フール・フォー・ザ・シティ

登録日:2011/11/14 (月) 22:57:22
更新日:2023/05/07 Sun 20:45:04
所要時間:約 6 分で読めます





I'm a fool for the city
オレは、都会が好きだぜ


I'm a fool for the city
オレは、都会にほれてるんだぜ



◆フール・フォー・ザ・シティ

『FOOL for THE CITY』は永野護の漫画作品。
角川書店の月刊『ニュータイプ』創刊に併せ企画されていた永野護によるオリジナル作品の第1弾として、85年4月から86年3月号まで連載された。
単行本は全1巻。


【概要】

22世紀の未来を舞台とした青春物語。
永野護が自身が青春を捧げたロックをテーマに、暗黒の管理社会(デストピア)からの脱却を目指すSF作品である。

永野護曰わく『ファイブスター物語』の開始前に練習で描いた作品との事だが、漫画としては変則的な構成となっている『FSS』に対して、王道的な展開を見せる本作では永野護本来のストーリーテイリングの巧さを見る事が出来る。


【物語】

西暦2185年……。
20世紀末から21世紀初頭の大戦争により衰退した人類が統一国家を形成してから約100年……。
新国家形成の中心となったマザーコンピューター“DOUGHTER(ドウター)”は、自らを生み出した嘗ての地球連邦の高官達の意志に従い、100年後の世界でも完璧な管理社会の実現と維持を目指し、旧世界の芸術、宗教、文化は徹底的に排除された末に表舞台からは完全に抹消させられていた。

旧世界の芸術家達は情報管理局“メトロポール”の手を逃れ辺境での地下生活に入り、それらの知識は“SUCCESSOR(サクセサー)”と呼ばれる彼らの子供達に伝えられるのみであったが、彼ら“サクセサー”もまた更なる弾圧を受け、狩られ、洗脳される暗黒の時代を迎えていた。


物語は、表向きには反政府活動グループの逮捕劇として報道されたインドから招かれた“本物のロックバンド”が虐殺された翌朝……メトロポリスで人気を集めるアイドルグループ“スーパーノヴァ”のメンバー、ラッセル・コールが最後の“ロック・サクセサー”アラニア・シャンカールと出会う場面から始まる。


【主要登場人物】

◆ラッセル・コール
通称ラス。
23歳。
本作の主人公。
アイドルグループ・スーパーノヴァのビートリズマー(ベーシスト)。
情に篤い人情家で、アラニアに同情し彼女を救う事で、頑なであった彼女の心を開く。
この事で、やがて2人は仲間達の希望の象徴となって行く。


◆アラニア・シャンカール・アンダーソン
17歳。
本作のヒロイン。
ネパールからやって来た最後のロックサクセサーで、メトロポールに虐殺されたサクセサーの唯一人の生き残り。
ラスに保護された後、スーパーノヴァの面々と打ち解ける中でラスとは恋仲になる。
異民同士の混血を現してか、褐色の肌に金色の髪の持ち主。


◆エドワード・マコト
21歳。
ラスとは街(メトロポリス)に出て来た頃からの親友で、スーパーノヴァのヴォーカルとサンプリングギターを務めていた。
人懐こい性格で、バンドのムードメーカーでもあったが……。


◆イアン・マクドナルド
20歳。
スーパーノヴァのリード・サンプリングギターを務める。
自分に絶対の自信を持つ天才肌で、女好き。
「女の子は顔より足」が持論。


◆スティーブン・フィリップ
通称スティーブ
24歳。
スーパーノヴァのサンプリングドラマーを務めており、年齢が上と云う事もあってかバンドの纏め役でもある。
やや軍事(技術)オタク気味。
メガネがトレードマークだったが、終盤は外してしまうので個性が更に薄くなる。


◆サイモン・オフロード
年齢??(多分31歳)
スーパーノヴァのプロデューサー。
レジスタンスの一員でもあり、当初は彼を含めたスーパーノヴァはレジスタンスでも一番の新参だったのだが、アラニアの加入により彼らこそが反抗の旗印となる。
年齢が21歳と表記されているが、完全に誤記であろう。


◆アニマル・ドーシー
マコトと仲の良い走り屋集団「スケープゴート(生贄の山羊)」のリーダーで、充電式のクールエンジンが基本の22世紀に、1人だけ内燃機関のホットエンジンで稼働するハーレーを愛車にしている。


◆マフ・マクトミン
特徴的な容姿のレジスタンスの大物。
ミラージュ騎士団や13人衆にも似た人が居るが、決して気の所為では無い
モデルはクラウス・ノミ。


◆ソーニャ・カーリン
レジスタンスに協力する謎めいた美女。
歴史博物館務めを自称するが、実はメトロポールのカーリン大尉が本当の顔である。
別宇宙ではファティマに転生。


F.U.ログナー
23歳。
この物語のもう1人の主人公。
マザーコンピューター“ドウター”が自らの全権代理者にして、支配者として生み出した機械の子供(マシンチャイルド)。
メトロポールの総司令にして、統一政府の最高権力者たる人工の天才である。
別の宇宙でも大っ体同じ名前、顔、性格、存在である。


【登場メカニック】

■ロウ・グライド
メトロポールの使用する治安維持用のパトロールロボット

■スカウト・グライド
メトロポールの使用する犯罪捜査用の追跡ロボット。

■ハンター・グライド
メトロポールの使用するレジスタンス掃討用の戦闘ロボット。

■フレイム・グライド
メトロポールの使用するレジスタンス掃討用の戦闘ロボット。
火焔放射を持つ。


■ベオ・グライド
メトロポールの使用する破壊用ロボット(デストロイド・コマンダー)。
本作を象徴するメカニックで、識別信号の無い存在は徹底的に排除する虐殺用の殺人機械と云う設定はL.E.D.ミラージュにも通じる。


※この他、メトロポールの使用する車両を始めとした未来世界のマシン。


【余談】

『ファイブスター物語』にも組み込まれており、地球に降りたラキシスは、この世界のログナーとカーリンの助けにより再び宇宙へと送り出される事になる。



追記修正はプラチナ・アルバムとなったフォガットの1975年のヒットアルバム「シティ・ロックン・ロール/FOOL FOR THE CITY」を聴きながらお願いします。

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最終更新:2023年05月07日 20:45