ライジングフォーム(仮面ライダークウガ)

登録日:2011/04/09 Sat 15:00:14
更新日:2024/01/10 Wed 15:39:33
所要時間:約 6 分で読めます





心優しき戦士よ


新たなる力を身に付け


雄々しく邪悪を打ち倒せ



空しき闇を引き裂く雷の輝きが


汝とともにあらんことを


ライジングフォームとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダークウガ』の中盤から登場した仮面ライダークウガの新たなる力である。


【概要】

メ・ギノガ・デの胞子により心停止に陥った五代雄介に椿秀一医師が施した電気ショックと、雄介自身の「強くなりたい」という強い意志により、アマダムが気質変化を起こして発現した力。
最初はギノガ変異体との戦闘でマイティキックを放った際、足首部分に正体不明の放電現象としてその一端が顕れ、以降の戦闘でも必殺技を放つ際に放電現象が起こっていた。
そしてメ・ガリマ・バとの初戦において一瞬だけライジングフォーム化。
ここにきて力を使うコツを掴みかけた雄介が自分の意思で自在に使えるようにするため、科警研にあるプラズマ実験施設に数時間もこもって放電を全開に出来ないかと試行錯誤した末に遂に完成。

本来は存在しない姿であるため、リントの碑文に記されていない。劇中では「」「金の力」と呼称される。


マイティドラゴンペガサスタイタンの4つの基本フォームの強化形態として顕れ、全形態共通でアークルに金の追加パーツが付き、アマダムも金色になる。
ライジングフォームにより発現し強化された武器*1にはリント文字で、「雷の力を加えて邪悪を鎮めよ」と刻まれている。


能力・必殺技共に強化されるが(通常形態の実に数倍)、凄まじい破壊力を持つ為、ライジングフォームの必殺技でゴ集団のような上位のグロンギを倒すと周囲数kmにまで被害を及ぼす大爆発を起こしてしまう。そのため倒す時には敵を爆発による被害が少ない場所まで連れていく必要が出てきた。
制限時間は30秒で、こうした事情もあって使用のタイミングを計る必要がある事から、劇中では主に「“超”必殺技を放つための形態」として扱われている。制限時間も含めてゲージ消費型の超必殺技と考えたほうが正しいだろう。

実際、『クウガ』の戦闘演出は物語が進む中で元の能力以上に基本スペックが向上(レベルアップ)して強敵とも戦えるようになっていったが、上記の高位のグロンギであるゴ集団に対しては通常の必殺技では耐えられてしまうので超必殺技が必要……という演出だった為に、
後発のシリーズのライダーが持つ、新フォームが出たら後はそっちが基本になるというような恒常的な中間、強化フォームとは演出の意味が違い、その意味でもシリーズ全体でも毛色の異なる演出・形態である。
後発の作品で「仮面ライダーアギトのクロスホーン展開」「ウェイクアップした仮面ライダーキバ仮面ライダーレイ」といった、必殺技使用時に微妙に姿が変化するライダー自体は存在するが、
「必殺技を使うためだけ」に強化形態にフォームチェンジするケースは『仮面ライダーストロンガー』のチャージアップストロンガーと立ち位置が近いのかもしれない。
一応、最終盤にて2回目の電気ショックを受けたことで時間無制限でライジング形態に変身→更にアメイジングマイティに進化する能力を得たものの、その状態で戦ったのは本当に最後の最後であるため、イレギュラーなケースである。

名称が長くなるため、書籍や視聴者の間でも「フォーム」の部分を省いた表記・呼称する場合も多い。

なお、各ライジングフォームの登場順は対応する通常フォームの登場順とは逆の順番になっており、基本形態の強化形態が一番強いという、ある意味のお約束にもなっている。


【各ライジングフォーム】

ライジングタイタン


紫の金の戦士

元が銀に紫縁という姿のため、反転して銀部分→紫・紫部分→金と、他のライジングフォームとは違い、見た目の印象が大きく変わる。

武器は先端に金の刃が追加された長大な剣『ライジングタイタンソード』
更に剣の重量が増し、通常のタイタンフォームですら扱えないとの説明がある。
メ・ガリマ・バとの戦いで最初に発現した『金の力』。卑劣な行為を行ったゴ・ジャラジ・ダを葬り去った姿でもある。


必殺技〈ライジングカラミティタイタン
カラミティタイタンとほぼ同じだが、数倍に強化された腕力で繰り出される為、威力は段違い。
ジャーザ戦では二刀流*2を披露し、二つの刻印を打ち込み倒した。


ライジングペガサス


緑の金の戦士

左右に金色の鋭利なバレルが追加された『ライジングペガサスボウガン』は一回の発射で5~6発を纏めて発射できる。
空からゲゲルを繰り返していたゴ・ブウロ・グに対抗するために発現した力。危険な強酸性の体液を持ち、下手に倒すことの出来ないゴ・ザザル・バを倒すのにも使用された。
なお、ライジングマイティキックと同様に凄まじい破壊力を持つため、周囲に甚大な被害を及ぼす恐れがある。

必殺技〈ライジングブラストペガサス
一気に速射するため、同時に複数の刻印を打ち込め、威力も高い。
……一方で、全感覚を集中させる必要がある事からカウンターには弱いとの記述がある(※有り得ない話だが、初変身時に似た能力を持つブウロからの攻撃を受けた)。


ライジングドラゴン


青の金の戦士

黒一色の肩アーマーが青に金縁のものへと変化している。武器は両端に金色の矛が追加された『ライジングドラゴンロッド
ゴ・ベミウ・ギを倒す際に発現し見事打ち倒すも、ゴ・ジャーザ・ギには通用しなかった。
更に瞬発力と跳躍力が強化された形態で、時が止まったかの様なタイミングで攻撃を仕掛ける事が可能。


必殺技〈ライジングスプラッシュドラゴン
ロッドに付いた矛の刃で刻印を打ち込む。
周囲に甚大な被害を及ぼす爆発を避けるため、更に突き刺した相手を凄まじい瞬発力を利用し、高速回転して投げ捨てる。


ライジングマイティ


赤の金の戦士

体に金の縁取りが加わり、右足に〈マイティアンクレット〉が出現した。
紫の金すら通用しない強固な皮膚を持つ強敵「ゴ・ガメゴ・レ」を倒す際に初めて使用。宿命の敵「ゴ・バダー・バ」を倒すのにも使われた。
ライジングマイティキックを放つために全身の筋力が均等に強化されており、発揮される破壊力はライジングフォームでも随一。
中盤までの実質的な最強フォームであり、基本形態の純粋な強化形態である事とインパクトのある必殺技の要素もあって根強い人気を誇る。


“炎の技よ雷の力を加えて邪悪を鎮めよ”

必殺技〈ライジングマイティキック
金の中でも特に威力が強く、半径3㎞に被害をもたらす大爆発を引き起こす。
初使用では人的被害こそ出なかったものの大惨事になり、これまでと一転してクウガは危険視される事に。
設定威力は50t。


クウガを代表する超必殺技とのイメージが強いが、劇中では3度(※挙句にガドルには跳ね返されている)しか登場しておらず、危険過ぎるために強敵中の強敵にしか使用されていない。


ライジングビートゴウラム


全長:320cm
最大全高:120cm
最大全幅:110cm
最高時速:700km


榎田ひかりの「ゴウラムに乗ったまま「金」になればゴウラムも「金」になるんじゃない!?」……と云う無茶なアドバイスにより誕生した、装甲機ゴウラムの超強化形態。
強敵ゴ・バベル・ダを倒す際に発現した。
“金のゴウラム合体ビートチェイサー・ボディアタック”(※ライジングビートゴウラムアタック)により撃破する。

……元々、「金の力」が存在しないはずの電気的なエネルギーであるためか、はたまた「凄まじき戦士」の力と危惧されているのか、ゴウラムはくたびれたようになってしまった。


◆アメイジングマイティ


『黒の金の戦士

ゴ集団最強の男、ゴ・ガドル・バの『金の力』を超えるために受けた二回目の電気ショックにより発現した「の戦士」

“限りなく黒に近い”姿であり、『赤の金』の頭部以外の赤い部分が黒くなり、マイティアンクレットが両足に装着される。雄介自身が生んだ最強の形態で「金の力」の最強形態とされる事も。
劇中での印象から実質的に一度のみの登場でありながら非常に人気が高い*3
初変身のガドルとの決戦では死闘の末に勝利したものの、続くダグバとの戦いではなんと冒頭からアークルはひび割れ息も絶え絶えに必死に逃げる衝撃的な姿が描かれ、大量虐殺を行うダグバに挑むも手も足も出ず惨敗を喫する様子がアバンタイトルで描写されている。
そのまま殺されてもおかしくなかったが究極のクウガとの対戦を望むダグバはクウガをわざと殺さずに見逃した。


金の力は、椿による電気ショックを受けてアマタムが気質変化を起こし、古代には無かった電気的なエネルギーを放出するようになったと思われている。
その力がライジングフォームに変身させたのは雄介の『もっと強くならなきゃだめだ』という「意志」が、脳から出される信号伝達物質となってアマダムに大量に送り込まれた事によって特殊な力が導き出された為。
そして雄介は強くなっていくグロンギに対し、自分ももっともっと強くなりたいと願い、ゴ・ガドル・バ電撃体に敗れ病院に搬送された際に無意識に心臓を止めて電気ショックを再度受ける事を望み、アメイジングマイティへと更なる進化を遂げた*4

ほぼ色変えながらもガラリと印象の変わった秀逸なデザインや、強敵ガドルを倒したインパクトから人気は高いのだが、本編では使う相手がガドルとダグバしかおらず、更にダグバとの戦いは暗がりで姿が見えにくい上での番組冒頭で惨敗という活躍の少なさが惜しまれる。
後述の事情で急遽登場した形態のため、スーツはグローイングフォームの改造で対応した。


必殺技〈アメイジングマイティキック
両足で二つの刻印を打ち込む。設定威力は75tで、巨大な火柱が上がるほどの威力を誇る。


【余談】

元々はバンダイから中盤に登場させたいとして出された「雷の力を司る黄金の最強戦士」の案が「余りにも『クウガ』の世界観に合わない」事から、各クウガ担当者(バンダイ含む)が考え出したアイディアである。
なお、この「金の戦士」の没案からアギトのキャラクターデザインが生まれたのは割と有名な話。
仮面ライダーアギト』にて津上翔一役を演じた賀集利樹氏が「アギトはクワガタでしたよ」発言をした事が有名だが、実はそこまで的外れではなかった……のかもしれない。

アメイジングマイティの出現は、玩具展開の都合で最強形態であるアルティメットフォームのデザインが番組制作陣の想定より早く漏らされたことによる現場サイドの報復との「噂」があった*5……
が、実際のところはストーリー内容を重視してアルティメットフォームの登場を遅らせたいという現場サイドの要望に応える代わりに、ライジングフォームとアルティメットフォームの中間に位置する形態を登場させる事をバンダイ側から提案された結果生まれた形態だったとの事。
ちなみに当時やたらと玩具が発売されなかったのはバンダイ側と現場側とでデザインに関して最後まで揉めたため。
バンダイ側がライジングマイティの金型を流用できるように単なる色替えのデザインを提案していたのに対し、現場側はストーリーを重視して「ガドルを倒すには両脚キックが理にかなう」としてマイティアンクレットを両足に付けたデザインで登場させることを提案し、なかなか折り合いが付かなかったと髙寺Pから語られている。
バンダイとしては新たに金型を用意する手間とコストがかかる上に時期的に次作『アギト』の製作も始まっていたため、そちらに注力するためにも金型流用で済ませたかったが、
当初の予定と異なりライジングマイティの金型が流用できなくなったため新規で金型を作る必要が生じ、最終回直前というタイミングでの登場だったため玩具の生産と流通が間に合わなかったようだ。
バンダイ側にとってもアメイジングな登場だったと言われていたが、登場そのものは合意の上とはいえデザインは意に沿わぬ形だったという点では半分正解だったのかもしれない。

…と言われていたのだが、2023年にあるファンがX(旧Twitter)でこの話題に言及した際、『クウガ』のサブ監督の1人である鈴村展弘氏が「違いますよ。全く。」「もし高寺さんから聞いたならば、申し訳ないのですが高寺さんの記憶違いか、或いはそのような事にしているのかも?」とリプライを送り、髙寺Pの証言も事実と食い違っている可能性が浮上
単に双方の認識が異なるだけなのか、はたまたどちらかの発言が虚偽なのかも不明だが、鈴村氏の口ぶりからするに、いずれにせよ内情が少なからず荒れていたには違いないと思われる。
これを見たファンからは「アメイジングマイティの真相はもう謎のままにしておいた方がいいのかもしれない」という意見もチラホラ…

ちなみに先述のライジングマイティの金型を流用できるような単なる色替えのデザインである、いわば「黒いライジングマイティ」はてれびくんの懸賞品で日の目を見ていたりする。

そうそう……『193』のアレは名前が同じだけで直接的に……てか“全く”関係はない。





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最終更新:2024年01月10日 15:39

*1 DX玩具版ではライジング化の際に追加される金色の刃パーツは1箱につきアタッチメント+刃2本だけ収録されており、3つの武器を全てライジング状態で並べたい場合はライジングフォームセットを3箱購入する必要がある。一方で同じ形状のパーツを異なる武器に使い回して全く違う形に見せる手法に関しては一定の評価を得ている。

*2 一振り目はドラゴンロッドから変化したタイタンソード、もう一振りはフェリーの柵から生成。これは『クウガ』チーフプロデューサーの高寺成紀Pが息子がタイタンフォームのソフビにタイタンソードを2本持たせて遊んでいたのを見た事が切っ掛けとして映像作品に輸入されたものと語られている。

*3 S.H.Figuartsでも他フォームに先駆けて限定販売されたが、アメイジングマイティ以前の形態のFiguartsが先に発売されまくった結果、サムズアップ用の手首パーツの収録はなし。『クウガ』第46話放送後に発売された装着変身も香港限定、S.I.C.も限定発売と、アイテム化に関しては何かとコレクター泣かせのフォームでもある。

*4 ライジングフォームの金の力と凄まじき戦士との関連性は劇中でも櫻子の推測として少し匂わされている程度であり。ネット上で広まっているような『アルティメットフォームの力が部分的に漏れ出している』という事実が言及された公式ソースは不明である為、ファンの考察が独り歩きしたものだと推測される。

*5 アルティメットフォームの装着変身がゴ・ガドル・バのフィギュアとのセット販売かつパッケージに劇中シーンが目の前に!といった記述がある事から、当初はガドルとの戦いで変身する予定だったと思われる。