にドローする場合、代わりに指定枚数のカードをライブラリーの上から墓地に送る事でこのカードを回収出来る能力。
キーワード能力界の問題児その3。
本来は再利用能力なのだが、この能力を持つカードを複数枚墓地に置いてドローするだけで驚異的なスピードで墓地肥やしが出来てしまう。
そのため、素のカードの性能をほとんど無視して墓地肥やし目的で使われる。
開発側から「発掘の隣に書いてある数字以外は見向きもされない」とか言われるぐらい*20
これを利用したそのまんま【ドレッジ】デッキのキーともなっている。
一方で、単純に「ドローを諦めて再利用できる」カードとしての運用も非常に強力。
スタンダードでは《腐れ蔦の外套》、下環境では《壌土からの生命》《暗黒破》《悪ふざけ》など。

「相棒/Companion」

あなたの開始時のデッキに、[条件]。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、ソーサリーとして(3)を支払うことでゲームの外部からそれをあなたの手札に加えてもよい。
「イコリア:巨獣の住処(IKO)」で登場した能力。
これを持つクリーチャーに指定された条件でデッキを組むのと引き換えに、ゲーム外*21から一度だけそいつを(3)支払って手札に加えられる。
統率者戦では統率者+相棒*22という組み合わせも可能。
キーワード能力界の問題児その4。
実はこの効果はエラッタ後のものである。
当初の効果はこれ。
ゲームを開始する前に、ゲームの外部からあなたが所有していてあなたの開始時のデッキが[条件]を満たしている相棒能力を持つカード1枚を公開してもよい。そうしたなら、そのゲームの間1回、あなたはそのカードをゲームの外部からプレイできる。
手札に加えるのでは無く、ゲームの外部から直接唱えられるというものだった。
フレーバーとしては「イコリアの怪物と人間(=プレイヤー)が絆を結んだ事」を再現したもの。
TCGアニメで良くある「俺のAIBO」をシステム化したものといえる。
……が
  • デッキ構築に制限が掛かるとはいえゲーム開始時の手札が実質的に+1される
  • サーチの必要なくキーカードを持ってこられる
  • 極論、相棒は一枚積みでも問題がない*23
というのは強力が過ぎた。レガシーでの禁止指定の最速記録を更新する事態も発生。
ありとあらゆる環境で【相棒】デッキが溢れかえる事態になり、
  • 《予期の力線》と組み合わせて普通のフォーマットで0ターンキルを達成
  • ヴィンテージで【ルーツリーハイランダー】が登場
  • スタンで【赤単ヨーリオン】*24が登場
  • クリーチャー・タイプに制限がかかる相棒条件をノンクリーチャーで達成
  • 《ライオンの瞳のダイヤモンド》は《Black Lotus》の上位互換
  • ヴィンテージで初のパワー問題で禁止になったカード
……など、わけのわからない話が毎週のように生まれて大問題を引き起こした
そして最終的に キーワード能力ごとエラッタされた。
これまでのキーワード能力は禁止指定や対策カードの印刷などで対処されていたのが、相棒はルール変更という形で去勢された
ストームも親和もここまで問題は起こさなかったことを考えると、数ある問題児の中でも別格である。
ちなみにエラッタ後も《夢の巣のルールス》は多様性を奪うカードとして色んなフォーマット禁止された。
まぁ低マナ域が強いゲームでそれを使い回せたので妥当である

「続唱/Cascade」

あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放されたカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
これを持つ呪文を唱えた時、ライブラリーの上からその呪文のコスト未満のカードが出るまでめくり、出たカードをノーコストで唱える能力。
キャントリップの一種のようなものだが、コスト踏み倒しで唱えるというのがかなり強烈。そのため単体のカードパワーは低く抑えられている。
……のだが
  • 「続唱」持ちより小さいマナコストの呪文を絞れば狙った呪文をデッキから確実に唱えられる
  • 本来は別の手段で唱えることを想定しているマナコストが無い呪文も唱えられる
  • 両面カードは表の低コスト面を参照して裏の高コスト面を唱えられる
といった点に着目し、悪用するデッキが後を絶たない。
流石に悪用されすぎて両面カードに関してはルール変更が行われた。
現在は唱える面のコストが「続唱」持ち未満である必要がある。

ただ「続唱」から「続唱」がめくれたら連鎖できてしまうため、上記の悪用を抜きにしても調整が難しい能力である。

「刹那/Split Second」

\ガ○ダムだ…俺がガン○ムd/

アンタじゃない。

この呪文がスタックにあるかぎり、プレイヤーは呪文を唱えられず、マナ能力でない起動型能力を起動できない。
これ以上の割り込み(スタックに乗せること)を禁止する能力。
これを持った呪文は打ち消しが極めて困難なので、威力が小さくても決定打になることが多い。
なおあくまで「『刹那』持ちに対応して」スタックに乗せることが不可能なだけで、その呪文が解決されれば改めてのスタック組み直しは可能。
また誘発型能力なら問題なくスタックに乗るので《相殺》のようなカードなら打ち消せたりする。
一方『遊戯王』の「巻き戻しマイクラ」とほぼ同じ現象である「巻き戻し《根絶》」という処理面での大きな問題を抱えた能力でもある。


「武士道/Bushido」

\待ちかねたぞ、少n/

アンタら帰れ。

武士道X(このクリーチャーがブロックするかブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで+X/+Xの修整を受ける。)
クリーチャー戦時に指定値分パワー/タフネスが上昇する能力。
「抜かずが武士の本懐」はどこへやら。アメリカナイズなチャンバラ・ブシドー。
「ランページ」の調整版として作成され、能力自体はリミテッドのバランスに大きく貢献してくれた。
……のだがうっかりフレーバー重視で「武士道」なんて名前にしてしまったせいで神河次元以外に使えなくなってしまった。
この失敗は前述の「果敢(もともとカンフーに関する名前にされる予定だった)」に生かされている。
ネオカミカワ神河に再訪した際も、面影を残すカードとしてキーワード無しで同じ効果持ちが1枚出るに留まっている。
ちなみに次元の縛り無しでデザインされた「モダンホライゾン2(MH2)」では《翡翠の復讐者》という新規「武士道」持ちが登場。
「カエルの侍」であり非常にユニークである。

「忍術/Ninjutsu」「上忍術/Commander Ninjutsu」

(コスト),あなたがコントロールする、ブロックされなかった攻撃しているクリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札からこのカードを、タップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す。

(コスト),あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札か統率領域からこのカードをタップ状態で攻撃している状態で戦場に出す。
対戦相手に攻撃が通ったクリーチャーがいるとき、そいつとこれ持つクリーチャーが入れ替わることができる能力。
「上忍術」は統率領域からでも出せる。
基本的に忍者が持っており、さらに対戦相手にダメージを与えた時に誘発する効果(サボタージュ能力)も有していることが多い。
単純にパワーが高いだけということもあるが、それでも「与えるダメージが一気に増える」という意味ではサボタージュである。
変わり身の術のイメージから始まったもので、物陰に隠れたりしながら忍び寄って奇襲を仕掛けるイメージがうまく再現できていることから好評だった。
スタン落ちしてから使われたカードはほぼ《深き刻の忍者》の1種類だけだったが、その1人で細々と頑張っていた種族(職業)である。
「武士道」と同様に神河でしか収録できない……と思いきや、明らかに神河にはいない種族の忍者も後に登場している。
日本では忍者といえば細身や小柄のすばしっこいイメージがあるが、MtGはアメリカのゲームなので鬼やゾンビの忍者もいるのだ。
  • 「灯争大戦(WAR)」のストーリーのクライマックスでスリケン投擲を披露したディミーア家のギルドマスター・ラザーヴ
  • 忍者のプレインズウォーカーである漆月魁渡
などストーリーでも忍者は登場している。
忍者は密かに多元宇宙で勢力を拡大しているのかもしれない……

「待機/Suspend」

待機X ― (コスト)(このカードをあなたの手札から唱えるのではなく、(コスト)を支払うとともにそれを時間(time)カウンターがX個置かれた状態で追放する。あなたのアップキープの開始時に、時間カウンターを1個取り除く。最後の1個を取り除いたとき、それをそのマナ・コストを支払うことなく唱える。それは速攻を持つ。)
これを持つ呪文は、普通に唱える代わりに待機コストを払うこともできるという能力。
そうした場合はすぐには唱えられず、一定のターン追放領域で待たなければならない。
指定ターンが経過するとタダで唱えられる。その際クリーチャーの場合は「速攻」を持った状態になる。
要は「相場より安いマナで唱えられるけれど時間がかかる」というイメージ。「待機」を経由しないと非常に重くて使い物にならないものも多い。
「時を超える」というイメージのため、この能力が初登場した「時のらせん・ブロック」ではこの能力を持つカードが多数収録されている。
往年のパワーカードに待機を付けた調整版といったカードも作られた。
中には「待機コストは持つがマナ・コストが存在しない=普通に唱えることができないので『待機』経由でしか唱えられない」というカードもある。
トーナメント環境でも特に下環境では別の手段で「待機」を踏み倒す形で存在感を放っている。

「感染/Infect」

このクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒(poison)カウンターの形でダメージを与える。
クリーチャーにはマイナスカウンター、プレイヤーには毒カウンターのダメージを与える、ファイレクシアの能力。
キーワード化された割に微妙だった「有毒」(プレイヤーに戦闘ダメージを与えると毒カウンターを指定された数だけ与える)に代わって採用されたもの。
クリーチャーのパワーがそのまま毒の値に直結する上に、対クリーチャーでも強力なのが強み。
一方で必ず毒カウンターでダメージを与えなければならないため本来のライフを攻めることができない)
このため「感染」を持たないカードと併用すると「2つのライフを別々に攻める」ということになりやすく非常に弱い。
この点は必要なカードが揃うとは限らないリミテッドにおいて特に問題であった。
そのため再訪セットである「ファイレクシア:完全なる統一(ONE)」では「有毒」の挙動を調整した「毒性」が代わりに担当。
毒を溜める途中でのメリットは毒が3個以上ある際に機能する能力語「堕落」が受け持つ形になった。

「召集/Convoke」「即席/Improvise」

召集(あなたのクリーチャーが、この呪文を唱える助けとなる。この呪文を唱える段階であなたがタップした各クリーチャーは、(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点を支払う。)

即席(あなたのアーティファクトが、この呪文を唱える助けとなる。あなたはあなたのアーティファクトをタップして、1個あたり(1)の支払いに代えてもよい。)
これを持つ呪文を唱える際に、特定のパーマネントをタップすることでその数分コストを軽減できるもう力。
「召集」はクリーチャーをタップし、そのクリーチャーが持つ色のマナか不特定マナの代替にする。
「即席」はアーティファクトをタップし、不特定マナの代替にする。
アーティファクトで色マナを代替できないのはそれ自体はほとんどが無色のパーマネントだからだろう。
ちなみに「即席」は「親和(アーティファクト)」の調整版である。
もともとは開発チーム内で「親和(アーティファクト)」の再録が検討されており、 親和(アーティファクト)のバランス調整も上手くいくだろう と考えていたが、
主席デベロッパーがこれに待ったをかけ、 開発チームに親和(アーティファクト)の危険性を警告し 代わりに「即席」を提案した、という経緯で生まれている。英断と言わざるを得ない
どちらもコスト軽減系の能力としては非常に珍しくバランスが取れていたためか評判が良く、特に「召集」は「ラヴニカのギルド(GRN)」ではセレズニアのメカニズムとして、ラヴニカ系初出のキーワード能力で唯一の再録となった。

奇跡/Miracle

奇跡(コスト)(あなたがこのカードを引いたとき、これがこのターンに最初に引いたカードだった場合、あなたはこれの奇跡コストを支払うことでこれを唱えてもよい。)
これを持つカードが「そのターンの最初に引いたカード」であった場合、奇跡コストを支払うことで即座に唱えることができる能力。
普段通りに使うとかなり重いが、今引きすると凄まじいコスパになる。
そのターンの最初なので、相手のターンにインスタントドローや能力で引いても誘発する。
いわゆる今引き、ディスティニー・ドローをキーワード化したものであるが……
詳しくは項目参照。

「欠色/Devoid」

このカードは無色である。
この能力を持つカードは、色マナを払って唱えるものであっても無色として扱う能力。
これを持つ呪文はエルドラージと関連があることを示すものでもある。
そのため《幽霊火》《謎めいた三葉虫》などエルドラージと無関係の呪文については、無色化の能力があっても「欠色」は用いられない。
キーワード能力がフレーバーを持ち合わせる典型例である。
実用面としては各種色対策や「プロテクション」をすり抜ける事ができるが、逆に色を参照するサポートが受けられないという欠点でもある。
無色サポートの強い「戦乱のゼンディカー・ブロック」で登場した能力であるため、後者はあまり欠点になっていない。
しかしこの時期のちょっと前によりにもよって「プロテクション」が常盤木から落ちてしまった。
そのため「プロテクション」持ちがおらず、肝心の「プロテクション」対策としての役割は全くできなかった
また
  • 「色マナがあるのに色を持たない」というのが初心者を混乱させる
  • そもそも「よく分からない異界の存在」というエルドラージのフレーバーが初心者にとっつきづらい
  • 意図的なデフレ期だったので「欠色」持ちのカードパワーが軒並み低め
  • どっちかというと「ゲートウォッチの誓い(OGW)」で出た「無色マナシンボル」の方が色々あって印象が強かった
こともあり、大半のプレイヤーに「結局なんだったんだ?」と首を傾げられてしまった。
開発側も「単なるマーカーにすぎない能力だった。キーワード能力じゃなくて呪文タイプでやるべきだった」と反省点を挙げたりしている。

「超過/Overload」

Overload [cost] (You may cast this spell for its overload cost. If you do, change its text by replacing all instances of 'target' with 'each'.

超過(コスト)(あなたはこの呪文をその超過コストで唱えてもよい。そうしたなら、あなたがコントロールしていない土地でない各パーマネントをそれぞれオーナーの手札に戻す。)
テキスト書き換え能力その1。
超過コストで唱えるとテキスト文章の「target(対象)」が「each(それぞれ)」に書き換わる。要するに対象に取る能力が全体化する。
しかし英語と文法がまるっきり違う言語(東アジア系)だと書き換えにくいので、注釈に変更後の効果がそのまま書かれている。
基本的に元のマナコストよりも超過コストはだいぶ高いの。
逆に超過コストの方が安い代わりに「超過」で唱えると自分も巻き込む《精神の掻き寄せ》なんてのもある。
英語圏だと「テキストに介入して変更する能力」という面白いコンセプトの能力なのだが、他言語でそのニュアンスを反映するのが難しすぎるのが欠点。

「切除/Cleave」

切除(5)(白)(あなたはこの呪文を切除コストで唱えてもよい。そうしたなら、角括弧の中の記述を削除する。)
〔攻撃〕クリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。
テキスト書き換え能力その2。
切除コストで唱えると[ ]内の内容が消える。[ ]には制約やデメリットが記されており、それが消えるので強くなる。
「テキストの短いカードは強い」というTCGの不文律にしたがって「じゃあテキストを短くしよう」という発想に踏み込んだもの。

「二体掛り/Double team」

このクリーチャーが攻撃するとき、それがトークンでないなら、それの複写1つをあなたの手札に創出する。その後、その両方とも二体掛りを永久に失う。
『MtGA』で登場したオリジナルのキーワード能力。
これを持つクリーチャーが攻撃した時、手札にそのカードのコピーを一度だけ作り出すというもの。
つまり攻撃さえできてしまえば後続が手札に加わるということである。
攻撃的戦略を肯定し、さらにカード・アドバンテージまで稼げるという非常に強い能力であり、主にリミテッドで猛威を振るう。
増えたカードはコストに用いることもできるが、基本的には「素直に後続を出すために使ってくれ」と言わんばかりに攻撃を肯定する能力も持っている。
『MtGA』特有の紙で再現するのが無理な能力なので総合ルールには規定されていない。






キーワード能力は面白いものも多いのだが、すべてのキーワードがウケがよかったわけではない。
「加虐」「嚥下」のように純粋に弱かったもの
「挑発」「刹那」のように初心者殺しの要素が強すぎて不評だったもの
「増幅」「潜伏」のように構造矛盾を抱えていたもの
「滅殺」「続唱」のように調整が難しいもの
「憑依」「献身」のようにルールがとんでもなく分かりづらかったもの
「不朽」「欠色」のようにセット全体のデフレに巻き込まれたもの
「貢納」「復活」のように弱すぎて伝説と化したもの
その他にも、MtGには歴史に埋もれたキーワード能力が多数存在する。

しかし、こういった開発の積み重ねがあって、今のキーワード能力が作り上げられているのだ。



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最終更新:2024年03月24日 15:30

*1 同様のメカニズムがスタンダードに再登場しやすいかの指数。大きいほど登場しにくい。この言葉はキーワード能力「ストーム/Storm」に由来する。

*2 例えば1/1「プロテクション」持ちで4/4「トランプル」持ちをブロックした場合、「クリーチャーに1点、ライフに3点ダメージ。しかしダメージは軽減されるのでクリーチャーは破壊されない。」が正解。しかし「なぜ破壊されないのにダメージが貫通するのか」という疑問が絶えなかった。

*3 厳密にはこの用語は現在のルールにはない。ルール上は「クリーチャーは場に出たターンは攻撃できず、コストにタップを含む起動型能力を使用できない」であるが、一部のカードには「召喚酔い」と記載されている。

*4 パワー4で「トランプル」を持つクリーチャーが、タフネス2のクリーチャー2体にブロックされた場合を考える。「接死」を持たない場合、クリーチャー全てにまず致死ダメージを割り振らないとならないため、ブロッククリーチャー2体に2点ずつ割り振って超過ダメージはなくなる。しかし「接死」を持っていると、これがクリーチャー2体に1点ずつでよくなるため、余った2点を「トランプル」によってダメージとして通せるようになる。

*5 「絆魂」は常在型能力であり、ダメージとライフ回復が同時に発生する。対して《魂の絆》は誘発型能力であり、ダメージの後誘発した効果の解決によってライフが回復する。

*6 全プレイヤーの呪文・能力の対象にならない「被覆」に代わって登場した能力のため。

*7 以前の「破壊されない」はカード特性だったので「能力を失わせる」の対象にならなかったが、能力化してそれらに引っかかるようになった。

*8 細かく分けると大体「対象にならない」「ダメージを受けない」「ブロックされない」「エンチャント・装備されない」となる。

*9 両者共に戦場にこのカードが出てきた時の「誘発型能力」で干渉するため、「呪文」では無いのでプロテクションで弾けない。

*10 たとえば「プロテクション(青)」は「飛行」をはじめとした回避能力を持つ青にはさっぱり有効ではないが「プロテクション(赤)」はあらゆるクリーチャー対処をダメージで行う赤には劇的に刺さる。また多色環境では「1色でもその色を含んでいたら無力化可能」という点からせっかく環境にたくさんあった多色カードが使われない状況を容易に作ってしまうことなどが挙げられる。

*11 簡単に言うと「一度戦場を離れた後に、戦場を離れる前の状態を保持して戻ってくる」という処理だったが、「状態を保持する」というのをルール的に定義するのが非常にややこしかった。

*12 要はタップ・アンタップと同様の処理をするということ。

*13 実際のカードの効果としては「キッカー」が支払われたことによる追加の効果が発生するのだが、それはあくまでそれぞれのカード固有の効果であって「キッカー」には何も定義されていない

*14 一例を挙げるなら、「バイバック」はバイバックコストを「キッカー」のコストとして指定し、「キッカーされている場合、その解決に際し、このカードをあなたの手札に加える。」の一文を加えることで実現できてしまう。

*15 指定されていない場合は通常のマナコストと同じ。最初に登場した時は全てのカードが指定無しだった。

*16 しかもカードを捨てるとパワーアップする《野生の雑種犬》という最高の相方もいた。他にも《適者生存》なんてカードもある。

*17 実際再登場するたびにルールが変わっている。

*18 詳細はストームの項目の「ストーム値」参照

*19 《サファイアの大メダル》《覚醒の兜》など。

*20 最近はピッチスペルとの兼ね合いからマナ・シンボルの色も注目されるようになった。よかったね!

*21 サイドボードとほぼ同義だが、カジュアルプレイでは互いの了解さえあればコレクションを含める事もできる。ただ結局枚数に上限があった方がゲームとしても面白いので、よほどトチ狂った遊び方をしない限りは15枚を上限にすることの方が多い。

*22 《呪文追い、ルーツリー》の相棒条件は「開始時のデッキに土地以外に同じ名前のカードを入れてはいけない」であるため、ハイランダー構成が前提となる統率者では入れ得すぎるので最初っから禁止指定。なお基本でない土地は複数積みできる他、ルーツリーをデッキとサイド両方に入れることはできる。

*23 中でも《夢の巣のルールス》は相棒に指定した場合、そもそもメインデッキには一枚も入れられない。

*24 本来《空を放浪するもの、ヨーリオン》というカードは青白のカードであり【赤単】では出せない。デッキタイプを誤認させるためだけにわざと相棒条件を達成させている。